○京都府遊泳者及びプレジャーボートの事故の防止等に関する条例

平成26年3月14日

京都府条例第7号

京都府遊泳者及びプレジャーボートの事故の防止等に関する条例をここに公布する。

京都府遊泳者及びプレジャーボートの事故の防止等に関する条例

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 海水浴場の開設等(第4条―第11条)

第3章 プレジャーボート操縦者の責務等(第12条―第14条)

第4章 雑則(第15条・第16条)

第5章 罰則(第17条―第20条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、海域等における遊泳者及びプレジャーボートの事故その他の事故(以下「水難事故」という。)を防止することにより、海の利用についての安心・安全な環境づくりを推進し、もって遊泳者等の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 海域等 海域(久美浜湾及び阿蘇海の区域を含む。以下同じ。)及び海浜の区域をいう。

(2) 海水浴場 特定の海域及びこれに接続する海浜の区域において、海水浴場利便施設が設けられ、通常公衆が遊泳のために利用することができるものとして環境の整備が行われた場合における当該特定の海域及びこれに接続する海浜の区域をいう。

(3) 海水浴場の開設 海水浴場利便施設を設け、規則で定める方法により海水浴場を広く公衆に周知させ、その遊泳の目的に供することをいう。

(4) 海水浴場利便施設 特定の海域及びこれに接続する海浜の区域において、遊泳者の利便の増進を図るために設けられる更衣所、便所、シャワー、駐車場その他の規則で定める施設をいう。

(5) 遊泳者 遊泳し、又は潜水している者及び浮輪その他の衝突したときに人の身体に危害を及ぼすおそれのない器具をその本来の用法に従って用いている者をいう。

(6) 遊泳者等 遊泳者並びに海域等において、プレジャーボートの操縦その他のスポーツ等(スポーツ又はレクリエーションをいう。以下同じ。)を行っている者、漁船又は漁業上の施設で漁業に従事している者、工事に従事している者及び浮標の設置その他の作業に従事している者をいう。

(7) プレジャーボート 水上オートバイ、モーターボート、ヨット、セールボード、サーフボードその他のスポーツ等の用に供される船舶の類(ビニールボートその他衝突したときに人の身体に危害を及ぼすおそれのない船舶の類を除く。以下同じ。)をいう。

(8) マリンレジャー事業 施設を設け、利用者の需要に応じて、その都度プレジャーボートを賃貸その他の方法により提供する事業又はプレジャーボートを係留し、若しくは保管する事業をいう。

(関係者の協力等)

第3条 府は、国及び市町と相互に連携し、及び協力して、海の利用についての安心・安全な環境づくりのための施策を推進するものとする。

 遊泳者等、次条第1項の規定による届出又は第5条第1項後段の規定による通知をした者(以下「海水浴場開設者」という。)及びマリンレジャー事業を行う者(以下「マリンレジャー事業者」という。)は、府がこの条例の目的を達成するために行う措置に協力しなければならない。

第2章 海水浴場の開設等

(海水浴場の開設の届出等)

第4条 海水浴場の開設を行おうとする者は、当該海水浴場を設けようとする日の30日前までに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

(1) 氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

(2) 海水浴場の名称

(3) 海水浴場の区域

(4) 海水浴場の区域のうち遊泳に適すると認められる区域(以下「遊泳場」という。)

(5) 海水浴場の開設を行う期間

(6) 海水浴場に設けられる海水浴場利便施設の概要

(7) 第6条に規定する措置その他の遊泳者等の安全のために講じる措置の概要

(8) 海水浴場を公衆に周知させるための方法

 前項の規定による届出をした者は、同項各号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

(海水浴場の開設に係る国の機関等に関する特例)

第5条 国の機関又は地方公共団体(以下「国の機関等」という。)が海水浴場の開設を行おうとするときは、前条第1項の規定による届出を要しない。この場合において、当該国の機関等は、同項に規定する期日までに、知事に同項各号に掲げる事項について通知するものとする。

 前項の規定は、国の機関等が前条第1項各号に掲げる事項を変更しようとする場合について準用する。

(海水浴場開設者の水難事故の防止措置)

第6条 海水浴場開設者は、第4条第1項の規定による届出又は前条第1項後段の規定による通知に係る海水浴場(以下「届出等海水浴場」という。)における水難事故を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 届出等海水浴場の遊泳場をフェンス、浮標等により遊泳者等が容易に識別することができるよう標示すること。

(2) 届出等海水浴場内の見やすい場所に第10条に規定する遊泳に係る遵守事項及び第11条に規定する遊泳等に係る禁止行為の内容を記載した看板を掲示すること並びに当該遵守事項及び禁止行為の内容を届出等海水浴場内で放送する等必要な広報を行うこと。

(3) 届出等海水浴場に、次に掲げる業務を行う者(以下「連絡員」という。)を配置すること。

 水難事故が発生した場合に、直ちに警察官(警察用船舶において、船長、機関長及び機関士の職務を行う者を含む。)、海上保安官又は消防吏員(以下「警察官等」という。)に通報すること。

 遊泳者等の危険な行為を注意すること。

(4) 届出等海水浴場に、救命浮輪、救命ボート、自動体外式除細動器その他の救命のための装備を備え、適正に管理するとともに、連絡員に当該装備の使用方法を習熟させること。

(5) 気象、海象その他の状況から遊泳することが危険であると認められる場合又は危険であると予測される場合は、届出等海水浴場において遊泳を禁止する措置を講じること。

 海水浴場開設者は、水難事故に係る救助を行うために必要な知識及び能力を有する者を届出等海水浴場に配置するよう努めなければならない。

 海水浴場開設者は、監視所、監視台及び救護所を届出等海水浴場に整備するよう努めなければならない。

(知事の指示)

第7条 知事は、海水浴場開設者に対し、届出等海水浴場における遊泳者及びプレジャーボートの操縦その他のスポーツ等を行っている者の水難事故を防止するために必要な措置を講じるべきことを指示することができる。

(遊泳区域)

第8条 知事は、届出等海水浴場の遊泳場に船舶の類が出入りし、又は出入りするおそれのある場合であって遊泳者に係る危険を防止するために必要があると認めるときは、その遊泳場の全部又は一部を遊泳区域として、期間を定めて指定することができる。

 知事は、前項の規定による遊泳区域の指定に当たっては、公安委員会の意見を聴くものとする。

 知事は、第1項の規定による遊泳区域の指定の必要がなくなったと認めるときは、当該遊泳区域の指定を解除するものとする。

 知事は、第1項の規定により遊泳区域を指定する場合は、その旨及びその区域を告示するものとする。遊泳区域を変更する場合及び遊泳区域の指定を解除する場合も、同様とする。

 遊泳区域の指定、変更及び指定の解除は、前項の規定による告示によってその効力を生じる。

 知事は、第1項の規定により指定した遊泳区域に、規則で定めるところにより、標識を設置するものとする。

 何人も、みだりに前項の標識を移動し、又は損壊してはならない。

(遊泳区域への船舶の類の進入禁止等)

第9条 何人も、人命救助に従事する場合その他規則で定める場合を除き、遊泳区域に船舶の類を進入させてはならない。

 何人も、船舶の類を遊泳区域に接近させ、当該区域内の遊泳者に不安を覚えさせるような操縦をしてはならない。

(遊泳に係る遵守事項)

第10条 何人も、海域において遊泳する場合は、次に掲げる事項を遵守するとともに、自ら水難事故の防止に努めなければならない。

(1) 届出等海水浴場付近においては、遊泳場外で遊泳しないこと。

(2) 気象、海象その他の状況から遊泳することが危険であると認められる場合は、遊泳しないこと。

(3) 酒に酔った状態その他の安全に遊泳することができないおそれのある状態で、遊泳しないこと。

(4) 水難事故の防止のため、次に掲げる者の行う指示に従うこと。

 海水浴場開設者

 連絡員

 第6条第2項の規定により海水浴場に配置された者

 海域において、幼児、泳ぐことができない児童等を遊泳させる場合は、その者を保護する責任のある者が付き添わなければならない。

(遊泳等に係る禁止行為)

第11条 何人も、海域等において、みだりに、遊泳者に抱きつくこと、遊泳者を押さえることその他の遊泳者に危険を生じさせる行為をしてはならない。

 何人も、海水浴場において、やすその他の人の身体に危害を及ぼすおそれのある器具を人の身体に危害を及ぼすような態様で携帯してはならない。

第3章 プレジャーボート操縦者の責務等

(マリンレジャー事業者の責務)

第12条 マリンレジャー事業者は、海域等における水難事故を防止し、遊泳者等の安全を図るため、次に掲げる措置を講じるよう努めるものとする。

(1) マリンレジャー事業を行う場所の見やすい箇所に次条に規定するプレジャーボートの操縦に係る遵守事項及び第14条に規定するプレジャーボートの操縦に係る禁止行為等の内容を掲示し、事業者が係留し、又は保管するプレジャーボートを利用する者(以下「プレジャーボート利用者」という。)に当該掲示に係る事項を遵守するよう指導すること。

(2) 救命浮輪、救命ボートその他の救命用具をマリンレジャー事業を行う場所に備えること。

(3) 安全な操縦のために必要な気象及び海象に関する情報、海水浴場、漁業上の施設及び工事現場の位置に関する情報その他の情報をプレジャーボート利用者に提供すること又はプレジャーボート利用者が当該情報を把握するよう指導すること。

(4) プレジャーボート利用者に対し、水難事故が発生したことを知ったときは、直ちに負傷者を救護する等必要な措置を講じるとともに、その旨を警察官等に通報するよう指導すること。

(5) 気象、海象その他の状況から操縦に危険があると認められる場合は、プレジャーボートを利用させないこと。

(6) プレジャーボートを操縦するため、法令で資格を必要とする場合は、当該資格の有無を確認し、当該資格を有しない者にはプレジャーボートを利用させないこと。

(7) プレジャーボートを提供するときは、当該プレジャーボートの提供を受ける者の氏名、年齢、性別及び連絡先並びに提供期間を把握しておくこと。

(8) プレジャーボートを操縦しようとする者が酒に酔った状態その他のプレジャーボートを正常に操縦することができないおそれのある状態であると認められる場合は、プレジャーボートを利用させないこと。

 マリンレジャー事業者は、海域におけるプレジャーボートの水難事故の発生を知ったときは、直ちに警察官等に通報しなければならない。

(プレジャーボートの操縦に係る遵守事項)

第13条 何人も、海域においてプレジャーボートを操縦するに当たっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 気象、海象その他の状況が安全な操縦に支障がないことを確認すること。

(2) プレジャーボートの付近に遊泳者等がいる場合又は漁業上の施設、工事現場等がある場合は、減速すること及びこれらに接近しない等の安全な方法で操縦すること。

(3) 狭い水路又は民家等に近接する海域を航行する場合は、水難事故を防止し、及び静穏を保持するために必要と認められる速度で操縦すること。

 海域において、プレジャーボートを操縦する者(以下「プレジャーボート操縦者」という。)は、ウェイクボード等に人を乗せてけん引する場合は、前項各号に掲げる事項を遵守するほか、けん引される者に救命胴衣及びヘルメット等の保護具を着用させるとともに、けん引される者の水難事故の防止のために必要な見張りをする者を配置しなければならない。

 プレジャーボート操縦者は、海域における水難事故の発生を知ったときは、速やかに警察官等に通報しなければならない。

(プレジャーボートの操縦に係る禁止行為等)

第14条 プレジャーボート操縦者は、海域において、衝突その他の危険を生じさせるおそれのある速度でプレジャーボートを遊泳者等に接近させることその他の遊泳者等に危険を生じさせる操縦をしてはならない。

 プレジャーボート操縦者は、海域において、プレジャーボートを操縦し、人の死傷若しくは行方不明又は物の損壊に係る水難事故を起こしたときは、直ちに負傷者を救護する等必要な措置を講じなければならない。ただし、当該プレジャーボート操縦者に急迫した危険があるときは、この限りでない。

 何人も、海域において、酒に酔った状態その他のプレジャーボートを正常に操縦することができないおそれのある状態でプレジャーボートを操縦してはならない。

第4章 雑則

(警察官の中止命令)

第15条 警察官は、第9条第1項又は第11条の規定に違反した者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、当該違反行為の中止を命じることができる。

(規則等への委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則又は公安委員会規則で定める。

第5章 罰則

(罰則)

第17条 第14条第2項の規定に違反したプレジャーボート操縦者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第18条 第8条第7項の規定に違反した者は、3月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

第19条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

(1) 第4条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

(2) 第14条第1項の規定に違反した者

(3) 第15条の規定による警察官の命令に違反した者

(両罰規定)

第20条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

この条例は、平成26年5月1日から施行する。

京都府遊泳者及びプレジャーボートの事故の防止等に関する条例

平成26年3月14日 条例第7号

(平成26年5月1日施行)