○京都府交通安全基本条例

平成26年9月30日

京都府条例第46号

京都府交通安全基本条例をここに公布する。

京都府交通安全基本条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 府民運動の推進(第7条―第11条)

第3章 交通安全の確保(第12条―第16条)

第4章 危険運転の根絶等(第17条―第23条)

第5章 交通事故被害者等に対する支援等(第24条・第25条)

第6章 雑則(第26条・第27条)

附則

今日の高度な「車社会」は私たちに利便性をもたらし、生活を飛躍的に豊かにしました。しかしその一方で、いとも簡単に人の命を奪い去る悲惨な交通事故は、依然として後を絶たない状況にあります。そして交通事故は被害者のみならず加害者にとっても、また双方の家族にとっても大変不幸な結末をもたらします。

近年の交通事故発生件数は、交通安全対策の推進によって減少傾向にあるものの、交通事故によって多数の方が亡くなっているのが現状であり、また、その約半数を高齢者が占め、特に歩行中や自転車乗車中の事故が増加しています。進行する高齢化社会の中で、高齢者の安全確保はもとより高齢者自身の安全意識の向上を図る必要があります。

こうした中、京都府においては、近年、京都市東山区祇園や亀岡市における悲惨な交通事故や悪質な飲酒運転によるひき逃げ事故などが続発しました。また、重大事故に至らないまでも、車両の粗暴運転など、残念ながら周囲に対する気遣いに欠ける行為の存在を否定することもできません。それらの背景には、交通規範を軽視する風潮があり、交通の安全に関するこのような低い意識が悪質かつ重大な事故につながっているものと考えられます。

今後、痛ましい交通事故をなくし、真に安心・安全な京都を実現するためには、今、改めて、交通の安全に反する行為が取返しのつかない結果をもたらす危険があることを府民一人ひとりが常に意識するのみならず、府、府民、市町村、国、関係団体等が一丸となって交通事故を起こさない社会風土・環境づくりを行っていくことが急務です。

私たちは、ここに、交通事故の根絶に向け、全力を挙げて取り組むことを決意し、もって、安全で安心して暮らせる社会になるよう、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、道路交通の安全(以下「交通安全」という。)に関し、府、府民、車両を運転する者(以下「運転者」という。)、事業者等の責務を明らかにするとともに、交通安全に関する施策の基本的事項を定めることにより、交通安全対策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって交通事故のない安全で安心な社会の実現に寄与することを目的とする。

(府の責務)

第2条 府は、交通安全に関する施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

 府は、交通安全に関する施策の実施に当たっては、市町村、国及び関係団体との連絡調整を緊密に行うものとする。

 府は、交通安全に関する施策に府民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるものとする。

(府民の責務)

第3条 府民は、交通安全に関する理解を深め、その推進に努めるものとする。

 府民は、府、市町村、関係団体等が実施する交通安全に関する施策及び活動に協力するよう努めるものとする。

(運転者の責務)

第4条 運転者は、交通安全に関する法令を遵守するとともに、歩行者に危害を及ぼさないようにするなど車両を安全に運転しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その使用する車両の安全な運行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

(歩行者の責務)

第6条 歩行者は、道路を通行するに当たっては、交通安全に関する法令を遵守するとともに、歩きスマホ(その操作を指で画面上をなぞることにより行う携帯電話又はそれに類似する機器を操作しながら歩行することをいう。)のように車両への注意力が散漫となる行為は慎むなど、道路交通に危険を生じさせないように努めなければならない。

第2章 府民運動の推進

(府民運動の推進に向けた環境づくり)

第7条 府は、交通安全に関する取組が府民運動として展開されるよう、市町村、国及び関係団体とも連携しながら、その環境づくりに努めるものとする。

(推進体制の整備)

第8条 府は、市町村、国及び関係団体と連携して交通安全対策を総合的に推進するための体制を整備するものとする。

(府民の自主的な活動の促進)

第9条 府は、交通安全に係る地域住民、事業者等による自主的な活動が、地域における交通安全の確保や事業所における交通安全に関する意識の高揚等のみならず、交通安全に関する府民全体の理解の促進につながることに鑑み、これらの活動が各地で活発に展開されるよう、助言、情報提供など必要な支援を行うものとする。

(市町村等への支援)

第10条 府は、交通安全に関する市町村の施策及び関係団体による取組が円滑に実施されるよう、助言、情報提供など必要な支援を行うものとする。

(広報及び啓発)

第11条 府は、交通安全に関する府民の関心及び理解を深めるとともに、積極的な取組が促進されるよう、適切な広報及び啓発を行うものとする。

第3章 交通安全の確保

(子ども等の交通安全の確保)

第12条 府は、交通安全に関する施策の実施に当たっては、子ども、高齢者、障がい者等の交通安全の確保に特別の配慮をするよう努めるものとする。

 運転者は、子ども、高齢者、障がい者等の交通安全を確保するよう努めなければならない。

(交通環境の整備)

第13条 府は、交通環境の整備を図るため、市町村及び国とも連携しながら、道路及び交通安全施設の整備、交通の規制の実施等必要な措置を講じるものとする。

 府は、住宅地、商店街等において前項の措置を講じるに当たっては、特に歩行者の保護が図られるように配慮するものとする。

 府は、交通環境の整備を推進するため、地域住民の意向の把握、重大な事故が発生し、又は交通事故が多発している道路及び当該道路と交通環境が類似する道路の点検等必要な措置を講じるものとする。

(通学路等の安全の確保)

第14条 子どもの通学、通園等の用に供されている道路(以下「通学路等」という。)の管理者、学校、幼稚園、保育所その他これらに類する施設の長、子どもの保護者、地域住民及び通学路等の所在する地域を管轄する警察署長は、連携して通学路等における子どもの交通安全を確保するために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(交通安全教育の推進等)

第15条 府民は、子どもを交通事故から守るため、家庭及び地域において、子どもに対して交通安全教育を行うよう努めるものとする。

 学校、幼稚園、保育所その他これらに類する施設の長は、子どもの発達段階に応じた交通安全教育を実施するよう努めるとともに、子どもが交通安全に関する活動に参加することができるよう配慮するものとする。

 大学その他の教育研究機関の長は、学生に対して交通安全教育を実施するよう努めるものとする。

 事業者は、従業員に対して交通安全教育を実施するよう努めなければならない。

 府は、交通安全に関する高齢者の関心及び理解を深めるため、市町村、関係団体、関係する事業者等とも連携しながら、高齢者の日常生活圏を踏まえた広報啓発等必要な措置を講じるものとする。

 府は、外国から訪れる観光旅行者、留学生等の交通安全に関する法令への理解を深めるため、市町村、関係団体、関係する事業者等とも連携しながら、外国語による広報啓発等必要な措置を講じるものとする。

 府は、前2項に定める措置のほか、府民の交通安全に関する知識の普及及び意識の高揚を図るため、交通安全教育の推進に必要な措置を講じるものとする。

(調査研究)

第16条 府は、交通安全に関する施策の策定及び実施に必要な調査研究を推進するものとする。

第4章 危険運転の根絶等

(危険運転の根絶)

第17条 府民は、飲酒運転、無免許運転、妨害運転、居眠り運転、制御困難な高速度での自動車の運転その他の危険な運転は取返しのつかない結果をもたらし、決して許されないものであることを十分に認識し、家庭や地域、職場等において、危険な運転の根絶に向けた取組を実施するよう努めなければならない。

(令2条例41・一部改正)

(事業者の危険運転防止措置)

第18条 事業者は、その業務に従事する運転者に対して飲酒、過労、病気等の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を随時確認する等危険な運転の防止に必要な措置を講じなければならない。

(酒類提供飲食店の飲酒運転防止措置)

第19条 酒類を提供する飲食店を営む者は、飲酒をした客が車両を運転しないよう確認する等飲酒運転の防止に必要な措置を講じるよう努めなければならない。

(運転者の自覚等)

第20条 運転者は、自らの身体の機能の状態、健康の状況等を自覚し、自らの体調、運転操作等に不安を覚えるときは、運転の自粛、免許の自主的な返納等適切に対応しなければならない。

 身近に運転者のいる府民は、前項の趣旨を踏まえ、当該運転者の身体の機能の状態、健康の状況等に意を配るとともに、当該運転者に対する助言、支援等に努めるものとする。

(危険運転を認めた場合の防止措置)

第21条 府民は、危険な運転が現になされ、又はなされるおそれがあると認めるときは、警察官への通報等、状況に応じた適切な措置を講じることにより、危険運転による交通事故の未然の防止に努めるものとする。

(違法駐車の防止)

第22条 府民は、違法駐車が交通事故を引き起こす原因となることを十分に認識し、家庭や地域、職場等において、違法駐車の防止に向けた取組を実施するよう努めなければならない。

(危険運転等の防止に向けた意識啓発等)

第23条 府は、危険な運転及び違法駐車を防止するため、意識の啓発等必要な措置を講じるものとする。

第5章 交通事故被害者等に対する支援等

(交通事故被害者等に対する支援)

第24条 府は、交通事故により被害を受けた者、その遺族等(以下「交通事故被害者等」という。)が平穏な生活を確保することができるよう、交通事故被害者等に対する必要な支援を行うよう努めるものとする。

 府は、前項の支援を効果的に推進するため、市町村、国及び関係団体と緊密な連携を図るものとする。

(支援体制の整備)

第25条 府は、交通事故被害者等を支援するための体制を整備するものとする。

第6章 雑則

(年次報告)

第26条 知事は、毎年、議会に、交通事故の状況及び交通安全に関して講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。

(財政上の措置)

第27条 府は、交通安全に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

(令和2年条例第41号)

この条例は、公布の日から施行する。

京都府交通安全基本条例

平成26年9月30日 条例第46号

(令和2年12月23日施行)

体系情報
第1編 規/第6章 交通対策
沿革情報
平成26年9月30日 条例第46号
令和2年12月23日 条例第41号