○京都府薬物の濫用の防止に関する条例

平成26年12月26日

京都府条例第52号

京都府薬物の濫用の防止に関する条例をここに公布する。

京都府薬物の濫用の防止に関する条例

目次

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 薬物の濫用の防止に関する基本的な施策(第10条―第13条)

第3章 危険薬物の濫用の防止のための規制(第14条―第27条)

第4章 京都府薬物等指定審査会(第28条)

第5章 雑則(第29条)

第6章 罰則(第30条―第37条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、薬物の濫用の防止に関し、府、府民等(府民及び観光旅行者その他の滞在者をいう。以下同じ。)及び事業者等(事業者、医師及び薬剤師、薬物濫用防止活動団体(薬物の濫用の防止に資する活動を行うことを主たる目的として組織された団体をいう。以下同じ。)その他の関係者をいう。以下同じ。)の責務等を明らかにするとともに、薬物の濫用の防止に関する基本的な施策、危険薬物の濫用の防止のための規制その他の必要な事項を定めることにより、薬物の濫用による保健衛生上の危害その他の府民生活への危害の発生を防止し、もって府民等の健康かつ安心・安全で平穏な生活の確保に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。

(1) 大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻

(2) 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条第1項に規定する覚醒剤及び同条第5項に規定する覚醒剤原料

(3) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬、同条第4号に規定する麻薬原料植物及び同条第6号に規定する向精神薬

(4) あへん法(昭和29年法律第71号)第3条第1号に規定するけし、同条第2号に規定するあへん及び同条第3号に規定するけしがら

(5) 毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定するトルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料

(6) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第15項に規定する指定薬物(以下「法指定薬物」という。)

(7) 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有するおそれがあり、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(医薬品医療機器等法第2条第1項に規定する医薬品、酒類及びたばこを除く。以下「危険薬物」という。)

 中枢神経系の興奮又は抑制の作用

 幻覚又は陶酔の作用

 その他又はの作用に類する作用

(令2条例27・一部改正)

(府の責務)

第3条 府は、薬物の濫用の防止に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施するものとする。

 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、国、他の地方公共団体、府民等及び事業者等と連携し、及び協働して取り組むものとする。

(府民等の責務)

第4条 府民等は、薬物の危険性(薬物が人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがあることをいう。以下同じ。)及び薬物の濫用の防止の重要性に関する関心と理解を深めるとともに、自ら薬物の濫用の防止に努めなければならない。

 府民等は、府が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

 府民等は、薬物の濫用に関する情報を知ったときは、当該情報を知事に提供するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その行う事業に関し、薬物に係る行為で法律若しくはこの条例の規定に違反するもの(以下「薬物違法行為」という。)を助長する行為が行われること又はその行う事業が薬物違法行為に利用されることがないよう努めるとともに、府が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(医師及び薬剤師の責務)

第6条 医師及び薬剤師は、患者に対する医療等の提供を行うに当たり、当該患者が法指定薬物又は危険薬物をみだりに使用したことを知ったとき、当該使用を疑うに足りる相当な理由があると認めるとき等は、当該使用に係るこれらの薬物の名称その他の当該薬物の特定等のために必要な情報を知事に提供するよう努めなければならない。

(土地所有者等の責務)

第7条 土地又は建物(以下「土地等」という。)の所有者その他土地等を使用する権原を有する者は、当該土地等の貸借の契約を締結するに当たっては、当該土地等が薬物違法行為に使用されることがないよう努めなければならない。

 土地等の貸借の代理又は媒介(以下「代理等」という。)を業として行う者は、当該代理等に係る土地等が薬物違法行為に使用されることがないよう努めなければならない。

 前2項に規定する者は、当該貸借若しくは代理等に係る土地等が薬物違法行為のために店舗等(店舗、事業所その他の場所をいう。以下同じ。)の用に供され、若しくは供されることが予定されていることを知ったとき又はこれらのことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該店舗等が薬物違法行為のために使用されることがないよう努めるとともに、当該薬物違法行為に関する情報を府に提供するよう努めなければならない。

(運送事業者の責務)

第8条 運送事業者は、その行う事業に関し、当該事業に係る役務が薬物違法行為のために利用されていることを知ったとき又は当該利用されていることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該薬物違法行為に関する情報を府に提供するよう努めなければならない。

(薬物濫用防止活動団体の役割)

第9条 薬物濫用防止活動団体は、その活動を通じて、薬物の危険性及び薬物の濫用の防止の重要性に関する府民等の関心と理解を深め、府民等の薬物の濫用の防止に資する取組を促進する役割を果たすものとする。

 薬物濫用防止活動団体は、前項の役割を果たすため、府が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第2章 薬物の濫用の防止に関する基本的な施策

(推進体制の整備等)

第10条 府は、国、他の地方公共団体、府民等及び事業者等と連携し、薬物の濫用の防止を推進するための体制を整備するものとする。

 府は、薬物の流通形態が多様化していることを踏まえ、その実態に応じて効果的かつ適切に、薬物に関する情報を把握し、及び薬物の濫用の防止に関する施策を実施するために必要な監視及び指導の体制を整備するものとする。

 知事及び京都府公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、薬物の濫用の防止に関する施策を効果的かつ適切に実施するため、相互に連携し、及び協力して、調査、指導その他の薬物の濫用の防止に関する必要な措置を講じるものとする。

(調査研究の推進)

第11条 府は、薬物の濫用による保健衛生上の危害その他の府民生活への危害の発生を防止するため、薬物に関する調査研究を推進するとともに、その成果の普及啓発を行うものとする。

(情報の収集及び提供)

第12条 府は、薬物の危険性に関する最新の情報その他の科学的知見に基づく薬物に関する情報の収集、整理、分析等を行い、府民等及び事業者等に対し、積極的な情報の提供を行うものとする。

 府は、前条の調査研究及び前項の情報の収集等の成果を、薬物の濫用の防止に関する施策に反映させるものとする。

(広報及び啓発等)

第13条 府は、薬物の危険性及び薬物の濫用の防止の重要性に関する府民等の関心と理解が深まるよう、適切な広報及び啓発を行うとともに、教育及び学習の充実その他の必要な措置を講じるものとする。

 府は、薬物濫用防止活動団体又は府民等若しくは事業者が前項に規定する目的のために行う薬物の濫用の防止のための活動を促進するため、情報提供その他の必要な措置を講じるものとする。

第3章 危険薬物の濫用の防止のための規制

(危険薬物の製造等の禁止等)

第14条 何人も、疾病の診断、治療若しくは予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として規則で定めるもの(以下「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために危険薬物を製造し、栽培し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。

 何人も、医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等(医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者をいう。)向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として危険薬物を医療等の用途に使用する者を対象として行う場合を除き、危険薬物についての広告を行ってはならない。

 何人も、医薬品医療機器等法第76条の4又は第1項の規定に違反する法指定薬物又は危険薬物の使用のため、場所を提供し、又は場所を提供すること若しくは場所の提供を受けることのあっせんをして利益を図ってはならない。

(知事指定薬物の指定)

第15条 知事は、危険薬物のうち、府内において現に人の身体に使用され、又は使用されるおそれがあると認める物を知事指定薬物として指定することができる。

 知事は、前項の規定による指定(以下「知事指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ、京都府薬物等指定審査会の意見を聴かなければならない。

 知事は、知事指定をするときは、規則で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

 知事指定は、前項の規定による公示によってその効力を生じる。

(知事指定の失効)

第16条 知事指定は、知事指定薬物が第2条第1号から第6号までのいずれかに該当することとなったときは、その効力を失う。

 知事は、前項の規定により知事指定が効力を失ったときは、規則で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

 知事指定が効力を失った場合においては、当該知事指定薬物であった物は、その失効前にした当該知事指定薬物に係る行為に対する第31条(第1号に係る部分に限る。)及び第32条の規定の適用については、なお知事指定薬物とみなす。

(知事監視店舗の指定)

第17条 知事は、危険薬物又は危険薬物である疑いがある物(以下「危険薬物等」という。)について次の各号のいずれかに該当する疑いがあり、保健衛生上の危害その他の府民生活への危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、当該疑いのある行為が行われ、又は行われている店舗等であって、当該店舗等で府民の健康及び安心・安全を保持するための適切な措置が講じられることが必要であると知事が認めるものを知事監視店舗として指定することができる。

(1) 危険薬物等が第14条第1項の規定に違反して貯蔵され、又は陳列されている疑い

(2) 危険薬物等が第14条第1項の規定に違反して製造され、栽培され、販売され、又は授与された疑い

(3) 危険薬物等について第14条第2項の規定に違反して広告が行われ、又は広告が行われている疑い

 前項の規定による指定(以下「監視店舗指定」という。)の基準は、規則で定める。

 知事は、監視店舗指定をしようとするときは、あらかじめ、京都府薬物等指定審査会の意見を聴かなければならない。

 知事は、監視店舗指定をする場合であって、緊急を要し、あらかじめ京都府薬物等指定審査会の意見を聴くいとまがないときは、当該手続を経ないで監視店舗指定をすることができる。この場合において、知事は、速やかに、当該監視店舗指定に係る事項を京都府薬物等指定審査会に報告しなければならない。

 知事は、監視店舗指定をするときは、規則で定めるところにより、その旨及び当該監視店舗指定に係る店舗等の名称その他の規則で定める事項を公示するとともに、当該店舗等において営業を行っている者(以下「知事監視店舗営業者」という。)に通知するものとする。

 監視店舗指定は、前項の規定による公示によってその効力を生じる。

 前2項の規定は、監視店舗指定の変更について準用する。

(監視店舗指定の解除)

第18条 知事は、知事監視店舗について、監視店舗指定の必要がなくなったと認めるときは、当該監視店舗指定を解除することができる。

 知事は、前項の規定による解除をするときは、規則で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

 前条第3項及び第6項の規定は、第1項の規定による解除について準用する。

(知事監視薬物等の販売等の手続)

第19条 知事監視店舗営業者は、危険薬物等による保健衛生上の危害その他の府民生活への危害の発生を防止するため、当該知事監視店舗又はその貯蔵場所(当該知事監視店舗以外の店舗等であって、当該知事監視店舗その他の店舗等で販売し、又は授与する目的(以下「販売等目的」という。)のために危険薬物等が貯蔵されているものをいう。以下同じ。)で当該販売等目的のために貯蔵され、又は陳列されている危険薬物である疑いがある物その他の物(人が摂取するおそれがないと認められる物のみで組成されている物その他規則で定める物を除く。以下「知事監視薬物等」という。)の直接の容器又は直接の被包に次に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 当該知事監視薬物等を製造し、若しくは栽培し、又は輸入した者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地。以下同じ。)

(2) 当該知事監視店舗営業者の氏名及び住所

(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項

 知事監視店舗営業者は、知事監視薬物等を販売し、又は授与しようとするときは、当該知事監視薬物等を購入し、又は譲り受けようとする者(以下「購入者等」という。)に対し、規則で定めるところにより、当該知事監視薬物等に関する次に掲げる事項を記載した書面(以下「説明書」という。)を交付し、その内容を説明しなればならない。

(1) 当該知事監視薬物等の名称、用途及び使用方法

(2) 前号に掲げるもののほか、当該知事監視薬物等の使用、保管等に関し、保健衛生上の危害その他の府民生活への危害の発生を防止するために購入者等が遵守すべき事項として規則で定める事項

 購入者等は、前項の説明を受けたときは、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面(以下「誓約書」という。)を当該知事監視店舗営業者に提出しなければならない。

(1) 購入者等の氏名及び住所

(2) 当該知事監視薬物等の名称、数量及び使用目的

(3) 当該知事監視薬物等の使用、保管等に当たっては、説明書に記載された事項その他規則で定める事項を遵守することを誓約する旨

(4) 前3号に掲げるもののほか、規則で定める事項

 知事監視店舗営業者は、その販売し、又は授与しようとする知事監視薬物等に関し次の各号のいずれにも該当する場合でなければ、当該知事監視薬物等を販売し、又は授与してはならない。

(1) 第1項の規定による記載がされていること。

(2) 誓約書の提出があったこと。

 知事監視店舗営業者は、当該知事監視店舗において、知事監視薬物等の購入若しくは譲受け(以下この項において「購入等」という。)の頻度が相当程度高く、又は購入等に係る1回当たりの知事監視薬物等の量が相当程度多いものとして規則で定める要件に該当する購入等があったときは、当該知事監視薬物等が危険薬物その他の薬物であった場合に生じる保健衛生上の危害その他の府民生活への危害の発生を未然に防止するため、規則で定めるところにより、直ちに、その旨を知事に届け出なければならない。

 知事監視店舗営業者は、規則で定めるところにより、購入者等が第3項の規定を遵守するために必要な情報その他の規則で定める事項について、当該知事監視店舗の見やすい場所に掲示しなければならない。

 知事監視店舗営業者は、知事監視薬物等となる物を製造し、栽培し、購入し、若しくは譲り受けたとき又は知事監視薬物等を販売し、若しくは授与したときは、その都度、規則で定める事項を書面に記載しておかなければならない。

 知事監視店舗営業者(知事監視店舗営業者であった者を含む。)は、誓約書にあってはその提出があった日から、前項の書面にあってはその作成の日からそれぞれ3年間保存しなければならない。

 知事監視店舗営業者は、知事監視薬物等について、次に掲げる方法による広告を行ってはならない。

(1) 当該知事監視薬物等の使用を助長し、又は誘発すると認められる表示による方法

(2) 前号に掲げるもののほか、規則で定める方法

(警告)

第20条 知事は、次に掲げる者に対し、必要な警告を発することができる。

(1) 第14条第1項の規定に違反して危険薬物を製造し、栽培し、販売し、授与し、所持し、購入し、譲り受け、若しくは使用し、又はこれらの行為をしようとした者

(2) 第14条第2項の規定に違反して広告を行い、又は行おうとした者

(3) 第14条第3項の規定に違反した者

 知事は、知事監視店舗営業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)次の各号のいずれかに該当するときは、当該知事監視店舗営業者又はその代理人等に対し、必要な警告を発することができる。

(1) 前条第1項又は第7項の規定による記載をせず、又は虚偽の記載をしたとき。

(2) 前条第2項の規定による説明書の交付若しくは説明をせず、又は虚偽の記載をした説明書を交付し、若しくは虚偽の説明をしたとき。

(3) 前条第4項の規定に違反して、知事監視薬物等の販売若しくは授与を行い、又は行おうとしたとき。

(4) 前条第5項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

(5) 前条第6項の規定による掲示をせず、又は虚偽の掲示をしたとき。

(6) 前条第8項の規定による保存をしなかったとき。

(7) 前条第9項の規定に違反して、知事監視薬物等についての広告を行い、又は行おうとしたとき。

 知事は、購入者等が前条第3項の規定に違反して、誓約書を提出せず、又は虚偽の記載をした誓約書を提出したときは、当該購入者等に対し、必要な警告を発することができる。

 前3項の規定による警告は、規則で定める様式による警告書(以下「警告書」という。)を交付して行うものとする。

(業務改善命令)

第21条 知事は、知事監視店舗営業者に対し第19条(第3項及び第9項を除く。)の規定を遵守するための業務の方法の改善に関し知事が定める相当の期間内に必要な措置を講じるべき旨を前条第2項の規定により警告した場合において、当該知事監視店舗営業者が正当な理由がなくて当該警告に係る措置を講じなかったときは、当該知事監視店舗営業者に対し、相当の期間を定めて当該警告に係る措置を講じるべきことを命じることができる。

(中止命令等)

第22条 知事は、第14条第2項若しくは第3項又は第19条第9項の規定に違反した者に対し、相当の期間を定めてその行為の中止その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置を講じるべきことを命じることができる。

(提出命令等)

第23条 知事は、知事監視店舗又はその貯蔵場所その他の店舗等で危険薬物である疑いがある物を発見した場合において、当該物が第14条第1項の規定に違反して貯蔵され、若しくは陳列されている疑い又は同項の規定に違反して製造され、栽培され、販売され、若しくは授与された疑いがあり、保健衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、当該物を貯蔵し、若しくは陳列している者又は製造し、栽培し、販売し、若しくは授与した者に対し、次項の検査のために必要な限度において、当該物の提出を命じることができる。

 知事は、前項の規定による提出があったときは、速やかに、当該提出に係る物が危険薬物であるかどうかを判定するための検査に着手しなければならない。

 前2項の場合において、知事は、規則で定めるところにより、第1項の規定により提出を命じられた者に対し、相当の期間を定めて当該提出に係る物及びこれと同一の物を製造し、栽培し、販売し、授与し、若しくは販売等目的で陳列し、又はこれらの物についての広告を行ってはならない旨を命じることができる。

 前項の命令の期間は、60日を超えてはならない。ただし、第2項の検査により当該物が危険薬物であるかどうかの判定を60日以内にすることができないことにつき正当な理由があり、かつ、公衆衛生上の危険の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、知事は、京都府薬物等指定審査会の意見を聴いて、当該判定をするために必要な最小限度の期間内で、規則で定めるところにより、これを延長することができる。

 知事は、第2項の検査により当該提出に係る物が危険薬物であるかどうかが判明したときは、速やかに、当該提出を命じられた者に対し、当該検査の結果を通知しなければならない。

 前項の通知に係る検査の対象となった物に関し第3項の命令が行われていた場合において、当該命令に係る同項の期間(第4項ただし書の規定により当該期間が延長されたときは、その延長後の期間)が経過する前に当該通知があったときは、当該命令は、その効力を失う。

(廃棄等)

第24条 知事は、知事監視店舗又はその貯蔵場所その他の店舗等で第14条第1項の規定に違反して貯蔵され、若しくは陳列されている危険薬物又は同項の規定に違反して製造され、栽培され、販売され、若しくは授与された危険薬物について、当該危険薬物を取り扱う者に対して、相当の期間を定めて廃棄、回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置を講じるべきことを命じることができる。

 知事は、前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わない場合であって、公衆衛生上の危険の発生を防止するため必要があると認めるときは、当該職員に、同項に規定する物を廃棄させ、若しくは回収させ、又はその他の必要な処分をさせることができる。

 当該職員が前項の規定による処分をする場合には、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

(知事指定薬物に該当しない危険薬物に関する命令の手続)

第25条 知事は、危険薬物(知事指定薬物に該当しない物に限る。以下この条において同じ。)に関し、第22条の規定による命令(第19条第9項の規定による広告に係るものを除く。)又は前条第1項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、当該命令の名宛人となるべき者に対し、次に掲げる事項を記載した警告書による第20条第1項の規定による警告を発しなければならない。ただし、公衆衛生上の危険の発生を防止するため緊急を要し、かつ、当該警告を発するいとまがないときその他規則で定めるときは、この限りでない。

(1) 予定される命令の内容及び根拠となるこの条例の条項

(2) 予定される命令の原因となる事実(当該命令の対象となる物が危険薬物に該当すること及び危険薬物に該当すると判断した理由を含む。)

(公安委員会の協力)

第26条 公安委員会は、この章に規定する規制が円滑に行われるために必要な調査を行い、知事に必要な情報を提供し、又は助言をすることができる。

(立入調査等)

第27条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、規則で定めるところにより、その職員に、危険薬物等を取り扱う場所その他必要な場所に立ち入り、危険薬物等その他の物件を調査させ、又は関係者に質問させ、若しくは危険薬物等を試験のために必要な最少分量に限り、収去させることができる。

 公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、公安委員会規則で定めるところにより、警察職員に、危険薬物等を取り扱う場所その他必要な場所に立ち入り、危険薬物等その他の物件を調査させ、又は関係者に質問させることができる。

 前2項の規定による立入調査等を行う職員又は警察職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

 第1項及び第2項の規定による立入調査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第4章 京都府薬物等指定審査会

(京都府薬物等指定審査会)

第28条 この条例の規定に基づく知事の諮問に応じて調査審議を行わせるため、京都府薬物等指定審査会(以下「審査会」という。)を置く。

 審査会は、委員3人で組織する。

 委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。

 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 前各項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

(委任)

第29条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則又は公安委員会規則で定める。

第6章 罰則

(罰則)

第30条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

(1) 第24条第1項の規定による命令に違反した者

(2) 第24条第2項の規定による廃棄その他の処分を拒み、妨げ、又は忌避した者

第31条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1) 第14条第1項の規定に違反して、知事指定薬物を製造し、栽培し、販売し、若しくは授与した者又は知事指定薬物を所持した者(販売等の目的で貯蔵し、又は陳列した者に限る。)

(2) 第22条の規定による命令(第19条第9項の規定による広告に係るものを除く。)に違反した者

第32条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

(1) 第14条第1項の規定に違反して、知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用した者(前条第1号に該当する者を除く。)

(2) 第14条第2項の規定に違反して、知事指定薬物についての広告を行った者

第33条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。

(1) 第23条第1項の規定による命令に違反した者

(2) 第23条第3項の規定による命令(広告に係るものを除く。)に違反した者

第34条 第23条第3項の規定による命令(広告に係るものに限る。)に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

第35条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

(1) 第21条の規定による命令に違反した者

(2) 第22条の規定による命令に違反した者(第31条第2号に該当する者を除く。)

(3) 第27条第1項又は第2項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者及び同条第1項又は第2項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は危険薬物等の収去を拒んだ者

(両罰規定)

第36条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人等が、その法人又は人の業務に関して、第30条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

(過料)

第37条 第19条第3項の規定に違反して、誓約書を提出せず、又は誓約書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして誓約書を提出した者は、5万円以下の過料に処する。

 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章第4章及び第6章の規定は、公布の日から起算して30日を経過した日(以下「基準日」という。)から施行する。

 知事指定の手続は、基準日前においても、第15条の規定の例により行うことができる。この場合において、知事は、第28条の規定の例により、審査会に第15条第2項に規定する事項の調査審議を行わせることができる。

(令和2年条例第27号)

この条例は、公布の日から施行する。

京都府薬物の濫用の防止に関する条例

平成26年12月26日 条例第52号

(令和2年7月1日施行)

体系情報
第5編 生/第10章
沿革情報
平成26年12月26日 条例第52号
令和2年7月1日 条例第27号