○京都府自殺対策に関する条例

平成27年3月20日

京都府条例第20号

京都府自殺対策に関する条例をここに公布する。

京都府自殺対策に関する条例

目次

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 自殺対策に関する基本的な施策(第10条―第12条)

第3章 自殺対策に関する体制の整備等(第13条―第17条)

第4章 自殺未遂者等に対する支援(第18条・第19条)

第5章 京都府自殺対策推進協議会(第20条)

第6章 雑則(第21条・第22条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、自殺対策基本法(平成18年法律第85号)の趣旨を踏まえ、自殺対策の実施に関し、基本理念を定め、府及び府民等の責務を明らかにするとともに、府の施策の実施に関し必要な事項を定めることにより、府、国、市町村及び府民等が一体となって自殺対策を推進して、自殺の原因となり得る問題に起因する精神的な苦痛を受け、又は当該問題に起因する社会生活上の困難を有する者が孤立することを防止し、もって全ての府民が地域社会の一員として共に生き、共に支え合う社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 自殺者の親族等 次に掲げる者をいう。

 自殺者の親族

 自殺未遂者の親族

 その他自殺者又は自殺未遂者と社会生活において密接な関係を有する者

(2) 自殺の防止等 自殺の防止及び自殺者の親族等に対する支援の充実をいう。

(3) 自殺対策関係団体等 自殺対策を実施する民間団体(自殺の原因となり得る問題の解決のための支援又は自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体をいう。)、医療機関、学校、地域福祉の推進を図ることを目的とする団体その他の自殺の防止等に関係するものをいう。

(4) 府民等 府民、事業主及び自殺対策関係団体等をいう。

(基本理念)

第3条 自殺対策は、自殺の危機は何人にも発生し得ることが全ての府民の問題として認識され、推進されなければならない。

 自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみ捉えられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならない。

 自殺対策は、自殺が多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることを踏まえ、単に精神保健的観点からのみならず、自殺の実態に即して実施されるようにしなければならない。

 自殺対策は、施策の対象の特性に応じて、自殺の事前予防、自殺発生の危機への対応及び自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応(自殺者の親族等に係る対応を含む。)の各段階を捉えた効果的な施策として実施されなければならない。

 自殺対策は、府、国、市町村及び府民等の相互の密接な連携の下に実施されなければならない。

(府の責務)

第4条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自殺対策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施するものとする。

 府は、自殺対策の策定及び実施に当たっては、国、市町村及び府民等と連携して取り組むものとする。

(府民の責務)

第5条 府民は、基本理念にのっとり、自殺対策に関する関心と理解を深めるよう努めるとともに、自殺の防止等に関する活動を自主的に行うよう努めるものとする。

 府民は、府が実施する自殺対策に協力するよう努めるものとする。

 府民は、自ら心の健康の保持のための取組を積極的に行うよう努めるものとする。

(事業主の責務)

第6条 事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者の心の健康の保持を図るために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

 事業主は、府が実施する自殺対策に協力するよう努めるものとする。

(自殺対策関係団体等の責務)

第7条 自殺対策関係団体等は、基本理念にのっとり、自殺対策を積極的に実施するよう努めるとともに、自殺対策関係団体等相互間の連携を図るよう努めるものとする。

 自殺対策関係団体等は、府が実施する自殺対策に協力するよう努めるものとする。

(名誉及び生活の平穏への配慮)

第8条 自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者並びに自殺者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することがないようにしなければならない。

(自殺対策推進計画)

第9条 知事は、自殺対策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「自殺対策推進計画」という。)を定めるものとする。

 自殺対策推進計画は、自殺対策の目標及び内容について定めるものとする。

 知事は、自殺対策推進計画を定めるに当たっては、京都府自殺対策推進協議会の意見を聴くとともに、府民の意見を反映させるために必要な措置を講じるものとする。

 知事は、自殺対策推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

 前2項の規定は、自殺対策推進計画の変更について準用する。

 知事は、毎年、自殺対策推進計画に基づく自殺対策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

第2章 自殺対策に関する基本的な施策

(府民の理解の増進)

第10条 府は、教育活動、広報活動等を通じて、自殺の防止等に関する府民の理解を深めるとともに、自殺対策が社会全体で推進されるよう必要な施策を講じるものとする。

(自殺対策関係団体等の活動に対する支援)

第11条 府は、自殺対策関係団体等が行う自殺の防止等に関する活動を支援するために必要な施策を講じるものとする。

(京都いのちの日)

第12条 自殺対策の重要性を認識し、自殺の防止等に関する気運を醸成するため、毎年3月1日を京都いのちの日と定める。

 府は、前項の趣旨を踏まえ、京都いのちの日から1月間、府民の自殺対策に関する関心と理解を深め、自殺の防止等に関する活動を促す取組を集中的に行うものとする。

第3章 自殺対策に関する体制の整備等

(人材の確保等)

第13条 府は、自殺の防止等に関する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講じるものとする。

(心の健康の保持に係る体制の整備)

第14条 府は、職域、学校、地域等における府民の心の健康の保持に係る体制の整備に必要な施策を講じるものとする。

(連携体制の整備等)

第15条 府は、国、市町村及び自殺対策関係団体等と連携して、自殺のおそれがある者に対し相談その他の支援を提供する体制の整備及び充実に必要な施策を講じるものとする。

(医療提供体制の整備)

第16条 府は、心の健康の保持に支障を生じていることにより自殺のおそれがある者に対し必要な医療が早期かつ適切に提供されるよう、精神疾患を有する者が精神保健に関して学識経験を有する医師(以下この条において「精神科医」という。)の診療を受けやすい環境の整備、身体の傷害又は疾病についての診療の初期の段階における当該診療を行う医師と精神科医との適切な連携の確保、救急医療を行う医師と精神科医との適切な連携の確保等必要な施策を講じるものとする。

(自殺発生回避のための体制の整備等)

第17条 府は、自殺をする危険性が高い者を早期に発見し、相談その他の自殺の発生を回避するための適切な対処を行う体制の整備及び充実に必要な施策を講じるものとする。

 府は、前項の施策を講じるに当たっては、国、市町村及び自殺対策関係団体等との緊密な連携の下に行うものとする。

第4章 自殺未遂者等に対する支援

(自殺未遂者に対する支援)

第18条 府は、自殺未遂者が再び自殺を図ることがないよう、自殺未遂者に対する適切な支援を行うために必要な施策を講じるものとする。

(自殺者の親族等に対する支援)

第19条 府は、自殺又は自殺未遂が自殺者の親族等に及ぼす深刻な心理的影響が緩和されるよう、当該自殺者の親族等に対する適切な支援を行うために必要な施策を講じるものとする。

第5章 京都府自殺対策推進協議会

(京都府自殺対策推進協議会)

第20条 第9条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)に規定する事項のほか、知事の諮問に応じ自殺対策に関する重要事項の調査審議を行わせるため、京都府自殺対策推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。

 協議会は、前項の規定による調査審議のほか、自殺対策に関する事項について、知事に建議することができる。

 協議会は、委員25人以内で組織する。

 協議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、前項の規定にかかわらず、専門委員を置くことができる。

 委員及び専門委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。

 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第6章 雑則

(調査研究の推進等)

第21条 府は、自殺の防止等に関し、調査研究を推進し、並びに情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

 府は、前項の規定による調査研究の推進等に当たっては、国との連携の下に行うものとする。

(財政上の措置)

第22条 府は、自殺対策を実施するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。

この条例は、平成27年4月1日から施行する。

京都府自殺対策に関する条例

平成27年3月20日 条例第20号

(平成27年4月1日施行)

体系情報
第5編 生/第7章 精神保健
沿革情報
平成27年3月20日 条例第20号