○京都府少子化対策条例

平成27年12月25日

京都府条例第54号

京都府少子化対策条例をここに公布する。

京都府少子化対策条例

目次

第1章 総則(第1条―第11条)

第2章 結婚から子育てまでの各段階に応じた支援に関する施策

第1節 結婚の支援に関する施策(第12条―第17条)

第2節 妊娠及び出産の支援に関する施策(第18条・第19条)

第3節 子育て支援に関する施策(第20条・第21条)

第4節 総合的な支援に関する施策(第22条―第28条)

第3章 少子化対策に関する教育及び学習の機会の提供並びに府民の気運の醸成等(第29条―第34条)

第4章 京都府少子化対策審議会(第35条)

第5章 雑則(第36条―第39条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、京都府における急速な少子化の進行に的確に対応し、活力のある地域社会を築くことが喫緊の課題であることに鑑み、結婚、妊娠及び出産並びに子育てのそれぞれの段階(以下「結婚から子育てまでの各段階」という。)に応じた切れ目のない支援とその仕組みの構築を社会全体で進めるための基本理念を定めるとともに、家庭の重要性並びに子育てに伴う喜びと幸せを共有することのできる京都府の子どもを育む文化を創造するために講じるべき施策の基本となる事項を定めることにより、次代の社会を担う子ども及び若者が、結婚及び子育てに夢を持ち、家庭を築き、子どもを生み、育てる希望が成就する社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 少子化対策 少子化を克服するために講じるべき施策その他の少子化を克服するために必要な取組をいう。

(2) 学校等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所その他子どもの教育、保育、養護等を行うものをいう。

(3) 結婚支援団体 結婚することを望む者に対し、結婚支援事業(相談、情報提供その他の結婚に関する支援を行う事業をいう。以下同じ。)を行う団体をいう。

(4) 子育て支援団体 子育て支援事業(相談、情報提供その他の子育てに関する支援を行う事業をいう。)を行う団体をいう。

(5) 不育治療 流産、死産又は生後1週間以内の新生児の死亡(以下「流産等」という。)を2回以上経験した者に対し、流産等が生じないようにするための治療をいう。

(基本理念)

第3条 少子化対策は、次に掲げる事項を基本として推進されなければならない。

(1) 結婚及び子どもを持つことに対する一人ひとりの府民の意思が尊重され、結婚から子育てまでの各段階に応じた一人ひとりの府民の希望が成就されるよう、地域の特性を踏まえつつ、切れ目なく支援が行われること。

(2) 全ての府民が少子化対策に対する関心と理解を深めるとともに、結婚から子育てまでの各段階において温かく見守り、及び支えること。

(3) 保健、医療、福祉、雇用、住宅、教育等に関する少子化対策が総合的かつ適切に行われるとともに、次章及び第3章に規定する少子化対策並びに京都府子育て支援条例(平成19年京都府条例第39号)に基づく施策が府、国、市町村並びに府民、事業者、学校等、結婚支援団体及び子育て支援団体(以下「府民等」という。)の相互の適切な役割分担及び効果的な連携の下に行われること。

(府の責務)

第4条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、少子化を克服するため、少子化対策に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するものとする。

 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、市町村及び府民等と連携し、及び協働して取り組むものとする。

(市町村との協議等)

第5条 府は、前条の規定による施策の策定及び実施に当たっては、市町村と協議するものとする。

 府は、前条の規定による施策の策定及び実施に当たって必要があると認めるときは、国及び他の地方公共団体に協力を求めるものとする。

 府は、少子化対策を進めるため必要があると認めるときは、国に対し、意見を述べ、又は必要な措置をとるよう求めるものとする。

(府民の責務)

第6条 府民は、基本理念にのっとり、家庭を築き、子どもを生み、育てることに対する関心と理解を深めるとともに、結婚から子育てまでの各段階において支援する取組を積極的に行うものとする。

 府民は、府が実施する少子化対策に協力するものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する従業員に対する少子化対策に対する関心と理解を深める取組を行うよう努めるとともに、地域社会の一員として、少子化対策を積極的に行うものとする。

 事業者は、府が実施する少子化対策に協力するものとする。

(学校等の責務)

第8条 学校等は、基本理念にのっとり、家庭の果たす役割及び重要性並びに医学的知見に基づく妊娠及び出産に関する知識を普及するものとする。

 学校等は、府が実施する少子化対策に協力するものとする。

(結婚支援団体の責務)

第9条 結婚支援団体は、基本理念にのっとり、府が実施する結婚の支援に関する施策に協力するものとする。

 結婚支援団体は、その活動を通じて、結婚支援に対する府民及び事業者の関心と理解を深めるものとする。

(子育て支援団体の責務)

第10条 子育て支援団体は、基本理念にのっとり、府が実施する子育て支援に関する施策に協力するものとする。

 子育て支援団体は、その活動を通じて、結婚支援に対する府民及び事業者の関心と理解を深めるものとする。

(少子化対策基本計画)

第11条 知事は、少子化対策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「少子化対策基本計画」という。)を定めるものとする。

 少子化対策基本計画は、少子化対策の目標及び内容について定めるものとする。

 知事は、少子化対策基本計画を定めるに当たっては、京都府少子化対策審議会の意見を聴くとともに、府民の意見を反映させるために必要な措置を講じるものとする。

 知事は、少子化対策基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

 前2項の規定は、少子化対策基本計画の変更について準用する。

 知事は、毎年、少子化対策基本計画に基づく少子化対策に関する施策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

第2章 結婚から子育てまでの各段階に応じた支援に関する施策

第1節 結婚の支援に関する施策

(相談体制の整備)

第12条 府は、結婚支援団体及び事業者と連携し、結婚することを望む者に対する相談体制の充実、当該者の交流の場となる行事に関する情報の提供、結婚に関する総合的支援を行うための拠点の整備その他必要な施策を実施するものとする。

(結婚の支援のための仕組みの整備の推進)

第13条 府は、府民、結婚支援団体による結婚を支援する取組が自主的かつ自立的に行われる仕組みの整備を推進するため、結婚を支援する取組を担う人材の育成、結婚支援団体の活動への支援その他の必要な施策を実施するものとする。

(結婚の支援をする団体の登録)

第14条 結婚支援事業を継続的に行おうとする結婚支援団体は、知事の登録を受けることができる。

 前項の規定により登録を受けようとする結婚支援団体は、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書及び添付書類(以下「申請書等」という。)を知事に提出しなければならない。

(1) 名称及び住所並びにその代表者の氏名

(2) 結婚支援事業の内容

(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項

 知事は、前項の規定により申請書等を提出した結婚支援団体が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その団体を登録するものとする。

(1) 当該結婚支援団体の実施する結婚支援事業が営利を目的としない事業であること。

(2) 結婚支援事業を安定的かつ継続的に行うことができること。

(3) 結婚支援事業に従事する者に対し、人権に関する研修を定期的に実施していること。

(4) 京都府暴力団排除条例(平成22年京都府条例第23号)第2条第4号に掲げる暴力団員等に該当しないこと。

(5) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める要件

 知事は、規則で定めるところにより、前項の規定により登録した団体(以下「登録結婚支援団体」という。)に登録証を交付するものとする。

 知事は、規則で定めるところにより、登録結婚支援団体の名簿を備えて一般の閲覧に供するものとする。

 知事は、登録結婚支援団体の結婚支援事業が促進されるよう、登録結婚支援団体に対し、情報の提供その他の必要な支援措置を講じるものとする。

(登録の更新)

第15条 前条第1項の登録の有効期間は、3年とする。

 前項の登録の有効期間の満了後、引き続き登録を受けようとする登録結婚支援団体は、登録の更新を受けなければならない。

 前条第2項から第4項までの規定は、前項の登録の更新について準用する。

(登録の変更の届出)

第16条 登録結婚支援団体は、第14条第2項各号に掲げる事項に変更のあったときは、規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

 第14条第3項及び第4項の規定は、前項の変更の届出について準用する。

(登録の抹消)

第17条 知事は、登録結婚支援団体が次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、当該登録結婚支援団体の登録を抹消するものとする。

(1) 規則で定めるところにより、登録結婚支援団体から、その登録の抹消を求める旨の届出があったとき。

(2) 第14条第1項(第15条第3項において準用する場合を含む。)の登録の申請又は前条第1項の変更の届出に当たって、虚偽の申請その他の不正の手段によって登録を受けたとき。

(3) 登録結婚支援団体が第14条第3項第4号に該当しなくなったとき。

 知事は、登録結婚支援団体が第14条第3項各号(第4号を除く。)のいずれかに該当しなくなったときは、その登録を抹消することができる。

第2節 妊娠及び出産の支援に関する施策

(産前及び産後の支援)

第18条 府は、市町村と連携し、妊産婦が抱く産前産後の心身の不調及び育児に関する不安を軽減するため、相談体制の充実その他必要な施策を実施するものとする。

(不妊治療等に関する支援)

第19条 府は、不妊治療等(不妊治療及び不育治療をいう。以下同じ。)を望む者に対し、良質かつ適切な保健医療サービスが提供されるよう、不妊治療等に係る費用の負担の軽減、情報提供、相談その他の必要な施策を実施するものとする。

第3節 子育て支援に関する施策

(子育て支援の仕組みの整備)

第20条 府は、地域における子育て支援の仕組みの整備を推進するため、広域的な見地から子育て支援に積極的に取り組む子育て支援団体の認証制度の実施その他必要な施策を実施するものとする。

(教育及び保育環境の整備)

第21条 府は、多様な需要に応じた保育サービスに応じるために、児童福祉法第6条の3第12項に規定する事業所内保育事業その他の規則で定める保育サービスの提供に対する支援を行うものとする。

 府は、幼稚園教諭及び保育士の養成、確保及び定着並びに資質の向上のため、幼稚園教諭及び保育士を対象とする研修等を実施する団体と連携し、必要な施策を実施するものとする。

第4節 総合的な支援に関する施策

(包括的な相談体制の整備)

第22条 府は、妊娠及び出産並びに子育てに関する市町村の相談体制の整備を支援するものとする。

(総合融資制度への支援)

第23条 府は、金融機関が総合融資制度(府民が結婚から子育てまでの各段階で必要になる資金に関する融資制度をいう。)を設けたときは、当該総合融資制度の運用に対し、必要な支援に努めるものとする。

(子育て家庭向けの住宅の新築等の指針等)

第24条 府は、子育て家庭向けの良好な居住環境を有する住宅の新築等(新築、増築、改築、修繕又は模様替をいう。以下同じ。)のための指針を定め、これを公表するものとする。

 府は、市町村と連携し、前項の住宅の新築等をしようとする者に対し、情報提供その他の必要な措置を講じるものとする。

(多子世帯の保育等の費用の負担の軽減)

第25条 府は、多子世帯(3人以上の子ども(規則で定める子どもに限る。)が属する世帯をいう。以下同じ。)であって小学校就学の始期に達するまでの者が属するもの(規則で定めるものに限る。)について、当該者の保育及び教育に係る費用の負担の軽減を図るために必要な施策を実施するものとする。

(多子世帯の居住の用に供する家屋等の取得に対する不動産取得税の不均一課税)

第26条 特例多子世帯(多子世帯であって、規則で定めるものに限る。以下同じ。)の世帯主その他規則で定める者が特例適用住宅等(京都府府税条例(昭和25年京都府条例第42号)第43条の2の2第1項若しくは第3項の規定の適用を受ける住宅の取得における当該住宅又は同条例第43条の10第1項若しくは第2項の規定の適用を受ける土地の取得における当該土地をいう。以下同じ。)の取得をした場合において、当該取得の日から1年以内に当該特例多子世帯に属する者の全てが当該特例適用住宅等に居住することとなったときは、当該特例適用住宅等の取得に対して課する不動産取得税の税率は、同条例の特例として、同条例第43条の3の規定にかかわらず、同条に定める税率に、2分の1を乗じて得た率とする。

(不均一課税の対象者であることの確認等)

第27条 前条の規定の適用を受けようとする者は、規則で定めるところにより申請し、知事の確認を受けなければならない。

 前項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、前条の規定は、適用しない。

(1) 前項の規定による申請がなされた日において、府税を滞納しているとき。

(2) 前項の規定による申請に際して、虚偽の申請をしたとき。

(母子家庭及び父子家庭への支援)

第28条 府は、母子家庭及び父子家庭の実態を踏まえ、これらの家庭の子ども及びその保護者に対し、生活及び就労の支援その他必要な支援を実施するものとする。

第3章 少子化対策に関する教育及び学習の機会の提供並びに府民の気運の醸成等

(学校等における学習機会の提供)

第29条 府は、学校等と連携し、子どもが医学的知見に基づく妊娠及び出産に関する知識を学ぶことができる機会を提供するものとする。

(若者に対する計画策定の機会の提供)

第30条 府は、市町村、学校等、事業所及び子育て支援団体と連携し、若者(15歳以上35歳未満の者をいう。)が自らの結婚から子育てまでの各段階における行動に関する計画を考えるための機会の提供その他の当該計画の作成に必要な支援を行うものとする。

(府民運動)

第31条 知事は、府、府民、事業者及び市町村、結婚支援団体、子育て支援団体等が少子化対策に関する意見を交換し、少子化対策を推進する気運を醸成するため、京都府少子化対策府民会議(以下「府民会議」という。)を開催するものとする。

 府は、府民会議における意見交換の内容を参考として、少子化対策に関する施策を実施するものとする。

(妊娠等に関する嫌悪の情を催させる行為の防止)

第32条 事業者は、当該事業者が雇用している者で妊娠及び育児(以下「妊娠等」という。)をしているものに対する当該事業者の職場における当該妊娠等に関する嫌悪の情を催させる行為を防止するための取組を促進するよう努めなければならない。

 府は、国と連携し、事業者に対し、前項の行為の防止に関する情報提供、相談、助言その他の必要な施策を実施するものとする。

(仕事と家庭の両立の支援)

第33条 事業者は、当該事業者が雇用している者の仕事と家庭の両立が図られるよう必要な雇用環境の整備に努めなければならない。

 府は、国と連携し、前項に規定する両立に向けた雇用環境の整備に取り組む事業者に対し、情報提供、相談、助言その他必要な施策を実施するものとする。

(きょうと育児の日)

第34条 府民が子育ての意義並びに子育てにおいて家庭が果たす役割及び重要性について認識を深め、家族との触れ合いを推進するため、きょうと育児の日を設ける。

 きょうと育児の日は、毎月19日とする。

 府は、きょうと育児の日にふさわしい行事の実施をする府民、事業者、学校等の支援に努めるものとする。

第4章 京都府少子化対策審議会

(京都府少子化対策審議会)

第35条 この条例に基づく知事の諮問のほか、少子化対策に関する重要事項の調査審議を行わせるため、京都府少子化対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。

 審議会は、前項の規定による調査審議のほか、少子化対策に関する事項について、知事に建議することができる。

 審議会は、委員25人以内で組織する。

 審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、前項の規定にかかわらず、専門委員を置くことができる。

 委員及び専門委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。

 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

(調査研究の推進)

第36条 府は、少子化対策に関する調査研究の推進並びに情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

(財政上の措置)

第37条 府は、少子化対策に関する施策を推進するため、必要な財政措置を講じるものとする。

(報告又は資料の提出等)

第38条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、登録結婚支援団体に対し、この条例に基づく措置の実施の情況その他の必要な事項について、報告又は資料の提出を求めることができる。

(規則への委任)

第39条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

 平成28年4月1日から令和6年3月31日までの間に住宅又は土地の取得が行われた場合における第26条の規定の適用については、同条中「第43条の3」とあるのは「第43条の3及び附則第14条の2」と、「同条に定める税率」とあるのは「この条の規定の適用がないものとした場合に適用されるべき税率」とする。

(平30条例23・令3条例13・一部改正)

(平成30年条例第23号)

(施行期日)

 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

(令和3年条例第13号)

(施行期日)

 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

京都府少子化対策条例

平成27年12月25日 条例第54号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第4編 生/第4章 児童福祉
沿革情報
平成27年12月25日 条例第54号
平成30年3月31日 条例第23号
令和3年3月31日 条例第13号
令和5年12月22日 条例第31号