○京都府宇治茶普及促進条例

平成31年3月18日

京都府条例第16号

京都府宇治茶普及促進条例をここに公布する。

京都府宇治茶普及促進条例

日本茶は、私たちの心を潤してきた飲み物として、我が国の伝統と文化を代表するものであるが、その中でも、京都を代表する宇治茶は、多くの府民の暮らしを支える京都の重要な産品であり、京都の産業においても、茶業は重要な地位を占めるものである。

鎌倉時代には、京都でお茶の栽培が始められたといわれるが、その後、「覆い下栽培」による抹茶の生産が、江戸時代には「宇治製法(青製煎茶法)」による煎茶、それに続く「玉露」の生産が始められるなど、宇治茶は、京都を代表するにとどまらず、日本茶そのものの発展と普及に重要な役割を果たしてきた。

また、「茶の湯」等の喫茶文化は、茶道とともに、日本料理や陶芸、工芸、建築等の多様な日本文化の発展に大きく寄与してきた。

これら宇治茶を支える茶業は、歴史的な宇治茶の生産地である山城地域の宇治川や木津川の流域とその東部の中山間地域だけでなく、京都市域はもちろんのこと、中丹地域の由良川流域や丹後地域にも広がっており、府内の全域にわたる重要産業となっている。

このような中で、京都の産業としての宇治茶の価値を守り、高め、現在及び将来の府民が、心豊かで健康的な府民生活を享受するために、宇治茶の伝統と文化に関する府民の関心と理解を深め、宇治茶がいっそう身近で親しめるものとなるような、宇治茶の普及の促進及び茶業の振興を図る取組の実施が強く望まれるところである。

こうした認識の下に、お茶の振興に関する法律(平成23年法律第21号)、京都府文化力による未来づくり条例(平成30年京都府条例第27号)等の趣旨を踏まえ、府や市町村、府民、茶業者等が一体となって宇治茶の普及の促進等を図ることにより、お茶がいっそう愛飲され、心が潤される京都を築き、さらに、日本茶や日本文化の更なる発展に寄与することができるよう、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、宇治茶の伝統と文化の継承等を図るため、府民及び茶業者等の役割並びに府の責務を明らかにすることにより、宇治茶の普及の促進等及び茶業の振興を図り、もって茶業等の更なる発展並びに現在及び将来にわたる心豊かで健康的な府民生活の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 宇治茶の伝統と文化等 宇治茶その他のお茶に関する伝統と文化をいう。

(2) 宇治茶の伝統と文化の継承等 前号に規定する伝統と文化の継承及び当該文化の発展をいう。

(3) 宇治茶の普及の促進等 宇治茶の普及の促進その他宇治茶の伝統と文化の継承等のために必要な措置をいう。

(4) 茶業者等 宇治茶その他のお茶の生産、加工又は販売の事業(以下「茶業」という。)を行う者その他の関係者をいう。

(府民の役割)

第3条 府民は、自主性に基づき、日常生活において、宇治茶に親しみ、宇治茶の伝統と文化等に触れることを通じて、宇治茶や宇治茶の伝統と文化等に関する関心と理解を深めるよう努めるものとする。

 府民は、府及び市町村並びに茶業者等が行う宇治茶の普及の促進等に関する取組に協力するよう努めるものとする。

(茶業者等の役割)

第4条 茶業者等は、宇治茶の普及の促進等に関する取組を自主的かつ積極的に進めるよう努めるものとする。

 茶業者等は、前項の取組の推進に当たっては、府及び市町村並びに他の茶業者等と相互に連携し、及び協力するよう努めるものとする。

(府の責務)

第5条 府は、宇治茶の普及の促進等及び茶業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

 府は、前項の施策の推進に当たっては、当該施策を通じて、宇治茶に親しみ、宇治茶の伝統と文化等に触れることができる機会が、多様な場所や様々な場面において、府民、観光旅行者その他の者に広く提供されることにより、心豊かで健康的な生活習慣として宇治茶が、府内をはじめ、国内のみならず海外においても愛飲されることに資するものとなるよう配慮するものとする。

 府は、第1項の施策の推進に当たっては、府民、茶業者等及び市町村と連携し、及び協働して取り組むよう努めるものとする。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

京都府宇治茶普及促進条例

平成31年3月18日 条例第16号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第8編 農林水産/第2章 業/第4節 農産物
沿革情報
平成31年3月18日 条例第16号