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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2023年2月16日、ものづくり振興課 足利・足立・小高)
(2021年10月1日、ものづくり振興課 足利)
株式会社Keigan(外部リンク)(けいはんなオープンイノベーションセンター)の徳田代表取締役にお話をおうかがいしました。
--今回は新開発のロボットについてお聞きしに来たのですが、その前にまず、御社のコアテクノロジーである「KeiganMotor」についておさらいさせてください。例えば、「KM-1U モーターモジュール」は「340gの本体にマイコン、無線、センサー類を全て搭載」とありますが、そもそもモーターを動かすには、マイコンやセンサーが必要なのですか?
徳田)モーターを単に回転させるだけであれば、電源があれば回転させることは可能です。しかし、家電製品や自動車等でモーターを用いる際には、ただ回転させるだけではなく、必要に応じて回転速度等を変化させる必要があります。そのためにはセンサーやスイッチから信号を受け取り、回路による制御によって回転速度等を変化させたりします。
--子どもの頃持っていたおもちゃの車は、たしかに、その中身は電池とスイッチとモーターだけで構成されていましたし、スピードもいつも同じでしたね。回路による制御がないパターンだったわけですな。
徳田)制御の方式はいろいろあるのですが、マイコン制御の場合はCPUやメモリー等が搭載されており、予め設定されたプログラムに基づいて制御します。
--センサーって何ですか?
徳田)加速度センサーやジャイロセンサーです。無線も内蔵しています。これらにより、マイコンによる超低速から高速まで幅広く微妙なコントロールだけでなく、直接手で動かして動作を記憶させる、トルクをリアルタイムで検知する、他の複数のKeiganMotorと動作を共有させるということができます。
--いいですよねえ!スマホやタブレットのアプリで遠隔操作できるのですよね。
徳田)はい、操作はもちろんプログラミングもですね。プログラムを書くことができる方が自由に臨む機能を追加できるよう、SDKやAPIはオープンソースで提供していますし、専門的知識がない方でも直感的に活用いただけるようにしています。
--これだけの機能を有していると、もはやこのインテリジェンスモーター自身がロボットですね。
徳田)そうですね。こうしてモーターを簡単に扱えるようになれば、誰でもロボットを作ることができます。
--マイロボットをDIYでささっと作る時代が来たという感じですね。そしていよいよ、今回開発されたKeiganALIについてお話をお聞きしたいのですが、これはどういったものですか。
徳田)人と一緒に働ける、荷物を運ぶロボットで、LiDARと複数のセンサーを搭載しており、人や障害物を自動で避けながら荷物を運びます。
--じゃあ、私、ちょっと、飛び出してみますと・・・、おお、止まってしまうことなく、うまく避けてくれるのですね。工場等の作業が滞らず良いですね!
徳田)特徴の1つは、事前に作ったマップを頼りに自律移動もできますし、床面のラインテープ、これは特別なモノではなく普通のテープですが、それをカメラで捉えてライントレースすることもできます。自律移動とライントレースを両方できるものって、意外とないんですよ。
--いいですね。
徳田)もう1つは、操作性ですね。KeiganMotorと同様、スマホやタブレットのアプリで、マップ作成やルート設定、運用まで、タッチ操作で素早く簡単に行うことができます。
--簡単に仲良くなれそうですね!ついでに言うと、安いんですよね。そこも魅力ですよ!人手不足時代に手放せなくなるんじゃないでしょうかね。しかし、人材不足時代、御社自身も開発は大変だったんじゃないですか?
徳田)そうですね、スタッフに恵まれていますから大丈夫でしたし、けいはんなロボット技術センターのある、ここKICK(けいはんなオープンイノベーションセンター)には、次世代ロボットエンジニア支援機構も生まれており、彼らがインターンとして来てくれてもいるのです。
--それは素晴らしい!
徳田)当社は、「Quick and Easy Robot for Everyone」の理念のもと、省人化・自動化という課題に真剣に取り組んでいます。モーターのモーションコントロール技術から、電気・機械設計、ソフトウェア開発、量産化技術など、全ての開発を一元的に行っており、引き続き、製造現場やサービス現場での生産性向上に貢献してまいります。
みなさん、ぜひロボットと友達になりましょう!
(掲載日:平成31年2月26日 聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)
株式会社Keigan(外部リンク)は事業規模の拡大と今後の増員を想定し、本社オフィスを下記のとおり移転されましたのでお知らせいたします。
新住所 |
京都府相楽郡精華町精華台7丁目5-1 けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)(外部リンク)205 |
同社の德田貴司代表取締役及び栗本直彰取締役に下記のとおり今後の抱負についてお伺いしました。
「弊社は『Quick and Easy Robot for Everyone』を掲げ、誰でも簡単に素早くロボットを作る仕組みを提供しています。既にモーターとコントローラやセンサー、無線等を一体化したモーターモジュールⓇ製品 KeiganMotor を発売していますが、今後は KeiganMotor のラインナップの拡充に加え、今までよりも産業面で実用性のある製品やソフトウェアをリリース予定です。幅広い分野で活躍するロボットの仕組みを提供し、グローバルに異彩を放つ企業を目指します。」
本社移転によりさらなる発展を目指される同社の今後が非常に楽しみです!
(掲載日:平成30年2月28日 聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)
株式会社Keigan(外部リンク)(京都府相楽郡精華町)の德田貴司代表取締役様にお話しをお伺いしました。
-まず、御社の概要について教えてください。
德田)弊社は、平成28年に設立されたモーター・ソフトウェア等の開発、製造、販売を行うベンチャー企業です。主な生産品は、モーターとICT技術を組み合わせたインテリジェントモーター製品「KeiganMotor」です。
(左:株式会社Keiganが入居されているけいはんなプラザ、右:株式会社Keiganのオフィス入口)
-御社の製品では、そのKeiganMotorが有名です。どのような経緯で開発するに至ったのでしょうか。
德田)元々自分はシャープ株式会社でコピー機を作っていました。ただ、その中で自分たちで企画したものを世に送り出したいという思いが募っていきました。大企業では企画部署が企画し、その仕様書に基づいて技術部署が作る、またそのコアとなる要素検討は別の研究部署が行うというのが基本だと思いますが、その一連の流れを全て自分たちの手でやってみたかったというのが大きな起業のきっかけです。自分自身はメカの設計者でしたのでハードウェアに造詣が深かったですが、退職後は独学でプログラミングを学び、スマートフォンで動作するアプリを作っておりまして、ソフトウェアについても知識を深めていきました。その後、総務省主催の「異能vationプログラム」に「視覚ジャックシステム」というテーマで応募し、採択を受けて研究を行っておりまして、その研究の過程でモーターモジュールの開発に取り組みました。その中でモーター自体をより簡単に使える仕組みを作りたいという考えに至り、KeiganMotorのアイデアが生まれ、試作品を作りました。その試作品に感動してくれたフジマイクロ株式会社さんが共同研究開発を申し出てくださいまして、開発が飛躍的に進みました。そして、平成29年2月にKibidango、3月にKickstarterでクラウドファンディングを実施し、国内外で約550万円を集めることができまして、量産化に至りました。
-なるほど。では、そのKeigan Motorの特徴について教えてください。
德田)KeiganMotorは、「モーター自身にロボットの機能を入れる」というアイデアから生まれた、今までにない全く新しいデバイスでして、とにかく誰でも簡単に使えるというのが特徴です。通常、モーターとそれを動かすために必要な電子部品は別々になっていますが、弊社のKeiganMotorはそれら全てが搭載されたモーターモジュールです。速度と位置の精密な制御が可能なブラシレスサーボモーターと制御システムを内蔵しておりまして、超低速からスムーズに、かつ静かに動作するだけでなく、複数のKeiganMotorを連携させる、トルクをリアルタイムに検知する、単体で動作を記憶するなどといった、従来のモーターにない特徴を持っております。無線(Bluetooth Low Energy)で通信するため、30m程度の範囲であれば、スマートフォンやパソコンから、自由に動きをコントロールすることができます。さらに、加速度センサーやジャイロセンサーを内蔵しており、姿勢制御などの高度な応用もできます。このようにモーター自身に様々な機能が入っておりますので、配線や回路・機械設計、ソフトウェア技術等の高度な専門的知識をお持ちでない方にも気軽にかつ簡単に使っていただくことが可能です。また、非常に磁力の強いネオジウム磁石を使用し、巻き線の構成やモーター内部の設計にもこだわりまして、最大トルク3kgf・cm 以上出力可能な、USBモバイルバッテリーでの省エネ動作を実現しました。
(左:KeiganMotor、右:KeiganMotor内部)
(KeiganMotorの特徴)
-すごいですね。
德田)モーター自身に機能を入れるにあたっては、プログラミングを活用してアプリで実現しているところですが、プログラムを書くことのできる方には自分自身が望む機能を入れていただくことが可能でして、開発におけるSDKやAPIはオープンソースで提供しています。また、プログラムを書くことのできない方にとってもフラッシュメモリを搭載しているため、直接手で操作していただき、その動きを記憶・再生することができますので、専門的な知識がなくても直感的に活用いただくことが可能です。
-実際に購入される方はどういった目的・用途で使われることが多いのでしょうか。
德田) 弊社としては、メカエンジニア、ソフトウェアエンジニア、研究者、デザイナーなどの強力な開発ツールとして、また、本格的なロボット制作や動くもののアイデア実現のために、特に「ラピッドプロトタイピング」(迅速な試作品製作)を目的に使っていただければと考えております。例えばメカエンジニアの方は、今までになく簡単に使うことのできるモーターとして、試作から実験まで幅広く使用して頂くことができます。基本的にはUSBポートから給電するだけでスマートフォン等からすぐに使用することができます。ここまで簡単に使うことのできる速度、位置、トルク制御が可能なモーターはないと思います。また、通常、モーターは機器に組み込んでしまった場合に動作を変更することは容易ではありませんでしたが、KeiganMotorでは動作を内部に記録する機能がありますので、機器に組み込んだ後でも現場の方がプログラミングなしに動作を変更することができます。ソフトウェアエンジニアの方は、短いプログラミングで制御ができるモーターとして、今までロボットやハードウェアに関する開発経験がない場合でも気軽にお使い頂けます。もちろん研究者やデザイナーにとっては、動くコンセプトデザインやモックアップの作成に最適なツールとなります。
-なるほど。
德田)応用の可能性としては、2輪ロボットやロボットアーム、カメラ台などが挙げられます。一般販売している中には、ロボットスターターキットというものがありまして、購入後すぐに2輪ロボット、1輪1軸ロボット、2軸ロボットと3way以上の使い方が可能なものも販売しております。また、減速機(ギヤやベルト)を使用して頂くと、動作はゆっくりになりますが重量物を運ぶ台車やアームも作ることができます。実際に購入いただいた方の使用例を伺っておりますと、企業では自社製品に組み込んだり、機械を動かすときの角度を調節するために使ったりといった用途で使われることが多いようです。大学では顕微鏡のターンテーブルに応用していただいたりしているようです。
【Keigan Motor プロモーションビデオ】(外部リンク)
-既存のものに組み合わせて使われることが多いのですね。他社との差別化はどのように考えておられますか。
德田) まだこのようにモジュール化した製品は市場に出ていないと思いますので、その点ではすでに差別化できているかと思いますが、類似製品が出てこないとも限りません。ハード自体はばらしてコピーしようと思えばできますので、我々としてはソフトの部分を絶えず進化させていきながら差別化を図っていくしかないのかなと思っております。特許についてもソフトウェアとの融合でモーターに機能を実装するという部分を中心に取っておりまして、今後も他社に真似できない部分を伸ばしていきたいと考えております。
-ソフトウェアで差別化を図っていくということですね。それが御社の強みでもあると。
德田) そうですね。弊社の場合、ハードとソフトを統合的に扱えるのが強みだと考えております。KeiganMotorのような製品を作る場合、ソフトウェアですと大きく分けて3つ作る必要があります。モーター内部の組み込みソフトウェア、アプリケーションのソフトウェア、それからサーバー側のソフトウェアを少なくとも作る必要がありますが、これらは本来ですと別々の企業がそれぞれ作る、もしくは大企業では別々の部署がそれぞれ作るのが一般的です。我々はこれらを統合的に扱うことができますので、シームレスに開発が進み、アイデアをすぐに形にすることができるというのが非常に強みであると思っております。
-最後に今後の展望についてお聞かせください。
德田)今後はラインナップ戦略を取っていきたいと考えております。ようやく第一弾が出せまして、平成29年11月から一般販売を開始したところですが、お客様からはモーターなので種類がないと使いにくいという声があり、大小のサイズ等様々な要望をいただいておりますので、まずはその辺を充実させていきたいと考えております。また、我々自身がKeiganMotorをきちんと使いこなすことが重要だと考えておりまして、様々な使い方を発信していきたいと考えております。ターゲットとしては、価格帯の面からすると、個人にとっては少し値段が高いと思いますので、まずはBtoBに力を入れて企業のニーズに応えていきながら発展させていきたいと考えております。しかしながら、市場を見渡しても個人が簡単に使える安価なモーターは存在しませんし、そのようなモーターが出てくると企業だけでなく、個人でも「ちょい使い」ができるのではないかと思っておりまして、既存のラジコンサーボモーター一つをとっても素人からしたら使いづらいものですが、KeiganMotorのような製品を進化させていけば、その辺の垣根を取ることができるのではないかと思っております。将来的には趣味でものづくりを行っているような方などを対象にBtoCにも力を入れていき、誰もが「こんなものを作りたい!」という願いを容易に叶えられる、そんなプラットフォームを作りたいと考えております。
-今後の展開が楽しみですね!
【会社概要】
◆設立:平成28年9月
◆事業内容:(1)電気・通信機械器具の製造及び販売、(2)その他機械機器の製造及び販売、(3)ソフトウェアの制作及び販売
◆代表:代表取締役 德田貴司
◆資本金:990万円
◆従業員数:4名
◆所在地:京都府相楽郡精華町光台1丁目7けいはんなプラザ ラボ棟5階
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