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そろそろ冬の渡り鳥も北方面へ渡って行きます。野鳥シリーズも今回で一旦休止して新しいシリーズに入りたいと思います。
真打ちにふさわしい鳥といえば、千鳥に取って変わり「鴨川冬の風物詩」とも「京都を代表する鳥」とも言われ、はたまた先代の京都府警のPRマスコットでもあった「ユリカモメ」です。
ユリカモメは昭和49年に初飛来するまでは、鴨川に縁の無い鳥でしたが、その後毎年飛来を続け、遂には鴨川の風物詩にまで評価を上げました。
ユリカモメは人に馴れて、エサを空中キャッチするなど大変興味を引く鳥でエサやりを続ける人が多いのは皆さんもご存じかと思います。
しかし、野鳥へのエサやりは、色々なトラブルのもとにもなるようです。
日本野鳥の会京都支部作成のチラシを見るとこんなことが書かれています。
【以下チラシより。】
エサやりはトラブルのもと!
自然の許容する以上に特定の野鳥が増え続けるといろいろ困った問題が生じます。エサやり自粛チラシ。
自然は自然のままにが基本ということのようですね。
<ハトに混ざってユリカモメが1羽>
ここで、少し皆さんがあまり知らないユリカモメの生態などを紹介しましょう。
私も結構意外だったのは、夏羽の姿です。冬羽の白くて綺麗なお顔から、ふわふわ羽毛が抜け落ちて黒い覆面の様なお顔が現れます。まるでカラスに変身するがごとく、というか慣れ親しんだ姿と比べかなり違和感を感じます。
ユリカモメは、冬の時期、琵琶湖から鴨川へ毎日通います。4月頃には鴨川からは姿を消しますが、琵琶湖には滞在しているそうで、カムチャッカ半島に戻る5月頃には夏羽になっている個体もあるそうです。カムチャッカに戻るまで鴨川に滞在することとなれば、この黒ずきん姿が見られるかもしれません。
食生活も「何でも食べる」パンから小魚、獣の死骸まで何でも食べる雑食性で東京の「夢の島」の生ゴミにびっしりたかって片付けたとのこと。海のカラスとも呼ばれている様です。(ユリカモメは東京都の鳥に指定されています。)
ここで少し可愛そうに思えるのは、本当のカラスのことです。確かに人間にとって都合の悪いことをしますが、ユリカモメも大差ないのかな?と。容姿で判断では無いですが、随分ひいき目で見てもらっていると感じるのは私だけでしょうか。
こんなユリカモメですが、今後も鴨川の冬を彩ってくれることでしょう。
<今シーズン京都土木事務所周辺へ初飛来したユリカモメ>
<群れ飛ぶユリカモメ>
平成24年3月23日(京都土木事務所Y)
野鳥シリーズ第五弾は、「ピーヒョロロロロ」のトンビです。
トンビといえば、「トンビがくるりと輪を描いた」などという言葉があるように、空を輪を描いて旋回している姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
同時に「トンビに油揚さらわれて」というように、人の食べ物を横取りするイメージもあります。
このイメージ通りというか、以前はそんなことは無かったのですが、餌を与える人が現れてから人の手から、おにぎりやお弁当のおかずをひったくって飛び去るようになりました。
単に食べ物を手に持っているだけでは、むやみに近づいて来ませんが、ひとくち口に運ぶと、「あっ、これは食べ物だ」と判断して、持っている人の後ろから急降下して「その鋭い爪」で食べ物をむしり取ります。
<足の爪にはしっかり魚が握られています>
爪の先は千枚通しのように尖っていますので、少しでもトンビの狙いが狂うと顔に大けがをする可能性もあります。
鴨川でお弁当を広げる時は、一度空を仰いで「トンビが見ていないか」確認されることをお勧めします。(注意看板も立てています)
また、くれぐれも餌を与えることのないようお願いします。
平成24年3月16日(京都土木事務所Y)
とんびの写真( PDFファイル ,2MB)(PDF:2,981KB)
野鳥シリーズ第四弾は、良く目にする小鳥を紹介します。
頭から背中が黒く、腹が白い「セグロセキレイ」を良く見かけます。尾羽を上下に「ピンピン」と拍子を取るように規則的に動かしながら、水辺をちょこまか動き回っています。
群れずに単独行動で、両足でぴょんぴょんでは無くて、脚を素早く交互に動かす姿が微笑ましいです。
同じカラーリングながら、顔の白い部分が多いのが、「ハクセキレイ」です。よく見ないと「セグロセキレイ」と見分けが付きませんが、こちらもよく出会うことが出来ます。
頭から背中がグレーで腹が黄色いのが「キセキレイ」です。どのセキレイも姿形は同じで色合いのみが違っているようですが、「キセキレイ」には「みそそぎ川」で一度会ったきりで、写真も撮れてません。居る所には居るのでしょうが。
これぞ小鳥の定番「すずめ」です。「舌切りすずめ」「雀のお宿」「伏見稲荷の・・・」と生活に密着した最もポピュラーな小鳥です。京都土木事務所横の木に鈴なりに留まっていました。
「チュンチュン」の大合唱ですが、木に近づくとピタッと鳴き止みます。また少し離れると大合唱の再開でした。
平成24年3月1日(京都土木事務所Y)
<セグロセキレイ>
(止まっている状態では存在に「きずき」にくいです。)
小鳥の写真を見る:小鳥の写真( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,166KB)
野鳥シリーズ第三弾は、鴨川にこんなの居ました?を紹介したいと思います。
最初は山の中の渓流での生息イメージがある「カワセミ」です。京都土木事務所周辺の北大路橋から北山大橋間で2日連続で同じ場所で見かけました。しばし観察の後に飛び立ちましたが、小さな体で猛スピードなのには驚きました。
次は、真っ黒な体にくちばしに黄色のラインのある「カワウ」です。鵜飼いの「ウ」は主に「ウミウ」とのことですが、「カワウ」も潜水して魚を捕獲します。普段は石の上などで羽を広げて乾かしたりして過ごしているのを見かけます。
小さい水鳥「カイツブリ」が居ます。鴨達と一緒に泳いでいると「雛」かと思いますが、観察していると「ツルン」と潜水してエサを探している様子。「カワウ」同様に潜水する鳥ですが、こちらは飛行が苦手の様で、低空で短距離しか飛翔しません。
雛が小さいうちは背中に載せて泳ぐそうで、そのまま潜水することもあるとか。
平成24年3月1日(京都土木事務所 Y)
※こちらを見つめる「カワウ」
今回は、足が長く細身でシュッと水辺に佇む鷺を紹介したいと思います。
鴨川で見かける鷺は、私が認識している範囲で4種類です。
皆さんよくご存じの、体が見事に真っ白なシラサギが代表格ですが、彼らにも種類があります。体の小さい「コサギ」はせわしなく動き回り驚いて飛び出す小魚をついばむそうで、鶏のごとく動き回っています。
対して体の大きな「ダイサギ」は、じっと獲物が現れるのを待ちます。そして獲物を見つけると、一旦首を縮めて一気に伸ばし仕留めます。
シラサギ以外には、羽や頭の辺りが青みがかった「アオサギ」がいます。大きさは「ダイサギ」程度でエサの取り方も同じですが、「ダイサギ」が斜めの角度で獲物を狙うのに対して、こちらは、ほぼ垂直に狙う様です。
個人的に色合いが良いと思うのは、「ゴイサギ」です。頭から羽にかけて青みがかっていますが、「アオサギ」よりも濃く、首は短いため、他のサギとは少し個性があります。
「ゴイサギ」は京都土木事務所近辺では見かけません。五条辺りから下流で良く見かけます。鮎の魚道を設置し話題になった龍門堰では、ゴイサギが遡上する魚を狙っている様子を見ることが出来ました。
白いサギ:コサギ チュウ-サギ ダイサギ
その他のサギ:アオサギ ゴイサギ
平成24年2月15日(京都土木事務所Y)
皆さんは、鴨川の鴨といっても色んな種類の鴨が泳いでいるのはご存じと思いますが、それじゃ「この鴨は何という鴨?」と尋ねられて「何だろね?」と問い返す様な種類の鴨もあることと思います。
実際に、私も京都土木事務所に赴任するまでは鴨は「ひとくくりで鴨」としか認識していませんでした。雌の見分けはまだまだ出来ませんが、一緒に泳いでいる雄の判別は出来る様になりました。
何事も興味を持って見ようとしなければ、ただ視界に入っているだけで他との違いや特徴を捉えることは出来ないと痛感した次第です。
よく見るとかなり特徴があり、個性的です。こんな鴨たちを紹介しますので、鴨川にお立ち寄りの際、また近所で鴨をご覧になる機会がありましたら、「あの鴨△◆鴨や」なんて周りの人に教えて差し上げるのもいいんじゃないでしょうか。
主に雄の特徴ですが、今泳いでいるのは、真鴨(頭の部分が緑色の代表選手的な鴨)、ヒドリ鴨(茶色の頭で真ん中の色が薄く一見禿げている様に見えます)、小鴨(小さな鴨で目に緑のアイラインを入れた様に模様があります)、カルガモ(カルガモの親子で有名ですが、模様は細かい斑で少々地味です)、キンクロハジロ(目が金色黒い体に羽先の白が映えます)。
キンクロハジロは、京都土木付近の鴨類で唯一潜水してエサを捕獲します。何度も潜水しては浮き上がるのを見ているのも結構面白いものです。
こんな素人バードウオッチングも鴨川の楽しみ方の一つかと思います。
平成24年2月1日(京都土木事務所Y)
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