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京都文化フェア呼びかけ

京都文化フェア呼びかけが行われました

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせて、世界に向けて京都の人々が力を合わせて京都文化フェアの開催に取り組むよう、京都ゆかりの文化人の方から、呼びかけをいただきました。

 呼びかけの様子

呼びかけ人

梅原  猛 (哲学者)

坂田 藤十郎(歌舞伎俳優)

千     玄室 (茶道裏千家前家元/ユネスコ親善大使/(一財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問)

山中  伸弥 (京都大学iPS細胞研究所 所長・教授)

冷泉 貴実子((公財)冷泉家時雨亭文庫常務理事)

呼びかけの要点

・文化芸術が内包する可能性と、これを東京オリンピック・パラリンピック大会で実感すること。

・日本文化のふるさと京都は21世紀日本の文化首都としての力を発揮しなければならない。

・1964年オリンピックに関する過去(明治百年・1968年)・現在(戦後復興の象徴としてのオリンピック)・未来(大阪万博・1970年)が一体となった成功体験の記憶を踏まえ、京都から過去を振り返り(明治150年・2018年)、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に呼応した京都文化フェアを実施し(現在)、これを跳躍台として未来に向けた取組を東北で展開すべき。

・50年前より困難な今日の社会情況を打ち破る国民的イベントを京都からスタートする意義は大きい(京都は明治維新の苦難を乗り越え文化首都の地位を築いた)

・世界の注目が集まり、日本の文化を発信し体感してもらうこの機会に、京都が先がけとなって日本文化の真髄と日本人の深い精神性を世界に発信

・同時に、若者から湧き上がる創造の息吹を受容し、誰もが気軽に楽しめる多彩な祭典となるよう、内外の多くの方々(個人・団体・企業・行政機関)の賛同による多彩な記念の取組を期待

呼びかけ記者会見

(1)開催日  平成26年8月18日

(2)開催場所  京都ホテルオークラ

(3)概要

・呼びかけ人を代表し、千玄室氏、冷泉貴実子氏から呼びかけ文を披露

・山田京都府知事、門川京都市長、立石京都商工会議所会頭が呼びかけ文の手交を受け、京都文化フェアの実施に向けた決意等をコメント

(主な発言)

千 玄室 氏

・他の呼びかけ人、冷泉様、梅原様、山中先生、坂田藤十郎さんをはじめ、皆様方のご賛同を得まして、京都文化フェアを大いにアピールし、そして京都府民の方々はもとより、近郊の皆様方にも一緒に御協力いただき、これを本当に有意義に迎えて、そして後々まで、子々孫々に、このオリンピックの偉業を伝えていきたい。

・私は若い頃から乗馬が好きで、大学以来、馬とは50年以上のつきあい。長い馬術界でのおつきあいでオリンピックには続けて参加しています。1964年の東京オリンピックにも参加し、お茶をもって大いに文化交流をさせていただきました。また、私自身のいろいろな体験を生かして来る2020年には、あらゆる階層の代表の方と共に、ご相談申し上げ、京都府、京都市、商工会議所の大いなるご支援を申し上げて私どもの意図とするところを実現致したいと存じております。

冷泉貴実子 氏

・日本はたくさんの、独特な伝統の文化を持っており、京都はその中心地であると同時に先端の科学技術がある土地でございます。そういう二つを併せ持つということを世界に発信することが、この国が世界の中で尊敬される国になるという絶好のチャンスです。

・みなさんと一緒に日本の文化というものを、このオリンピック・パラリンピックの機会に京都から発信できることを大変喜んでおります。どうぞ皆さん方と一緒にこのフェアが盛り上がりますことを願っております。よろしくお願いします。

梅原 猛 氏 (欠席)

・伝統文化を豊かに保有する京都にこそ新しい文化を創造する力が貯えられていると思います。京都文化フェアには若い人にも参加していただき、斬新なアイディアで大いに活躍していただきたい。世界に向けて、京都ならではの思い切った試みがおこなわれることを期待しています。

坂田藤十郎 氏 (欠席)

・オリンピック・パラリンピックを契機に世界中の皆様に日本文化の素晴らしさを伝えていくことは私ども古典芸能に携わる者の使命であると考えております。伝統を守りながらも、そこに新しい風を吹き込み、新しい現代の日本の文化が世界の皆様に愛されるよう、私の生まれ故郷の京都が是非とも率先して取り組みを進めていただきたい。私もより一層、精進してまいります。

山中伸弥 氏 (欠席)

・様々な宝と可能性を秘める京都が、このような提唱をすれば、若い方たちを大いに触発すると思います。スポーツや芸術関係の方々だけでなく、多くの方々にご参画いただくことを願っています。

山田京都府知事

・本日は千玄室大宗匠様、冷泉貴実子様が代表して呼びかけをして頂き、こころから感謝申し上げます。まさに京都を代表するというより、日本を代表する文化人の方々から、この京都文化フェアの呼びかけを頂きました。

東京オリンピックが決まった時に、京都としても東京オリンピックを機に、日本の理解をしっかりと広めていく、そうしたきっかけとなることをしていかなければならないという想いがありました。今日の呼びかけは、本当に我々がやらなければならないことの意義を具体的に現して頂けたと思っています。日本の文化を育み、育ててきた京都から、東京で競技が行われ、そして東日本大震災で大きな被害を受けてこれからの日本の復興の象徴となる東北へと続く、つながりというものを私たちはしっかり意識して、京都文化フェアの成功に向けてオール京都の力を結集して臨んでいきたいと考えているところです。

源氏物語千年紀、古典の日の制定、和食の世界無形遺産の登録などオール京都の力が、日本の文化を動かしてきたと思います。その力を更に結集して、2020年とは申しましても、ロンドンのオリンピアードを見ますと4年前からもう始まっているわけで、あまり時間もありません。出来る限りこの呼びかけを基に、オール京都の推進委員会を組織して、しっかりとこの呼びかけに応えるようにして参りたいと思います。

門川京都市長 

・呼びかけ人の皆様から、呼びかけをいただいたことに敬意を表します。

オリンピック憲章には、平和、人権、その他人類が直面する様々な課題の克服することがオリンピックの目的とされておりますが、これは、京都に伝わる日本の文化や京都が大切にしてきた理念と一致するものであり、2020年に向けて京都の果たす役割は大きなものがあると思います。

オリンピックに合わせてパラリンピックが開催されます。ノーマライゼーション社会も推進していきたいと考えています。

また、京都には世界から評価される伝統文化や、それを支える伝統産業がありますが、厳しい現状に直面しています。これらの価値を再認識して担い手を育んでいくという課題にも真正面から取り組む機会にしたい。

そして、京都ならではの創造的な文化を生み出す機会にもしたい。

「京都文化フェア」は、日本の文化を京都から世界に向けて発信していくものと考えています。米国のトラベルアンドレジャーという雑誌で、京都は世界で最も人気のある観光都市として選ばれました。これは、京都が日本の文化を大切にしてきた結果であり、世界が京都に注目をしています。

2020年に開催するイベントも大事ですが、2020年に向けて、人材育成などの過程を大事にしながら、本市では文化芸術プログラムや次期観光振興計画の策定を進めていきたい。出来ることは早く取り組んでいきます。

・立石京都商工会議所会頭

・千玄室大宗匠より力強い呼びかけを頂戴して、京都において文化フェアを開催する意義の重要性について、改めて痛感しました。

私は常々、「高い文化と学術を有する創造的都市は、その時代の産業に革新を起こす」ということを持論としています。京都は日本の都として千年を超える歴史に培われた文化、あるいは学術、芸術といった知恵の蓄積を付加価値の源泉として、顧客のニーズを満たす新しい価値の創造を繰り返えしてきました。若者に魅力のある創造的都市であると考えております。この創造的都市において「京都文化フェア」を開催することは、こころの豊かさや人間本来の幸せ、また生きていると言った生の歓喜など、工業社会が未解決のまま残してきた忘れ物を取り戻すとともに、人類の平和と幸福を目的に都市の創生に向けた新たな価値を見つける絶好の機会であると考えております。

昨年、京都の未来を考える懇話会で取りまとめた「京都ビジョン2040」におきまして、オール京都で共有する30年後の京都のありたい姿として、「世界交流首都・京都」を提案するとともに、「世界の文化首都・京都」、また「大学のまち・京都」の姿と併せて、経済界として、地域内外の資源や知恵を活かし、幅広い分野で新たな価値を創造する、いわゆる少子化の歯止めにもなるであろう、若者に魅力のある価値創造都市京都の姿の実現を目指すことにしています。

東京一極集中が進み少子高齢化に閉塞感が漂うなかで、それを打ち破る国民的イベントが、歴史と伝統を誇る京都からスタートすることの意義はきわめて大きいと考えています。

オリンピック・パラリンピックで世界の注目が東京に集まる中で、オール京都で実施される今回の京都文化フェアが、国内外を問わず多くの人々が集い、交流し刺激しあって活力を生み、文化を共有するような事業となるよう、地元経済界としても知恵を出して行きたいと考えています。

 (4)呼びかけ文(PDF:128KB)

京都文化フェアの呼びかけ

文化芸術は、人々の創造性を育くみ、表現力を高めるとともに、心の絆を深め、相互に理解し尊重し合い多様性を受け入れる心豊かな社会の形成に寄与するものである。

「スポーツと文化の祭典」であるオリンピック・パラリンピック競技大会が、2020年に東京で開催されることは、我が国のスポーツだけでなく文化芸術の更なる発展にとってもまたとない機会をもたらすであろう。この晴れやかな祭典を契機として人々は文化芸術の持つ様々な可能性を再認識するとともに、文化芸術をより身近なものとして実感できるようになるはずである。

京都は、これまで先人が積み上げてきた伝統とその上に絶えず新しい文化を培ってきた、日本文化の心のふるさとである。いのち輝く文化都市・京都は、その持てる文化の力を最大限に発揮し、併せて京都の持つ古今東西にわたる文化融合の可能性を世界に知らしめるとともに、21世紀日本の文化首都として新しい文化の創造と、次代への継承に向けて、不断の努力を傾注しなければならない。

1964年10月10日、東京・神宮の杜の上空に広がっていた抜けるような青空は、「戦後復興した現代日本」の象徴として記憶されている。そこで重要なのは、この復興の「現在」イメージが1964年の東京オリンピックだけでなく、1968年の明治百年とそれを契機とした歴史ブーム、1970年の大阪万国博覧会という「過去」や「未来」に目を向けた国民的イベントと一体として記憶されたことである。

私たちはこの国民的成功をふまえ、京都で日本の近代150年の歩みを振り返った上で(明治150年・2018年)、2020年の東京に呼応した「京都文化フェア」に臨むことを提案する。そしてその先には未来に向けた取組が復興の記念をめざし東北で展開されるべきだと考える。歴史を回顧しつつ助走を始め、オリンピック・パラリンピックを跳躍台として、新しい日本社会の未来像を描くことが不可欠なのである。

今日の日本社会をとりまく情況は、50年前より遥かに難しい。東日本大震災の復興も道半ば、東京一極集中は進み、少子高齢化に閉塞感が漂っている。それを打ち破る国民的イベントが歴史と伝統を誇る京都からスタートすることの意義は極めて大きいといえるだろう。京都は明治維新の舞台となりながら、維新によって首都ではなくなったが、千年の「みやこ」文化を守り抜き、独自の先端的産業を開花させ、世界の学知を集めて、今日では文化首都と称されるまでの地位を築いてきた。

オリンピックでは世界の注目が日本に集まる。世界に向けて日本の文化を発信し体感してもらうまたとない機会である。京都が先がけとなって、日本文化の真髄と、日々の生活に根ざした日本人の深い精神性に基づく日本の文化を世界に向けて発信していかなければならない。と同時に、私たちは、これからの日本の文化を担う若者たちの湧き上がってくる新しい創造の息吹を積極的に受容し、誰もが気軽に楽しめる多彩な文化の祭典へと結実してほしいと願っている。

そのためにも、内外の多くの方々―個人・団体・企業・行政機関が、この意義を深く理解し、またこれに賛同して、多彩な記念の取組を展開されんことを期待する。

平成26年8月18日

梅原 猛

坂田藤十郎

千 玄室

山中 伸弥

冷泉貴実子

 

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