中丹広域振興局

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森林のめぐみたち(林産物・特産物紹介)

ここでは、中丹地区で生産される「山の幸」を紹介します。

丹州材(たんしゅうざい)

古くから良質といわれる由良川筋のヒノキをはじめとする、中丹地域等京都府北部の山から生産される木材「丹州材」を紹介。

森の貴公子『丹州』

素晴らしい木を作り出す、管理された森林市場に出荷された立派なスギ丸太

丹州材って?

古くから、中丹地域(福知山市、綾部市、舞鶴市)の由良川筋で育った木は品質が良いといわれています。特に由良川筋のヒノキは色が良いことから、高い値段で取引されてきました。
また、現在は、戦後一斉に植えられたスギやヒノキも、40年生~50年生を迎えて着々と成熟してきており、適正な間伐等の手入れの下、より良質な木材の生産が望まれます。「丹州」とは、この中丹地域等京都府北部の山で生産されたスギ・ヒノキの愛称です。平成2年にネーミングを一般公募して決定しました。

丹州マーク

中丹地域の木材「丹州材」の流通を促進し、より多くの人に知ってもらうため、地元の木材市場では「丹州材フェアー」を開催し、地域産の丸太に奨励金を支給する「丹州材需給拡大奨励金支給」を実施しています(主催:丹州材推進協議会)。
治山工事の資材にも丹州材を使用しています。

土場一面に並べられた地域材京都丹州木材市場(綾部市小畑町)

丹波くり(たんばくり)

大粒で美味しいと全国的にも有名な丹波栗の生産について紹介。

栗はやっぱり「丹波くり」

丹波くりってどんな栗?

『丹波くり』は、昔の丹波国(現在の京都府中部、兵庫県東辺の一部、大阪府北辺の一部)から産出された栗の総称です。

栗の品種ではなく、丹波地方で採れる栗をいいます。

丹波くりの歴史

そもそも日本の《栗》は、日本原産のもので、一説では縄文時代から種実栽培されていたともいわれております。最初に文献に栗が記載されたのは「古事記」です。

奈良時代から平安時代になると、栗は宮廷貴族の食べ物として、穀物・果物の中で最も重要視されるようになり、献上品や物納品としての栗づくりが盛んになりました。特に、丹波国は天領や寺社領地が多く、宮廷や寺院とのつながりが深かったことから栗づくりが発達したと考えられます。平安時代に編纂された律令書「廷喜式」(10世紀前半)には丹波国の栗の貢進のことが、また「新猿楽記」(11世紀中頃)にも各国の名物の中に「世に丹波栗と云い」と、丹波くりについて記されています。

13世紀の初期には《接ぎ木技術》が外国から日本へもたらされたといわれています。この接ぎ木の技術は、当時は外つ国の技術として宮廷の庭園など限られた場所でしか使用を許されませんでした。しかし、貴族とのつながりの深かった丹波地域では、早期から接ぎ木技術がが栗にも使用され、今に受け継がれる大粒栗の形質の改良・保存が為されたと考えられます。

全国的に『丹波くり』の名声が拡がったのは江戸時代で、尼崎の魚商人が帰り荷として持ち帰り、京阪神や尼崎方面で「丹波くりー丹波くりー」と言いながら売り歩いたものが、参勤交代で通過する武士達によって全国に広められたものとされています。丹波くりの中で最も古いとされているテテウチ栗のことが、江戸時代(17世紀1638年)の俳諧書「毛吹草」に記されています。福知山市三和町大原の沢田実男氏の園にも同名の老木があります。

(京都府中丹広域振興局所有パネルから抜粋)

最近の丹波くり事情

府内の栗の生産量は、最盛期であった昭和53年の1,500トンから、平成16年度には約160トンとおよそ10分の1にまで減少しています。
これは、1.栗の樹の高齢化、2.生産者の高齢化・減少、3.獣害の増加による生産意欲の減退、などが原因と考えられますが、近年は生産者の方々の努力もあり、ほぼ横這いで推移している状況です。なお、平成16年度、三和町(現在の福知山市三和町)の生産量は31トンで府内では一番となっています。

京都府では、みず菜・京たけのこ・加茂なすなどの伝統野菜をはじめ20品目を「京のブランド産品」として認定しPRしており、『丹波くり』もこのブランド産品のひとつです。高品質な丹波くりは根強い人気がありますが、一方では、近年、老齢木化や剪定等の管理不足による小粒化、病虫害果など品質の低下が問題となってきており、新植や改植の推進、整枝・剪定、施肥、病害虫防除などの栽培管理を推進しているところです。

栗がたわわに実ったくり園剪定技術講習会の様子

毎年恒例のくり品評会審査の様子(写真は福知山地方くり品評会)見事、最優秀に輝いた丹波くり!

丹波くりの美味しさのヒミツ

昔から、「由良川の夜霧の立つところは栗がうまい」と云い、丹波くりが美味しいのは、気候と風土に恵まれているからといわれています。
当地方は由良川とその支流の谷が深く、夜は気温が下がり、また明け方霧でさらに冷えます。その割に日中の気温は高いため、昼夜の気温差がかなりあります。この「昼夜の気温差」が丹波くりの美味しさのヒミツ。特に「夜気温が下がる」ということは、いわゆる栗の木の呼吸による糖分の消耗がおさえられ、その分果実に糖分が蓄積されることになります。ですから粘着性があり、味も香も良いものができるのです。
栗は甘みだけでなく粘着性も大事。とくに京和菓子は、茶道と一緒に発達してきたため、栗ようかんでもくりがポロッと落ちるようでは使い物にならないのです。

丹波くりのお料理レシピ紹介

「くりってどう料理していいかわからないわー」
「茹でて食べる以外にも美味しい食べ方ない?」
そんな悩みをお持ちの奥様方もご安心を。毎年、素晴らしい栗料理の数々を披露してくださる福知山地方農業士会の女性農業士さんのレシピから、美味しい栗料理をちょこっとご紹介!

くりおこわ|マロンコロッケ|くりと鶏肉のワイン煮|くりチップス

丹波漆(たんばうるし)

英語では「ジャパン」と呼ばれる漆。丹波で生産される良質の漆について紹介。

日本の文化を守る「丹波漆」

「漆」は日本の代表的な美しさ

「漆」の英訳は「Japan」といいます。ジャパン、つまり日本のこと。深く落ち着きのある暖かい光沢は、日本の代表的な美しさとして世界に認められているのです。

漆の原料となるのは、ウルシの木。ウルシ科の落葉広葉樹で、雌雄異株、樹高はおよそ10メートルになります。葉っぱは大きく丸みがあります。漆の液が採れるのはこの「ウルシ」だけで、よく山で見かけるヤマウルシやヌルデは、一見ウルシによく似ていますが、漆液は採取できません。

ウルシの葉漆を掻く木のまわりには足場が作ってあります

漆掻きの様子採取した漆

初夏から初秋にかけて樹液を採取し(この作業を「漆掻き」といいます)、漆液を精製したものを、日本独特の塗料として彫刻や木工品に利用しています。漆を塗布したものは熱や酸などにも強く、縄文後期には既に利用されていました。福井県三方町の鳥浜貝塚や青森県青森市の三内丸山遺跡などからは、石器や土器などと一緒に、赤色の漆の櫛や黒色の漆を塗った土器などが出土しています。漆は木や竹、土器、金属、さらに布やガラス、紙、皮などさまざまなものに塗ることができ、また、接着剤としても使えるため、古くからいろいろと生活の中で大切に使われてきたのです。

そして、近年、無公害の安全性や本物の美しさ、やすらぎ、そして環境にやさしい「漆」が、今再び注目されてきています。

「丹波漆」の今昔

明治40年に発行された「実用漆工術(じつようしつこうじゅつ)」という本に、日本全国の漆の産地30カ所が記されていますが、その一番目に書かれているのが「丹波」です。丹波とは、今の京都府と兵庫県にまたがっていましたが、漆で丹波といえば、現在の福知山市の西北部一帯の地域のことを指してきました。この「丹波漆」の歴史は、奈良時代の初期、すなわち今から約1300年前も昔に確認できます。そして、明治期には500人もの漆を掻き取る人たちがいたそうです。

かつて全国で30を数えた漆の産地は、次々と姿を消して、現在も残っているのはほんのわずかしかありません。主な原因は安い中国産の漆が輸入されるようになり、漆掻きでは生計が立てられなくなったことがあげられます。また、丹波地方では地元に漆器産業がなかったこともあり、明治時代以降、丹波漆は急速に衰えてしまいました。現在、国内産漆は国内消費量のわずか1%~2%となっており、中国産の漆が90%以上を占めています。また、中国産漆の価格は国内産漆のおよそ6分の1となっています。

しかし、輸入漆は安いものの、良い漆器を作るためには高品質な本漆が欠かせないため、小規模ながら漆の生産は続けられてきました。なかでも、漆掻きの技術を伝承されてきた丹波漆生産組合(昭和23年結成)の活動により、「丹波漆」の伝統は現在まで受け継がれてきました。市場においても、良質な「丹波漆」は国産の漆の中でも高値で取引されています。

(丹波漆生産組合の活動)丹波漆の生産量増加を目指してウルシの苗木を植栽(丹波漆生産組合の活動)優良なウルシの苗木を生産するため苗畑で分根作業

「丹波漆」の復活を目指して

こうした「丹波漆」の技術を残すため、京都府では、優れた技術を伝承者である衣川光治氏の協力の下、丹波漆の栽培技術指針を作成しています(昭和63年作成)。また、府農林水産技術センター農林センター緑化センターでは、丹波漆の優良品種生産のため、挿し木による漆の栽培方法について研究しています。

さらに、福知山市夜久野町では地域の伝統産業をもっと多くの人に知ってもらおうと平成13年に「やくの木と漆の館」が開設されました。ここでは、漆に関する展示や漆器の販売の他、漆塗り体験が実施できる施設となっています。

やくの木と漆の館(外観)やくの木と漆の館(商品展示スペース)

漆塗りの器漆塗りのティースプーン

生きたまことの芸術品

漆は関わるほどに深みを増していく、とても不思議なものです。それは漆というものが、今流行りの天然素材といったことだけではなく、脈々と受け継がれてきた歴史と伝統を感じさせてくれるからではないでしょうか。ここで、その技術を守り、伝えてこられた丹波漆の真の伝承者、故衣川光治氏のことばをご紹介したいと思います。

まことの理を知らないと、漆の木はかぶれるから困るとか、漆掻きは漆の木を傷める殺生な仕事であるとか、間違った見解が幅をきかせます。かりに漆を掻かなければその木は時が経てば朽ちてこの世から姿を消します。ところが漆を掻けば漆の木は姿を変えて永遠に立派に生き残るのであります。
漆を掻くということは、人が漆の木に生きるために奮斗努力を求めることであります。カンナ(注1)が甘ければ漆の木はいつまでも笑っているし、きついと赤い涙を流す。笑われては困るし、泣かれては厄介である。ほどほどに気張らせて人と木の協力の結晶を自然から戴くことで、生漆こそ生きたまことの芸術品であると言えます。

(「丹波漆(漆の掻き方)」あとがきより)
※注1:漆を掻く時に木の幹に溝を掘る道具

出典
「やくの木と漆の館vol.1」
「丹波漆の今昔(丹波漆生産組合)」
「栽培技術指針・丹波漆(漆の掻き方)(京都府)」

丹波のキノコ

山の恵みといえば欠かせないキノコ。「地場産シイタケ」や「丹波マツタケ」など、中丹地域で生産されているキノコを紹介。

やっぱり身近な地場産シイタケ

最近はエリンギやヒラタケなど色々なキノコがスーパーで見受けられるようになりましたが、それでも私たちにいちばん身近なキノコといえばやっぱりシイタケではないでしょうか。
中丹地域でも各地で地場産のシイタケが栽培されています。栽培方法にはクヌギやコナラの丸太に菌を打ちつける「原木栽培」と、オガ粉を固めてハウスで栽培する「菌床栽培」の2種類があります。また、商品としては新鮮なうちに販売する「生シイタケ」と、乾燥させた「乾しシイタケ」があります。

シイタケの原木が並ぶホダ場(福知山市内)原木から発生したシイタケ。品質保持のため、ビニールで雨よけしています

菌床から発生するシイタケ(福知山市三和町内)品評会で入賞した乾しシイタケ

自然いっぱい「原木栽培マイタケ」

「食べるとあまりの美味しさに舞ってしまうから舞茸」「見つけたとき嬉しさのあまり舞ってしまうから舞茸」――と、名前の由来からも、古くから非常に好まれたことが伺えるマイタケ。最近では栽培技術が進歩してスーパーでも簡単に買えるようになりましたが、天然のものに比べるとやはり風味が劣るようです。かといって、天然のものを見つけるのはかなり困難。でも実は、天然物とほぼ変わらないマイタケを味わうことができるんです。それが「原木栽培マイタケ」!
原木栽培ではクヌギやコナラなどの原木にマイタケ菌を植え付け、熟成させてからマイタケの発生しやすい山などの地面に埋め込みます。菌床袋にオガ粉を詰め込んでマイタケ菌を植え付け、空調完備の室内で大量に発生させる菌床栽培に比べて、原木マイタケは自然に近い環境で発生させるので、風味や香りが限りなく天然物に近いのです。
しかし、その分、マイタケの生産量は雨や気温など、その年の気候に大きく左右されてしまうので、安定生産が課題となっています。中丹地域では、福知山市夜久野町の女性グループ「樹の子の会」が原木栽培に取り組んでいます。

マイタケの収穫風景立派なマイタケ!

秋の味覚「丹波マツタケ」

秋の味覚の王様といえば、なんといってもマツタケ!特に「丹波マツタケ」は香りも良く上質と古くから珍重されています。
しかし、近年はマツタケの発生地となるアカマツ林の高齢化やマツクイムシの被害などの影響で、マツタケの生産量は激減傾向にあります。マツタケは、枯れた木を腐らせて大きくなるシイタケやマイタケ(このようなキノコを「腐朽菌」といいます)とは違って、生きたアカマツの根に共生する「菌根菌」といって、栽培方法がまだ確立されていません。
そこで、京都府ではマツタケを貴重な特用林産物と位置づけ、アカマツ林の施業改善や地表の落葉腐食層の掻き取りなど、マツタケの発生しやすい環境を整える「京都方式によるマツタケ発生環境整備」を実施しています。

地面から頭を出したマツタケたち

100グラムを越える立派な丹波マツタケ!

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