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京都府内のカゲロウ

1 はじめに

 カゲロウは、幼虫の期間を水中で過ごし、成虫になると水中から飛びたって数日程度の短い命をまっとうします。見た目も地味でマイナーなイメージさえ受けるカゲロウですが、河川、特にきれいな河川には、様々な種類のカゲロウの幼虫が暮らしています。今回は、京都府の河川でよくみつかるカゲロウの幼虫を紹介します。

注※PDF版は、以下からダウンロードしてご利用ください。
京都府の水生昆虫(カゲロウ)(PDF:1,908KB)

2 カゲロウの体

カゲロウの体は、「頭部」、「胸部」、「腹部」の3つからなります。
「頭部」には複眼、単眼、触覚、口があります。胸部は前胸、中胸、後胸の3つからなり、それぞれに1対の肢があります。また、中胸と後胸には翅芽(しが)(成虫になった時に翅になる部位)がありますが、これは若い幼虫では目立ちません。「腹部」は10個の節からなり、鰓(えら)と尾毛があります。

写真:カゲロウの体

口と眼について

カゲロウの口は、上唇、舌、大顎、小顎、下唇の5つのパーツからなります。みつけたカゲロウの名前を調べるためには、各パーツを顕微鏡で観察しなければならないこともありますので、その場合は、針とピンセットを使って口を分解します。
カゲロウの眼は、複眼と単眼の2つがあります。複眼は小さな眼がたくさん集まってできていてるのに対して、単眼は1つの眼からなります。

写真:カゲロウの頭

鰓(えら)について

カゲロウは鰓を通して呼吸しています。鰓の形や位置は種類によって特徴がありますので、みつけたカゲロウの鰓をじっくり観察することは、その名前を調べるのに役立ちます。
鰓は腹部の特定の節に左右1対付いています。例えば、下の写真のカワカゲロウ科では、第2腹節から第7腹節の両側面に羽毛のような鰓がついています。なお、何番目の腹節についている鰓なのかをはっきりさせるため、例えば、第7腹節についている鰓を第7鰓ということがあります。

写真:カゲロウのエラ

肢について 

 カゲロウの肢は、基節(きせつ)、転節(てんせつ)、腿節(たいせつ)、脛節(けいせつ)、跗節(ふせつ)、爪の6つのパーツからなります。例えば、チラカゲロウ科では、前肢の腿節に長い毛が生えているといった特徴があります。
カゲロウと同じく、きれいな河川でよくみつかる生き物に、カワゲラがいます。カゲロウやカワゲラを見慣れていないうちは、両者を見間違えやすいのですが、肢に注目すると、カゲロウの爪は1個であるのに対して、カワゲラの爪は2個であるという違いに気づきます。カゲロウ、カワゲラに限ったことではありませんが、こうした小さな、あるいは、大きな違いを1つ1つ認識し、経験を積み重ねていくと、肉眼でさっとみるだけでも、その生き物の名前が分かることがあります。

写真:カゲロウの脚

カゲロウの名前を調べる

みつけたカゲロウの生態を知るには、まず、名前を調べなくてはなりません。カゲロウに限らず生物は、「界・門・綱・目・科・属・種」からなる階級に基づく分類がされていて、界から種へと下の階級に進むにつれ、体の形などが似たグループがまとめられています。 

写真:目分類


カゲロウによっては、肉眼で種まで分かるほど特徴的なものもいますが、属あるいは種まで名前を調べるには、通常、顕微鏡で体のすみずみを観察する必要があります。一方、科までであれば、肉眼やルーペで名前を調べることができるものも多いです。
次のページからは、京都府の河川でよくみつかるカゲロウを科ごとに紹介します。

(1)カワカゲロウ科 (2)コカゲロウ科 (3)トビイロカゲロウ科
(4)チラカゲロウ科 (5)ヒメシロカゲロウ科
(6)ヒメフタオカゲロウ科
(7)ヒラタカゲロウ科 (8)マダラカゲロウ科 (9)モンカゲロウ科

(1)カワカゲロウ科

写真:カワカゲロウ


特徴:(1)大顎は頭部前縁より前に突出する。
(2)鰓は腹部の両側面につき、外側に向かって伸びる。
(3)鰓は二叉に分かれ、その長さはほとんど等しい。

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(2)コカゲロウ科

 写真:コカゲロウ

特徴:(1)上唇がへこむ。

(2)鰓は第2~7腹節につき、その先端や周囲は分岐しない。

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(3)トビイロカゲロウ科

写真:トビイロカゲロウ 

特徴:(1)鰓の先端や周囲が分岐する。
注※トビイロカゲロウ科の鰓の分岐数や形は種によって様々。

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(3)チラカゲロウ科

写真:チラカゲロウ

特徴:(1)前肢腿節に長い毛がある。
メモ:上流から流れてくる有機物などを前肢腿節の長い毛でキャッチして食べる。

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(5)ヒメシロカゲロウ科

写真:ヒメシロカゲロウ

特徴:(1)鰓は第1~6腹節につく。第1鰓は糸状。第2鰓は長方形で、第3~6鰓を覆い隠す。

注※マダラカゲロウ科のエラブタマダラカゲロウと似るが、鰓の位置と形(エラブタマダラカゲロウは
第3鰓が楕円形で、第3~7鰓を覆い隠す)で見分けることができる。

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(6)ヒメフタオカゲロウ科

写真:ヒメフタオカゲロウ
 

特徴:(1)第8、9腹節に突起がある。
(2)小顎に櫛状の毛がある。

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(7)ヒラタカゲロウ科

 写真:ヒラタカゲロウ

特徴:(1)複眼は頭部の背面にある。

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(8)マダラカゲロウ科

写真:マダラカゲロウ 

特徴:(1)鰓は第3~7腹節につく。

注※マダラカゲロウ科のトゲマダラカゲロウ属は、頭部前縁に角状の突起をもち、これを大顎と見間違える
ことがあるので注意。

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(9)モンカゲロウ科

写真:モンカゲロウ

 

特徴:(1)大顎は頭部前縁より前に突出する。
(2)鰓は腹部の背面につき、内側に向かって伸びる。

メモ:前に大きく突き出た大顎で川底に穴を堀り、流れ込んできた有機物などを食べる。

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参考文献

  • 丸山 博紀、高井 幹夫(2016)
    「原色川虫図鑑 幼虫編」全国農村協会
  • 河合 禎次、谷田 一三共編(2005)
    「日本産水生昆虫-科・属・種への検索」東海大学出版会
  • 谷 幸三(1995)
    「水生昆虫の観察―安全できれいな水をめざして」トンボ出版

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健康福祉部健康福祉総務課 保健環境研究所

京都市伏見区村上町395

ファックス:075-612-3357

hokanken-syomu@pref.kyoto.lg.jp

環境衛生課 075-621-4162
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