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京都府内のトビケラ

 

1.はじめに

  トビケラは、幼虫の期間を水中で過ごし、成虫になると水中から飛びたちます。チョウやガに近い生き物で、幼虫はイモムシのような形、成虫はガのような形をしています。河川、特にきれいな河川では、色々な種類のトビケラの幼虫が暮らしています。今回は、京都府の河川でよくみつかるトビケラの幼虫を紹介します。

注: PDF版は、以下からダウンロードしてご利用ください。
京都府の水生昆虫(トビケラ)(PDF:3,729KB)

2.トビケラの体

 トビケラの体は、「頭部」、「胸部」、「腹部」の3つからなります。
 「頭部」には点眼、触角、口があります。胸部は前胸、中胸、後胸の3つからなり、それぞれに1対の肢があります。「腹部」は10個の節からなり、尾肢があります。

トビケラの体

触角について

 触角の長さや位置を観察することは、みつけたトビケラの名前を調べるのに役立ちます。しかし、多くのトビケラは触角が短いため、観察しづらいです。

 

キチン板について

 下の写真はシマトビケラ科の胸部を背面から撮ったものです。シマトビケラ科では、前胸、中胸、後胸の背面が鎧のように硬くなっていることが分かります。この鎧はキチンという物質でできているので、キチン板とよびます。どこにキチン板があるかを観察することは、みつけたトビケラの名前を調べるのに役立ちます。

トビケラのキチン板

肢について

  トビケラの腹部末端には尾肢があり、その先端には鉤爪があります。尾肢や鉤爪の形状、腹部第9節のキチン板の有無を観察することは、トビケラの名前を調べるのに役立ちます。

トビケラの尾肢

 

巣について

 多くのトビケラは石や砂、落ち葉などを使って巣を作ります。巣には持ち運びできないタイプと持ち運びできるタイプの2種類があります。

  • 持ち運びできないタイプの巣
    石と石の間などにクモの巣のような網を張ります。上流から流れてきて網にかかった落ち葉などを食べます。ヒゲナガカワトビケラ科やシマトビケラ科が作る巣です。
  • 持ち運びできるタイプの巣
    石や砂、落ち葉などを使って作ります。トビケラの種類によって、巣の材料や形は特徴があります。また、同じ種類であっても、幼虫の年齢によって巣の材料が変わるものもいます。ニンギョウトビケラ科やカクツツトビケラ科などが作る巣です。

 

トビケラの巣

ニンギョウトビケラ科(写真左)、カクツツトビケラ科(写真右)

 トビケラの巣の材料や形状を観察することは、トビケラの名前を調べるのに役立ちます。

トビケラの名前を調べる

 みつけたトビケラの生態を知るには、まず、名前を調べなくてはなりません。トビケラに限らず生物は、「界・門・綱・目・科・属・種」からなる階級に基づく分類がされていて、界から種へと下の階級に進むにつれ、体の形などが似たグループがまとめられています。

動物界、筋足動物門、昆虫網、トビケラ目、シマトビケラ科、コガタシマトビケラ属、種は不明


 トビケラの幼虫について、属あるいは種まで名前を調べることは非常に難しいですが、科までであれば、肉眼やルーペで名前を調べることができるものも多いです。
 次からは、京都府の河川でよくみつかるトビケラを科ごとに紹介します。

 

(1)カクスイトビケラ科 (2)カクツツトビケラ科 (3)カワトビケラ科
(4)カワリナガレトビケラ科 (5)キタガミトビケラ科 (6)クロツツトビケラ科
(7)ケトビケラ科 (8)コエグリトビケラ科 (9)シマトビケラ科
(10)ナガレトビケラ科 (11)ニンギョウトビケラ科 (12)ヒゲナガカワトビケラ科
(13)ヒゲナガトビケラ科 (14)ヒメトビケラ科 (15)ホソバトビケラ科
(16)ヤマトビケラ科    

 

(1)カクスイトビケラ科

カクスイトビケラ科


特徴

  1. 前胸と中胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 腹部第1節の側面と背面に突起はない。

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(2)カクツツトビケラ科

カクツツトビケラ科


特徴

  1. 前胸と中胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 触角は短く、点眼のすぐ横(前方)にある。

メモ: 若い幼虫は砂粒で円筒形の巣を作るが、成長すると、四角形に切りとった植物片で四角柱の巣を作る(右下)。

カクツツトビケラの巣


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(3)カワトビケラ科

カワトビケラ科


特徴

  1. 前胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 上唇はキチン化していない。

 

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(4)カワリナガレトビケラ科

カワリナガレトビケラ科

特徴

  1. 前胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 腹部第9節の背面にキチン板がある。
  3. 尾肢は長い。
  4. 前肢の爪が長く伸びる。

メモ:幼虫は巣を作らない。

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(5)キタガミトビケラ科

キタガミトビケラ科

特徴

  1. 前胸の背面は1対のキチン板で、中胸と後胸の背面は2対のキチン板で、それぞれ広く覆われる(右下)。

キタガミトビケラ背面

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(6)クロツツトビケラ科

クロツツトビケラ科

特徴

  1. 前胸と中胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 触角は短く点眼と大顎の付け根の中間にある。
  3. 中胸の背面のキチン板は前縁中央でへこむ。

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(7)ケトビケラ科

ケトビケラ科


特徴

  1. 前胸と中胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 触角は短く頭部の前縁にある。
  3. 尾肢の付け根に30本以上の剛毛がある。

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(8)コエグリトビケラ科

 コエグリトビケラ科


特徴

  1. 前胸と中胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 触角は短く点眼と大顎の付け根の中間にある。
  3. 中胸の背面のキチン板は前縁中央でへこまない。
  4. 後胸の背面に刺毛が横1列に並ぶ。

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(9)シマトビケラ科

シマトビケラ科


特徴

  1. 前胸と中胸と後胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
  2. 腹部の腹面にふさ状の鰓(えら)がある(左下)。
  3. 尾肢に長い毛の束がある(右下)。

    シマトビケラの鰓と毛

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     (10)ナガレトビケラ科

    ナガレトビケラ科

     特徴

    1. 前胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
    2. 腹部第9節の背面にキチン板がある。
    3. 尾肢は長い(右下)。
    4. 前肢の爪は長く伸びない。

     メモ: 幼虫は巣を作らない。

    ナガレトビケラの尾肢

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    (11)ニンギョウトビケラ科

    ニンギョウトビケラ科
     

    特徴

    1. 前胸の背面は1対のキチン板で、中胸の背面は2対のキチン板でそれぞれ広く覆われる。
    2. 腹部第1節の側面と背面に突起がある。

    メモ: 幼虫は巣の両側に大きめの砂粒をつける(右下)。

    ニンギョウトビケラの巣

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     (12)ヒゲナガカワトビケラ科

     ヒゲナガカワトビケラ科

     特徴

    1. 前胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
    2. 上唇はキチン化している。
    3. 前肢の基節に2本の突起がある。

    ヒゲナガカワトビケラの成虫

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     (13)ヒゲナガトビケラ科

    ヒゲナガトビケラ科


    特徴

    1. 前胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
    2. 触角は長く頭部の前縁にある。

    メモ: タテヒゲナガトビケラ属は触角が短い。

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     (14)ヒメトビケラ科

     ヒメトビケラ科


    特徴

    1. 前胸と中胸と後胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
    2. 腹部の腹面にふさ状の鰓(えら)はない。
    3. 尾肢に長い毛の束はない。

    メモ: 小さなトビケラで5齢幼虫だけが巣を作る(右下)。

    ヒメトビケラの巣

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     (15)ホソバトビケラ科

     ホソバトビケラ科


    特徴

    1. 前胸と中胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
    2. 触角は短く頭部の前縁にある。
    3. 後肢の爪は他の肢の爪と形が異なる。

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     (16)ヤマトビケラ科

     ヤマトビケラ科


    特徴

    1. 前胸の背面は1対のキチン板で広く覆われる。
    2. 腹部第9節の背面にキチン板がある。
    3. 尾肢は短い。

    メモ: 幼虫は亀の甲羅のような形の巣を作る。

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    参考文献

    • 丸山 博紀、高井 幹夫(2016)
      「原色川虫図鑑 幼虫編」全国農村協会
    • 河合 禎次、谷田 一三共編(2005)
      「日本産水生昆虫—科・属・種への検索」東海大学出版会
    • 谷 幸三(1995)
      「水生昆虫の観察―安全できれいな水をめざして」トンボ出版

     

     

     

     

     

     

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お問い合わせ

健康福祉部健康福祉総務課 保健環境研究所

京都市伏見区村上町395

ファックス:075-612-3357

hokanken-syomu@pref.kyoto.lg.jp

環境衛生課 075-621-4162
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