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配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画(中間案)

A 計画の策定にあたって

1 ドメスティック・バイオレンスに対する基本的考え方

ドメスティック・バイオレンス(配偶者等からの暴力、以下「DV」という。)は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である。
DVは、外部からその発見が困難な家庭内において行われるため、潜在化しやすく、しかも加害者に罪の意識が薄いという傾向にある。
このため、周囲も気づかないうちに暴力がエスカレートし、被害が深刻化しやすいという特性があり、また、直接の被害者のみならず、家族、特に子どもに対して深刻な影響を与えると言われている。
DVの被害者は多くの場合女性であり、経済的自立が困難なことが多い女性に対して配偶者等が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女共同参画社会実現の妨げとなっている。

2 策定の趣旨

DVが犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であることを、京都府全体の共通認識とし、DVを容認しない社会の実現を目指し、DVの防止及び被害者の保護並びに自立支援を総合的に推進するために、本計画を策定する。

3 計画の位置付け

  • 本計画は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下「D V防止法」という。)第2条の3の規定に基づく基本計画として策定するものであり、あわせて「京都府男女共同参画推進条例」に基づく計画としても位置付ける。
  • 本計画は、府におけるDV対策の基本的方向及び今後の取組を示すものである。
    市町村、関係機関、関係団体、そして府民一人ひとりにおいても、この計画の 趣旨を踏まえ、「DVを容認しない社会」を築くため積極的な取組が実施されることを期待する。

4 計画の期間

平成18年度から平成20年度までの3年間とする。
ただし、国の「基本方針」の見直しや、新たに盛り込むべき施策等が生じた場合には、必要に応じ見直すこととする。

B 策定の視点

1 暴力を許さない社会の実現

DVは単なる家庭内の問題ではなく、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であることについて府民の理解を深め、DVを防止し、暴力を許さない社会の実現、日々安心して暮らせる信頼の京都府づくりを進める。

2 被害者の状況に応じた継続的な支援の実施 -危機介入から自立支援まで-

  • 被害者の安全確保を最優先とし、被害者がそれぞれ抱える個別の状況・ニーズに即し、社会的な自立にまで至るトータルな支援を推進する。
  • DVは直接の被害者のみならず、家族、特に子どもに対して深刻な影響を及ぼすと言われており、これらの被害者をも含めた支援を実施する。

3 関係機関等との連携協力体制の構築

  • 被害者支援は国及び地方公共団体の責務であるが、豊富なノウハウを持つ民間支援団体も含めた幅広い関係機関・関係団体との連携・協働が不可欠であり、また、被害者の安全確保のためには、行政区域を超えた広域対応も必要である。
  • このような観点から、被害者の保護から自立までのより円滑な支援に向けた連携及び情報共有体制を構築する。

C 現状

1 取組の経緯

京都府では、DV防止法の施行(※)前から、「婦人相談所」においてDV関連相談や一時保護を実施するとともに、府・市町村等の相談機関による「女性のための相談ネットワーク会議」を定期的に開催し、連携を図ってきた。
平成14年4月には配偶者暴力相談支援センター(以下「DV防止センター」という。)を設置し、相談、保護、自立支援等の体制整備を図った。
また、関係機関の連携した取組を進めるため、DV対策の中心となる府民労働部、保健福祉部及び警察本部による連絡会議を設置し、施策の総合的、効果的な推進を図ってきた。
更に、平成15年度からは、女性総合センターに、DVに特化した専門相談窓口(DVサポートライン)を開設するとともに、自立支援のためのグループカウンセリングなどを開催する一方、DV防止センターにおいては、増大する被害者と同伴児童への支援策(一時保護委託先の確保、通訳の派遣、保育士の配置、府営住宅への優先入居等)の充実を図ってきた。
これらの取組により、相談支援機関同士、あるいは、DV防止センターと警察、福祉事務所、母子生活支援施設等との連携が進むとともに、民生児童委員など、地域の支援機関等の認識が進み、支援を必要とする人に必要な情報が届く体制ができつつある。

※DV防止法:平成13年10月13日施行
ただし、DV防止センター等に係る規定は平成14年4月1日施行
平成16年12月2日一部改正法施行

2 相談件数等の推移

DV防止センターや女性総合センターにおける相談件数が増加、特にDV防止法施行後に急増した。別紙(1)(2)
また、一時保護件数及び同伴児童数も増加した。別紙(1)
これは、取組の推進に伴い、それまで潜在化していた被害が顕在化した側面もあると考えられる。
警察におけるDV事案検挙件数や裁判所における保護命令も増加している。別紙(3)(4)

参考:別紙(PDFファイル、43KB)(PDF:48KB)

3 DVの実態

  • DV被害者は、若年者から高齢者までの各世代に渡るとともに、障害のある人、外国人、男性なども含まれ、また、子どもが暴力の対象となる場合や、被害者がさらに子どもを虐待する場合があるなど、被害の様相は複雑・多様であり、また、緊急保護や広域対応を要するケースもある。
  • 逃げない・逃げられない被害者
    ・恐怖感
    「逃げたら殺されるかもしれない」という強い恐怖感から家を出る決心がつかないこともある。
    ・無力感
    暴力を振るわれ続けることにより、「自分は配偶者から逃げられない」「助けてくれる人は誰もいない」といった無気力状態に陥ることがある。
    ・複雑な心理
    「暴力を振るうのは私のことを愛しているからだ」「いつか変わってくれるのではないか」との思いから被害者であることを自覚することが困難になっていることもある。
    ・経済的問題
    配偶者の収入がなければ生活することが困難な場合は、今後の生活を考え逃げることができない場合もある。
    ・子どもの問題
    子どもがいる場合は、子どもに対する暴力への恐怖や、逃げた場合の就学の問題などが気にかかり、逃げることに踏み切れないこともある。
    ・失うもの
    仕事を辞めなければならなかったり、これまで築いた地域社会での人間関係など失うものが大きいこともある。
  • 子どもへの影響
    ・DVに巻き込まれ直接の被害者となる
    ・DVの目撃者となることによる精神面への影響(DVは子どもに対する虐待に当たることが、児童虐待の防止等に関する法律第2条で明記された。)
    ・DV被害者である母親に虐待される等、親の心理的不安定による養育への影響
  • 加害者
    ・加害者に一定のタイプはなく、年齢、学歴、職種、収入などは様々である。
    人あたりが良く、社会的信用もあり、「家で暴力をふるっているとは想像できない」と思われる人もいる。
    ・罪の意識は薄く、被害者を自分の所有物のように考えるケースも見られる。
    「自分はやっていない」という否定・否認、「たいしたことではない」という矮小化・過小評価、「被害者が悪いから」「酔っていたから」という責任転嫁・正当化
    ・暴力をやめたいと思いながらやめられずに悩む加害者もいる。
  • 二次被害
    被害者支援の役割を担うべき公的機関の職員等が、DVに対する理解不足からくる不適切な言動等により二次被害を発生させる場合もある。

D 計画の内容

1 DV被害に気づく環境の整備

(1)暴力に苦しむ被害者の気づきから相談に向けた情報提供

主な取組

  • 啓発リーフレット、DV防止センターのしおりの作成配布(府民向け)
  • DV被害者サポートブックの作成配布(支援機関向け)
  • その他女性向けの講演会、各種広報紙誌による広報啓発、民間支援団体等が行う啓発事業への協力等

課題

啓発リーフレット等の配布先は行政窓口が中心であり、すべての被害者に情報提供を行うという意味では未だ不十分である。
また、暴力に苦しみながらも、配偶者には従わなければならないという思いから、それがDVであることに気づかない被害者や、無力感に陥り相談機関等に相談しようとする意欲すら持てない被害者も少なくないというDV被害の特性を考慮し、暴力に苦しむ被害者が被害に気づき、相談機関等に相談できるよう、従来の枠を超えた啓発・情報提供が必要である。

今後の取組

  • 各種相談機関、医療機関、子育て関連施設等被害者が立ち寄る可能性のある場所に、気軽に手にできるカード等の啓発媒体(DVの様々な事例や、相談窓口の名称、受付時間、電話番号等を示したもの)を配備し、常時、継続的に情報提供できる仕組みを作る。
    例:公共施設やスーパーのトイレなどに設置する、小児科・産婦人科等の診療所に配布し、妊婦検診、婦人科検診、乳幼児健診等の際に受診者に手渡してもらうなど
  • 集中的に広報啓発活動を行う期間を設け、DV根絶の機運を高めるとともに、被害者が参加する可能性のある講習会等(育児講座、防犯教室等)を活用して広報啓発を実施する。
    ※「女性に対する暴力をなくす運動」期間:毎年11月12日~11月25日

(2)早期発見(通報)できる環境整備

主な取組

  • 京都府医師会に対し、法に基づく医師の通報、情報提供の努力義務についての協力を依頼
  • 「女性のための相談ネットワーク会議」へ医師や弁護士等の参加を適宜求め、相談窓口における様々な問題について情報交換を実施

課題

被害の早期発見に関わることが期待されるあらゆる機関(福祉施設、教育機関、消防(救急)等)にも協力依頼等を行っていく必要がある。
通報はDV防止法に基づく義務(努力義務)であるが、被害者の意向や心理状態等も配慮すると困難な判断を迫られることもあるので、被害者の早期発見に関わることが期待される機関や地域住民が、DV被害を見逃さず、被害者に的確な情報提供を行い、その意向や二次被害の防止等に十分に配慮しつつ、DV防止センター等へ確実につなぐことができる環境を整備する必要がある。

今後の取組

  • 被害者の早期発見に関わることが期待される機関向けの実践的な対応マニュアルを作成・配布する。
  • 被害者に接する可能性のある関係機関(消費者相談等)向けに、DVに対する理解、対応方法等に関する研修を実施し、DVを早期に発見し、DV防止センター等との連携を強化する。
  • 児童虐待の背後にあるDV被害に気づき、DV被害者の保護とそれに伴う児童への対応等について関係機関の連携を強化する。
  • 府民に、「通報」の趣旨等を広く周知するとともに、被害者を理解し、孤立させない地域社会づくりの啓発を行う。

(参考)
【女性のための相談ネットワーク会議の構成】
女性総合センター、婦人相談所、警察本部、京都市女性総合センター、市町村女性相談担当課
(オブザーバー)
京都府女性政策課、京都市男女共同参画推進課、ウイメンズカウンセリング京都、財団法人京都犯罪被害者支援センター、京都弁護士会、京都府医師会、母子生活支援施設

2 暴力を許さない環境づくり

様々な場での研修・啓発の強化

主な取組

  • 男女共同参画や人権問題に係る研修の一環としてのDV研修の実施
  • 啓発リーフレット、DV防止センターのしおりの作成配布、各種広報紙誌による広報啓発(再掲)

課題

「DVは犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である」ことに対する社会的理解を十分に高めるためには、なお一層の取組の強化が必要である。
DVに限らず、児童虐待やいじめなどが増加する中で、暴力をなくすための教育の徹底や意識の醸成が必要である。
また、DV被害者が自立し地域で安全に生活するためには、加害者への再発防止のための取組が必要である。
他の分野の計画等においても、DV防止、被害者保護の趣旨が踏まえられる必要がある。

今後の取組

  • 集中的に広報啓発活動を行う期間を設け、DV根絶の機運を高めるとともに、被害者が参加する可能性のある講習会等(育児講座、防犯教室等)を活用して広報啓発を実施する。(再掲)
  • 大学や企業等においても、人権研修等の一環として、DVや児童虐待などの問題も取り入れるよう働きかける。
  • 地域においても、家庭内暴力を許さない地域づくりのための啓発を行う。
  • 保育所、幼稚園、学校などあらゆる場を通じて、暴力に頼らず互いを尊重する関係を築き、いのちと人権を大切にする心を育むための取組を一層推進する。
  • 加害者が暴力から脱却するための取組について検討する。
  • 府、市町村等の各種計画等においても、DV防止、被害者保護の趣旨を十分踏まえ策定するよう積極的に働きかける。

3 総合的な相談・保護体制の充実

(1)相談体制の充実・強化

主な取組

  • DV防止センターにおける婦人相談員の増員、休日・夜間の電話相談、婦人相談員研修
  • 女性総合センターにおける「DVサポートライン」(電話専門相談)、弁護士による法律相談
  • DV被害者支援専門研修(市町村担当者、府保健所婦人相談員等を対象とした知識の習得及び実技演習)
  • 市町村相談員等の養成研修
  • 警察本部及び警察署における相談担当者の配置、女性職員による対応等

課題

被害者の状況に応じた的確な相談対応を行うには、地域バランスにも配慮しつつDVの専門相談体制をより強化するとともに、児童相談所や弁護士、専門医等の専門機関との連携を一層強化する必要がある。
同時に、身近な窓口で気軽に相談でき、必要な情報を得ることができる体制の充実も必要である。

今後の取組

  • 府の専門相談体制及び機能を強化する。
  • 専門研修及び実践マニュアルの作成、配布等により、市町村等を含め相談員の資質向上を図り、二次被害を防止する。
  • 市町村におけるDV対策の推進を働きかける。(相談窓口の明確化、相談体制の整備、庁内関係課の連携強化等)
  • 府、市町村等の相談窓口担当者の連携を図り、被害者の安全確保と確実な保護のための体制を確立する。行政と民間支援団体等の連携も強化する。

(2)緊急保護の充実

主な取組

  • DV防止センターにおける監視カメラ等の整備、居室の増設、臨床心理士等によるカウンセリング、一時保護委託先施設の確保
  • 警察による被害者の保護並びに警察、市町村、府保健所等相談窓口からDV防止センターへの被害者の移送
  • 保護命令申立てに関する情報提供、保護命令発令時における警察と連携した被害者の安全確保・支援
  • その他被害者の心身の回復及び一時保護を終えた後の自立支援に関する情報提供・助言

課題

DV防止センターは、昼夜を問わず被害者を緊急に一時保護できる体制を整備しているが、被害者の入所が増大する中、保安体制の一層の強化が必要となっている。
また、民間シェルターにおいても被害者を保護し被害者支援に重要な役割を担っていることから、その保安体制も課題である。
DV防止センターでの一時保護は、被害者の求めに応じて柔軟に行っており、緊急を要する場合は、警察の協力を得て移送を行っているが、引き続き被害者の安全確保や安全な移送を強化する必要がある。
また、DV防止センターでは、一時保護期間中、被害者等に対するカウンセリングや保護命令、退所後の住宅確保等に関する情報提供・助言を行い、被害者保護のため関係機関と個別に連携を図っているが、加害者の執拗な追及等深刻なケースの増加に伴い、迅速かつ的確な被害者保護が図られるようきめ細かな対応が一層求められる。
なお、DV防止センターの一時保護所においては、中高生に達した同伴男児の入所が困難であることから、これらの児童を同伴する被害者の一時保護先の確保についても検討する必要がある。

今後の取組

  • 被害者を保護する施設の防犯機能を強化する。
  • 被害者の移送方法の確立及びその安全対策を強化する。
  • 被害者の状況に応じたカウンセリングの徹底を図る。
  • 複雑で深刻なケースに対応するため、一時保護機能を充実する。
  • 男性児童等を同伴しているためにDV防止センターでの一時保護が困難な被害者について、一時保護委託先を確保する。
  • 被害者を保護する施設と被害者の自立に必要な施策等を実施する関係機関等との連携を強化し、円滑な被害者支援を図る。

(3)同伴児童等への支援(DV家庭に育つ子どもたちへのケア)

主な取組

  • 一時保護所において日常的な保育を通して、児童の心の安定に向けた支援
  • 一時保護中の同伴児童の就学への配慮

課題

児童の心の安定に向けた支援を引き続き充実させるとともに、一時保護所を退所した後の児童等に対する継続的・専門的なケアや、被害者が避難する際に同伴できなかった児童等に対する支援も必要である。同伴できなかった児童へのケアを行うに当たっては、被害者と加害者が接触することがないよう十分配慮することが必要である。

就学年齢に達している児童については、引き続き学校等の協力を得て学校での学習の機会が確保できるよう配慮していく必要がある。

今後の取組

  • 児童相談所等との連携を強め、児童の立場に立った対応を行う。
  • 被害者の育児の適応不足や虐待等児童に対する影響が大きい場合、児童相談所等と連携した児童の保護や心のケアの充実・強化、保育や就学支援の体制を強化する。
  • 同伴児童等への就学等に関する柔軟な取扱いや加害者の追及に対する適切な対応の一層の徹底を図る。(保育所、学校等との連携)

(4)外国人、障害者、高齢者、男性被害者等への配慮

主な取組

  • 外国語版リーフレット(英語、ハングル、中国語)の作成配布
  • 外国語版京都府ホームページでの啓発
  • 外国人支援団体への通訳、翻訳の依頼(保護命令、離婚手続等)
  • 精神的に不安定な被害者及び同伴者への精神科医師の診察

課題

日本語を十分理解できない外国人や障害のある人、高齢者は、通常の啓発媒体、啓発ルートでは十分情報が伝わらず、迅速かつ適切に相談・保護を受けることが困難な状況にあり、関係支援機関等に協力を求めながら、より効果的な啓発方法、支援の仕組みを検討する必要がある。
また、現在、一時保護所等は、原則として女性を対象とした施設・設備であり、男性被害者の保護等についても対応できるようにする必要がある。

今後の取組

  • 外国人支援団体と連携した相談対応を検討する。
  • 障害のある人、高齢者及び男性被害者などDV防止センターでの保護が困難な被害者のための一時保護委託先を確保する。
  • 外国語及び点字による制度の紹介、各種手続の説明等を掲載したリーフレット等を配布する。
  • 障害者・高齢者等福祉施設との連携による被害者等への継続的なケアを行う。

4 自立のための継続的支援体制の確立及び関係機関の連携強化

(1)支援策の充実・強化

主な取組

  • 被害者に対する福祉制度等に関する情報提供、助言
  • 被害者の自立支援のための福祉事務所等関係機関との調整
  • 府営住宅優先入居の活用、民間賃貸住宅への入居に関する情報提供等
  • 同伴児童等の就学に関する情報提供等
  • 各警察署での被害者からの申し出による援助
  • 保護命令、離婚、養育費、在留資格等に関する情報提供、法律相談等
  • 住民基本台帳閲覧制限等に関する情報提供等

課題

被害者が社会的に自立し安心して生活するためには、経済的支援、住宅の確保、養育、心のケアなど様々な支援が必要であり、状況に応じて、福祉、就労、就学等の施策が迅速かつ的確に利用できることが重要であり、福祉事務所を始めとする関係機関等が連携し、一体となって支援していく必要がある。
また、保護命令、離婚、養育費、在留資格等の法的課題の解決や、同伴児童等の心のケアなど専門的な立場からの支援を一層充実させることも必要である。

今後の取組

  • 被害者の状況に応じた生活保護・母子福祉施策等の支援策が、迅速かつ的確に利用できるようDV防止センターと福祉事務所との連携強化等支援のためのネットワークを構築する。
  • 一時保護から社会的に自立した生活に向かう上で有益な「ステップハウス」の機能の整備について検討する。
    ※ステップハウス=一時保護の後に住居の確保が困難な被害者が、自立のため住居を定めるまでの間滞在する居住施設
  • 府営住宅優先入居等の充実を図るとともに、その他の事業主体に対しても、優先入居等について働きかける。
  • 同伴児童の就学等を確保するため保育所、学校等との連携を一層強化する。
  • 被害者の離婚、子どもの親権等法的問題を解決するための司法手続に関する支援を充実・強化する。
  • 関係機関の連携強化及び被害者の個人情報保護に関する周知徹底を図る。(被害者情報が加害者に知られることの防止、加害者対応における連携強化)

(2)生活の確立と心身回復へのサポート

主な取組

  • DV防止センターにおける継続的な被害者への相談対応(退所者対象)
  • 女性総合センターにおける被害者向けのグループワーク(被害者同士の交流によるエンパワーメント、自立支援)
  • ハローワーク、母子家庭等就業・自立支援センター(府及び京都市設置)による就業支援等
  • 母子家庭のための職業訓練、給付制度に関する情報提供
  • DV被害者サポートブックの作成配布(再掲)

課題

被害者が安定した社会的自立を得るためには、就労支援などに加え、長期にわたる被害のために生じた健康被害や、PTSD(外傷後ストレス障害)などの心理的障害に対して、快復状況に応じ、効果的な支援を継続して行うシステムが必要である。
また、単身の被害者は、母子家庭支援施策としての就労支援、職業訓練制度等を利用できないので、このような被害者も必要な支援が受けられるようにすることが必要である。

今後の取組

  • 被害者の社会的自立を継続的に支える(コーディネートできる)人材を養成、配置する。
  • グループワーク、ピア・カウンセリング※による心理的ケアの充実を図る。
    ※ピア・カウンセリング=同質(類似)の問題を持つ者同士の分かり合い・支え合いにより潜在能力や可能性を取り戻そうとする活動。お互いが聞き役・話し役になって、必要な援助を与え合うもの(岩波女性学事典より)
  • 同伴児童等への継続的な心のケアを行う。
  • 単身被害者を含めた就業支援・職業訓練施策を一層充実する。

(3)関係機関の連携強化

主な取組

  • DV防止センターにおける関係機関との個別の連携
  • 住民基本台帳閲覧制限等に関する連携(市町村、警察、DV防止センター等)

課題

被害者が早期に心身の回復を図るためには、相談、保護から被害者の社会的自立までの各段階を通じた一貫した支援が必要である。
このため、被害の気づき、相談対応、一時保護、自立へ向けての準備を経て、被害者が社会的自立を遂げるまでの各支援機関の役割に応じたネットワークの形成が重要である。

今後の取組

  • 被害者支援をワンストップ※で実施するため、被害者ニーズを的確に把握し、必要な支援策を円滑に提供できる体制を確立する。
    ※ワンストップ=一つの窓口で相談することにより必要な情報や支援が受けられること。
  • 市町村におけるDV施策の推進・連携体制の整備を働きかける。
  • 行政機関と民間支援団体等の機能やノウハウを生かした連携を推進する。

5 被害者の状況に応じた支援体制の推進

(1)民間支援団体との連携・支援

主な取組

  • 女性総合センターにおけるNPO法人等との各種啓発事業の共催、啓発資料の作成委託、DV専門相談の委託
  • 「女性のための相談ネットワーク会議」への民間支援団体の参画による連携、情報交換
  • DV防止センターにおける民間シェルターへの一時保護委託
  • 京都市における民間シェルターへの家賃補助

課題

社会福祉施設や民間支援団体は、既に被害者支援に大きな役割を担っているので、府は、これらの団体等が独自のノウハウや機能を十分に発揮できるよう配慮し、協働して被害者支援を図ることが必要である。
また、被害者の状況によっては、民間支援団体等による対応が効果的な場合もあるため、DV防止センターを経由しない保護、支援のルートについても検討していく必要がある。

今後の取組

  • 民間シェルター等への一時保護委託を充実する。
  • 民間支援団体等の職員への研修を実施する。
  • 民間シェルター等の退所者等が、各種公的施策を利用できるよう必要な情報提供を行う。
  • 行政と民間支援団体等が協働して被害者支援を行う中で、事業の委託実施等を行う。

(2)都道府県間の広域連携体制の確立

主な取組

  • 他の都道府県での一時保護の受入、児童福祉施設等への入所について、個別に各都道府県と調整

課題

被害者をより安全に保護するためには、時には、他の都道府県への一時保護や児童福祉施設等への入所を依頼する必要があるが、各都道府県において費用、入所手続等に関する取扱いが異なるため、緊急時の迅速な対応等に支障が生じる場合があり、一元的なルールを設けることが望まれている。

今後の取組

  • 都道府県間での迅速かつ効率的な被害者の受入等に向け、近隣府県と協議を行うとともに、具体的な府県間のルール作りについて国に対し提案、要望を行う。

(3)苦情処理体制の整備

主な取組

  • 京都府男女共同参画推進条例に基づき、京都府が行う男女共同参画の推進に関する施策などについての苦情の受け付け
  • DV防止センターにおける一時保護所入退所者へのアンケートの実施と苦情への対応
  • 加害者からの苦情への対応(DV防止センター、警察、市町村等)

課題

DVに対する理解不足等から、相談機関や一時保護機関、民間支援団体等で二次被害が発生する可能性がある。これを防止するために、職員に対する継続的な研修を行うとともに、二次被害が起こった場合に適切な対応がとれるシステムを整備する必要がある。

今後の取組

  • 京都府の施策等について、京都府の関係機関内に苦情担当を設置し、苦情に迅速かつ適切に対応するとともに、公正な視点で苦情処理を行えるよう体制を整備する。
  • 市町村等に対しても、苦情の迅速、適切、公正な処理体制の整備について働きかける。

お問い合わせ

文化生活部男女共同参画課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4293

danjokyodo@pref.kyoto.lg.jp