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丹後の海の生き物(クルマエビ2)

栗田湾で9月に漁獲されたクルマエビ

  3月中旬、栗田湾で体長5cmほどのクルマエビが放流されました。昭和56年に京都府栽培漁業センターが開所し、京都府で栽培漁業が本格的に開始されるよりも早く、昭和49年から38年間も続く稚エビの放流です。放流後うまく生き残り、順調に脱皮して成長すると夏から秋には、体長15cmほどの商品サイズ(写真)になって漁獲されます。
  クルマエビは、舞鶴湾、栗田湾、宮津湾で漁獲されるクルマエビ、ヨシエビ、クマエビ等クルマエビ科のエビの中で最も市場価値が高く、エビ刺網の漁獲対象です。クルマエビは、昭和30年代後半から瀬戸内海を中心に種苗生産・放流が始まった栽培漁業のトップバッターですが、京都府でも内湾漁業振興の対象種として、栗田湾において、水産業改良普及事業の一環として刺網漁業者らが中心になって、昭和49年から稚エビの中間育成・放流の取組が開始されました。昭和50年代後半には6トン前後まで漁獲が増えましたが、最近では数百kgと10分の1ほどで低迷しています。内湾の漁場環境が変わって、クルマエビの生息に向かなくなったのか他の原因があるのか、残念ながら本当のところはよくわかりません。
  稚エビ放流の効果を調べるため、脱皮しても落ちない標識方法として、平成10年ころ、株式会社環境総合テクノスと共同で尾肢切除標識法を開発、今でも各地で標識放流調査の手法として利用されています(クルマエビ豆知識もご覧ください)。


    (平成24年3月28日 中路 実)

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