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丹後の海は、いま(丹後のハタハタ)

  今年は初春から底曳網によるハタハタ漁が好調で、丹後のスーパーでは例年よりも安い値段で売られている。1~3月頃に水揚げされるハタハタは体長15-16 cm前後の2歳魚が主体である。2歳になると雌雄で成長差が生じ、雌が雄に比べ少し大きくなる。ちなみに、ハタハタは外観で雌雄を見分けることができる。肛門近くの腹部を圧迫して、肛門から小さい生殖突起が出てくれば雄である。4月頃には2歳魚に加え、体長10-11 cm前後の1歳魚が水深200 m付近のハタハタ漁場に来遊してくる。底曳網には1歳と2歳魚が混じって入るため、船上では乗組員が大きさを基準に選別する。一網で数百キロ水揚げされることもあり、選別は重労働となる。海洋センターでは未成熟な1歳魚を保護し、この選別作業の軽減を目的に、小さいハタハタを逃がすための網目の大きさを調べた。現在は最適な網目を使って漁が行われており、以前のように小さいハタハタが大量に水揚げされることはなくなった。

  ハタハタは3歳で大部分が親魚となり、12月頃に磯の海藻に卵を産み付ける。丹後沖に来遊するハタハタの産卵場は、これまで韓国沿岸と言われていたが、最近の研究で主に秋田沿岸であることが分ってきた。秋田では「しょっつる鍋」の材料となる20 cmを超える大型のハタハタが水揚げされるが、丹後沖ではこのような大型を目にすることは稀である。丹後沖で保護されたハタハタが、生まれ故郷の秋田に帰って産卵し、再び多くの子供が丹後沖に来遊することを望みたい。

 ハタハタの選別ハタハタの測定

(平成24年4月20日京都新聞掲載 京都府農林水産技術センター海洋センター 宮嶋俊明)

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