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丹後の海の生き物(タツノオトシゴ)

タツノオトシゴの写真

  タツノオトシゴは、ヨウジウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に属する魚の一種です。魚ではありますが、その姿から想像できるように、遊泳能力は低く、背びれを使ってふわりふわりと泳ぎます。浅い海の海藻などにくるりと曲がる尾で体を固定し、長く伸びた吻(ふん)(口)で動物プランクトンやヨコエビなどの小型甲殻類を捕食します。タツノオトシゴがこのような変わった体形に進化した理由は、獲物を待ち構えて捕らえる捕食スタイルにあると考えられています。タツノオトシゴの胴が馬に似た形に湾曲していることに加えて、細長い吻をさらに前方へ突き出せる構造を持つことから、より遠くの獲物を獲れるということが、最近の海外の研究で明らかになりました。また、周囲の色彩に合わせて体色を変えることもでき、オレンジや黄、緑など鮮やかな色で私たちの目を楽しませてくれます。写真の個体は、阿蘇海に生育する紅藻のオゴノリに付いていたものです。幼魚ですが、体色はオゴノリと同じ赤っぽい色になっており、よく見なければ海藻に紛れて見逃すところでした。阿蘇海の藻場にある豊富な餌で立派に育つことを願って、撮影後、海に帰しました。

 

(平成24年2月1日 谷口千恵)

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