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丹後の海の生き物(トコブシ)

トコブシ

  ナガレコとも呼ばれるこの貝は、アワビと言う名は付いていませんが、クロアワビやメガイアワビと同じアワビの仲間です。しかし、他のアワビ類ほど大きく成らず、成貝でも殻長は7センチ程度です。クロアワビと同様に沿岸の岩礁帯に生息していますが、京都府では水揚げされていません。トコブシ漁は関東以西の太平洋側を中心に古くから行われており、種苗を生産して放流している都県もあります。
  形はクロアワビやメガイアワビに似ていますが、殻の表面にある呼水孔(こすいこう)と呼ばれる孔の数が異なります。クロアワビなどでは4~5個ですが、トコブシでは7個前後です。この孔は、呼吸や老廃物の排出、精子や卵を放出するためのもので、成長に伴い新しい孔が開き、一定数の孔を残して古いものから閉じていきます。
  産卵期は他のアワビ類と比べて早く8~10月頃です。この時期にやって来る台風が刺激となって、一斉に放精、放卵を行います。ただし、波の強さや気圧の低下など、具体的に台風の何が刺激になっているかまではわかっていません。

京都府立海洋センター技師 白藤徳夫
(平成19年6月27日、京都新聞掲載)

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