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伊根

場所

伊根町鷲崎地先

みられる海藻

みられる海藻

植食動物の摂食圧が強い藻場

 藻場の海藻は、アワビ、サザエ、ガンガラなどの巻貝類やウニ類などと、食うー食われるの関係にあります。そのため、藻場の様子は植食動物の生息量によって変わります。植食動物の食べる量が海藻の生産量を上回ると、無節サンゴモに覆われた磯焼け状態になることがあります。
 伊根湾から少し外海側には、貝類やウニ類が多く、アワビも種苗放流されており(図1)、これらの植食動物が多い藻場があります。この藻場では、岩の頂部にヤツマタモクなどの多年生ホンダワラ類だけが取り残されたように生育していました(図2、3)。また、頂部以外の場所はほとんど無節サンゴモに覆われていました。おそらく、硬く直立した茎を持つ多年生ホンダワラ類だけが植食動物の摂食をまぬがれ、それ以外の小型海藻は食べられてしまったのではないかと思われます。
 しかしながら、植食動物が活動しにくい波打ち際や砂地に囲まれた石には、ソゾ類、テングサ類(図4)、アカモク(図5)の幼体が見られました。また、摂食忌避物質を持つため食べられにくいウミウチワが岩一面を覆っていました(図6)。
 ホンダワラ類が一面を覆う藻場と比べると、伊根地先のこの藻場は大型海藻の量がかなり少ないように見えます。しかし、この藻場はアワビやウニなどが多く生育しており水産にとって重要な藻場でもあります。実際には、大型海藻が少ない状態で毎年きちんと維持されているのかもしれませんが、継続的に調査してみないとわかりません。各地点の藻場には、それぞれの維持機構があると考えられますが、それらを正確に理解して、藻場の生き物を漁獲したり、種苗放流計画をつくることが必要です。

種苗放流されたクロアワビ(殻が緑色になっている)やオオコシダカガンガラ

図1 種苗放流されたクロアワビ(殻が緑色になっている)やオオコシダカガンガラ(2006年8月10日調査)

ヤツマタモクだけが残り、ほとんどが無節サンゴモで覆われている様子ヤツマタモクだけが残り、ほとんどが無節サンゴモで覆われている様子

図2,3 ヤツマタモクだけが残り、ほとんどが無節サンゴモで覆われている様子(2006年8月10日調査)

波打ち際のテングサ類砂地に囲まれた石にアカモクの芽生えが見られた

図4(写真左) 波打ち際のテングサ類(2006年8月10日調査)
図5(写真右) 砂地に囲まれた石にアカモクの芽生えが見られた(2006年8月10日調査)

植食動物に食べられにくいウミウチワは岩の一面を覆っていた

図6 植食動物に食べられにくいウミウチワは岩の一面を覆っていた(2006年8月10日調査)



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