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京丹後市久美浜湾

場所

京丹後市久美浜町久美浜湾

みられる海藻

閉鎖性の強い内湾の藻場

 久美浜湾は日本海と狭い水路で通じている閉鎖性の強い内湾です。このような湾は京都府では久美浜湾と阿蘇海が有名です。久美浜湾は閉鎖性が強いうえに河川水が流入しているので、藻場ができるような浅場の塩分が外海よりも低くなります。そのため久美浜湾の藻場も外海のものと異なるのではないかと考えられます。2005年10月12日に久美浜湾を1周して藻場の概要を調査したので紹介します。<BR>
 久美浜湾で最も目立つ海藻(草)はアマモです。神崎から兜山の裾野の間は岸から300mほど沖に出ても水深1.5mぐらいで、一面がアマモ場になっていました(図1)。このアマモ場の構成種は、水深0.5〜1mではコアマモが多く、水深1〜2mではアマモが多かったのですが両種は混ざり合っていました(写真1)。また水深1.5〜2.0mにはウミヒルモも生育していました(写真2)。コアマモはアマモ類の中で最も塩分の低い場所に分布する種で、内湾部のほかに四万十川の河口や宍道湖などの汽水域にも生育しいます。<BR>
 一方、水深1m以浅の岩や転石などの固い基質上には、フシスジモク(写真3)が優占しウミトラノオ(写真4)も生育するホンダワラ藻場が形成されていました(写真5)。舞鶴湾や宮津湾では内湾の浅い場所には、ウミトラノオとともにミヤベモクが生育しており、久美浜湾でフシスジモクとしたものも当初はミヤベモクではないかと考えていました。しかし、久美浜湾のものは、茎の長さ、葉の大きさ、主枝の下部にトゲがあることなどの形態的特徴がミヤベモクと異なり、今のところフシスジモクではないかと考えています。しかし、久美浜湾のフシスジモクは外海域のものより、葉・茎・枝が小ぶりでかなり印象が異なっていました。<BR>
 このように久美浜湾の藻場の構成種やその形態は、外海のものといくつかの点で違いが見られます。また、今後より詳しく調べれば生態的な違いも明らかになるでしょう。このような違いを久美浜湾の環境と対応させて検討するのはこれからの課題です。宮津湾の大部分は砂地の海岸です。そのため、宮津湾には、石や岩などに生える海藻ではなく、アマモやコアマモのように砂や泥に生える海草(海藻と区別するためにあえてウミクサと呼びます)の藻場がみられます。

宮津湾のアマモの分布
図1 久美浜湾におけるアマモ類の分布(2005年10月12日調査)

コアマモ  
写真1 アマモとコアマモ(細い葉のもの)の混生群落

  アマモ場のメバル稚魚
写真2 砂地に生えるウミヒルモ (2005年10月12日撮影)


写真3 フシスジモク (2005年10月12日撮影)


写真4 ウミトラノオ (2005年10月12日採集 押し葉標本)


写真5 久美浜のホンダワラ藻場(2005年10月12日 神崎にて撮影)


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