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丹後の海の生き物

ワレカラ

ワレカラ

 ワレカラは海藻などに付着して生活している数mmから数cmの小さなエビの仲間で、丹後の海ではごく普通に見られ、アリカラとも呼ばれています。
 現代人にはあまりなじみがありませんが、「われから」の語感が面白いためか、意外と多くの平安歌人によって歌われています。ワカメなどの海藻類は、現代ではかなりきれいに洗浄されて食卓にのぼります。しかし当時は、獲られた状態に近いまま食卓にのぼり、それらに付着した小さなワレカラを目にする機会が多かったのでしょうか。注意深く観察していると、ワレカラは細長い体の前後の脚で、まるでシャクトリムシのようにして歩きます。またその姿はよく見るとカマキリにも似ています。これをかわいいと感じる人と気持悪いと感じる人に大きく分かれるようです。
 なお、ワレカラはあまりにも小さいために食用にはなりませんが、藻場に住む稚魚の大切な餌となっています。

 京都府立海洋センター 主任研究員 藤原正夢
 京都新聞掲載


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