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京都府レッドデータブック2015

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双翅(ハエ)目 クロバエ科

カエルキンバエ

Lucilia (Bufolucilia) chini Fan, 1965
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 情報不足(DD)

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選定理由

全国的に著しく減少していると見なされる。京都府では1968年以前の文献記録があるのみで、以降今回の調査を含め再発見されていない。また京都府は、この種の最も西限の記録である。

形態

体長5~7mm。やや小型のキンバエである。メスと同様オスも離眼的。身体は金緑色の金属光沢をもつ。腹部の第1から2節(癒合して1節となっている)は紫黒色で、第3節後縁にも紫黒色の狭い縁取りがある。また腹部第3節(見かけ上の第2節)後縁には一対の長大な正中辺縁剛毛をもつ。キンバエ類は互いに極めて類似していて同定が難しいが、本種は最後の記したこの正中辺縁剛毛の存在によってすべてのキンバエから容易に区別できる。

分布

国外では中国。日本では本州の茨城、千葉、東京、埼玉、神奈川、石川の各県。

◎府内の分布区域 京都府は文献記録に「京都」とのみあって、詳細は不明。

生態的特性

本種の幼虫の生態は不明。ただし本種が属するカエルキンバエ亜属は世界から他に2種知られていて、それぞれヒキガエルやカエルの生体に寄生することが確認されている。したがって本種も同様な生態をもっていることが推察されるが、実際に観察されたわけではなく、確認のための調査を要する。成虫は水田や池の周辺や河岸の草上に見られ、ミミズ、貝、魚、カエルなどの死体に集まるという(腐敗物には普通集まらないとの説もある)。本来こういった湿原的環境が本種の主たる生息地であったらしい。

生息地の現状

いずれの地域でも個体数が著しく減少していることが指摘され、1990年代以降の調査ではまったく再発見されていない。唯一の例外は埼玉県で、複数の平地の水田や池周辺に比較的普通に見られると記述されている。これは別として、わが国で最初に発見された石川県では、1950年代には金沢市付近の水田地帯に普通に見られたという。千葉県でも同様に1970年代まで記録されているが、1994年から1997年にかけての専門家による詳細な調査でも発見されていない。このような点から、一部の例外的な地域を除けば、かつてのように普通に見られる種ではなくなり、意図的な調査でも再発見できないほどに減少している。原因は不明であるが、もしも推測のとおりカエルに寄生するものであれば、カエルの減少が直接の原因と考えられる。そして少なくとも、農薬の投与を含め水田の環境の変化が遠因となっているだろう。京都府では、2002~2014年の調査でもこの種にも注意を払い、特に河岸・湿地での調査を行ったが、再発見はできなかった。ただし調査地点が少ないため、より広範囲かつ詳細な調査を行う必要がある。

生存に対する脅威

周辺を含めた環境の劣化。

必要な保全対策

さしあたり再発見のための調査が必要。

文献 玉木(1997)、徳本(2000)

執筆者 大石久志

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