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地質

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含放散虫珪質頁岩とジュラ紀放散虫

京都府カテゴリー

要注意

2002年版 要注意 2002年版を参照する
京都市右京区保津峡

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分類

岩石 化石

細分

堆積岩 放散虫

時代区分

中生代ジュラ紀中新世

地域

京都市右京区保津峡

選定理由

丹波帯のジュラ紀新世の放散虫を含む典型的な珪質頁岩で、かつアプローチが容易なことから、観察の適地となっている。

分布

西南日本では内帯の丹波~美濃帯、外帯では秩父帯、また東日本では足尾帯、北部北上帯のⅠ型地層群相当層分布域。

丹波帯には古生代石炭紀からジュラ紀新世に至る丹波層群が分布する。このうちⅠ型地層群は三畳紀からジュラ紀中世までの層状チャートと整合的に重なる黒色頁岩、タービダイト砂岩で構成される。南丹市美山町五波谷林道、京都市右京区八丁林道、芦見谷林道などで典型的なものが見られる。

特徴(特異性)

ジュラ紀の層状チャートの上位に整合的に重なる、暗緑色ないし暗灰色の頁岩。風化すると明緑褐色を呈する。放散虫遺骸と細粒の砕屑粒子を多量に含む。丹波層群の遠洋性堆積物であるチャートを堆積しつつある海洋底がプレートの移動にともない陸域に接近しつつあるとき、陸源の細粒砕屑物と放散虫遺骸が混合したもの。丹波帯では保存のよい放散虫化石を大量に含有している。Isozaki and Matsuda(1980)は本層よりArchaeodictyomitra sp.、Sticocapsa convexa、S. japonica、Mirifusus(?)sp.等の放散虫化石を見出しており、ジュラ紀新世に相当するものと思われる。

丹波帯のⅠ型地層群は丹波層群の中では構造的下位に位置するため、変形や熱による変質が進み、本岩相のような豊富な放散虫化石を産出する頁岩は少ない。アプローチが容易であることでもあり、保存されることが必要である。

現状

京都市右京区の鳥居本より亀岡市水尾に至る道沿いに露出する。JR山陰本線保津峡駅より、橋を渡った地点である。現状では露頭のある部分が狭い道路横の小スペースとなっており、岩盤も比較的安定しているので、露岩として放置された状態である。

保存に対する脅威

道路は京都市~亀岡市の間道の一つであり、また水尾への観光道路ともなっている。しかし道路幅が狭いため自動車の離合が困難なところが多く、拡幅や改修が進みつつある。すでに道路側壁の安定化のため全面的に遮蔽されてしまっている部分もある。本露頭もこのままの改修が進めば、遮蔽されることは時間の問題となっている。

必要な保存対策

本地域は侵食の激しい地域で、岩盤の風化も弱い。したがって適切な勾配で道路わきの側面を施工すれば、アンカー工法による全面遮蔽は避けられる。アンカー工法にかかる多大の工事費用の替わりに、ゆるい斜面による工事により、露頭の保全も可能である。

地質文献一覧

執筆者 武蔵野實

保津峡泥岩中の放散虫化石。顕微鏡写真。右端はRistola altissima、中央下段がArchaeodictyomitra

保津峡泥岩中の放散虫化石。顕微鏡写真。右端はRistola altissima、中央下段がArchaeodictyomitra

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