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京都府レッドデータブック2015

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地質

ぺるむきびかせき

ペルム紀微化石

Streptognathodus elongatus, Pseudoalbaillella sakmarensis

京都府カテゴリー

消滅危惧 

2002年版 要注意 2002年版を参照する
宇治市志津川、池ノ屋川沿い神女神社東

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分類

化石

細分

コノドントおよび放散虫

時代区分

古生代ペルム紀

地域

宇治市志津川、池ノ屋川沿い神女神社東

選定理由

丹波帯のペルム紀チャートで生層序の記載されている貴重な露頭であり、保全される必要がある。

改訂の理由

2012年の水害により志津川から喜撰山ダムに抜ける道路がほぼ流失している。露頭付近の道路はほぼ流されて跡形もないことから、生活道路である道路復旧をどのように行うかで、本露頭の存続が決定される。貴重な露頭であるため、露頭観察できるような復旧が望まれる。

分布

ペルム紀のチャートは丹波~美濃~足尾帯の混在岩中にブロック状やレンズ状に認められている。

ペルム紀のチャートは府内に多く存在し、京都のチャートによってペルム紀放散虫化石層序の研究がはじまった(Ishiga and Imoto 1982)。しかし、一露頭でペルム紀の化石が多産し層序を確認できる岩体はこの地点以外に見いだされていない。2012年の豪雨水害により下位側の石炭紀の露頭が現れ、石炭紀との連続が明らかとなり保存の重要性が増した。

特徴(特異性)

国内で見いだされているペルム紀のコノドント化石の産出のほぼ全てをカバーできる極めて珍しい露頭である。風化したドロマイトは、観賞用の水石として珍重され、本露頭を含めて近辺に3か所ほど採取場所がある。

化石産出地点はⅡ型地層群に属している(楠 1989)。産出化石はStreptognathodus elongates Gunnell、Sweetgnathus whitei(Rhodes)、Diplognathodus augustus Igo、Neogondolella bisselli(Clark and Benken)などのコノドント、Pseudoalbaillella sakmarensis(Kozur)、Follicucullus scholasticus Ormiston and Babcockの放散虫化石など多様な微化石を産出する。とくにStreptognathodus cristellaris Chernykh and Reshetkova は日本で見つかっているペルム紀コノドントで最も古い。なお、転石のドロマイトからはフズリナ化石が見いだされている(楠 2001)。ペルム~石炭紀境界付近の化石も産出しており、学術的に重要である。今後、ペルム紀の海洋底で起こったさまざまな事象を研究する上で学術的に極めて重要な露頭となるばかりでなく、アプローチが簡単で研究、教育に生かせるため保護の必要がある。

現状

志津川と池ノ屋川の合流地点の西にある神女神社に分布するチャート露頭は、金網がかけてあるのみで、20年前から変わっていない。

京滋バイパスが通ってからは、この周辺地域も、旧道とはやや離れたところに新道ができて、住宅地が広がって変化しはじめている。神女神社付近の道は、池尾へ抜ける近道でありながら、自動車のすれ違いができないほど狭く、道路の重要性が増すと拡幅する可能性が大きい。

保存に対する脅威

道路拡幅工事にともなう露頭の破壊および被覆が脅威となる。

必要な保存対策

拡幅工事にともなう露頭の被覆を極力行わない工法が望まれる。

特記事項

約25年前に調査を行った状態とは、露頭の一部に網がかけられているかいないかの違いだけであり、その他人為的な改変はない。チャートは堅く風化に強いので、吹きつけや大きな改変を加えない限り現状で保存できることが多い。

地質文献一覧

執筆者 楠利夫

宇治市志津川の石炭紀新世からペルム紀古世のコノドントを産出するチャート部分

宇治市志津川の石炭紀新世からペルム紀古世のコノドントを産出するチャート部分。2012年の水害により露頭は破壊されたが、逆に石炭紀新世の露頭部分が新たに露出している

宇治市志津川のペルム紀コノドントを含むチャートの崖

宇治市志津川のペルム紀コノドントを含むチャートの崖

宇治市志津川のペルム紀コノドント

宇治市志津川のペルム紀コノドント。走査型電顕写真。大きさは1mm程度。左から、Streptognathodus elongatus、Sweetgnathus whitei、Diplognathodus augustus、Neogondolella bisselli、Neogondolella sp.

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