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京都府レッドデータブック2015

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地質

ぴーてぃ(ぺるむき─さんじょうき)きょうかいふきん

P/T(ペルム紀─三畳紀)境界付近

京都府カテゴリー

要注意 新規

2002年版 リスト外
福知山市三和町菟原下

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分類

構造

細分

堆積構造

時代区分

古生代─中生代

地域

福知山市三和町菟原下

選定理由

世界的に見てもペルム紀─三畳紀境界の連続露頭は珍しく、国内では四国の1個所で見られるに過ぎない。

改訂の理由

近年発見された希少な露頭。

分布

深海底におけるP/T境界露頭存在の可能性としては、丹波─美濃─足尾帯および西南日本外帯の秩父類帯に分布するペルム紀層状チャートや三畳紀チャートにともなわれる砥石型珪質頁岩と黒色有機質泥岩が相当すると考えられる。府内産地は、京都市右京区の芦見谷、兵庫県篠山市、宇治市志津川、宇治田原町、亀岡市東別院などが知られている。

特徴(特異性)

約160年前にロシアのウラル山地西麓でペルム系が、ドイツ南部で三畳系が定義されて以来、P/T境界露頭は中・古生代研究者が可能性のある世界中の浅海成層の地域を探査したが未発見であった。いっぽう、1980年代中頃からP/T境界付近の微化石層序(コノドントや放散虫化石など)が確立され、1990年代に深海底のチャート─珪質頁岩層のP/T境界層探査がはじまり、日本のような中生代の付加体に多く見出されるメランジュブロックとしてのペルム紀~三畳紀のチャート岩体が注目された。しかし、日本のP/T境界層連続露頭は四国の秩父帯で1か所見出される(山北 1987)のみで、本露頭は岩相と化石の根拠によるとP/T境界の連続露頭ではないが、その最も近い有機質黒色泥岩を含むペルム紀側からの貴重な露頭であることが判明している(山北 1993)。ちなみに、国際地質学連合によるP/T境界層のGSSP(世界標準模式地点)は、近年Yin et al.(2001)によって発見された南中国浙江省にある連続露頭と指定されている。

現状

国道9号の菟原から南へ友渕川を渡ったところが菟原下である。薬師谷林道入り口付近であるため、自動車で露頭前に止めることも可能である。貴重な露頭であるが、論文に付されたGPSの位置情報を基に簡単にアプローチできるため、地質関係の研究会や学会、大学の研究などで訪れ、さまざまな目的で利用可能な状況で、露頭は次第に破壊されつつある。周辺に民家はあるが、貴重な露頭であることを知る人は皆無である。

保存に対する脅威

採集が自由のままであると、研究機関関係の研究者、研究会の巡検や標本業者、化石マニアなどが来て破壊されてしまう可能性がある。また、都市近郊であるため開発には注意を要する。

必要な保存対策

調査による採取位置を公開せず、立て札などで採集の自粛を促しできる限り現状保存が望まれる。

特記事項

人為的破壊が進みつつある。

地質文献一覧

執筆者 楠利夫

桑原希世子ほか(1991)のスケッチ部分の露頭写真

桑原希世子ほか(1991)のスケッチ部分の露頭写真

露頭写真の右上矢印部分の拡大露頭写真で、試料採取のため開けられたボーリング試料のランダムな痕跡が多数認められ、人為的な破壊が進む

露頭写真の右上矢印部分の拡大露頭写真で、試料採取のため開けられたボーリング試料のランダムな痕跡が多数認められ、人為的な破壊が進む

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