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京都府レッドデータブック2015

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地形

あまのはしだて

天橋立

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要注意

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宮津市

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分類

海岸地形

細分

砂州

地域

宮津市

選定理由

京都府の自然を代表する典型的かつ貴重な地形。地域において生活と密着した存在であるものやランドマークとして親しまれている地形。

概要

日本三景の一つ天橋立は、宮津市江尻から南の文珠にかけて延長約3.6km、幅20~150mで宮津湾と阿蘇海を隔てる砂州である。百人一首の歌にも詠まれ、雪舟が「天橋立図」を描くなど、古くから人々に親しまれてきた地形である。
江尻付近や小天橋砂州北部では5cm以上の円礫が見られる。砂州南部には「磯清水」と呼ばれる真水の湧き出す井戸が知られる。天橋立のクロ松を育てているのは、砂州の地表下60~120cm以下に存在する地下水(宙水)で、磯清水もその地下水に由来する。この地下水は、海水に挟まれた砂州内では真水の地下水がレンズ状に存在するという「ガイベン・ヘルツベルクのレンズ」という現象で説明できる。

天橋立の砂州は、日本の他の多くの砂州とは違い、砂州両側の海底の勾配は際立って急傾斜で、砂州の核となる最終間氷期の堆積物は見られない。砂州の基部は宮津湾の水深約20m付近の海底から立ち上がっており、8~9千年前の海水面上昇の停滞期に形成がはじまった可能性を示す。また、砂州の内側に形成された海跡湖も、日本の海跡湖の中では、面積に対して最大水深および平均水深の値が著しく大きい(平井 1994)。第二次世界大戦が終わった頃から、砂州が侵食されはじめ、天橋立が消滅する危険性が出てきた。これは天橋立北側の畑川、世屋川、波見川などに砂防堰堤が多く造られるようになり、漂砂の材料となる砂礫の供給が減少したためである。

1951年以降、天橋立に砂州とは直角方向に侵食防止のための突堤を築いたため、景観を著しく悪化させた。1987年からは、海底の砂を回収し、砂州の付け根の沖合に投入するサンドバイパスを行って、人工的に砂州地形の維持に努めている。天橋立南端付近の人工堤防で囲まれた水路を通じて、観光船やニッケル鉱石を運ぶ艀船(はしけ ぶね)が頻繁に往来している。

関連法令

自然公園法(丹後天橋立大江山国定公園)、文化財保護法(特別名勝)

5万分の1 宮津

5万分の1 宮津

宮津市 日本三景の天橋立 文珠より江尻方面を見る

宮津市 日本三景の天橋立 文珠より江尻方面を見る

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