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種子植物概要



 種子植物概要

1.京都府内の絶滅が危惧されている種子植物の状況

 京都府内に自生していたことが確認された種子植物約2300種類(種、亜種、変種、品種を含む)の中、62種類
は既に絶滅して見られなくなった。そして、157種類はなんらかの保護策を講じなければ姿を消していくという、
まさに絶滅寸前にあり、また141種類は絶滅が危惧される状態にあることがわかった。さらに準絶滅危惧種として
近年急に少なくなっているものを合わせると、その数は440種類にのぼり、府内に野生している全種類の約22%
にあたる。その大部分は草本であり、水湿地や草地に遺存していたと考えられるものが多い。湖沼や海岸、山頂
付近の自然草地、崩壊地などは地形的に木がはえない所であり、耕作地や堤防、牧場、採草地や道端などは人工
的草苅りが行われるために木が生きられないで草地となっている場所である。草地にはえる植物は強い陽光が必
要で、木が茂る林の中では生存できない。こうした草地にはえている草本植物の中で絶滅が危惧される種の多く
はアジア大陸にも分布しており、かつて日本が大陸と一体であった時代に共通する大陸の草地に分布していた古
い植物ではないかと思われる。日本が大陸と陸続きであれば、冬は中国東北部あたりの気候が卓越していたと考
えられ、よく似た植生があったと思われる。日本が大陸から海で隔てられ日本海に暖流が流れ込むようになって
からは、冬も湿潤、温暖となり、環境の変遷に伴って植物相も変わってきたにちがいない。
 人間が林を伐採して耕作を始める以前は、火山や洪水などでできた裸地や湿地、岩場で木がはえることができ
ない草地などが、陽地性植物の生育を可能にしてきたと思われる。農耕によって人工的に維持されてきた草地は、
それらの種の一部にとっては、河原や海岸の砂地とともに生育可能な場所であったにちがいない。人工的に維持
されてきた日本の草地は、火入れや草刈りが行われなくなると、立地条件がよいので、外来の大型草本が侵入し
たり、植生の自然遷移が進んで樹木が茂るようになり、日陰で生育できなくなってきたのが絶滅危惧植物に多い
ように思われる。
 また、本州中部地方以北ではシラビソやオオシラビソなどのはえる亜高山の林縁にはえている種が、標高わず
か数百mの落葉樹林に生えていた例(エゾフウロ、ヤマオダマキ、レイジンソウ、ルイヨウショウマ、エゾエン
ゴサク、エゾノヨツバムグラ、ホタルサイコ、イブキボウフウ、マツムシソウ、ノコギリソウ、コメススキ、ア
ツモリソウ、ノビネチドリなど)もある。これらの中には今は絶滅して見られないが、標本として残されていて、
数十年前までは確実に府内に生き残っていた種があることもわかった。同じように本州中部地方以北の亜高山帯
の湿地や草原に今も多く生えている植物が、府内では渓谷の滝のかかった絶壁にあるわずかな岩上の草つき(モ
ミジカラマツ、チョウジギク)、水が沁み出している澤地(クサレダマ、エンコウソウ、ミズチドリ)、ミズゴケ
の生えた湿地(ノハナショウブ、ホロムイソウ、ミツガシワ)など、標高わずか百mにも満たない地にさえ生き
残っているのが目立つ。これらの種は過去の環境を示す重要な生きた証拠である。
 水田や低湿地には南方系の小さい水田雑草が多いが、1960年頃以後農薬(除草剤)の使用や農業形態の変化、
経済の高度成長に伴う生活形態変化などに伴う排水によって水質の汚濁が進み、絶滅した種類も多い。
 南部地域では大型ニュ−タウンの開発が進み、痩せた丘陵のアカマツ林の間にあった小規模湿地の多くが潰さ
れ、サワシロギク、サギソウ、トキソウ、ノハナショウブ、ホシクサ類、シンジュガヤ類など多くの希少種が
消滅した。
 今回のレッドデ−タ調査によって、立地条件のよい場所はいくつかの優先種によって占められ、植生は発達す
るが植物相は貧弱となり、立地条件の悪い場所ほど優先種が入れないため、かえって植物相は豊富で種の多様性
に富んでいることがわかった。
 シバは運動場、公園、道端など、ある程度人に踏まれる広場にはどこにでも普通にある植物と思われていたが、
最近多くの場所から姿を消しつつある。運動場や公園にはシバのはえるような場所はなくなり、ゴルフ場やシバ
生と称するグリ−ンの広場にはコウライシバや人工的に交配して作り上げた雑種のシバが用いられている。競技
場には時に人工シバさえ登場する。農道や堤防の路面はアスファルトで舗装され、路肩はコンクリ−ト製の縁石
や側溝で固められ、法面は外来の雑草が茂ってシバの生える余地はない。このような状況を認識していただくた
めに、シバを要注目種として取り上げた。



2.種の選定基準

1 絶滅種 過去に府内に記録または標本があり、竹内敬(1962)京都府草木誌以後府内で確認情報がないもの、
  または、それ以後でも生育環境が消滅して生存の可能性がなく、現在も確かな情報が得られなかったものを
  絶滅種とした。
2 絶滅寸前種 現在府内に野生しているが、その生育地や固体数が極めて少なくなっているもので、このまま
  では近い将来に絶滅する危険性が高いと考えられるものを絶滅寸前種とした。これはあくまで京都府内の
  現状で、全国的に環境省カテゴリ−でCR(絶滅危惧IA類)とされていても、府内では比較的に個体数が多く、
  あちこちに見られるものはこの中に含めなかった。
3 絶滅危惧種 府内に野生している植物の中で、産地や個体数がここ十数年の中に明らかに減少していると思
  われ、このままではいずれ絶滅寸前となると考えられるもの。生育地はごく限られているがそこでは
  個体数が多く、すぐには絶滅する危険性が少ないと判断したもの。たとえば、キクガラクサは標本が採集
  されてから70年ぶりに生育しているのが今回の調査で確認された(村田ほか、2001)。そこでは数百個体
  以上広がっているのが確認できたが、その場所は1箇所だけでスギの植林地の林道の側であった。
  スギが伐採され搬出が行われたら絶滅の可能性があると考えられるので、このランクに入れた。
  また、生育地はあちこちに知られているが、多くの産地で個体数が極めて少なくなっているものも
  このランクに含めた。 
4 準絶滅危惧種 比較的個体数が少なく、現時点では絶滅危険度は低いと思われるが、環境条件の変化によっ
    ては上位ランクに移行すると考えられるもの。
5 要注目種 上記ランクとは関係なく、京都府が分布の端にあたる種、普通にどこにでもあると思われている
  種で、近年急に少なくなったもの、学術上注目すべきもの、その他外来植物で異常繁殖が見られ在来種との
  関係で注目すべきものなど、分布や生態上注目すべきものを取り上げた。



3.選定種判定のプロセスと概要

 今回の調査には6名が調査員として担当した。その内2名は環境庁のレッドデ−タブック作成にあたっても委
員として関係した。4名は環境庁委託の京都府生物多様性調査の植物調査に調査員として関係し、3年間にわた
り手分けして、京都府立植物園、大本花明山植物園、京都市青少年科学センタ−に保管されている、京都府内か
ら採集された全種の標本について調査し、カ−ドに記入した。また、1名は京都大学理学部植物学教室に保管さ
れている京都府産全種の標本を調査した。これらの標本調査の資料は、このたびの京都府レッドデ−タブック作
成の基礎として大いに役立った。ここに標本管理に努力されている各機関の関係者各位に対し厚く感謝の意を表
したい。
 選定種の決定及びランク分けについては、各調査員が今までの標本調査や現地調査の経験を生かし、今回さら
に情報の不十分な地域を手分けして補足調査を行った結果を持ちよって、3回にわたって分科会で検討した。こ
こに記した京都府カテゴリ−は、あくまで京都府における植物の危惧される危険状態を示したものである。近畿
地方や各府県の既に発行されたレッドデ−タブックはたいへん参考になった。環境庁編:改訂・日本の絶滅のお
それのある野性生物8−植物 I(維管束植物)2000は参考にしたが、必ずしもそれには従わなかった。その理由
は、各府県における実情は必ずしも全国的視野から見た印象とは一致しないからである。従って、環境省のカテ
ゴリーにあって京都府カテゴリーにないもの、またその逆の場合もあり得るのである。種の認定は必ず標本で再
確認した。



凡 例

1.絶滅種、絶滅寸前種、絶滅危惧種、準絶滅危惧種、要注目種のカテゴリー毎に、科以上は分類順に下等から
  高等(使用の便を考えて環境庁自然保護局編「植物目録、1987」と同じ)に配列した。
2.科の中の属や種は学名のアルファベット順に配列した。
3.種の同定は標本によった。絶滅したものなどで文献によったものはその文献を引用して出典を示した。( )
  の中は引用文献を示す。
4.学名は国際命名規約に照らして正しいと判断したものを用いた。多く用いられている異名は( )の中に示
  した。これらはどちらも現在使用できる学名である。
5.分布は国内だけでなく世界的な分布範囲を示し、日本固有種を明示した。
6.絶滅したものは過去の生育地を示したが、その他のものは府内の分布地域を示すにとどめた。
7.形態等の記述はスペ−スの関係で最小限にとどめ、必要な図や記載の出ている図鑑や重要な参考文献を直接
  参照頂けるよう該当種の出ている頁やNo.までを下に略記した。
8.京都府カテゴリー:シダ植物・種子植物分科会でまとめたもので、本書で初めて用いたものである。要約す
  ると次の通りである。
   絶滅種:府内では絶滅したと考えられる種
   絶滅寸前種:絶滅の危険性が極めて高い種
   絶滅危惧種:近い将来における絶滅の危険性が高い種
   準絶滅危惧種:絶滅の危険性が高くなりつつある種
   要注目種:上記のカテゴリーとは関係なく、分布や生態その他の観点から注目すべきものである。
9.環境省カテゴリー:改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物2000−レッドデータブック−8 植物I(維
  管束植物) 環境庁自然保護局野生生物課編集(財団法人自然環境研究センター発行)に用いられているカ
  テゴリーを参考のために併記した。内容は野生生物の概要参照。
10.近畿レッドデータブックカテゴリー:改訂・近畿地方の保護上重要な植物−レッドデータブック近畿2001
  レッドデータブック近畿研究会編著(財団法人平岡環境科学研究所発行)に用いられているもので、京都
  府カテゴリーの種にないものは省略した。



(参考)
「近畿レッドデータブックカテゴリー」
カテゴリー
内   容
絶滅種
近畿地方では絶滅したと考えられる種
絶滅危惧種A
近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
絶滅危惧種B
近い将来における絶滅の危険性が高い種
絶滅危惧種C
絶滅の危険性が高くなりつつある種
準絶滅危惧種
生育条件の変化によっては「絶滅危惧種」に移行する要素をもつ種
                             執筆者 村田 源
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