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淡水産貝類概要



 淡水産貝類概要

1.京都府の淡水産貝類相
 確認された淡水産貝類は、巻貝3目10科29種、二枚貝3目4科18種(亜種を含む)の計47種である。このうち
サガノミジンツボとナカセコカワニナは府内の産地を模式産地として新種記載がなされた種である。外来種はス
クミリンゴガイやカワヒバリガイなど7種が確認された。
 府内の水系は、淀川水系、由良川水系と日本海に流入するその他の小河川に大別できる。淀川水系の流域は京
都府のおよそ1/3の面積を占めるにすぎないが、ここにはイシマキガイを除くすべての種が生息しており、また
ナカセコカワニナやオグラヌマガイなどの13種はこの水系の固有種である。タテボシガイは近江盆地の固有亜種
であるが、おそらく幼生が寄生した魚類が琵琶湖疏水を通じて府内に移入し、定着したと考えられる。
 由良川水系も淡水産貝類相は比較的豊かで、巻貝9種、二枚貝5種が確認された。クロダカワニナ、ヒラマキ
ミズマイマイ、オバエボシガイ、カタハガイ、マツカサガイ、イシガイの6種は確認できなかったが、支流の竹
田川の兵庫県側には生息記録があり(余田、1977)、府内にも分布している可能性が高い。したがって、由良川
水系には巻貝11種、二枚貝9種が生息していると考えられる。
 その他の小河川の淡水産貝類相は貧弱で、確認できたのはイシマキガイ、カワニナ、サカマキガイ、ヒメモノ
アラガイ、モノアラガイの5種であった。イシマキガイは他の淡水産貝類と異なり、幼生が海に下る両側回遊型
の種で、府内では舞鶴市の伊佐津川と与保呂川の2ヶ所で確認されているにすぎないが、今後詳しく調べればま
だ他の小河川でも見つかる可能性は高い。


2.種の選定基準
 種の選定に当たっては、
1)京都府内の生息地が限られ、絶滅の危険が増大している、
2)個体数が非常に少ない、
3)かつては普通種であったが、最近は著しく減少している、
4)隔離分布をするなど、全国的にみて特異な分布をする、
5)京都府が模式産地になっている、
6)情報が不足している、
7)生態系に影響を与えるおそれがある、
という7つの事項に配慮した。そして、京都府のカテゴリー定義にしたがって、府内での記録が少なく、かつ近
年の生息が確認されていない種を絶滅寸前種、府内での生息地が限られ、個体数が少ないか減少している種を絶
滅危惧種、府内における個体数がもともと少ないか近年著しく減少している種を準絶滅危惧種、情報が不足して
いるか生態系に大きな影響を与えるおそれのある種を要注目種とした。



3.選定種の概要
 府内で確認された47種から、絶滅寸前種5種、絶滅危惧種9種、準絶滅危惧種3種を選定した。このうち12種
は巨椋池に生息していた種で、これらの種の絶滅の危険が増大した一番の要因は巨椋池の干拓である。そのほか
に要注目種として4種を選定した。
 絶滅寸前種のうち、ナガタニシとオトコタテボシガイの2種はこの数十年間、府内での生息が確認されていな
いが、琵琶湖から移入してくる可能性があるため、絶滅種とはしなかった。オウミガイも近年の生息記録がない
が、微小な貝類のため、調査時に見落としている可能性が高い。しかし、いずれにせよこれら3種の生息個体数
は極めて少なく、絶滅寸前の状態であると考えられる。カワネジガイとヒダリマキモノアラガイは個体群の消長
が激しい種で、以前に記録された場所ではその後確認されていないが、思いがけない場所で再発見される可能性
がある。
 絶滅危惧種のうち、ナカセコカワニナは宇治市の宇治橋付近を模式産地として新種記載された種である。分布
域は確実に縮小し、個体数も減少傾向で、絶滅が危惧されている。オグラヌマガイは巨椋池にちなんで和名が付
けられた種であるが、巨椋池以外の府内における生息記録がなく、絶滅が危惧されている。その他の種も生息地
が限られ、現存個体数も少なく、絶滅の危機にある。
 準絶滅危惧種のうち、マルタニシはかつては普通種であったが、圃場整備の進行によって近年著しく減少して
いる。クロダカワニナとマツカサガイは府内ではもともと生息個体数が少なく、生息環境がこのまま悪化してい
けば、絶滅が危惧されるようになる。なお、モノアラガイ、カラスガイ、トンガリササノハガイの3種は、環境
省のレッドリスト2000年版において準絶滅危惧種となっているが、府内ではこれら3種の生息域は比較的広く、
個体数もそれほど少なくないため、京都府版のレッドデータブックでは選定しなかった。
 サガノミジンツボは京都市嵯峨天竜寺芒ノ馬場町を模式産地として新種記載された種である。地下水中に生息
するため情報が不足しており、要注目種に選定した。
 スクミリンゴガイ、カワヒバリガイ、タイワンシジミの外来種3種は生態系に影響を及ぼすおそれが高いため、
要注目種に選定した。スクミリンゴガイは水生植物を食害し、他の微小巻貝類の生息場所を破壊するおそれが高
い。カワヒバリガイは1990年以降に侵入してきた固着性の二枚貝である。固着性であるため、他の底生生物の生
活場所を創設する働きもある。その一方、寄生性の吸虫(腹口類)の第一中間宿主となり、メタセルカリアが第
二中間宿主のコイ科魚類に重篤感染して魚類を斃死させることもある。タイワンシジミには2倍体と3倍体が見
つかっているが、倍数性に関係なくすべて雄性発生による単為生殖で個体数が急激に増加している。また、カワ
ヒバリガイもタイワンシジミも生息密度が高く、同じ濾過食性の二枚貝と餌を巡って競合し、在来種の生息に大
きな影響を与えている。

                                執筆者 近藤 高貴
	
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