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精華町祝園地区調査


調査日第1回:平成12(2000)年5月22日(月)、第2回:6月20日(火)、
第3回:7月18日(火)、第4回:8月24日(木)、第5回:9月28日(木)
場 所精華町祝園地区内のため池及びその周辺地図
参 加昆虫II分科会(吉安裕、藤井恒、田端修)
昆虫III分科会(荒谷邦雄、水野弘造、沢田佳久、藤井伸二)
両生・は虫類分科会(田辺真吾)
種子植物・シダ分科会(高木俊夫、光田重幸、田中徹)
生態系専門委員会(木幡欣一)
淡水魚類分科会(細谷和海、中村聡一、辻野寿彦)
調査目的
精華町祝園地区内にあるため池は、管理区域として人の立入が制限されてきたため、移入種の少ない一昔前の自然が残されているとされている。このため、未調査のこの地域に希少な動植物種が残存している可能性があることから、昆虫類や淡水魚類など合同で現地調査を行った。

調査内容


[1]両生・は虫類分科会   執筆者:田辺真吾

調査日 第1回:5月22日
調査者 田辺真吾
概 要  2000年5月22日の一斉調査の際には、両生類5種(ニホンアマガエル・ニホンアカガエル・トノサマガエル・ウシガエル・シュレーゲルアオガエル)、は虫類2種(イシガメ・カナヘビ)の生息を確認した。なお、ニホンアカガエルの成体1個体は標本として持ち帰った。
調査方法  調査は、ため池の周囲やその周辺の林床・林縁・草地等を踏査して、両生類・は虫類の発見に努めた。発見した種については、種名や個体数、確認した場所、環境等を記録した。
両生・は虫類相の特徴(調査結果)  今回の調査では、両生類ではカエル類5種、は虫類ではイシガメ、カナヘビを確認したのみであった。確認種が比較的少なかったのは、調査が気温の高い日中に行われたことも原因と考えられる。なお、確認種のうち、ウシガエルは移入種である。両生類のうち、ニホンアマガエルは林内で1個体の鳴き声を確認したのみであったが、周辺の水田地帯には広く生息していると考えられるし、調査地内の水たまりや湿地でも繁殖している可能性が高い。ニホンアカガエルは道路沿いの草地で成体1個体のみを確認した。本種は林床や草地に生息する種であることから、調査地内には生息に適した環境が多い。たぶんため池や周辺の水たまりで繁殖しているものと考えられる。トノサマガエルは道沿いの水たまりや湿地の周辺で成体や幼体を確認した。ため池の周囲では生息を確認できなかったことから、周辺の水田で繁殖している個体が生息しているものと考えられる。ウシガエルはため池で成体数個体と多数の幼生を確認した。シュレーゲルアオガエルは道路沿いの水たまりや湿地で幼生を確認した。は虫類のうち、イシガメはため池で成体3個体を確認した。カナヘビは調査地域の隣接地で成体1個体のみを確認した。調査地内のため池は、林に囲まれており、浅瀬もあることから、本来は両生類やカメ類の生息にとって良好な環境であったと考えられるが、現在では、ウシガエルが生息しているために、在来種の生存が脅かされている。これくらいの規模のため池であれば、トノサマガエルなどの生息も可能と考えられるが、今回の調査では全く確認できなかったし、確認した幼生はすべてウシガエルのものであった。周辺の林はコナラなどの二次林や竹林が優占しており、両生類やは虫類にとっては良好な環境と考えられた。道沿いに連なる小規模な湿地環境や水たまりは、カエル類にとって重要で、今回の調査でもトノサマガエルの幼体やシュレーゲルアオガエルの幼生を確認した。また、早春にはニホンアカガエルの繁殖も行われている可能性がある。今回の調査は、気温の高い昼間の短時間に行われたものであることから、生息しているにもかかわらず、確認できなかった種のいることが予想される。特に、府南部地域の丘陵地で記録のあるカスミサンショウウオやニホンヒキガエルなどの希少種や、今回の調査では全く確認できなかったヘビ類などの生息している可能性が残る。
必要な保全対策  開発のめざましい京阪奈丘陵においては、両生類やは虫類の生息に適した環境が急速に減少している。今回の調査では、周辺地域に広く生息していると考えられる種しか確認できなかったが、本調査地は両生類・は虫類にとって貴重な生息環境を含んでいることが明らかになった。したがって、ため池や周辺の林、道沿いの湿地環境を可能な限り現状のままで保全しておくことが望ましい。なお、移入種であるウシガエルは他の在来種に及ぼす悪影響が大きいので、駆除することが望ましい。


調査内容


[2]淡水魚類分科会   執筆者:細谷 和海

調査日 第2回:6月20日
調査者 細谷和海、中村聡一、辻野寿彦、近畿大学農学部水産学科学生8名
概 要  木津川水系周辺の他の環境とは遮断されているため池環境として選定し調査を行った。調査地点はいずれも腐食した落葉が底に1mほど堆積していた。
調査方法 投網、タモ網、網モンドリによる採集。
調査結果
:淡水魚類相の特徴
採集物トウヨシノボリRinogobius sp. OR 234個体

調査した池では、トウヨシノボリが確認されたのみで、ため池で通常見られる淡水魚の生息環境としては良好とはいえなかった。
ため池1
(ため池1)
ため池2
(ため池2)

調査内容


[3]昆虫 III分科会  執筆者:荒谷 邦雄

概 要  平成12年5月22日及び6月20日の2度の調査を実施。戦前から管理区域として厳重に管理され、人の立入が制限されてきたため、移入種が少なく良好な里山環境の自然が残されていると期待された精華町祝園地区に関して甲虫類及び直翅類相の調査を行った。
調査者 荒谷邦雄(5月22日のみ)、水野弘造(5月22日、6月20日)
調査方法  大型種に関しては目視による観察、捕虫網等による採集を、小・中型種に関しては捕虫網によるスィーピングや叩き網を使用した採集を行った。また、地表性や落葉中の微少甲虫類は篩(ふるい)を用いて選別・採集を行った。水生甲虫類に関しては水網による捕獲を試みた。さらに、腐朽材中の甲虫相の調査も行った。
調査結果  平成12年5月22日の調査では30科72種、同6月20日の調査では15科32種(かなり前回と重複)の甲虫類が確認された。いずれも特別に注目すべき甲虫は採集できなかったが、記録の空白地のため、すべての種についての新記録地となった。5月22日の採集品の中では、ヒメカンショコガネ、マメダルマコガネ、ヒメコブスジコガネ、キボシアトキリゴミムシなどが府内ではやや少ない種と見られる。アリヅカムシ類については専門学会誌に同定結果が近く発表される。甲虫相は宇治市天ケ瀬とほとんど共通しており、府南部低地二次林(里山林)の典型とみなされた。
昆虫調査
(昆虫調査)


[4]確認種名リスト


1 種子植物
(42種)
草本ヒヨドリバナ、コウゾリナ、ブタクサ、ササユリ、ニガナ、タチイヌノフグリ、
ツボミオオバコ、ソクシンラン、オッタチカタバミ、ニワゼキショウ、
ショウジョウバカマ、アオツヅラフジ、オオジシバリ、ヒメジオン、
ハハコグサ、オカトラノオ、ノアザミ、チガヤ、カナビキソウ、ヤハズソウ、
コハギ、メドハギ、チジミザサ、アレチマツヨイグサ、アレチヌスビトハギ、
キキョウ(絶滅危惧U類)、コガマ、ヒヨドリバナ、コマツナギ、ウド
木本ムラサキシキブ、タカノツメ、ヒメコウゾ、コバノガマズミ、ニガイチゴ、
ノイバラ、ネムノキ、フジ、タラノキ、ヤマナラシ、ウツギ、サルトリイバラ
2 シダ植物
(2種)
 ゼンマイ、ワラビ
3 昆虫類
(69種)
トンボ類オグマサナエ、コシアキトンボ、シオカラトンボ、イトトンボSP、
ホソミオツネントンボ、フタスジサナエ、サラサヤンマ、
クロスジギンヤンマ、シオヤトンボ、オオシオカラトンボ、ヨツボシトンボ、
ホソミイトトンボ、クロイトトンボ、オオヤマトンボ、ショウジョウトンボ、
モノサシトンボ、オオルリボシヤンマ、カトリヤンマ、オニヤンマ、
エゾトンボSP、ハラビロトンボ、ナツアカネ、マユタテアカネ、
ウスバキトンボ、コヤマトンボ(?)
チョウ類ナミアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、キチョウ、モンキチョウ、
ツマキチョウ、ベニシジミ、ルリシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、
ミズイロオナガシジミ、オオミドリシジミ、キタテハ、アカタテハ、
ヒメアカタテハ、ルリタテハ、オオムラサキ(準絶滅危惧)、コミスジ、
ミドリヒョウモン、ツマグロヒョウモン、コミスジ、アサマイチモンジ、
テングチョウ、ツバメシジミ、ヒメウラナミジャノメ、コジャノメ、ヒメジャノメ、
ジャノメチョウ、クロヒカゲ、ナミヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、
キマダラセセリ、コチャバネセセリ、クロコノマチョウ、ムラサキシジミ、
クロシジミ(絶滅危惧T類)、ヤマトシジミ、モンシロチョウ
甲虫類ヒメゲンゴロウ、マメゲンゴロウ
アメンボ類イトアメンボ、アメンボ
4 両生類
(2種)
 ウシガエル、トノサマガエル
5 淡水魚類
(1種199個体)
 トウヨシノボリ
6 甲殻類
(3種)
 アメリカザリガニ、スジエビ、ヌマエビ


キキョウやササユリなど、以前の里山では普通に見られたが、今では絶滅の危機に瀕している草本類などが 多く生育しているなど、良好な里地環境が維持されている。また、明治期以降に侵入したアメリカザリガニや ウシガエルなどの外来種は確認されたが、近年分布が拡大しているブルーギルやバス、アカミミガメは確認さ れないなど、ある時期で自然の攪乱が止まったため、戦前の生物相が今に残された貴重な自然環境である。 特に、ため池でエビ類が多く確認されたことは、農薬の散布がされていない良好な環境が維持されている証 拠であると思われる。
(確認数)種子植物・シダ植物44種、昆虫類69種、両生類2種、淡水魚類1種、甲殻類3種




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