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平安神宮調査

調査日平成12(2000)年7月15日(土)午前9時30分〜午後4時
場 所平安神宮(京都市東山区法勝寺町)神苑内の池及びその周辺地図
参 加淡水魚類分科会(細谷和海、中村聡一、林博之、足羽寛、辻野寿彦、 近畿大学農学部学生10名)、貝・甲殻類分科会(近藤高貴)、両 生・は虫類分科会(田辺真吾)、菌類分科会(吉見昭一)
調査目的 明治の代表的庭園として国の名勝に指定されている平安神宮の池 は、古くから疏水を通して琵琶湖の水を引いていたため、琵琶湖固有の 淡水魚類や淡水貝類が多く生息している。なかには、琵琶湖では既に 絶滅の危機に瀕している魚類なども多く残存し、貴重な湖沼生態系を維持していることから、 その実態と生息状況等を把握するため合同調査を行った。 なお、平成7年に滋賀県立琵琶湖文化館が調査した際には、11種の淡水魚類、4種の淡水 貝類が確認されている。

調査内容


[1]両生・は虫類分科会    執筆者:田辺真吾

調査者 田辺真吾
概要  2000年7月15日の一斉調査の際には、両生類1種(ツチガエル)、は虫類2種(クサガメ・スッポン)の生息を確認した。なお、ツチガエルの成体1個体は標本として持ち帰った。
調査方法  調査は、庭園内を踏査して、両生類・は虫類の発見に努めた。発見した種については、種名や個体数、確認した場所、環境等を記録した。
調査結果
:両生・は虫類相の特徴
 今回の調査では、両生類ではツチガエル、は虫類ではクサガメ、スッポンを確認したのみ であった。なお、神社関係者からは、イモリ、イシガメ、シロイシガメ、ヘビ類(おそらく アオダイショウ)などが生息しているという情報が得られた。両生類で唯一確認したツチガ エルは、西神苑の白虎池付近や周辺の小川などで、多数の成体、幼体、幼生を確認した。ま た、西神苑から中神苑へと続く小川にも幼生が多かった。神苑内の水辺に植栽されたハナシ ョウブの根際などは格好の隠れ場所となっており、ハナショウブやスイレンの繁った場所で 産卵が行われていると考えられる。庭園内の大きな池では、コイをはじめとする魚類やカメ 類が多数生息していること、開けていること、水深が深いことから、生息数は少ない。一 方、池周辺の小川の滞留部など湿性植物の繁茂する場所には個体数が多かった。な お、調査時には鳴き声が聞かれたことから、繁殖期であったと考えられる。本種は、1970年 代までは、京都市内の水路や溝などにも生息していたが、現在では周辺山麓部を除くと市街 地からはほとんど姿を消している。したがって、境内は市街地内の数少ない生息地といえる。 は虫類のうち、クサガメは栖鳳池で成体数個体を確認した。スッポンは栖鳳池で成体2個体、 南神苑の小川で成体1個体を確認した。カメ類は境内全域に多く、南神苑の土手や小松山付 近など数カ所で産卵場所が確認されている。また、栖鳳池の泰平閣の下では、観光客らがコ イに麩を与える場所があるが、クサガメやスッポンも麩を食べるために集まってくるのを観 察できた。庭園全体は人工的な環境といえるが、外敵となる捕食者の侵入が制限されること、 琵琶湖疏水を水源とする水や植物が豊富であることから、ツチガエルやカメ類の生息に適し た環境といえる。
必要な保全対策  調査地域は貴重な文化財であることから、大きな環境改変が起こる可能性は低い。したが って、今後は外部からの移入種の侵入や持ち込みなどに注意を払うべきである。神社内でも モリアオガエルの移植等が試みられたことがあるらしいが、そのような行為は専門家の意見 等を聞き、慎重に行うべきものであろう。

平安神宮魚類調査
平安神宮魚類調査
平安神宮魚類調査
平安神宮魚類調査
本殿北水路貝類調査
本殿北水路貝類調査

調査内容


[2]淡水魚類分科会    執筆者:細谷和海

調査者  細谷和海、中村聡一、林博之、東山憲行、足羽寛、辻野寿彦、 近畿大学農学部水産学科学生 10名
概 要  琵琶湖疏水を通じて琵琶湖起源の淡水魚が生息するが、現在は疏水とは隔絶されている社寺 内の池という環境が評価され、調査地に選定し、調査を行った。4つの池の環境は水深30〜 50 cm、泥底。池面積に応じて魚類の多様性に微妙な違いが見られた。
調査結果
採集物(4池の合計) コイCyprinus carpio 目視確認
 ゲンゴロウブナCarassius cuvieri 7個体
 ギンブナCarrassius sp. 16個体
 カワムツA型Zacco sp. 61個体
 タモロコGnathopogon elongatus 165個体
 モツゴPseudorasbora parva 158個体
 ゼゼラBiwia zezera 12個体
 タイリクバラタナゴRhodeus ocellatus ocellatus 118個体
 イチモンジタナゴAcheilognathus cyanostigma 84個体
 トウヨシノボリRhinogobius sp. OR 8個体

 平安神宮内池の魚類相調査はすでに1995年7月16日に琵琶湖文化館によってなされてい るが、ニゴロブナ以外については全種の生息を再確認した。本調査においてはニゴロブナ類 似のフナを採集したが、鰓把数、眼径、腸型等すべての分類形質を精査した結果、いずれも 体高の低いゲンゴロウブナであることが判明した。これらのことは当時の調査では栄養不良 のゲンゴロウブナをニゴロブナと誤同定した可能性がある。また、神宮管理者によりヤリタ ナゴの生息の可能性が示唆されたが、本調査では確認されなかった。平安神宮内池の環境か ら判断して、過去に琵琶湖疏水からの迷魚としてヤリタナゴが侵入したかもしれない。

ゼゼラ
(ゼゼラ)
カワムツA型
(カワムツA型)

調査内容


[3]菌類分科会    執筆者:吉見 昭一

調査者 吉見昭一
概 要  平安神宮内苑の生物調査は合同で各分科会が、平成12(2000)年7月15日(土)午前10時 30分から始められた。
調査結果  地下生の菌類を除いて、地上生、樹上生、腐植、落葉生のきのこ類を調査した。 全46種(地上生28種、樹上生12種、腐植層6種)であった。希種であるキタマゴタケは シイ林地で見られ、マツ林地にはテングタケやコウジタケ、庭園芝生にテングノシャモジ、 ツルタケダマシが生えている。カシの根元からマンネンタケが叢生し、大きいコフキサルノ コシカケが出ていた。ムラサキナギナタタケが初夏に発生しているのは陽当たりのよい場所 であると考えられた。その他、案内の方からオニフスベやノウタケ(たたくと胞子塊が粉状 になって飛散する)が発生することがわかった。午後続行した中できのこ類が9種採集され た。
必要な保全対策  内苑庭園は掃除が行き届き、落葉、小枝の推積物は少なく、そのために、ハナオチバタケ やアマタケ、カブベニチャ、オオホウライタケなどはなかった。庭園である整備が必要であ ろうが、樹下に伏せて、自然に分解するように保全し、庭園全域の養分を保持するように努 め、古木、樹上生のきのこを痛められないようにする必要がある。
特記事項  都心部に位置する平安神宮内苑は東山連峰から胞子が風、虫などによって大量散布され、 西からは京都御苑が近く、きのこの発生が多く、風によって散布される。いわば、社寺ビオ トープの一環である。四季に発生するきのこ類調査を、20年間、月1回継続している京都御 苑は450種を数えることがわかっており、ここでも長い年月をかけて調査する必要があろう。




[4]確認種リスト

淡水魚類
(計10種)
カワムツA、タモロコ、モツゴ、ゼゼラ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、タイリクバラタナゴ、
イチモンジタナゴ、コイ
淡水産貝類
(計4種)
ドブガイ、マシジミ(死殻)、チリメンカワニナ(死殻)、オオタニシ(死殻)
※前回確認されているマルタニシはオオタニシの誤同定か?
キノコ類樹上生スエヒロタケ、チャカイガラタケ、ウズラタケ、カワラタケ、
マンネンタケ、ウスバシハイタケ、コフキサルノコシカケ、
ツガサルノコシカケ、イタチタケ、シジミタケ
ヒイロタケ、カワウソタケ
地上生イロガワリキヒダタケ、タマコツブタケ、ニオイコベニタケ、
ドクベニタケ、ベニタケsp.、キチャハツ、クサハツ、
アメリカウラベニイロガワリ、コウジタケ
ヒメコウジタケ、テングタケ、ショウロダマシ、
ツチカブリ.、ニガイグチモドキ、ムラサキナギナタタケ、
カレエダタケモドキ、カレバハツ、アセタケ、テングノシャモジ、
フウセンタケsp.、アセタケsp.、ソウメンタケsp.
キタマゴタケ、チチアワタケ、ケシロハツ、ヒナアンズタケ  
腐植層  クモタケ、ヒノキオチバタケ、ヒダサカズキタケ(朽木上?)、
ノウタケ、オニフスベ、ハラタケ、モリノカレバタケ、
ヒメシロホウライタケ 
両生・は虫類
(計3種)
スッポン、クサガメ、ツチガエル
※シロイシガメ、イシガメ、アオダイショウなども確認されているとの情報あり。



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