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  京都府レッドデータブック > 自然生態系 > 地域生態系 > 地域生態系の概要


 

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京都府の地形地質と気候選定群落の概要要京都府レッドリスト(地域生態系)のカテゴリー地域生態系植物群落の背景

 京都府の地形地質と気候

 京都府は日本列島のほぼ中央部に位置しており、日本海側から内陸部にいたる南北に
細長い形態をしており、その長さはおよそ150kmに達する。

 北部は日本海に面して、比較的狭い平野部をもって山地に至っており、海岸部は複雑 なリアス式海岸が多く、日本海に突出した丹後半島がかかえこむ若狭湾には宮津や舞鶴 などの小湾が発達している。日本海に流れ込む数本の河川は、それぞれその中流部に沖 積盆地を形作り、また上流部では山地で急峻な渓谷を形成している。
 中央部は丹波高原と呼ばれる山地で、日本列島の脊梁山脈の一部であり、京都府域を 日本海側と太平洋側とに区分して、その中には亀岡、福知山などを含む小盆地が点在し、 また桂川や由良川の源流となる河川の河岸段丘などが各地に発達している。この丹波高 原は老年期の高原状山地であり、西側はなだらかに兵庫県の山地に続き、東側では安曇 川の断層谷で終わる。この丹波高原では、1000メートルを越える山地はなく、滋賀県と の境に近い京都府中央部の東側に皆子山(972m)、峰床山(970m)、三国山(959m)、 鎌倉山(951m)などの京都府では最も高い山が集中している。また丹波高原の南側も京 都北山連峰として愛宕山(924m)や竜ケ岳(921)、桟敷ケ岳(896m)などの山地が見 られる。
 京都府南部は、桂川、宇治川、木津川の三つの河川の扇状地がひろく広がり、山城盆 地となって広い平野部が形作られており、これを取り囲む山地と丘陵地で構成されてい る。これらの三つの河川は、この山城盆地に達する前には、周辺の山地に深い渓谷を形 成している。
 気候的には、北部は日本海側気候に属し、また南部は太平洋側の気候区、特に瀬戸内 気候区に属し、中央部はその中間的な気候を持ち、同時に山地帯の気候を併せ持つ。
 北部では、対馬海流が近くを流れるために、その影響を受けて年間の気温の格差は少 なく、特に冬はかなり温暖になる事が特長であり、南部とくらべても1〜2℃程度しか差 がない。しかしこの暖かい対馬海流の影響で冬の積雪は多く、この地域を日本全体の中 でも豪雪地帯となっている。
 中部では、日本海型と太平洋型の中間的な気候であるが、高原上では内陸的な気候を 持つために、夏の高温と冬の低温が特長的である。
 南部では、気候区としては太平洋側の瀬戸内気候区に属しているとされているが、併 せて内陸的な気候の影響も強く、京都盆地の底冷えや酷暑はよく知られている。
 選定群落の概要
 上述のような気候や地形を反映して、京都府の植生が形作られている。すでに府内の植生
図などもつくられており、その詳細は明らかになっているが、大きくは海岸から低地、丘陵、
低山まで、およそ海抜500m程度までをシイ・カシ帯(照葉樹林帯)であり、そのシイ・カシ
帯を、シイ帯(下部照葉樹林帯)とカシ帯(上部照葉樹林帯)とに分けている。また、その
シイ・カシ帯の上部をブナ帯(夏緑広葉樹林帯)が占めており、高山が存在しないために、
亜高山帯の植生は見られない。

 また内陸性の気候を持つ地域があることもあって、いわゆる中間温帯と考えられるモミ林 などが見られる部分がある。
 このような原植生に対して、人の定住、伐採などの影響を受けて、二次林や草原が成立し、 また地形的な原因で湿地性の植生や水生生物が優占する環境等が成立している。
北部地域  比較的海岸近くでタブ林、舞鶴市冠島や伊根町の青島のような海岸線から内陸に至るまで かなり広い範囲でシイ林が見られる。カシ林は大江町にウラジロガシ林が見られる。ウラジ ロガシは、個体は広く見られるが、ウラジロガシ林として群落を作るものは少ない。夏緑広 葉樹林ではブナ林が点在している。ブナ林は本来はその立地はかなり広く見られるものでは あるが、現在ではまとまった面積のブナ林は非常に少なくなっている。そしてブナ林と隣接 して数箇所のミズナラ林が見られる。ミズナラ林はブナ林の代償植生(二次林)であるとさ れている林であり、府内では、二次林とはいうものの、ブナ林に移行するであろう原植生に ごく近い林であり、場所によっては、立地的な原植生である場合もある。
 ブナ帯からシイ・カシ帯にかけての群落として、シデ林、ケヤキ林、コナラ林があげられ る。シデ林、ケヤキ林は、そのゾーンの土地的な原植生であると考えられ、コナラ林につい てはシイ林の代償植生であろう。落葉樹林として表現されている群落は、ケヤキ、シデ類な どを含んだ谷沿い斜面の群落で、土地的な原植生に当たるものと思われる。モミ林は一般的 には中間温帯の群落であるが、海抜のかなり低いところまで見られるようである。
 針葉樹の自然林ではヒノキ林が見られる。綾部市の比較的山中の社寺林であり、本来の尾 根筋から続くヒノキ林である。スギとヒノキの植林地が多数上げられているが、同じく社寺 林が多い。社寺林は保護されてきた場所であるために、その地域の原植生の要素を残したも のであるといわれている。しかし同時に社寺の周囲に植林してその林を守ってきた社寺も多 く、そのような植林地は、スギやヒノキだけの林ではなく、やはり地域の林内に生育する多 くの植物を含む林として成立しており、植林であっても、地域の生態系としては価値の高い ものと言える。
 アカマツとクロマツの林も、乾燥した立地の林、及び海岸の林として典型的な林としてあ げられる。そのほか、モウソウチク、ササ草原、水性植物群落、砂丘植生などが見られる。
中部地域  京都府の中部地域は、急俊な山地は少ないために古くから人為が加えられており、原植生 に近いような自然林は非常に少なく、広くスギやヒノキの植林がされている。 
 高原地形であるためということもあって、シイ林はごく少なく、リスト化された林も二箇 所のみである。落葉広葉樹の林はさまざまなタイプが上げられているが、その区分は明らか ではないようである。むしろ、ブナとスギが混じった針広混交林がこの地域を代表する群落 の一つであり、またブナ林もコハウチワカエデやシデのなかまなど、いろいろな種類の落葉 樹を含んだ群落をつくり、ブナなどの特定の樹種がきわだって優占するような群落ではない ということが特長のようである。したがってこの地域の落葉樹林は、さまざまな名前で表現 されていても、その種構成などについては連続している場合が多い。
 モミ林とツガ林は中間温帯林であるが、この地域では上述の落葉樹林に対して、より尾根 筋の岩場などに成立する事が多い。そしてスギやヒノキの植林地が幾つかリスト化されてい る。北部地域と同様に社寺林が大半であり、林業の対象としてばかりではなく、地域で大切 に保全されてきた林であろうと考えられる。そのほかにはアカマツ林と竹林があげられてお り、また非常に特殊な水生植物群落としてオニバス群落があげられている。
南部地域  この地域は一部の低山地はあるものの、その多くの地域は扇状地起源の平野部である。 そのため注目すべき植物群落としてリスト化されている群落の多くが社寺林であり、古くか ら都とその周辺の地域として強い人手が加えられている地域であり、また同時に信仰の地と して各神社仏閣に付属した林が大切に保全されてきたものと考えられる。
 シイ林の大部分は社寺林であり、この地域の原植生が保存されているものであり、府 南部地域のかなり広い範囲に見る事ができる。カシ林については、ウラジロガシ、アカガシ、 アラカシ、シリブカガシ、ツクバネガシと多くの樹種が優占する群落が見られる。それぞれ 種の好む気候や立地などの適地に対応した分布であるが、特にシリブカガシはこの群落が日 本の北限にあたるものと考えられている。クスノキ林は、その起源は人の植栽によるものと 考えられる。
 ブナ林は北部の二箇所のみに分布しており、この京都市北部では気温的な限界に当た るものである。落葉樹林はミズナラ、コナラ、クリ、アカシデ、イヌシデ、クヌギ、リョウ ブ、アベマキと様々な組み合わせで群落が表現されている。これらは、それぞれの種が年間 の気温などに対応して分布をしており、それらの種が特に優占している林でもなく、種の組 合わせが変わりながら移行的な林を作っていると考えられる。
 モミ林もこの地域の山地部で見る事ができる。スギ、ヒノキ、アカマツ及び竹林が同じく この地域の広い範囲で見る事ができるが、ほぼすべてが社寺林である。社寺林はもともとの 森林の断片を残しているといいながらも、山城盆地では古くから開発がされてきているため に、元の林の断片というよりも、ある時代に人が植えた植物が大切に保全されて、社寺林と しての機能を保っていると考えられるであろう。
 このほか、八丁平の湿原や深泥池の水生植物群落のような府内全域の中でも特異な植物群 落や、幾つかの河川の水生植物群落等があげられている。またオニバス群落もそういう中で の特に絶滅のおそれのある種で作られている群落としてあげられている。
 京都府レッドリスト(地域生態系)のカテゴリー
 植物群落は、基本的にはその場所の気候と地質・地形によって強く影響を受けて成立し、
さらにその群落に対して人が手を付けることで変化をしていく。したがって、もともとの自然
の状態を考え、その量がいちじるしく減少している群落が保存すべき対象であると考えると、
もともとのその場所の群落であったものが最も貴重な群落であるということになる。さらに現
在のように身近なところに自然が残っていない場合が多い時代では、そのようなもともとの群
落ではなくても、人手が入って成立した群落でも貴重で、管理をしながら現在のままにしてお
くことが必要という考えかたができるであろう。このように群落が人との関わりの中で存在す
るものであるために、その価値づけであるカテゴリー化は非常に複雑な問題を含むことになる。
原植生と二次群落とを同じ範疇で評価することはできないであろう。

 人が荒した結果として存在するアカマツ群落すら、現在では見られなくなりつつあり、京都 のアカマツ群落を維持するために、最も自然度が高いことになっているもともとの群落、コシ イ群落を伐採するという計画をどう評価するのか、ということは評価するために基準を決めて、 それに従う以外はないわけである。
 また植物の群落の場合には、はっきりとした場所が決まっており、その場所の特定の群落は、 日常的に人との関わりの中にあるものであり、極端にいうならば、今現在はまったく周囲に変 化が起こるようなことは考えられない群落であっても、ごく近い将来には、急な変化が起こる 可能性もある。
 このような問題点はあるものの、現在の管理状態が基本的には維持され続けるということを 前提としたうえで、京都府内で貴重な群落としてリスト化された群落を以下の三つのカテゴリー に区分した。
「要特別対策」─群落を維持するためには、ごく緊急に特別な対策が必要
「要保全対策」─現状以外に保全の対策が必要
「管理維持」──現状の管理を維持することが必要
 地域生態系
 レッドデータブックは、もともとは「絶滅のおそれのある生物種の保護」のための絶滅危惧種
のリストであり、世界自然保護連合(IUCN)による哺乳類レッドデータブックが最初のものであ
るといわれている。我が国では1986年に「我が国における保護上重要な植物種の現状」が、全国
規模のNPOである日本自然保護協会と世界野生生物保護基金によって発行されたものが、この種の
出版物としては最初であり、その後、環境庁、そして各府県からの府県別のレッドデータブック
として順次発行されている。日本自然保護協会の調査によれば、現在既にレッドデータブックを
発行あるいは調査中の都道府県は8割を越えているという。

 このような生物種のレッドデータブックに対して、地形のレッドデータブックなどがまとめら れ、植物群落では1986年の植物種のレッドデータブックの姉妹版として、同じ著者(我が国にお ける保護上重要な植物種及び植物群落研究委員会群落分科会)によって、また同じ団体によって 発行されている。
 都道府県版の中にも、生物種だけではなく、生態系などを含めたレッドデータブックを作成し ている例も幾つかはあり、京都府の計画でも、歴史と文化的伝統のある地域であることを強く意 識して、生物種以外に地形・地質や自然生態系などを含めたリストとすることになっている。
 このうち自然生態系では、「地域生態系、生育生息地、人間─環境系の歴史的側面」という三 つの分野に分けて記録することになっており、そのうちの地域生態系では、自然生態系の各分野 内に相互に関連が深い部分もあるが、地域の生態系の基礎になる植物群落を対象としてまとめて いくこととした。現実には生物群集として、植物と多くの生物が共存する場所であるということ が重要なのであるが、現在のところ、ごく一部の地域を除いてはそのような情報がある場所は ほとんどないため、個別の生物のレッドリストと重ねあわせながら、動物、昆虫等の生育地とし ての植物群落のリスト記載を行った。
 したがって、この地域生態系では、従来の植物群落レッドデータブックを意識して、これまで 府内で行われてきた植物群落調査の報告書等を参考にしながら、リストを作成し、報告書とした。
 また地域生態系については、その意味付けが非常に困難である。生物種の場合には、ある種が 絶滅のおそれがある場合には、その種がそういう状態であることを明らかにして、その保護に対 する対策を行なうことは非常に意味がある。しかし生態系特に植物の群落の場合には、常に変化 していることが前提であり、人が手を加えることで、維持され放置するともともとのいわゆる原 植生にもどる。したがって、生態系の保全は、人のくらしとの関わりの中でしか議論ができない。
 そのため原植生に近い生態系は、人が手を付けることが少なかったために現在まで維持された ものであり、周囲の環境を現状のままで維持できれば継続して保全できることになる。しかし、 人手が入って維持されている生態系は、今後も同様の人手を付け加えることで維持される。 したがって生態系の保全のためには、人が伐採をするなどの管理が必要となる。最近話題になる ことの多い里山(クヌギ、コナラ群落)などもそういう生態系であるが、利用目的がなくなった 里山を保全することは地元の目的意識なしにはありえず、保全対象としての重みづけは難しい。 またそのような「普通の」生態系はこれまでの調査などでも取り上げられていないために、既存 のデーターはほとんどなく、特に市街地近くで特別に管理されている生態系以外は放置されて、 常緑樹の林に変化をしつつある。
 なお、従来の植物群落の調査では、研究者の研究及び解析の手法によって、同じ林に対して異な る名前が付けられている場合がある。これについては、最も一般的な名称で統一するようにした。 したがって、取り上げた植物群落の名前は、優占種の名前で代表するような群落の名称としてある。
 植物群落の背景

 現存する植物群落は、本来の手つかずの群落(原植生)とその群落に人手が入った結果、形成されて
いる群落とがモザイク状に組あわさったものであり、さらに厳密にいうと、まったく手つかずの群落
というものは府内には存在しないし、おそらく日本全体を見ても存在していないと考えられている。
したがってたとえば京都府で見られる植物群落は、一方では限りなく手つかずの植生に近い状態に快
復している群落から、その群落への人手の加わり加減によって、極端に言えば裸地にまでなるという
ことである。

 そのような人間の暮らしや開発行為と密接に関わっている植物群落については、現在では最初 からその存在そのものが人間の行為の結果ということであり、本来はレッドデータブックの考え方で ある「放置しておいては絶滅のおそれのある生物あるいは生物集団」ということにはそぐわない面が ある。したがって、この地域生態系の記載では、個別の生物の生育の場としての植物集団として、 府内の典型的な植物群落と言えそうなものを記録する。
 また植物群落をめぐってはもう一つの問題がある。それは、人手の加わり方との関わりについ ては、その加わり方の変化に対して、植物群落は常に変化をしているということである。生態遷移と いわれる現象によって、植物群落は人手が加わらなくなるとより原植生に近く変化をし、人手が強く 加わるとより裸地に近くなるような変化をする。植物群落はこのような動的な変化の中にある。この 原植生は、主としてその場所の気候条件によって決まり、また地質条件等によっても異なる事が知ら れており、その場所ごとのいわば固有の原植生を持つ。
 現在見られる植物群落を現状のままで維持させるためには、現在までに恒常的に加わってきた 人手を今後も継続して加えておく必要があるということである。これは一般的にはすべての植物群落 に対して言えることであるが、特にその変化のスピードが早い、より二次的な植物群落ほど、加わる 人手の程度が変るとその変化がめだつ。したがって、植物群落の現状維持をするかどうかは、場合に よっては、その植物群落を多くの場合には利用するために手を加え続けてきた、その地域に暮らす人 びとの意思によって異なる場合もあるであろう。このため地域生態系では、現状維持を目的とするの ではなく、地域ごとの将来像を考えるための現状記録と言う目的を強く持つと考える。
滋賀県立琵琶湖博物館 布谷 知夫


 
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