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第5 地域別環境配慮の方向【環境基本計画】

京都府は南北に長く、都市化した南部地域と豊かな自然の残る北・中部地域など地域ごとの特徴を有しており、それぞれの地域特性に応じた自主的・積極的な環境の保全及び創造の取組を行うことが必要です。
  このため、基本計画の推進に当たり、第4次京都府総合開発計画の地域区分に沿って、各地域の特徴や環境特性を踏まえ、地域ごとに配慮すべき環境の保全及び創造に関する施策の方向を次のとおり示します。

表5-1 地域区分

地域区分 市町村
北部 丹後:宮津市、加悦町、岩滝町、伊根町、野田川町、峰山町、大宮町、網野町、丹後町、弥栄町、久美浜町
中丹:福知山市、舞鶴市、綾部市、三和町、夜久野町、大江町
中部 南丹:亀岡市、園部町、八木町、丹波町、日吉町、瑞穂町、和知町
北桑:京北町、美山町
南部(京都・乙訓) 京都市、向日市、長岡京市、大山崎町
南部(南山城) 宇治市、城陽市、八幡市、京田辺市、久御山町、井手町、宇治田原町、山城町、木津町、加茂町、笠置町、和束町、精華町、南山城村

 

1 北部地域

(1)地域の特徴

  北部地域は、京都府の面積の約45%を占め、日本海に面した丹後地域と由良川の流れに沿って開けている中丹地域からなります。丹後地域は、古くは縄文期から沿岸部や河川流域で開け、古墳や伝説などが残り、また、日本三景の天橋立など随所に景勝地が存在しています。中丹地域は、北近畿の中で他府県との交流点となっており、また、港町、城下町、鬼伝説の残る町などの個性豊かな町が連なっています。
  北部地域の大部分は山地であり、平地は河川周辺に分散し、山間部等を中心に過疎化・高齢化が問題となっています。
  京都市から50~100kmに位置しているため、これまで京阪神地域との交通 は不便な状況でしたが、京都縦貫自動車道、舞鶴自動車道をはじめとする高速道路網の整備やJR舞鶴線、山陰本線をはじめとする京都縦貫幹線鉄道の高速化が進められており、京阪神大都市との時間距離が大幅に短縮されるため、地域開発の動きが高まっています。これら道路・鉄道の社会基盤の整備と併せて、地域特性に応じた特徴あるプロジェクトである丹後リゾート構想の推進や北近畿地方拠点都市地域整備等の各種都市機能の高度化を図る広域プロジェクトが推進されています。

(2)環境の現状

ア 自然環境

  北部地域は、多様な自然に恵まれており、光明寺の「幻の大トチ」、「アベサンショウウオ」の生息する丹後半島、丹後の「海岸地形」、徐福伝説の地「新井崎神社」など「京都の自然200選」に選定されているものをはじめとする優れた自然が多く存在しています。海岸部にはトウテイランやハイネズなど貴重な海浜性植物が自生するほか、外洋に面 した地域にはウミネコやイワツバメ類、湾や内水面にはカモ類、海岸線にはハヤブサなどもみられ、国の天然記念物に指定されている冠島は国内最大級のオオミズナギドリの集団繁殖地となっています。山間部においては、ツキノワグマ、ニホンザル、イノシシなどの大・中型哺乳類の生息が確認されています。
  また、山陰海岸国立公園、若狭湾国定公園や、「権現山」、「金剛院」、「岩戸山」の3か所の歴史的自然環境保全地域が指定されているほか、近畿自然歩道、府民と自然とのふれあいを推進するための「ふるさとの自然観察路」が5か所(府全体では13か所)選定されています。

イ 生活環境

  大気環境は、光化学オキシダントを除き、環境基準を達成しています。
水環境は、一部の河川や閉鎖性の海域で環境基準は非達成となっていますが、その他の水域の水質は環境基準を達成しています。 

(3)環境に対する府民意識(P.69~77図参照)

ア 周辺環境の満足度について

  府民意識調査の設問「居住地周辺環境の満足度」における北部地域での回答では、「空気のきれいさ」、「まちの静けさ」、「身近な自然の豊かさ・ふれあい」に対する満足度(満足及びほぼ満足の回答)は50%を超えています。また、他の設問についても地盤沈下など該当しないものもありますが、相対的に満足度は高い結果 となっています。 一方、多少不満(やや不満及び不満の回答)がある割合が高いのは「川や海のきれいさ」であり、その原因としては『各家庭からの排水』、『水面 の浮遊物や投棄ごみ』などがあげられます。満足度は高いが、『自動車・二輪車からの排気ガス』、『空き缶 やたばこの投げ捨て』、『開発等による自然景観破壊が進んでいる』に対する懸念も示されています。

イ 改善が必要な事項(P.78図参照)

  北部地域の府民が望む早急に改善してほしい点として、「川や海のきれいさ」、「まちの清潔さ」、「身近な自然の豊かさ・ふれあい」などの割合が高くなっています。
  最も改善の要望が強い「川や海のきれいさ」では、『各家庭からの排水』と『水面 の浮遊物や投棄ごみ』に対する不満が他の項目に比べ多くなっています。

(4)環境配慮の方向

  • 海岸については自然海岸と半自然海岸を合わせると約6割となり、また天橋立をはじめとして、景勝地や特徴的な地形・地質が多数分布するほか、貴重な植生が見られることから、これらの自然を保全します。
  • 海岸部には藻場が残されていますが、近年減少傾向にあるため、この藻場の保護・保全を図ります。
  • 山間部を中心に、中型哺乳類だけでなく大型哺乳類の生息も確認されており、それらの生息域を適切に保全し、動物種の保護に努めます。
  • 豊かな緑資源に恵まれており、緑の持つ様々な公益的機能を高め、都市住民の自然とのふれあいの場として、自然・風土と調和した魅力ある空間づくりを地域産業の連携のもとに進めます。
  • 既に、ふるさとの自然観察路などが多数整備されていますが、環境への意識の向上の点からも、府民が自然に触れ、親しみ、休息できる空間の創出を自然との調和を図りながら進め、府民の環境教育・学習の場として整備を推進します。
  • 丹後地域では、現在残されている自然景観、歴史・文化、風土・風景などの優れた資源を背景にしたリゾート整備が進められていますが、この地域の自然を損ねることなく、その恩恵を享受できるように整備します。
  • 由良川水域では、今後の北近畿都市拠点圏の整備構想の推進など産業の立地が予定されており、環境面 から配慮します。
  • この地域では河川に排出される生活排水のうち、台所等からの雑排水の多くが未処理で放流されているため、下水道等各種生活排水処理施設の整備を推進するとともに、生活排水対策に関する普及・啓発を進めます。

2 中部地域

(1)地域の特徴

中部地域は、京都府の面積の約30%を占め、京都府のほぼ中央に位 置しており、由良川と淀川の分水嶺となっています。また、標高400~600mの丹波山地の山林、盆地や田園が広がり、農林業を主要な産業とした南丹地域と、福井県及び滋賀県と接し標高700mを超える山々を抱え、豊かな山々の資源を背景に林業が盛んな北桑地域からなります。北桑地域は、特に、北山杉の産地として知られており、また、美山町に残る「かやぶき屋根建造物群」は日本一高い保存率となっています。
  中部地域は、京都縦貫自動車道をはじめとする近年の道路・鉄道の交通 網の整備に伴い、国道9号とJR山陰本線の沿線を中心として、急激に変貌しており、特に、京都市近郊地域での宅地化の進展が著しい状況となっています。また、京阪神地域の水需要を担う日吉ダムも平成10年4月に供用が開始されています。しかし、地域の約85%が山地であり、南北交通 軸からはずれた地域では過疎化や高齢化が進行しています。今後は、道路整備に伴い、沿線の地域開発の進行や大都市近郊の自然・文化・レクリエーション・交流の拠点としての発展が期待されています。

(2)環境の現状

ア 自然環境

  中部地域は、丹波山地の山々と由良川、桂川を中心とした豊かな自然に恵まれており、奇岩巨石に富む「るり渓」に代表される特異な地形地質、アユモドキの生息地や、「質志鐘乳洞」、平の沢公園の「オニバス」などが「京都の自然200選」に選定されています。また、由良川源流域の美山町芦生を中心とした地域は、哺乳類の種類、個体数ともに多い地域であり、山林地域を中心に、タヌキ、キツネ、イタチ、イノシシといった中型哺乳類だけでなく、大型哺乳類のニホンジカ、ツキノワグマなどの生息も確認されているほか、特別 天然記念物のカモシカも生息しています。国指定の天然記念物のオオサンショウウオは、丹波山地東部から中部を主な生息域としています。鳥類についても、亀岡市、美山町芦生などの地域では、多数の種類が確認されています。
 また、近畿自然歩道、丹波散策の道、府立るり渓自然公園、府立保津峡自然公園、常照皇寺歴史的自然環境保全地域のほか、府民と自然とのふれあいを推進するために、「ふるさとの自然観察路」が3か所選定されています。

イ 生活環境

  大気環境は、光化学オキシダントを除き、環境基準を達成しています。
  水環境は、桂川上流部や由良川などの河川水質は、ほぼ環境基準を達成しています。

(3)環境に対する府民意識(P.69~77図参照)

ア 周辺環境の満足度について

  府民意識調査の設問「居住地周辺環境の満足度」における中部地域の回答では、「空気のきれいさ」、「まちの静けさ」、「身近な自然の豊かさ・ふれあい」等に対する満足度(満足及びほぼ満足の回答)は50%を超えています。多少不満(やや不満及び不満の回答)がある割合が高いのは「川や海のきれいさ」及び「まちの清潔さ」であり、35%を超えています。その主な原因は『水面 の浮遊物や投棄ごみ』及び『各家庭からの排水』、『空き缶やたばこの投げ捨て』などとなっています。

イ 改善が必要な事項(P.78図参照)

  早急に改善してほしい点としては、「川や海のきれいさ」が30%を超え最も多く、続いて「まちの清潔さ」、「空気のきれいさ」、「身近な自然の豊かさ・ふれあい」などの割合が高い結果 となっています。
  最も改善の要望が強い「川や海のきれいさ」では、『水面の浮遊物や投棄ごみ』に対する不満が最も多くなっています。

(4)環境配慮の方向

  • 中部地域は、丹波山地を中心に、多数の生物が生息しています。特に、京北町、美山町等では哺乳類の種類、個体とも多く地域生態系の保全・保護に努めます。
     なかでも、国指定の特別天然記念物であるオオサンショウウオや大型哺乳類の生息空間の確保を図ります。
  • 交通などの根幹的な地域基盤の整備の進展とともに地域整備が計画されており、これらの開発により良好な自然が失われることがないように環境面 から配慮します。また、京都市のベッドタウンとして宅地開発が進行しており、自動車や生活排水による環境負荷の増大も考えられ、今後とも良好な環境を保つため、自動車交通 公害対策や下水道整備等各種生活排水対策などを積極的に推進します。
  • 京都市近傍に位置することから、都市住民の緑や自然とのふれあいの場として自然・風土と調和した魅力ある空間づくりを地域産業の連携のもとに推進します。農業振興を地域政策の柱として推進するとともに、すぐれた農村景観など農林業を取りまく自然環境の保全に努めます。
     また、農業や現況の緑を活用し、都市と農村との交流による地域の活性化や振興が図れるような緑地空間の創造や自然に親しむ場としての農林業公園やふれあい牧場など自然体験型施設の整備を推進します。 

3 南部地域(京都・乙訓地区)

(1)地域の特徴

  京都・乙訓地区は、東山、北山、西山等に象徴される山々に囲まれ、賀茂川などの河川を中心として、千年余り都として栄え、日本を代表する歴史・文化の宝庫として個性ある街を形成していると同時に、日本を代表する大都市地域となっています。
  本地区は、府全体の人口の6割以上が居住し、人口密度も約2,500人/平方キロメートルに達しています。 中心部では周辺部への住替えにより、近年、人口減少や高齢化が進み、都市化の進展は収まってきているものの、土地利用からみても、宅地の占める割合が約27%と他地域(府平均約5%)に比べ高く、身近な緑や自然環境等の保全の重要性が高まっています。
  また、京都第二外環状道路、京都高速道路等の道路整備やJR奈良線の高速化・複線化が進められているとともに、京都市営地下鉄烏丸線の延伸、東西線の開通 等により、市内の交通の利便性は向上しています。
  中心部では、新京都駅ビルの建設、京都府民総合交流プラザの整備などが進み、今後は新たな京都都市圏の形成が進むものと考えられます。

(2)環境の現状

ア 自然環境

  京都・乙訓地区は、市街地周辺の森林地域に大・中型哺乳類が生息し、多様な生物相を有していますが、都市開発に伴う森林の減少が問題となっています。
  水生生物が群生し、カモ等の水鳥の飛来する深泥池、桂川、木津川、宇治川の三川合流地、ゲンジボタルの生息する小泉川、西ノ岡丘陵の「竹林」など「京都の自然200選」に選定されているものをはじめ、優れた自然が存在しています。
  また、東海自然歩道、琵琶湖国定公園、府立保津峡自然公園、さらには、「花背大悲山」、「小塩山」の2か所の歴史的自然環境保全地域のほか、府民と自然とのふれあいを推進するための「ふるさとの自然観察路」が2か所選定されています。
 また、日本の茶道、華道、造園、建築などの伝統文化が多数存在しており、優れた庭園美をみせる「古寺名刹」、平安時代絵巻が繰り広げられる「葵祭」、豪華な山鉾が都大路を巡行する「祇園祭」、各時代ごとの歴史風俗を再現した「時代祭」など有形・無形の世界に誇る日本文化が息づいています。特に、京都市は、我が国の国宝の23%、重要文化財の14%があり、日本の文化財の宝庫となっており、平成6年12月には、世界遺産条約の文化遺産として、「古都京都の文化財」(京都市・宇治市・大津市の17の社寺城)が登録されたところです。これらの文化財以外にも、歴史的建造物や地域に根付いている伝統行事が存在しますが、一部担い手不足や都市開発等によって、これらの継承が困難な状況となっています。

イ 生活環境

  大気環境は、光化学オキシダントについては全部の地域で、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質については、一部の地域で環境基準が達成されておらず、とりわけ、京都市内の幹線道路沿道で二酸化窒素及び浮遊粒子状物質について、環境基準が達成できていません。
  水環境は、都市部を流れる一部の中小河川で環境基準が未達成となっていますが、桂川、鴨川等の水質は、環境基準を達成しています。

3)環境に対する府民意識

ア 周辺環境の満足度について(P.69~77図参照)

  府民意識調査の設問「居住地周辺環境の満足度」における京都・乙訓地区での回答では、満足度は他地域に比べて総じて低くなっていますが、「空気のきれいさ」、「まちの静けさ」、「歴史的環境の豊かさ・ふれあい」、「身近な自然の豊かさ・ふれあい」等に対する満足度(満足及びほぼ満足の回答)は約40%に達しています。多少不満(やや不満及び不満の回答)がある割合が高いのは、「川や海のきれいさ」、「まちなみの美しさ」、「まちの静けさ」及び「まちの清潔さ」であり、その原因は『水面 の浮遊物や投棄ごみ』、『そぐわない広告・自動販売機』、『自動車・二輪車の騒音』及び『空き缶 やたばこの投げ捨て』などです。

イ 改善が必要な事項(P.78図参照)

  早急に改善してほしい点としては、「まちの清潔さ」、「まちの静けさ」、「空気のきれいさ」、「川や海のきれいさ」などの割合が高くなっています。最も改善の要望が強い「まちの清潔さ」については、『空き缶 やたばこの投げ捨て』に対する不満が他の項目に比べ多くなっています。

(4)環境配慮の方向

  • 郊外地域の開発に伴う森林の減少や衰退が問題となっており、河川改修や道路建設等においても、周辺生態系への影響に配慮した設計・工法の実施、身近な自然・生態系の保護・保全に努めます。また、都市近郊林で自然植生が残されている地域では、多様な生態系がみられる地域もあり、これらの地域の生態系についても保全します。
  • 人間活動に伴い生態系の適度な攪乱により形成された里山等の地域は、生物の多様性を維持するという観点から保全します。
  • 京都市・宇治市を中心とした地域は、世界文化遺産として登録され、日本を代表する文化の拠点となっており、この文化遺産をはじめとする豊かな文化財の保存に努め、将来の世代に継承していきます。また、地域に根付く伝統行事や、開発行為等により失われつつある地域の歴史的建造物等の保存に努めます。
  • 神社仏閣等の緑をはじめ、歴史的景観と一体となった緑が多く、これらの緑の保全・ふれあいを通 して地域の人々の豊かな心を育て、新たな文化を創出していく風土を守り育てます。
  • 都市部においては、一人当たりの公園面積が他地域に比べて低い水準であり、安全で快適な都市環境の形成を図るため、公園等の整備を進めるとともに、道路、河川、学校等の公共公益施設や民有地の緑化を積極的に進めます。
  • 自動車の走行に起因する排気ガス等が問題となっており、自動車走行量 の抑制、低公害車・低NOx車の導入促進等の対策を推進します。
  • 都市内中小河川等水質改善が進まない水域の水質を保全するため、下水道等各種生活排水処理施設の整備を推進するとともに、河川流量 の確保等の各種施策を実施します。
  • 本地区は工業用水をはじめとした用水の地下水依存度も高く、一部地域では地盤沈下の傾向にあり、採取の抑制に努めます。
  • 市街地内においては、エネルギー有効利用型設備の導入や雨水地下浸透などを積極的に進め、環境負荷の少ない環境に配慮した地域づくりの実現を目ざします。

4 南部地域(南山城地区)

(1)地域の特徴

  南山城地区は、三重県、滋賀県、大阪府、奈良県に接する地域であり、木津川、宇治川の流れに沿い、古くから多くの物資の往来の場として栄え、平城京や平安京の文化・風土をも併せ持っている地域です。現在では、京阪都市圏のベッドタウンとしての側面 を持っています。
  木津川左岸区域に位置する京阪奈丘陵では、文化・学術・研究の新たな拠点として、第2段階を迎えた関西文化学術研究都市の建設が推進されています。また、木津川右岸区域においては、豊かな自然・歴史・文化環境を活かし、府立山城総合運動公園の整備、木津川右岸運動公園(仮称)の建設構想等、自然に親しみ、スポーツを楽しむことのできる総合的なスポーツゾーンの形成が進められています。

(2)環境の現状

ア 自然環境

  南山城地区は、「笠置山」、「巨椋池干拓地」、「男山」、「ハッチョウトンボ」の生息する湿地などが「京都の自然200選」に選定されているのをはじめ優れた自然に恵まれています。
 東海自然歩道のほか琵琶湖国定公園、府立笠置山自然公園、「男山」、「禅定寺」、「当尾」、「鷲峰山」の4か所の歴史的自然環境保全地域など豊かな自然も存在しており、中型哺乳類だけでなくニホンジカ等の大型哺乳類の生息も確認されています。
  また、府民と自然のふれあいを推進するための「ふるさとの自然観察路」が3か所選定されています。

イ 生活環境

  大気環境は、光化学オキシダントについては全部の地域で、浮遊粒子状物質については一部地域で環境基準が達成されていません。
  水環境は、宇治川の河川水質は環境基準を達成していますが、木津川は未達成となっており、また、都市部を流れる一部中小河川で、改善はみられるものの、依然として汚濁が継続しています。

(3)環境に対する府民意識

ア 周辺環境の満足度について(P.69~77図参照)

  府民意識調査の設問「居住地周辺環境の満足度」における南山城地区での回答では、「空気のきれいさ」、「まちの静けさ」、「身近な自然の豊かさ・ふれあい」及び「歴史的環境の豊かさ・ふれあい」の満足度は高いが、「川や海のきれいさ」、「まちの清潔さ」の満足度は低く、不満度が高くなっています。これらの問題点としては、『水面 の浮遊物や投棄ごみ』、『空き缶やたばこの投げ捨て』が主な原因となっています。

イ 改善が必要な事項(P.78図参照)

  早急に改善してほしい点としては、「川や海のきれいさ」、「まちの清潔さ」、「空気のきれいさ」、「まちの静けさ」などの割合が高くなっています。最も改善の要望が強い「川や海のきれいさ」については、『水面 の浮遊物や投棄ごみ』に対する不満が他の項目に比べて多くなっています。

(4)環境配慮の方向

  • 関西文化学術研究都市に代表されるように、将来の京都府の一つの新しい核となる地域であり、都市建設と併せて、環境への配慮を計画的に実施します。
  • 京都・大阪都市圏のベッドタウンとしての市街地の拡大に伴う森林・緑の減少や衰弱が問題となっており、身近な自然生態系の保全に努めます。
  • 自動車の走行に起因する排気ガス等が問題となっており、自動車走行量 の抑制、低公害車・低NOx車の導入促進等の対策を推進します。
  • この地域では河川に排出される生活排水のうち、台所からの雑排水の多くが未処理で放流されているため、下水道等各種生活排水処理施設の整備を推進するとともに、生活排水対策に関する普及・啓発を推進します。
  • 居住環境の向上、生活排水対策などの視点から流域下水道及び公共下水道の整備を進め、また、市街地内での水の有効利用の観点から、雨水利用の推進、雨水地下浸透の促進などを図ります。
  • 市街地内においては、エネルギー有効利用型設備の導入や雨水地下浸透などを積極的に進め、環境負荷の少ない地域づくりの実現を目ざします。
  • 都市公園は、スポーツ、レクリエーションの場であると同時に、都市内のオープンスペース、緑地として重要なものであることから、都市公園の計画的な整備を図ります。
  • この地域は天井川や内水河川が多く、内水被害を防止する観点から治水対策が必要とされています。これらの河川改修の実施における森林への配慮や生態系に配慮した河川工法の採用などを進め、環境に配慮した河川空間を創出していきます。
  • 大都市近傍の立地を活かし、都市近郊農業の推進と地場産業の育成が進められています。地域特産品や観光農業など地域の観光レクリエーション振興と連携した農林業の展開や土地利用面 における優良農地の確保対策などにより農林業を振興します。

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