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第4回研究会の結果要旨

出席者

高見 茂委員(京都大学大学院教育学研究科教授)【座長】 
上子秋生委員(立命館大学政策科学部長)、竹廣良司委員(同志社大学経済学部教授)、新川達郎委員(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)、野田 崇委員(関西学院大学法学部准教授)、藤井 聡委員(京都大学大学院工学研究科教授)、山田礼子委員(同志社大学社会学部教授) 
(欠席) 鈴木晶子委員(京都大学大学院教育学研究科教授)
[京都府]山田知事、黒瀬総務部長、井上政策企画部長、本田企画監 等

 

結果要旨

報告

藤井 聡  京都大学大学院工学研究科教授
   テーマ:  1 行政組織のマネジメント
           2 京都文化首都構想


1 行政組織のマネジメント

  • 上司の言うことが絶対という官僚はテクノクラート。上司の指示を最も公共の福祉につながるよう解釈し、上司の指示がおかしいと思ったら、指示や法令に反しないギリギリのところで抵抗するのがパブリックサーバント。
  • 行政組織の場合、テクノクラートは活気がない。テクノクラート思想で最も恐れるべきは目標の転移。手段が目的化して、高次の目標から低次の目標へと転移していくと、組織の活力は下がり、組織の成員のモチベーションは下がる。
  • それを避けるためには、組織全員が「目標と手段の上下運動」をすることが大事。目標を実現するための手段を考えるのが下降運動。その手段がどう目的につながっているのかを考えるのが上昇運動。
  • 組織が高い目標を持って頑張っていると、その組織の成員みんながその組織を好きになり、それがモチベーションの強化にもつながる。そうなると組織の形がどうのという組織論はどうでもよくなる。所与の制約条件の中で頑張るのがパブリックサーバントの基本。活動していくうちに、組織をこうすればもっと良くなるのではという漸進的な動きが自然と起きてくる。 


2 京都文化首都構想

  • 東日本大震災を受けて、京都文化首都構想は論ずべき必要性が高まった。日本国家が被る被害を最小化するためにも、「分散型国土構造」の形成のための「首都機能分散化」は、喫緊の課題。
  • 首都機能は、政治、経済、文化。文化については、文化機能の移転ということを考えると、最もふさわしい都市が京都。日本国家のBCPの位置づけで、伊丹空港跡地を副首都とする議論と連動させて構想する方法が考えられる。
  • 首相、大臣クラスは日本に来たら東京の後は京都に行くのが当然、という風にする必要があり、そのために、まち全体を文化資源と捉え、徹底的に投資する必要がある。京都を本当に日本の威信をかけた都市にし、文化首都と銘打つなら、そのような努力を国家的にすべきである。
  • 投資は本気でやるならベースは国家がサポートすべきである。 

 主な議論

  • モチベーションを高めようとすると目標の転移になるという話があったが、組織活性化と言いながら組織本来の目標に向かわず、組織維持的に活性化することをどう乗り越えるか。
  • 「文化首都・京都」と言った時、いかなる文化をつくっていくかということは重要な論点。何を「文化首都・京都」の基本とするか。この基本がないとミニ東京をつくるだけとなる。
  • 高齢化時代の安定成長的なものか、移民を中心としたなシンガポール国家的なものか、いかなる文化を構築するのかの議論がおろそかにされている。
  • 京都の再興のためには、京都の文化を支えてきたソフト面を再度見直して文化を作り直していくことが必要ではないか。
  • 文化首都の原動力として町衆があると思うが、どう考えるか。
  • 京都は明治以降、徹底的に近代化されたが、古いしきたり等支えてきた基盤がなくなっているのではないか。
  • 伝統文化を踏まえ、新たな文化を創設する方向性を見据えるべきではないか。
  • 京都大学の創設も京都の活性化の原動力としての役割を期待されていたと思う。文化の一翼を担う大学の役割も重要と考える。

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