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ハナイカダは、優雅な名前をもつ樹木のひとつです。
漢字で書くと「花筏」、花の咲く様子を花が乗った筏に例えた名前です。
ミズキ科の落葉低木で、高さは3メートルぐらいで陰気な湿っぽい森かげや谷間が好きな樹木です。
6月頃に葉の中央部に花をつけますが、雌雄異株で雄花は数個、雌花は1個だけつきます。
葉の中央に花が咲くのは植物の中ではめずらしい存在ですが、もともと葉の付け根から葉の上部に伸びていた軸と実が葉にくっついてしまったものと言われています。
果実は直径1センチメートルほどで丸く緑色から黒色に熟します。
黒く熟すと葉の上に黒く輝く真珠を戴いているようにも見えます。
この実は地方によってはヨメノナミダという名前が残っているところもあります。
あの黒い実を嫁の涙に例えた呼び名で、嫁いだ家で悲しい思いをした嫁が、人に隠れて流した涙がハナイカダの葉に落ちたものと思われたとのことです。
私だったら「ヨメノナミダ」ではなく、「天使の落とし物」と命名したいですね。
(Y.Y)
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