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細胞培養について

再生医療EXPO
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(令和3年3月1日更新、ものづくり振興課 足利)

2021年2月末にインテックス大阪で開催された「第7回再生医療EXPO」。コロナ禍で大変貴重な商談の機会であり、細胞培養に関する様々な情報交換の場でもあり、大いに刺激を受けました。

「細胞培養」とは、生体組織から分離した細胞を培養液中で増殖することで、(1)細胞バンクから入手する場合と、(2)ドナーから採取した組織から細胞を単離する場合があり、展示会での情報を交えて、簡単にご紹介します。

解凍

まず、(1)細胞バンクから入手した細胞から培養を開始する場合、解凍作業からスタートです。、「超低温フリーザー」から、液体窒素容器などの保冷容器に入れて運びます。
フリーザーは家庭用冷凍庫と違って、もちろん対象物によって違いますが、マイナス何十度や百何十度という超低温です。そうなると何百万円もしますね。そうしたことから、細胞保管サービスや、運搬時の温度管理も含めた物流支援まで行うサービスも登場し本展示会にも出展されてました。
ちなみに今回は、新型コロナウイルスのワクチンが世に出始めている時期と重なったため、ワクチン運搬のフリーザーも多く出展がありました。ドライアイス対応BOXから、液体窒素を用いたもの、電気制御のものなど様々。ドライアイス対応は安価で簡便だというメリットと、ドライアイスの確保やCO2であるという点はデメリットなんでしょうか。

さて、保冷容器から取り出して37℃温水槽等で融解し、素早く「培地」を加えて凍結液を薄め、遠心分離により沈殿させ、凍結液を含む上澄みを除去します。
凍結液は本来余分な成分ですし、取り扱いを間違うと毒性を発揮することもあるのだとか。

細胞単離

次に、(2)ドナーから採取した組織から細胞を単離する場合、不要な組織の付着を切除した上で、組織をタンパク分解酵素液に浸漬し細胞を単離します。そして、酵素反応阻害剤により酵素反応を停止させます。

培養 -培地と足場-

そして、37℃に加温した新しい「培地」を添加します。
先ほどから出ています「培地」とは、生体外で細胞を培養するために用いられる組織間液を模した液体です。
また、先ほどの上澄みの除去や、こうした培地の添加などの作業は、よくピペット等を用いて手作業で行われますが、この際必要なのが「クリーンベンチ」。細胞や微生物を取り扱う際にコンタミネーション(埃や雑菌の混入)を防ぎ無菌状態で作業するための装置ですから、コロナでよく登場する「安全キャビネット」のように装置内部の菌や微生物が空気中に漏れることを防ぐのとは逆で、内部を陽圧にして空気を外に押し出しています。簡易なもので数十万円から、複数のドナーの細胞・組織を扱えるように工夫されているものや、遠心分離や細胞培養などのモジュールを加えてオールインワンのセットになっている数百万円以上のものまで、様々です

その後、顕微鏡や細胞数計測器等を用いて細胞数、細胞濃度を計測します。
細胞数をカウントする「セルカウンター」。現在でもマニュアルカウントで使われている血球計算盤のほか、自動セルカウント機器は、電気抵抗、レーザー、顕微鏡画像の3種類の原理に基づくものがあり、やはり数十万円から数百万円。

計測した細胞数/細胞濃度をもとに、適切な量の「培地」を加えて希釈し、細胞懸濁液を調整し、新しい培養容器に所定量の細胞懸濁液を移動させることを「細胞播種」と言います。 

「培地」とは、先ほども記載のとおり、生体外で細胞を培養するために用いられる組織間液を模した液体で、数百ccで1万円ちょいとか、やはり人様が飲む飲料よりも相当高いです。生物の体内にいたときに血液中を流れていたものは、培地内で浮遊した状態で増殖する浮遊培養系細胞、組織にくっついていたものは、培養容器に付着し増殖する接着培養系細胞として培養されます。
接着培養系で、単層(2次元・平面)培養の場合は、ペトリディッシュ(シャーレ)、培養フラスコ、マルチウェルプレートなどが用いられます。マイクロウェルプレートは、平板上の多数のくぼみ(ウェル)に、目的の細胞を播種して細胞培養を行うデバイスで、1 枚あたりのウェル数が 48 個や 96 個の製品が一般的(近年ではウェルサイズの微細化ならびに機能性向上が進んでいるそう)。
また、3次元(高さ方向・厚み)でも細胞を増殖させる立体的な培養方法は、生体内に近い環境であるため重要となっていますが、細胞の接着及び増殖を支え、立体的構造を維持するための担体「足場」が必要です。例えば多孔性軟質ゲルなど様々な材質、構造の足場の開発が進められています。

こうした培養等を行うための装置が「CO2 インキュベーター」で、解凍後はこの中で細胞が増えていきます。細胞代謝により培地が酸性化してしまうのを防ぎ、培地のpHを一定に保ちながら細胞を培養するために、一定のCO2濃度を保つものです。これも、数十万円から、酸素濃度が設定可能なもの、浮遊細胞培養用に振とう培養機能が付いたもの、コンタミネーションを防ぐために乾熱滅菌がなされるものなど、機能が加われば百万円以上と、様々です。

培地交換と継代

細胞は、培地から必要な栄養素を使いそれらの栄養素を代謝します。そのため、栄養分が低下し、代謝産物が多くなった培地を捨てて、新しい培地に交換します。培地交換の前に、まず細胞観察を行い、培養が正常に進んでいるかどうかを確認します。新しい培地は、事前に37℃に温めて、細胞に急激な温度変化を与えないようにします。

細胞が増えてきたら、培養容器いっぱい(コンフルエント)になる前に、新しい培養容器に植え替え「継代」を行います。細胞がどのくらい増えたか、細胞観察して、モニタリングをしておく必要があります。細胞を容器から剥がすために、トリプシン処理によって細胞を洗浄。そして洗浄液を取り除くために遠心分離し、それを新しい容器に移して、培地を注ぐ、という手間がかかります。

こうした作業に日々迫られるため、今回の展示会でも「土日を休むための培地」も紹介されていました。週末前に、未分化状態を維持する成分を含む培地へと培地交換をし、週明けに、その成分を含まない培地へと培地交換をする、なるほど。

あるいは、ウェルプレートへ液体を注ぐ作業の自動化や、ウェルごとの数値制御を行う装置、自動撹拌する装置等も出展されていました。

凍結する場合も、同様にトリプシン処理によって細胞をを容器から剥離し、遠心分離して・・・という一連の作業の上、凍結液を注ぎ、フリーザーに入れるという流れです。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

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