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インフォテック株式会社(京都企業紹介)

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スマートファクトリー化をサポートする計測制御システム開発

(掲載日:平成28年10月3日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 平成23年度経営革新企業・インフォテック株式会社(京田辺市)の奥田代表取締役様にお話をおうかがいしました。

オーダーメードの設備装置を制御するための、オーダーメードのソフトウェア開発

まず、事業の概要を教えてください。

奥田) 各種生産設備・検査装置・測定装置の計測制御システムの開発をしています。量産されて売られている機械設備用のソフトではなく、オーダーメードの設備装置を制御するための、オーダーメードのソフトです。

―お客様はどういったところになるのですか?

奥田) 幅広いですよ。農機・産業機械などの機器メーカー、自動車メーカー、電機メーカー、製薬メーカー、機械金属業、ベンチャー企業、大学などの研究機関など様々です。そしてその悩みも様々ですので、何が課題でいらっしゃるのかを、対話を通じて丁寧に見つけ出しながら、その解決に必要なM・C・Dトータルソリューション(計測・制御・データ処理という一連の流れのシステム)を提供しようというものです。今、流行のIoTっぽい話で言えば、数十万台保有されているNCマシンについてデータ収集し、これまで工場ごと、プログラマーごとにバラバラであったものを適正化する「スマートファクトリー」の依頼から、「この機械を動かしたい、これを計測したい」といった依頼まで、大小様々対応しています。

研究、生産、検査などあらゆる工程をサポート

―モノと違って見えませんし、説明が難しいのを承知の上で、私を含めた一般の素人に分かるレベルの、入門編的な事例をお聞きしたいのですが(笑)、例えば生産工程の事例ではどんなものがありますか?

奥田) 例えば「コーティング剤塗布ソフト」は、送られてきた画像をPCで解析、品種の判別・塗布する範囲の割り出し、画像の表示を行い、それを元にモーションコントローラがXYステージを自動制御し、ワークにコーティングを行うというものです。「モーションコントロール」とは、ソフトウェアによりモータを駆動し、位置移動や回転の制御を行うことで、生産設備でのワークの搬送・検査装置でのワークのXY回転方向の位置決め・ロボットの制御などに使用されます。

―なるほど。

奥田) あるいは、今流行りのIoTっぽい例で言えば、「溶接機データ収集システム」なども手掛けています。溶接機の溶接時の電流データ等を取得、解析、蓄積、表示をし、溶接機の状態変化によるデータ分析するためのシステムです。温度・流量・トルク・振動など計測機器からの計測値は、電圧や電流のアナログ信号で出力されており、アナログ信号のままではPCで扱えないため、「A/D変換(アナログ信号をデジタル信号に変換)」してPCに入力します。

―検査工程ではいかがでしょうか?

奥田) 例えば「部品形状検査ソフト」は、レーザ変位センサで部品の形状を測定し、PCで演算・グラフ表示・測定データ保存を行い、「PLC(プログラマブルロジックコントローラ)」が規格外部品を破棄するものです。PLCは、工場などの自動機の制御に使用される制御装置でシーケンサとも呼ばれており、メーカーとしては、三菱、キーエンス、オムロン等が有名で、当社はこれら各メーカーのPLCプログラム開発を行うことができます。PCでの一般的な文字によるプログラム開発とは異なり、PLCプログラムはラダー図という記号を組み合わせたプログラミング言語を使用して開発するのです。

―なるほど。

奥田) あるいは、高精度カメラで半導体チップを撮影、画像解析し外形検査を行い、検査結果は画面表示やデータベース出力を行い、ウェハをモーション制御で自動搬送し、フルオートで連続検査を行うことも可能な「半導体チップ外形検査計測制御ソフト」などは、分かりやすい例ではないでしょうか。先ほどからの例でも同様ですが、こうした外部機器の状態取得や制御などには、PCやPLCにI/OボードやI/Oユニットを取り付けることで入出力を行います。「I/O」とはPCやPLCに入出力する0か1のデジタル信号のことで、I/OボードやI/Oユニットの種類により、8本や16本などのI/O信号をパラレルに制御することができます。

―そうなのですね。

奥田) モーションコントロール、A/D変換、I/Oは、制御ソフトでは非常に重要な部分ですので、当社では、制御に不備がないかの確認や問題発生時の早期解決が行えるよう、きめ細かな実装をしています。具体的には、まず1つは、モータ、A/Dボード、I/Oボード等の装置が無い場合でも動作確認が行えるように、装置をソフト上でエミュレーションして実行する機能、2つ目は、制御のタイミングや移動位置の確認が行えるように、モーションコントロール、A/D制御、I/O制御のログファイル出力機能、3つ目は、現在位置、A/D入力値、I/O状態をモニターで視覚的に把握できるように、リアルタイムグラフィック表示機能です。

―「生産」「検査」だけでなく「研究」工程でも、やはりいろいろあるのでしょうね。

奥田) そうですね。例えば、専用のロガーから各種生体信号を取り込み、波形表示や統計計算処理及び波形の編集を行う「生体信号計測システム」や、カメラによる画像撮影と画像処理を連続して行い、3次元空間内の移動体の位置を算出し、レーザーマーカで移動体を追尾する「画像処理による3次元移動体の位置認識・制御ソフト」など、多種多様です。

 

―画像処理の活用は、やはり増えているものなのでしょうか?

奥田) 昔はセンサを付けてメカ的に計測していましたが、画像を撮って測ればコストも小さく済みますから、増えていますよね。おもしろかった事例としては、食品メーカーの依頼で、黒いコーヒーゼリーの中に髪の毛が混入したら知らせるというシステムで、画像処理を使いました。ゼリーも髪の毛も黒いのでそのままでは判別が困難ですので、髪の毛がタンパク質で構成されていますので、蛍光X線を照射して捉えて撮影するという方法を採りました。

―逆に難しかった例はどんなものがありますか?

奥田) 生産設備からデータを収集する依頼だったのですが、その機械がドイツ製で、全てドイツ語でしたので苦労しましたね。全部調べて対応しましたよ。

人と機械と対話し、異業種を束ねる“総合プロデューサー”

―すごいですね。お客様(人)の相談に乗りながら、機械とも対話するようなお仕事ですね。御社自身の差別化要素、強みとしてはどういったことと理解したらよいでしょう。

奥田) ものづくりに関わる「言葉」を知っているということですね。ソフトウェア、通信等のほか、研究・製造・検査に関する機器もどんどん新しくなるので、それに対応していかねばなりません。大事なことは、お客様が何をしたいのかを一緒に対話の中で見つけ出すとともに、世の中の製品サイクルが早くなっている中でスピード感を持ってソリューションを提供するということですから。

―設備装置の制御ということですから、異業種と連携されることも多いわけですね。

奥田) メカ屋、電機企業、そして我々ソフト会社が関係しますね。お客様からすれば「設備装置=メカ屋」というイメージでしょうし、まずはメカ屋に相談されるケースが多いと思いますが、当社の場合、当社が窓口になって仕切るケースも多いですね。案件全体の責任を持って、プロデューサー的な役割を果たします。それに、何か設備に不具合があった場合にも、全体に精通していますので、当社に問い合わせをいただきます。

―課題についてはいかがでしょうか?

奥田) 人材の確保と育成ですね。まず、昔に比べてITもどんどん進化していますし、機械もどんどん変わっていく中で、求められるスキルもどんどん高くなってきています。しかも、我々のような機械の制御システムは、お客様の生産システムに直結しており、コトが重大で、責任がとても重いので、プレッシャーも大きいわけです。そうした重圧にも耐えねばなりません。今、仕事はとても多く忙しいのですが、人材不足のため、東京などの大きい仕事があっても断っていますね。

―今後の展望はいかがでしょうか?

奥田) 中小ものづくり企業のスマートファクトリー化は、まさにこれからといった状況です。そうした中小企業の「つながる工場」などをぜひサポートしていきたいですね。

 

IoT時代を支えていこうとされる同社の今後の活躍がとても楽しみです!

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