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株式会社井尾製作所 (京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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WITH・POSTコロナ時代のプラント管理-細かな傷を高精細カメラのリモート操作で発見

(令和3年2月18日、ものづくり振興課)

株式会社井尾製作所(京都市右京区)もサポートされた「高精細360度画像撮影機器」(株式会社富田屋様の5G実証の模様)。
例えば、プラントに置いて、リモートで360度の画像を撮影できます。

カメラとパネル

高精細撮影が可能であり、ズームすることで細かな傷まで判別できます。

ズーム

危険箇所やなかなか近づけない箇所などでの利用など、WITH・POSTコロナ時代の新たなプラント管理の夢が広がります。宇宙空間なども?!

 

社長と社員で築き上げた信頼と品質で「なくてはならぬ存在」に

(掲載日:平成29年10月23日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

株式会社井尾製作所(京都市右京区)の井尾賢司社長様にお話をおうかがいしました。

バルブシート、溶接後歪み補正、鋳物対応など― 他ではできないことに対応

―島津製作所様や日新電機様といった京都の大手企業様とも直接お取引されてらっしゃいますね。

井尾) はい。建機や輸送用機械に使われる油圧バルブ・油圧モータ・油圧ポンプの部品や真空ポンプですとか、半導体関連機器、重電機器、産業機械製造設備などの部品などを作っています。材料は、鉄、アルミ、ステンレスだけでなく、銅や鉄鋳物、難削材まで幅広く対応しており、表面処理や電気関係等は外注ですが、材料調達、加工、性能試験まで一貫対応しています。従業員は48名で、うち女子が、現場で加工を行っている子も含めて、6名います。

  

―えっ、女子!?とても気になります(笑)が、その前に、まずは御社の特長についてお聞きしましょう。大手から直接お声が掛かる、御社が選ばれるというのは理由があると思うのですが、他ではできない、御社だからこそできるという例を少し紹介いただけませんか。

井尾) まず1つは、油圧機器向け電磁弁に付いているバルブシートは、高い精度が必要で、当社の製造ラインが空いてない時とか、故障でストップしてしまった時などでも、外になかなか頼めず困ってますね(笑)。

 

―何か特別な技術やノウハウが必要なのですか?

井尾) 必ずしもそういうわけではないと思っているのです。最近、バルブシートの加工部門を担当するようになった子が主担当でやってくれています。ただ、その子が出張などで留守の場合でも、他の社員が対応しますが、それでも同じ精度を出してくれますので、社員どうしで、ノウハウの共有がしっかりできている点が強みでしょうかね。

―なるほど、社員さんどうしの風通しも良さそうですね。

井尾) あるいは、イオン注入装置の部品などは大きなものが多いですから、溶接工程が加わります。ものとものをくっつけるわけですから、どうしても生産中に歪みが発生します。その歪みを、削って仕上げてくれという依頼も多いですね。とても微妙な精度コントロールが必要なのですが、顧客からは当社しかできないと言っていただいています。

―素晴らしい!

井尾) もう1つは、世間では嫌がられている、鋳物の加工もしていることでしょうか。普通の素材を削った場合と違って、鋳物では粉状の削りカスが出ますので、工作機械を傷めやすいのです。

―なぜ、御社では嫌がらずされるのですか?

井尾) 私は、高校生の時から当社でアルバイトをしていまして、慣れているというか、自然なことだと思っています。当時も粉で顔を真っ黒にしていましたね(笑)。私から言わせれば、鋳物を削る方が簡単なのですけどねえ。

旋盤女子だけでない!― 明るく謙虚で意欲的な社員のみなさん

―では、いよいよ本題の(笑)、社員の皆さんの活躍ぶりを拝見したいと存じます。まず、旋盤を扱っているこの方ですね。

井尾) ポリテクセンターさんから、イチオシの子だと言われて、インターンに来てもらったのがきっかけです。受入前には、怪我をされたらどうしようとか、結構みんなで悩んだのですが、基本的な技術を身につけていたので、そんな心配は杞憂でした。実際マジメでとても助かってますし、職場の活性化にも繋がりますよね。取引している工具屋さんなんかも、わざわざ見に来られましたよ(笑)

―では、ご本人に少し話を聞いてみましょう。お名前は?ここで働いていかがですか?

佐伯) 佐伯と申します。この会社には、熟練の方が多くいらっしゃるので、とても勉強になります。例えば旋盤の刃物は、今は普通に交換するだけですが、昔は刃物を自分たちで作ってらっしゃったそうなので、どのようなものがいいか、どのように調整するのかなど、みなさん知恵の宝庫なのです。

―どうして“旋盤女子”になろうと思われたのですか?

佐伯) 前職は事務職だったのですが、安定して家族を養っていくのに、手に職をつけたいと思いました。父が旋盤工だったので、自然なことであり、抵抗はなかったですね。これからどんどん頑張っていきたいです!

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―ありがとうございました。

井尾) こちらは、同じくポリテクセンター出身の奥谷君です。彼は、40社からオファーがあった強者です。

―すごい!私など一生全部足してもそんなにないかも(笑)。いくつですか?仕事は楽しいですか?

泉谷) 今、25歳です。やりがいがあって、楽しいです!

 

―頑張ってください!

井尾) こちらの佐々木君が、先ほど話をしたバルブシートを作ってくれている担当です。

―おお、エース登場!?

佐々木) とんでもない。私は、まだバルブシートの担当になって1年も経ちませんし、先輩達に教えて頂いたおかげです。他にも同じようにできる方々がいらっしゃいます。

―どうしてキャリアが短くても他でできない精度が出せて、また、他の方も同じようにできるのですか?

佐々木) どうしてでしょうね(笑)。普通にしているだけですが、この部門に限らず、ノウハウをきちんと共有することには配慮していますね。完全マニュアル化しているというわけでもないですが、何があっても誰かが対応できるように、日頃から準備していますね。

 

-素晴らしい。

井尾) こちら、バルブシートの精度を確認する作業をしてもらっています。国家資格として表彰される技術をお持ちであることに加え、後進の育成に尽力してくれますので、ベテランの存在はとてもありがたいです。

―なるほど。ありがとうございます。

井尾) また、教えてもらうばかりではなく、自分で切り拓いて、もともと未経験だったのにすごく伸びている、非常に意識の子や、私はダメなのですけど(笑)、2Dの図面から3Dがぱっと思い浮かぶとか、いちど機械に触れたら覚えるとかいった、センス高い子もいますよ。

―真打ち登場ですね!

井尾) 嬉しかったのは、社員が自分を戒めるために「傲慢になるな」という紙を貼っているのを見たことがありまして、ナイショですけど、少し涙が出そうになりましたね。センスは、無いよりはあった方がいいですが、何よりコミュニケーション力の方が重要です。

 

事業承継は突然に― お客様の良きパートナーを目指す

―まだまだいっぱい素晴らしい社員さんがいらっしゃると思いますが、次に、社長ご自身のことについてお伺いします。事業承継をされたのはいつですか?

井尾) 約10年前です。突然でしたねえ。ちょうど東山区から、こちらの工場に移ってきた頃です。

―島津製作所樣や日新電機樣も近い、京都の街中ですよねえ。

井尾) 敷地も建物も大きさが4倍になり、借金も莫大になりました(笑)。取引先樣との食事会の場で、突然、父が「1年後に社長が替わるのでよろしく」と宣言しちゃったのです。取引先樣に言ってしまっては、もう後戻りはできなかったです。

―困らなかったですか?

井尾) 既に当時から、調達や営業などやってましたし実務で困ることは少なかったですが、ちょうど借金が増えたタイミングでしたから、お金の面ではすごく苦労しましたね(笑)。

―しかし、いつかは継ごうと思ってらっしゃったのですよね?高校生の時はアルバイトもされていたとのことでしたし。

井尾) 若い頃から、気持ちは揺れてましたね。大学は工学部で、さほど優秀ではなかったですが、先生の覚えが良く、「大学に残れ」と言われました。しかし、電気の人が多い会社なので、逆に機械加工の人間は出世するぞと言われ、住友電工に入社しました。この時点で、家業を継ぐのではなく、住友電工で出世する道を選んだのです。父も「戻ってこなくていい。借金返したら、工場を閉めるから」などと言っていたように記憶しています。

―そうだったのですね。

井尾) ところが、住友電工に入社してから気づいたのですが、井尾製作所の取引先である日新電機さんは、住友電工の系列です。だから、周りは、私が井尾を継ぐつもりで入社したと見ていたのです。そして数年後、周りから「なんでまだ帰ってこないの?」「お父さんは、戻ってくるのを期待してはるで」「戻ってこなくていいとは、戻ってきてほしいという意味やで」と言われるようになりました。ちょうどITバブル崩壊が直撃し住友電工も厳しい時代を乗り切って、海外展開の拡充など攻めに転じる中、私にヨーロッパ赴任の話が持ち上がりました。非常に悩みましたが、家業を継ぐ決断をしました。

―最後に、今後の展望についてはいかがでしょうか。

井尾) リーマンショックなど厳しい局面もありましたが、その後は順調に売上も伸ばしてまいりました。会社を経営するに当たって、最も大事なことは、会社をつぶさないこと、従業員を路頭に迷わせないことだと思います。そうするためには、「この会社はつぶさせない、つぶれてもらっては困る」と、お取引先さんや金融機関さんに思ってもらうことだと思います。そのためには、お客樣の「良きパートナー」に位置づけて貰えることが重要だと考えています。

―なるほど。既にそのようになってきてらっしゃいますよね。

井尾) お客様の数は減ってきています。しかし、お客様一社当たりの仕事量は増えています。ここがなくなったらどうするねん― そう思ってもらえる会社になりたいですね。

 

とても素敵な会社、社員の皆様です。今後ますます楽しみですね!

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