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株式会社石川建設(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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道の、向こうへ。

(掲載日:平成30年12月7日、ものづくり振興課 足利)

道の向こうへ。石川建設(新しい技術と発想でアスファルト舗装の常識を覆す・・・未来を拓くイノベーターであり続けたい)

 株式会社石川建設(京都市)の紹介動画です。

「アステープ」による火気不使用の画期的オーバーレイと特殊舗装工事はお任せ

(掲載日:平成29年2月6日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

「アステープ」新しいオーバーレイ工法の提案

平成23年度経営革新企業・株式会社石川建設(京都市伏見区)の石川代表取締役様にお話をおうかがいしました。

多種多様な舗装工事のプロフェッショナル

―まず、事業の概要を教えてください。

石川) 従業員12名で、舗装工事、土木工事のほか、アスファルト表面補修工事のためのオリジナルアイテム「アステープ」(チャレンジ・バイ認定)の開発販売を行っています。

―舗装工事ですか。

石川) 舗装工事にもいろんな種類があります。例えば、よく道路などで皆さんが目にされるアスファルト舗装工事も、実は多種多様なのです。雨天時対策のための排水性舗装、歩道などで水が溜まりにくいようにする透水性舗装、カラーアスファルト舗装などはよく知られていると思いますが、その他にも、滑り止めのために一般のアスファルト舗装の上に樹脂を塗布してセラミック骨材を散布するケースや、路面の温度上昇を抑制するために遮熱塗料を塗布するケース、アスファルト混合物の空隙にセメントミルクを浸透させ明色性半たわみ性、を向上させるケースなど何十種類とあるのです。

 

―なるほど。

石川) それ以外の舗装工事も、様々な色合い・風合いに対応できるインターロッキング舗装、衝撃吸収性や弾力性に優れたウッドチップ舗装、ゴムチップ舗装など、よく見かけられるものもありましょう。公園・テーマパークなどの通路に使用される自然石舗装、観光地における風情・情緒を基調とした御影石石張り舗装など、多くの特殊舗装にも対応しています。

 
(左:御影石石張り舗装(木屋町)、右:薄層カラー樹脂舗装(伏見街道跨線橋))

―すごいですね。

石川) 当社は、舗装工事から派生して土木工事にも対応しています。従いまして、道路の舗装工事はもちろん、駅、港、空港の舗装工事、高速道路の大規模な新設工事やリフレッシュ工事のほか、一般のご家庭、事務所、商業施設、工場などでの各種舗装、観光地や有名寺院の敷地の工事、競馬場のダートコースの修繕など、多種多様な工事を行っています。

研究力×技術力×チームワーク=どんな特殊舗装も実現

―本当に幅広いのですね。普通、そんなに幅広く対応できるものなのですか?

石川) どんな特殊な舗装工事でも対応する自信があります。由緒ある寺院における特殊な舗装など、どこにでもたやすく対応できるものではありませんが、このような特殊なケース等で当社を頼ってお声掛けいただくことが多いですね。価格的にも結構喜ばれますよ。

―すごいですね。

石川) そして、2つ目として、様々な工法がありますから、工事機械もそれぞれ異なるものが必要なのですが、直営施工にこだわってやってきまして、当社の社員は、各種国家資格保有者も多く、様々な特殊機械に対応できる力量を磨いてきました。おかげさまで、当社には中年から高年齢の熟練者が多く、若い従業員も積極的に雇用し技術の承継も進めやすい状況であります。社員どうし、切磋琢磨して技術向上を目指しており、良い意味でライバルでありますし、助け合って社会を生き抜く良い戦友・パートナーだと思って働いてくれているのではないかと思います。

 
(左:現場作業風景、右:会社内風景)

―そうしたことは、一朝一夕にできるものではありませんよね。

石川) 社員の原価意識も高いと思います。KESも取得していますが今年度からはISO9001・14001の取得に向けて活動し始めています。また、売上意識も高いです。新しい得意先などを社員が、工事を行う技術者である社員が確保してきてくれたりもするのです。ユニフォームなども、もっと清潔感のあるものに新調しようというような提案も社員のみんなから出てくるのです。お客様の幅がどんどん広がっているので、非常に的を射た提案だと感心したくらいです。

火を使わずに工事時間を大幅短縮―「アステープ」を使った新たなオーバーレイ

―いいお話ですね!さて、御社のオリジナル商品「アステープ」(チャレンジ・バイ認定)について、改めてご紹介ください。

石川) 全国の道路や工場敷地などのアスファルト舗装は、数年経つと劣化が進み、必ずその表面を補修する工事、「オーバーレイ」が必要となってきます。一般のオーバーレイの工法は、現場で火気を扱うために、大変危険を伴う上に、作業時間を要する非効率なものなのです。そこで、火気を使わない、全く新しい特許工法を開発しました。それに用いるのが「アステープ」です。

―一般のオーバーレイ工法は火を使うのですね。

石川) 補修前のアスファルトと、そこに被せる新たな舗装面となるアスファルトとの接着剤として、補修箇所全体は「乳剤」を、剝がれやすい端部(約10cm幅)には、より接着性の高い「ストレートアスファルト」を用います。そのストレートアスファルトは、もとは固形物ですから、施工直前に現場でガスバーナー等を用いて加熱し、とろとろに溶かして使用するのです。一般通行者、近隣住民の方にとっても不安を覚える手法ですし、実際に火災事故や火傷などの事例も後を絶たず、作業者にとっても非常に危険です。ストレートアスファルトを沸かす場所が非常に少なく、ダンプトラックの荷台上で沸かしている際に、ダンプトラックに燃え移ったという例や、夜間工事などでストレートアスファルトが入っている一斗缶につまづいてこぼしたり、水と見違えて手を洗おうとして大火傷を負った事例も発生しています。

 
(左:ストレートアスファルト加熱溶融状況、右:ストレートアスファルト)

―悲惨な歴史が業界にあられたのですね。

石川) また、工場敷地等ではそもそも火気厳禁のところが多いので、アスファルトストレートを使用する場合には、必ず作業員をその場にべったり張りつけることが義務付けられ、コストがかかりますし、手続にも相当な時間と労力を要するというのが実態なのです。

―そういう問題を克服するのが「アステープ」ですね。

石川) そうです。一般のオーバーレイでは、端部のアスファルトストレートを塗布する外側に、ガムテープでマスキングを貼ってはみ出ないようにして、その内側に接着剤となるアスファルトストレートを塗布し、上から新たな舗装を敷き均し転圧していくわけですが、「アステープ」は、ゴム系樹脂とアスファルトストレートの合成樹脂でできた両面テープで、これまでアスファルトストレートを塗布していた箇所にアステープを貼ります。そして剥離紙をはがしてアスファルトストレートなどの接着成分を残しまして、上から新たな舗装を敷きならして転圧すると、その舗装材(アスファルト)の熱で、接着成分が働き接着するというものです。

―素晴らしい。

石川) ですので、一般のオーバーレイにおける、ストレートアスファルトの過熱も、ストレートアスファルトの塗布も不要であるため、工事時間が大幅に短縮できるのです。もちろん、火を使いませんから、安全で、工事現場でもコスト縮減につながります。京都は観光地として外国人観光者が年々増加しており、道路舗装現場のすぐ横を観光者が歩いている場面も多くなりました。第三者災害を未然に防ぐ意味でも重要な事だと考えます。

熱き改革の着想と地道な努力の賜

―画期的ですね。どういう経過で開発されたのですか?

石川) オーバーレイに限らず、アスファルト舗装工事では、危険で手間暇のかかる作業が多いのです。重量10t以上のローラーで締固め作業をしたり、交通量の非常に多い道路上で休憩する場所すら確保できない状況下でも工事したりしなければなりません。他のビジネスでは考えられない危険な状況が付きまといます。先代社長である父が興したこの会社に、私は18歳から入社して現場作業をしてきましたが、他の業界と違って、いつまでも、いわば原始的な手法のままなのです。こうした状況を打破したいとずっと考えていたところ、この両面テープの手法を思いつき、開発に取りかかりました。従業員とともに試行錯誤を重ねて、開発開始から実に3年で、アクリル系樹脂テープの試験施工にこぎつけ、その4年後の平成22年12月に、特許を取得することができました。

―業界にいながら業界への問題意識を持たれ、着想されたというのは、すごいことです。しかし、御社は建設業であって製造業ではありません。製品化はどうされたのかご紹介ください。

石川) まず、接着成分の開発に当たっては、様々な接着剤メーカーを訪問し、材料を試していくという繰り返しでした。そうして、やがてアスファルト舗装面への接着力に優れた樹脂を見つけ、試作品として完成の域に到達できました。そして、いきなり大量生産というわけにもいきませんから、製造ラインを貸してくれる企業を見つけ、製品化を果たしたわけです。

―毎日現場での建設作業をなさりながら、製品開発のための材料探しの営業をなさっていたことなど、感動すら覚えるお話です。

石川) NETISも獲得でき、おかげ様でNEXCO西日本の維持補修で安定してご利用いただくなど、販売実績も上がっています。更には大阪ガス関連の舗装端部補強(シールコート)としての実績も増加し、仕上がり状態の綺麗さに高い評価を頂いております。

  
(左:オーバーレイ(NEXCO西日本)、中央:シールコート(大阪ガス)、右:シールコート施工1年後拡大写真)

―最後に、今後の展望はいかがでしょう。

石川) 先ほども申しましたが、難しい舗装工事でも当社ができることを知って、様々な分野の現場からお声かけいただくようになってきました。そうしたご要望に応えるためにも、当社自身のブランドを確立し、どんどんチャレンジをしてまいりたいと思います。

 

今後の活躍がますます楽しみですね。

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