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株式会社メガカリオン(京都企業紹介)

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iPS細胞で実現する輸血医療「第2のイノベーション」

(掲載日:平成30年6月28日、聞き手:ものづくり振興課 足利・西脇、文:ものづくり振興課 足利)

メガカリオン株式会社(外部リンク)(本社:京都市)の執行役員経営管理部長の石井さんにお話をおうかがいしました。

輸血医療「第2のイノベーション」

足利) まず、何をなさっている会社か、教えてください。

石井) 2011年設立、現在27名体制で、iPS細胞から高品質の血小板を産生し、計画的安定供給が可能で、安全性が高い、血液製剤の開発を進めています。

足利) 献血ではダメなんですか?

石井) まず、日本では少子高齢化に伴う献血の需給問題があり、献血者の確保に大変な努力をされています。血小板は、ご承知の通り、血液に含まれる細胞で、赤血球、白血球などと並ぶ血液製剤の主成分で、血管が損傷したときには集まって出血を止める重要な役割を担います。

足利) 乾燥したものが「かさぶた」ですね。

石井) はい。特に手術で大量に必要とされますが、どんな血小板でもいいというわけではありません。赤血球にはA型、B型、AB型、O型などの血液型がありますが、 同様に白血球にもヒト白血球抗原(HLA:Human Leucocyte Antigen)と言われる型があります。繰り返し輸血が必要な患者は、自己と異なるHLAに対して抗体を産生してしまうため、HLAを一致させた血小板の輸血が必要になります。同じ型のドナーは、兄弟姉妹間で4人に1人、非血縁者間では数百人から数万人に1人の確率となり、ドナーがなかなか見つからない状況も数多くあるのです。

足利) そうなのですな。

石井) 現在研究が進む再生医療の中でも、血小板製剤は非常に大量の細胞を必要とします。例えば網膜色素細胞が約1万、ドーパミン再生細胞が約100万、神経幹細胞が約1000万の細胞数を使用するのに対して、血小板製剤は2~3000億個の細胞数が必要で、しかも継続的に輸血する場合は、その回数分の細胞数が求められます。

足利) なるほど。

石井) このように、大量の細胞数が必要なのですが、血小板は冷凍保存が不可能で、常温の保存期間はわずか4日程度なのです。1900年、オーストリアの病理学者カール・ラントシュタイナー博士が血液型を発見し、輸血医療の道を拓きました。以来、輸血は医療の最も基本的な治療手段の一つとして普及しています。しかし輸血に必要な血液は保存法などについて進歩がみられるものの、依然として献血に頼っているのが現状です。こうした背景から、献血以外の方法で血小板製剤の大量生産を可能にする当社の研究は、医療現場が100年以上待ち望んだ「第2のイノベーション」といえるものです。

中内・江藤特許によるiPS細胞由来の血小板大量生産

利) よくわかりました。では次に、具体的な産生方法について教えてください。

石井) 血小板は、骨髄中の巨核球の細胞質から産生されるものでして、当社では、iPS細胞から血小板の元となる巨核球を大量に増殖させる方法の実用化を進めています。東京大学中内研究室・京都大学江藤研究室が見出した特許を独占的に使用する権利を得て、血小板製剤の大量生産を実現するための研究を続けています。

足利) 巨核球ですか。

石井) 巨核球は、英語でmegakaryocyteでして、当社の社名megakaryonの由来でもあります。

足利) そうなのですね!

石井) まず、iPS細胞から、造血前駆細胞をつくり、「細胞の増殖」「老化の防止」「細胞死の防止」の機能をそれぞれ持つ、3つの遺伝子を導入することで、安定的に増殖する巨核球前駆細胞を樹立します。この不死化巨核球前駆細胞は、冷凍することで長期間保存が可能なのです。これをストックしておきます。

足利) なるほど。

石井) そして、ドナーの需要に応じ、HLAの一致する必要な量だけ解凍し、巨核球前駆細胞から巨核球をつくり、そして、血小板を作り出すというものです。

量産・安全

足利) 安定供給への貢献度の高さをまとめますとどうなりますか。

石井) まず、量産化ですね。それによって、献血者が不足する状況に対応することはもちろん、稀なタイプのHLA型の血小板の輸血を必要とする患者の場合、HLA型の一致するドナーからの継続した血小板の確保が非常に困難となりますから、当社の技術によって、HLA型の一致するドナーからiPS細胞を樹立し、樹立したiPS細胞から当社の技術を用いて凍結保存可能で大量に増殖できる巨核球株を準備すれば、こうした患者に対しても、将来にわたって安定的に供給を確保することができます。

足利) なるほど。

石井) そして、安全性ですね。無菌下における細胞の複製によって量産化を可能にするこの技術では、マスター細胞の安全性を確保し、厳密に製造を管理することが可能となり、病原リスクをほぼなくすことができます。

足利) 一方で、iPS細胞の課題の1つ、がん化に対してはいかがでしょうか。

石井) がん化リスクはありません。iPS細胞を作製する過程や培養する過程でゲノムに傷がつくことで、iPS細胞ががん化するリスクや、iPS細胞から目的の細胞へ分化させる際に分化が不完全で、未分化なiPS細胞が混入することで奇形種が生まれるリスクがあるわけですが、血小板は、巨核球の細胞質から産生されるものでして、核を持たず増殖する能力がないこと、製剤化に当たっては放射能照射が可能なことから、がん化リスクをなくせるのです。

国家戦略特区「課税特例措置」全国第1号案件

足利) さて、「国家戦略特区」の課税特例措置の全国第1号案件です。これはどういう制度ですか?

石井) 当社が使わせていただいたのは、「研究開発税制の特例」というもので、当社の場合でしたら、細胞培養に掛かる装置などですが、そうした機械・装置等の減価償却費の100%を税額控除いただけるというもので、大変ありがたかったです。

足利) 100%税額控除といっても、御社もそうかもしれませんが、研究開発型でそもそも赤字だといったケースでも、役に立つのですか?

石井) 節税の効果を繰り越していけることが可能なので、とてもありがたいのです。研究開発で赤字が続いて、ようやく黒字化したというタイミングなどで使わせていただくことができるのです。

足利) 適用に至った経過は?

西脇) 京大に課税特例措置の適用先について相談したところ、メガカリオンさんを紹介いただいたのです。

足利) 第1号ということで、国との調整にはご苦労もあったのでは?

石井) そうですねえ(笑)。ベンチャーの実情を普通ご存知ないですから。先ほどの話でもそうですが、当社が黒字企業ならば税額控除というのはわかりやすいのですが、赤字企業でしたから、「なぜだ!?」ということになっちゃいますよねえ。繰り越していけるのだということを調べて伝えていったりしましたね。

西脇) それに、例えば、この時適用したのが「特定中核事業」に該当するケースのみなのですが、どういう場合が特定中核事業なのかとか、国も初めての案件だから分からなかったり。2、3か月かかりましたかね。

石井) そうでしたね。しかし、お互い初めてのことだから、国も問題がないようにしっかりと積み上げながら進めてくださったと思いますね。

足利) 特区制度を使われていかがでしたか?

石井) 税額控除や固定資産税の減額という直接的なメリットだけでなく、こうした国を挙げての制度に関わらせていただけたということ自体も、大変ありがたいものでした。当社はベンチャーで、収入もない中で、投資家に対して、信用性を高めることに大いに役立ちました。

新しい医療インフラ構築へ

足利) さて、最後に今後の展望についてはいかがでしょうか。

石井) 今、前臨床の動物試験を進めていまして、2020年には上市したいと考えています。私たちの開発には、試薬や培地の開発、巨核球の冷凍保存、血小板の分離精製などの技術開発、そして実用化に向けた薬事業務など、高い専門性が要求されます。そのためには国内外の研究機関や医療メーカーなどとの広範な分野での連携が欠かせません。私たちはこれまでの研究で得た技術や情報を広く世界に公開し、このプロジェクトをオープン・イノベーションとして、新しい時代の輸血インフラ構築に寄与したいと考えています

足利) なるほど。

石井) 現在も、京都の企業も含めたコンソーシアムで、全自動装置等を開発してもらっています。巨核球を増殖、成熟させ、血小板のみを分離精製する、といった具合に何段階もの工程があるのですが、これらをまとめてできないかというものです。例えば、国内においては、その全自動装置と、当社の血小板大量産生のレシピをセットで提供する、国外にはレシピをライセンスとして提供するなど、様々な選択肢ができてくると思います。お困りの患者様のために、できるだけ早く完成させてまいりたいと思います。

 

2020年、本当に楽しみです!

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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