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小川医理器株式会社(京都企業紹介)

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自然光を自動で創る新技術「Visual Timing Light」小川医理器株式会社

 

(掲載日:平成28年3月23日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 小川医理器株式会社(外部リンク)の小川社長にお話をおうかがいしました。

現場に合った機器づくりをプロデュース― メーカーのような卸会社

―まず、会社の概要を教えてください。

社長) 昭和23年創業、病院・福祉施設用機器、医療機器の製造(輸入)・販売を行っています。一言で言えば「卸」であり、国内外のメーカー様と、全国各地の商社様とを繋ぐ存在です。特に京都の商社様は地域密着で病院や施設の傍にいらっしゃるのに対し、私どもはメーカー寄りと言えるでしょう。

―業界特有の難しさや、その中での御社の特徴は、どういったことでしょうか?

社長) コモディティ化した商品であれば一般的な要求に応えるものを作ればいいのでしょうけれど、医療関係では、現場によっておっしゃることが違うため、コモディティにならないのです。そのため、それぞれの現場ごとにカスタマイズした製品を提供していますし、マニュアルもそれぞれの現場ごとに違うものを作って提供しています。大変難しいのですが、ぴたっとハマると「本当にありがとう」とおっしゃっていただけ、嬉しい限りです。

―どうして御社にはそういうことができるのですか?

社長) 数十の協力工場を抱えており、こういう加工はA社、こういう加工はB社、組立ならC社、といったように、差配して製品づくりを進めています。ここまでしているところはありません。自社工場は持っておりませんが、ファブレスのメーカーとほとんど同じです。

医療現場をクリーンにする機器の数々

―どういった分野の商品を取り扱ってらっしゃるのですか?

社長) 当社の掲げるミッションは「全ては患者様の笑顔のために」です。そのためには、そこで働く人の現場環境を良くすることが大事だと考え、感染症対策機器やOP/ICU室用機器、病棟・看護用機器等を取り扱っています。主力商品の1つは、汚物機材を始めとする機材の洗浄・消毒機器であるBEDPANWASHER「TOPLINE/TOPIC/TOPCLEAN」です。

―機材を洗うのなら、大型の食洗器のようなものではダメなのですか?

社長) 汚物機材の場合は、汚物が入ったままBEDPANWASHERに機材を入れていただき、汚物の処理、洗浄、そして消毒までできるようになっています。

画像:TOPLINEではこのようなものが洗えます(尿器、差し込み便器、ポータブルトイレ用バケツ、ゴム便器、メジャーカップ等

―どうして汚物が入ったままなのですか?

社長) 感染症予防のためです。汚物を捨てる際に、はねたりすることがあります。それが感染症の引き金になることがあり、十数年前に汚物からの感染症が大きな問題になったことがありました。それをきっかけに、BEDPANWASHERが日本で普及し始めました。

―ここにも御社の工夫があるわけですね?

社長) はい。国内メーカーがほとんどないので海外製を導入していますが、ポータブルトイレなど日本独自の機材に対応してバスケットを変えるとか、日本仕様にしています。他の器具でも、材質をステンレスに変えてみたりだとか、協力工場とも相談しながら様々なチャレンジをしています。

日本で唯一、自然光を自動で創る新技術「Visual Timing Light」

―では、新しい展開について教えてください。

社長) これまでの医療機がメインでありましたは、介護分野のウェイトも増やしていきたいと考えています。この「Visual Timing Light」は、その一環でもあります。人間は自然光によって昼夜サイクルの調整を行い、神経器官や代謝など様々な身体の機能が24時間を1周期にセッティングされています(サーカディアンリズム)。自然光に当たる時間が極端に減ると、睡眠障害、恒常的な疲労感、うつなどを引き起こす原因となります。院内で過ごすことが多い入院患者さんなどでサーカディアンリズムを崩され、夜寝られなくなり睡眠薬を服用するような事例も多く報告されています。そこで、朝から夜までの自然光の色、強さなどの変化に合わせ、光を変化させるのが「Visual Timing Light」です。

―なるほど。単に色を変えているだけではなさそうですね。

社長) はい。まず、朝の太陽の光がブルーライトを多く含むように、朝の時間帯にはブルーライトの光が発せられるのです。ブルーライトは、その刺激を受けると覚醒し「朝だ」と判断するもので、サーカディアンリズムがリセットされるものです。ですので、認知症患者のストレスの緩和、夜間徘徊の減少に期待が持てますし、不規則な業務の医療従事者のリズムを整えることも期待できます。また、カスタマイズし、ソフトウェアによる制御で世界各地の緯度に応じた光の色や強さの変化を再現できます。さらには、夜間は照明が抑え気味であるなど省エネにもなります。

―導入実績は?

社長) 例えば、病院のICUに設置されました。手術後、夜なのか昼なのか、何時頃なのか、よくわからないのが一般のICUですから、それを解消するために導入いただきました。スイス製で、当社が国内製造販売の許可をとっています。

現場の笑顔がますます増えそうです。同社の今後の更なる展開が楽しみです。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp