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ヤマナカ アドバンス マテリアル株式会社(京都企業紹介)

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半導体ドーパント材料高純度ボロン等の世界シェアNo1

(掲載日:平成30年5月18日、聞き手・文:ものづくり振興課足利)

ハイテク技術を支える材料メーカー

ヤマナカ アドバンス マテリアル株式会社(外部リンク)(本社:京都市)の鹿島滋賀事業所工場長にお話をおうかがいしました。

当社がなければ全世界の半導体生産が止まる―半導体ドーパント材料高純度ボロン等の世界シェアNo1

―まず、御社の概要を教えてください。

鹿島)1995年設立、現在従業員26名の材料メーカーです。半導体ドーパント材料である高純度ボロン、高純度赤燐などや、太陽電池製造材料、光ファイバー用高純度材料であるオキシ塩化リンなどの製造・販売、先端材料の研究開発を行っています。

 
(左:本社、右:滋賀事業所)

ボロンや赤燐は、シリコンに正孔や自由電子を生じさせるためのものですかね。今の世の中にこれほど普及している半導体の添加材料を供給されている企業様が、まさかこんなに近くにあったとは。

鹿島)そうですね。シリコン自体は電気を通す性質はほとんどなく、添加物を加えてはじめて電気を通す半導体になります。ボロンを加えれば、電子に空孔(正孔)ができるP型半導体、赤燐を加えると自由電子が生まれるN型半導体になります。当社は、世界で唯一N型用、P型用の両方のドーパントを製造・販売している会社です。しかもそれぞれ固体材料だけでなく、液体材料も提供しています。

 

そうなのですね。

鹿島)当社の半導体ドーパント材料は世界の主要半導体シリコンインゴット・ウエハメーカーで使用されており、ボロンは世界シェア6~7割、赤燐は8~9割を占めています。また、太陽電池製造工程で用いられたり、光ファイバーの製造時に添加されるオキシ塩化リンも、中国を除き6割くらいのシェアを占めています。

すごいですね。競合先はどれくらいあるのですか?

鹿島)世界的に見て、そうですね、ボロン・赤燐いついては各1社くらいですね。おっしゃったとおり、もはや半導体は生活に欠かせないものとなっており、電化製品や機械の制御部をはじめ、携帯電話、パソコン、自動車、電車等も半導体なしでは動かないのが実態です。ですので、万が一、当社が製品を供給できなくなれば、全世界の半導体生産が止まってしまいます。そのため、当社は小さな会社ではありますが、どのような事態が起こっても製品の出荷を止められないという責任を負っているのです。

世界に認められる品質

すごいですね。どうして、そのような高いシェアを獲得されてらっしゃるのでしょうか。

鹿島)まずは、近頃はそうでもないですが、特に当初は、マーケットが小さかったということがあります。半導体自体はボリュームが大きいのですが、その添加物ですから、大手が参入するほど大きくなかったということでしょう。

なるほど。

鹿島)そして何より、高純度のものを作るのが難しいわけなのですが、そこが当社の強みです。最近は主に中国から品質は劣るが、低価格のボロンも出てきています。あるいはオキシ塩化リンにしましても、農薬の原料であるなど、割とどこにでもあるものです。

―品質管理についてはいかがでしょうか?

鹿島)当社の主なお客様は、半導体メーカーであり、厳しく品質管理を行っています。国際品質規格である、ISO9001と環境規格であるISO14001も取得しており、国際的に認められた品質・環境管理を行っています。

容器についてはいかがでしょうか?

鹿島)ボロン用ではなく、液体材料(オキシ塩化リン)についてですが、輸送用容器も独自に自社で開発しています。当社は顧客メーカー様に直接販売、出荷しているのですが、売上の7割程度は海外輸出です。オキシ塩化リンは腐食性が強い液体ですので、いかに漏れることなく安全に届けるかという点は重要でして、容器も開発し、検証を重ね、国際認証を取得しています。

高純度材料を生み出す、おしゃれラボ

社屋内部は、とってもおしゃれな研究Labといった感じで、明るいデザインですし、働いてらっしゃる皆さんもいきいきされてらっしゃいます。人材確保についてはいかがですか?

鹿島)工場のきれいさをおほめいただきありがとうございます。ただ、人材確保は、やはり大きな課題ですね。ハローワークには出していますが、なかなかですね。見に来ていただければ当社のよさがわかると思いますが、主なお客様が半導体メーカー様であり、高純度製品を製造しているため非常にきれいな職場であることを心がけています。また、残業もあまりないホワイト企業なのですが。

求められている人材はどういった方ですか?理系出身じゃないといけないのでしょうか?

鹿島)そんなことはありません。実際、理系出身者は全体の3分の2ほどです。ただ、薬品を扱うことに苦手意識がないと言いますか、どの薬品はどのくらい危険か、逆にどのくらい危険ではないかなどを理解できることは重要です。また、手先が器用だとか、根気よく検査ができるという方とか、コミュニケーションがきちんととれるとか、様々な方が必要です。

職人を支える機械化と、新製品開発を模索

今後の展開については、いかがでしょうか?

鹿島)1つは、社内のプロセス改善ですね。先ほども申しましたように、低価格のボロンも出てきていますから、熟練技術を機械化、デジタル化でサポートしたいのですが、単にスピードアップというだけではありません。当社の職人の検査能力が高すぎて、自動検査装置で見つけられる限界を超えているのです。ですので、高度な自動検査装置の開発、導入も必要となってきています。

すごいですね。

鹿島)もう1つは、むしろこちらが重要なのですが、数年のうちに新製品開発を達成したいです。現在、高純度ボロン、高純度赤燐、オキシ塩化リンに売上割合が集中しているという課題があります。そのため、異業種を含め多様なコラボレーションを模索しています。ものになるかどうかは別として、様々な分野の企業様や研究機関との情報交換、意見交換から取り組んでいきたいです。もし当社にご興味を持っていただける企業様があれば是非、お声がけいただければありがたいです。

 

同社の今後の展開が大変楽しみです!

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