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京都府住宅審議会基本政策部会(第2回)開催結果

1 日時

令和2年11月4日(水曜日)午前10時から12時まで

2 場所

ZoomによるWeb会議

3 出席者

委員 : 7名 うち代理出席1名(欠席2名)

傍聴者 : なし

報道関係者 : 1名

その他 : 事務局

4 議事概要

 (1) [報告事項] 前回の部会における委員御意見等について

事務局から資料1及び資料2により説明

(2) [審議事項] 住宅政策のあり方について(「子育て支援、住宅セーフティネット、高齢化社会への対応」の視点から)

事務局から資料3から資料5により説明

<議事について> 

  • 資料1及び資料2についての主な質問・意見

・ 子育て世帯の住環境について、住宅の広さが重要な要素であることは確かだが、新型コロナウイルス感染拡大後は個室が求められるなど、室利用の状況そのものが大きく変化しているため、できる限り最新のデータを収集するように努めていただきたい。

 

・ 「4 年齢階級・延べ面積別主世帯数【借家】(京都府)」(p.6)について、老人ホーム等の高齢者施設も、狭小な住宅として数値に含まれているのか。

 → 高齢者施設は、住宅・土地統計調査の定義上は住宅に該当しないため、数値には含まれない。

 

・ 「2 年間収入分位階級別 住居費支出割合(全国)」(p.4)について、2014年から2019年の推移をみると、第1階層(年間収入357万円未満)の世帯における住居費支出割合が大きく減少しているが、その理由について事務局で何らか分析されているか。

→ 現時点で理由までは把握できていない。確認の上で改めて報告する。

 

 ・ 「(参考2)リフォーム・建替えの目的・課題(京都府)」(p.5)について、「性能の向上(断熱性、省エネ性など)」が比較的高い割合を示している点は意外である。これは、例えばエアコンの交換等も含んでいる数値か。

 → エアコンは対象外であり、断熱サッシへの交換や、断熱材の施工が対象である。 

 

  • 資料3から資料5についての主な質問・意見

・ 「25 高齢者世帯の住宅に関する不満(京都府)」(p.25)について、「地震・台風・火災に対する安全性」「いたみの少なさ」等に対する不満が高いことが示されているが、どのような住宅でこのような結果が出ているのか。それを把握することで、支援すべき対象が明確になると考えられる。

→ 現時点で住宅の種類までは把握できていない。改めて分析を行うこととするが、データの出典元である住生活総合調査は抽出調査であり、府単位でのサンプル数が少ないため、統計的信頼性が低くなってしまう点は御理解いただきたい。

 

 ・ 「31 高齢者等のための設備のある住宅の割合(市町村別)」(p.28)が、大山崎町において低くなっている理由について、もし分かれば教えていただきたい。

 → 現時点で理由までは把握できていない。できる範囲で改めて調査する。

 

 ・ 「新婚世帯スタートアップ支援事業」(p.33)の利用実績が少ない理由(支援額が少ないためか、支援対象への該当者が少ないためか等)が分かれば、教えていだだきたい。全体を通して、限られた予算内で支援を行っていく必要があるため、ターゲットをしっかりと絞って効率よく集中的な支援を図ることが重要である。

 → 利用実績が少ない要因について、担当課を通じて改めて確認する。

 

 ・ 「21 床面積別・家賃別民営借家数(京都府)」(p.21)に挙げられている比較的容易に入居できる家賃水準の民間賃貸住宅のうち、耐震基準への適合状況、主要駅からの距離等の条件も考慮して、実態として利用可能な賃貸住宅ストックがどの程度あるのか、推計値にはなるかもしれないが把握が必要である。また、セーフティネット住宅の登録数は大きく増加しているものの、その中には入居中の住戸も含まれているため、すぐに利用可能な住戸はどの程度存在するのか、また、どの程度確保しなければならないかを考える必要がある。これらを念頭に、セーフティネット住宅が安定的に府下で供給されるための条件整備を、もう少し丁寧に考えていけるとよい。

 → 御指摘のとおり、セーフティネット住宅の登録数は増加しているものの、空き住戸はほとんどないのが実態であり、今後、利用可能な住戸をどのように確保していくかが課題であると認識している。また、近畿の住宅行政関係の会議でも話題に挙がったが、制度の仕組み上、セーフティネット住宅における入居者の属性を把握すること自体が困難であるという点も課題として挙げられる。セーフティネット制度の効果をどのように捕捉し、実効性を高めていくかは大変難しい問題であるが、委員各位から参考となる御意見を賜りつつ、引き続き、その方策について検討を進めてまいりたい。

 

 ・ セーフティネット住宅の関連施策として、京都府内の居住支援法人が集まる場を、何らか設けているか。

 → 毎年度開催している京都府居住支援協議会の総会には、居住支援法人にもオブザーバーとして出席いただいている。居住支援法人との連携強化に向けた方策も、今後検討してまいりたい。

・ 大阪府では、居住支援法人を集めた意見交換会を開催し、居住支援法人相互で情報交換を行っている。ノウハウの蓄積を図るため、京都府でも同様の取組があるとよいのではないかと考える。

→ 御意見を踏まえて、居住支援法人相互の意見交換会の開催や、京都府居住支援協議会が主催している地域の行政・不動産・福祉関係者の連携会議に居住支援法人にも参加いただくなど、連携を進めてまいりたい。

・ 居住支援法人の役割は各都道府県で様々に検討されているところであり、公営住宅における空き住戸の活用促進等を含め、その役割に位置付けている都道府県もある。居住支援法人の位置付けについて、是非検討を進めていただきたい。

 

 ・ 高齢者住宅や子育て住宅のリフォームに関する相談を、最近3件ほど立て続けに受けている。住宅の購入や賃貸の際は不動産業者を訪問すればよいが、リフォームに関しては、現代では昔のように町の工務店や知り合いの大工等がいない場合が多く、どこに依頼すればよいのか分からないという方が多いのではないかと思われる。京都府や府内市町村において、このような相談に対応する窓口や施策はあるか。

 → 個別のリフォーム業者を紹介することは、行政や公的機関の立場では難しいという側面がある。現に取り組んでいる内容としては、(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターの増改築相談員名簿を、京都府住宅供給公社の住宅相談所等で紹介していることが挙げられる。

・ 神戸市の住宅相談窓口「すまいるネット」では、リフォーム業者に関する客観的な情報を提供することで、エンドユーザーのニーズに応えている状況がある。京都市の場合は、相談先として京安心すまいセンターがあるが、府内の他の地域では窓口自体が存在しない状況もある。相談窓口の設置及び適切な業者の選定支援に係る仕組みを整えていくことが重要である。

・ 個別の業者を紹介することは難しいかもしれないが、建設業者・工務店等の団体と協議の上で、相見積もりのための複数業者を紹介する業者選定の糸口となるようなサービスデスクを設置できるとよい。

 

 ・ 「介護予防安心住まい推進事業」(p.38)の利用件数が、2016年以降、減少傾向にある理由は何か。限度額が16万円と少なく、大してサポートにならない点が、要因として大きいのではないかと推察する。住宅に対して不満を持つ高齢者が多い一方、資金不足を理由にリフォーム・建替えに踏み切ることができないという分析結果が資料から読み取れるが、確かに、長生きリスクに備える観点から、住宅改修に預金や資産を費やすことを躊躇う方も多いのだろうと想像する。そのような方に対して、住情報と合わせて少しの後押しがあれば、改修に踏み切る場合もあると考えられるので、サポートの在り方として仕組みを改善する余地があるのではないか。

 → 現時点で利用件数減少の要因は把握できていない。担当課を通じて、市町村の意見等を確認する。

 

 ・ 資金面のサポートとして、高齢者が住宅を担保として融資を受け、死亡時に当該住宅を処分することで借入金を返済する「リバースモーゲージ」という金融の仕組みがある。その仕組みを活用することにより資金を得、年金生活者でも利息のみを返済しながら、住宅に住み続けることが可能となる。このような金融の仕組みを高齢者やその親族の方に対してしっかりと周知していく取組が必要と考える。

 

 ・ 高齢者のリフォームに関しては、制度や窓口が整っていたとしても、モチベーションの部分であと一歩の決断がなかなか難しい側面があると考えられる。身近な人間が親身に相談に乗ってくれる状況がなければ、リフォームにはなかなか踏み出しにくいのではないか。このようなソフト面の課題への対策について、何らか検討されているか。 

 → 改修によって住宅の質が向上し、市場流通における価格が上昇することで、資産価値の向上に繋がることを啓発できるとよいが、行政だけでできることではないため、業界団体と協議しながら検討してまいりたい。

・ 高齢の親御さんを心配しながら離れて暮らしている身内の方々は、なかなか相談に行きにくい状況がある。例えばリモートで気軽に相談できるような窓口があると親族や身内が動けることにもなるため、窓口の相談体制をより柔軟に構築していくことも、検討いただけるとありがたい。

 

 ・ 府営住宅の二戸一改善に係る事業紹介(p.30)があったが、高齢化に伴って核家族化した際に、再度1戸から2戸に分割できるようなリバーシブルな平面計画も有効である。加えて、近年では多世代同居が困難な状況があるが、公営住宅において、家族ではなくても団地単位・住棟単位で「教育やしつけ、情報伝達」といった世代間の交流が図られるようなスペースを確保することも重要な視点であり、これらについて検討いただきたい。

 ・ 府営住宅の活用に関する御提案ですが、空き家の活用や住棟内住み替えなど、柔軟に運用できればもっと効果が出てくると思うので、そのあたりもご検討いただきたい。

 

 ・ 公営住宅において、子育て世帯を支援する施策を引き続き強化していくことが重要である。京都府における子育て世帯は、全国平均と比べて、全体的には住宅や居住環境に関する不満が少ないという分析結果が見てとれる一方、狭小な賃貸住宅に居住している子育て世帯も少数にせよ確実に存在しており、一定の所得がなければ子どもを持つことができないという現状が透けて見える。そのことを念頭に置くならば、低所得世帯の居住水準向上に資する施策を、もっと強く打ち出していくことが重要である。

 

 ・ 高齢者に対して、セーフティネット住宅でどこまでのサービスを提供するかについて、議論が噛み合わないと感じる部分がある。低廉な住宅としてセーフティネットの在り方を検討する以外にも、高齢者の住まい方そのものについて、健康な住宅など、より質の高い住宅へと誘導することを考えてもよいのではないか。現在は在宅診療が進歩してきており、就寝中における心拍数や、排泄頻度、運動の機会など、高齢者の状態を監視・捕捉する方法が、ハウスメーカー等によって提案されつつある。高齢者住宅がどのようにあるべきか、その政策誘導のビジョンを議論する場があってもよいのではないか。 

 

 ・ もっと気軽に相談できるサービスデスクが各市町村にあるとよい。私自身、本審議会に参加するまでは、セーフティネット住宅についてよく理解していなかったところがあるため、一般の方はもっとご存知でないと思われる。また、セーフティネット住宅がほぼ満室であるとの話には、非常に違和感を覚えた。巷では空き家が溢れており、大家は入居者の確保に苦慮している状況があるため、適切な需給マッチングが行われていないといえる。福祉の窓口を訪問するほどではないが困っているという方は数多く存在しており、そのような方が気軽に相談できる窓口があるとよい。また、住宅確保要配慮者の中には情報弱者も多く、そのような方に対しての周知があるとよい。

 ・ 住情報の提供は、重要かつ困難なテーマである。府レベルで何をすべきか、手段そのものについての検討が必要である。

 

 ・ 実質的に住宅確保要配慮者の受け皿となっている民間賃貸住宅では、耐震性が不足していたり、バリアフリー化がされていなかったりと、様々な問題を抱えている。耐震基準等を設けて住宅の質を確保する規制的方法と、改修補助等を通じて住宅の質の改善を促進する誘導的方法の2種類の対策がある。抜本的な解決はなかなか困難であるとは思うが、もう少しメッセージを明確にしていかなければ、民間賃貸住宅対策は進んでいかない。

 ・ 住宅確保要配慮者に対する支援ではなく、現に入居されている住宅に対する支援という発想も必要という趣旨の御意見であった。府独自の民間賃貸住宅対策として何ができるか、検討いただきたい。また、居住支援法人など、様々な民間団体と連携する中での問題解決も重要かつ有効であるため、行政だけでなく民間の力を活用していく方策についても検討いただきたい。 

5 配付資料

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