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第2回生活部会の開催結果

日時

平成30年11月6日(火曜日)午前10時00分から午前12時00分まで

場所

京都府職員福利厚生センター第2・3会議室

出席者

委員

松井部会長、伊豆田委員、伊藤委員、伊庭委員、櫛田委員、佐竹委員、鳥屋尾委員

ゲストスピーカー

滋野浩毅氏(京都産業大学教授)

事務局

松本企画理事、石澤計画推進課長
大谷府民生活部長、山口人権啓発推進室長、足立男女共同参画監、磯﨑府民生活部副部長、野中府民生活部理事(府民総務課長)、犬井安心・安全まちづくり推進課長、勝山府民力推進課長、木村男女共同参画課長、田中青少年課長、粟津府民総合案内・相談センター長、田中消費生活安全センター長
山田国際課長、石塚留学生政策担当課長
松村健康福祉部長、髙野家庭支援課長、横田薬務課長
河島総合就業支援室長、長友商工労働観光部理事(地域力ビジネス課長)
得田警務部参事官(京都府警察本部)、長谷川生活安全部次長(京都府警察本部)、吉岡地域部次長(京都府警察本部)、森刑事部次長(京都府警察本部)、竹内交通部次長(京都府警察本部)、渡邉警備部次長(京都府警察本部)、中久警務部警務課治安総合対策室長(京都府警察本部)

配布資料

議事内容

ゲストスピーチ

  • NPO、市民活動、まちづくり関係の活動や仕事に約20年携わっています。2008年に現在の京都府府民力推進課(当時のNPO協働推進課)で協働コーディネーターとして働き、南北に長い京都府内の多様な地域特性に合わせた地域づくりの必要性を感じました。翌年から、現在の福知山公立大学(当時の成美大学)で6年間教鞭をとり、北部地域の人々の思いを実現させていく重要性を感じました。北部での取組を通じて、様々なつながりネットワークができ、「協働」が見えてきました。補助金や交付金をきっかけに動き出す機運が醸成され、既存の団体や枠組みを超えたネットワークでの動きが見えてきたと思います。一方で、長年頑張っておられる人のバトンタッチが難しかったり担い手がいなかったりという課題も感じたのが、北部での経験、成果と課題だと考えております。2015年から宇治市にある京都文教大学に移り、南部地域でまちづくりや地域づくりに取り組みました。北部は人口減少や過疎化した地域があるという共通した課題が多いのですが、南部は人口が増えている地域もある一方で過疎地域もあります。多様な地域性に合わせたまちづくりが試みられ、試行錯誤されていることを感じました。地域の方々が当事者意識をもって取り組んでもらうために、課題を共有し、一人一人が当事者として何をすべきかを話し合いで決める取組をしました。誰かが決めてそれに従うよりも、話し合いで決めていく地域づくりや取組が増えています。ただ、担い手の育成については長い目で見る必要があることが、これからの課題と考えています。地域づくり、地域活性化において求められる人材は、リーダーを支えるフォロワーです。発言力・ネットワークを持つリーダーも大切ですが、その人だけが頑張り続けることはできません。伴走するファシリテーターのような人材が必要ですが、まだまだ少ないです。異なる価値観、発想、行動、あるいはその属性も違う中で、地域を支え、盛り上げていく、地域間、主体間の連携が必要です。そのような人材を育てられるかは非常に難しいですが、これからの人口減少社会で地域が厳しい状態になる中で、色々な現場で経験を積み、講座に出て、育てていく取組も求められています。また、地域で頑張っている人の思いや成果をどのようにつないでいくのかということも課題です。80代、90代で頑張っておられる方がいても、子どもの世代、孫の世代に大変なことをそのまま受け継ぐのは躊躇するという声も聞きます。せっかく頑張ってきたものが途絶えてしまうことをどうするか、思いや成果をどのようにつなぐかが大切です。

各委員からの主な意見

【地域活性化関係】
  • 後継者がいないのが一番の課題です。京都市内での活動とは違い、舞鶴市は学生が少なく、学生は入れ替わるので田舎に居続けてくれません。若い人が活動に入ってくれない現実があることを認識し、入ってもらわなくてもその時々で力をもらうという意識改革も必要だと思います。地域のコミュニティなどに入るのを嫌がる人や既存の活動の中に取り込まれるのが嫌な人などもいます。そのような人を引き込むことは今の時代にそぐわないと思います。
  • 会社でもそうですが、最近は、力のある人はどんどん魅力のあるところへ行きます。地域もそのように抜けることも受け入れないといけないと思いますし、リーダーもそういう考えを持ち、メンバーとして取り込んだことで安心してしまう考え方は良くないと感じています。
  • 階段で重そうな荷物を持っている人の荷物を持ったときに、お礼を言われたらコミュニティが一つ育ったと考えています。個人個人にコミュニティは大切だという気持ちが必要だと思います。子どもの頃から環境教育などはありますが、コミュニティを形づくっていくスキルに対する教育はありません。隣の人と話せることが素敵だと思えるような町を考え、それを価値にするコミュニティスキル教育を、学校、企業、行政、福祉施設などで学べる機会が必要だと思います。地元の人たちが先生であり、それにお金が払われるような仕組みをつくらないと、個人が素敵な、趣のある町にはならないと思います。
  • 価値観が多様化していて、色々な選択肢を用意することも必要だという話もあったかと思いますが、多様化ではなくて共通というか、コミュニティも大切だという、一見、相反するような話になっていると思います。
  • 京丹後市でも、何十年も続いてきた地域のイベントを若い世代に任せようとしますが、若い世代は感覚が違い引き継ぎたいと考えておらず、そのイベントは消滅するかもしれません。そこで、年配の方たちを引退させないように、関わり続けてもらおうと考えました。価値観の変容もあり、単に全く同じことを継承するのではなく、世代の間の交流により、年配の人たちがどういうまちづくりをしてきたのかということを20代、30代に継承していきつつ、年配の人たちには引退せずに頑張っていただきたいと思っています。
  • コミュニティは、何か課題がありそれを解決するために起こるのであり、その課題に認識をした人というのは、自らコミュニティの中で活動してくれると思います。コミュニティの中の階層は二つあり、本当に課題認識を持ってやられている方と、その活動そのものが何か外から見るとおもしろいから、入ってみようかなと課題まで認識してない方が入り、そこで始めて課題に気づくということもあります。目的を据えることは大事ですが、この課題を解決するためにこのコミュニティをつくっているというような看板を掲げると入ってもらえないので、やわらかい雰囲気を持ちながらも、確実にこのコミュニティは何かの課題を解決しているという、ポリシーや目的のようなものが明確になっていると良いと思います。
  • コミュニティの中での活動は、入っている人たち自身が何かしら貢献しているということを感じることが必要です。また、お互いにそれを確かめ合うと、一歩一歩進んでいくと思います。コミュニティができたからといってその確認を怠ってしまうと、また崩壊してしまうと思います。
【人権関係】
  • 人権とは、みんなが仲良くお互いに気持ちよく暮らせる社会をつくっていくということだと思います。
  • 20年後のビジョンと中期計画について、「自己実現」を使うとわがままになるのかと反発を持つ方がいますが、この言葉には、他者が承認するということが含まれており、自立と共生はセットだということをどのように伝えていくかが難しいと思います。
  • 長期ビジョンに「だれもが自分らしく生きることができる社会」とありますが、できれば「だれもが自分らしく生きて参画できる社会」「社会参加していく」という発想を入れほしいと思います。中期計画も「府民が人権について学ぶことができる多様な機会が設けられている」とありますが、「府民が人権について学ぶことができ、交流する機会が設けられている」という、お互いの人権について自分はこう思うけど、あなたはどうですか、あるいは私はこういうところが困っているけど、一緒に考えてくれませんかというような学習機会を設けるということ、状況を共有できる機会を設けていくという発想が、これからの人権啓発では必要だと思います。
  • ハラスメントや地域・職場の環境が非常に悪化しているということが言われていますので、問題提起してほしいと思います。また、地域活性化の問題と絡みますが、地域の活性化のことや自分の人権について学ぶ機会が大事だと思います。
  • 目指す方向としては、尊厳と人権が尊重され、みんなが等しく参画すること、あるいは交流するという視点だと思います。
  • 今までのイメージで、人権教育や人権啓発というと差別をなくすための教育と思われがちですが、今の動向としては、差別をする・しないの前に、自分の人権をまず考えることから出発して、周りを見たらほかの人も困っていることに気づくという発想になってきています。障害者や外国人のヘイトスピーチに焦点化されていますが、大きな目標としては、自分を大切に、人を大切にという社会をつくろうとしてもらう形にできればと思います。
  • 自分を大切に、人を大切にという勉強は、本当のコミュニティにつながると思います。
  • 児童養護施設では、外国人がボランティアに来てくださったりお茶や食事をしてもらったり、色々な交流があります。子どもたちの交流は自然で、全く言葉が分からないのに一緒に遊んでおり、小さいうちからこのような交流があることはすごく良いと思いました。日常的に交流ができる環境で変わってくると思うので、多様な人々のことを視野に入れたイベントの企画、構築はとても大事だと思います。
  • 母子会の会員から、閉鎖的な地区に引越しさたときに、父親がいないと言われてしまうと聞きました。人の入れ代わりが多い地域ではあまり聞かないのですが、閉鎖的な地域はそういうことがあると思います。強い方もおられますが、それで傷つく人もいると感じました。
  • ハラスメントも、自分はしているつもりがなくても、相手からハラスメントと言われたら、ハラスメントとなります。捉える側が感じることになります。
  • 自分がされたら嫌だろうなと想像すれば良いと思います。色々な感じ方があり、小さなことでもハラスメントだと言われたら、その人にどこが悪かったかなどの理由を聞くしかないと思います。そして、嫌だったと言われたら、謝るしかないと思います。そこで意地を張ってしまうと、差別などの話になってしまうと思います。
【女性の活躍支援関係】
  • 女性活躍の問題は大変難しいです。男性は自分の家庭に子どもを持つときに、仕事を辞めるか続けるかということをほとんど考えません。結婚のときも二人目を産むときにも考えないと思います。しかし、女性は、恐らく確実に考え、そのたびに判断をしています。その判断があることは、女性にとってすごく良いことだと考えます。辞めようと思って辞めた人生を歩むこと、続けようと思って歩んだ人生、どちらもその人の選択のもとに行われていることです。そこが選びやすく、自分がやりたいと思ったことをやれる、働きやすさなどが充実していれば、辞めるとか人がいても良いと思います。全員が仕事をしないといけないという前提に立たないで、色々なことが考えられると良いと思います。
  • 各会社で働き方改革が行われていますが、これがもっと進むと、例えば午前中、午後、夕方の3人組みで一人分のような仕事の仕方など、仕事をしたいけれども仕事ができていないという方も仕事を得られると思います。本人の思いと会社の仕組みのマッチングなので、細かい対応が必要だと思います。
  • 男女とも自分で選べることが大事です。入社したら絶対に部長にならないといけないわけではなく、ずっと現場で働きたいという選択肢もあります。女性管理職比率を上げることを目標にしている会社もありますが、数字を目標にせず、自分たちの仲間である社員にどのようなニーズがあって、どのような働き方をしたいかということと歩調を合わせながら進めていく施策が生まれると良いと思います。
  • 1970年代のウーマンリブと呼ばれている人たちの動きから現在フェニズムという言葉に変わってきましたが、女性が男性なみに働きたいと動いてきたわけではなく、自分たちが抑圧されているのを何とかしたい、自分たちの主体で選べないという状態を何とかしてほしいということで動いてきたので、色々な選択肢の中から選ばせてほしいという話は大切だと思います。ヨーロッパではパートタイム正社員という考え方が普及しており、ドイツの教員は、正職員ですが、実は午前中だけ働いて午後は帰り、実際に4~5時間しか働いてないという状態を2~3年続け、余裕ができてから8時間労働に変えています。男性も女性もいます。育休で丸3年休むことはリスクがあるので、切れ目なく働くのですが、余裕ももって家事、育児、介護ができるような発想の施策も考えられると思います。
  • 資料の中に「働きやすさ」という単語はありますが、ぜひ「働きがい」ということも入れてほしいです。働きやすい環境はありがたいことですが、成果が上がってこそだと思いますので、そこで働きがいを感じられるようにする必要があると思います。
  • 男女の問題は、こうあるべきだと言われることと現実との乖離が一番大きな問題だと思います。実際に動いているのは女性が多くても、地域、自治会のような自治の分野においては、習慣として長のポジションには男性を据えることがあるかもしれないと思います。しかし、このギャップを埋めていく必要があり、20年後にこのテーマが存在しないことを目指したいと思います。
  • 男性の意識改革の部分をもう少し強く訴えてほしいです。男性は参画しているつもりでも女性から見るとお手伝いであって、本当の参画という意識までは遠いと感じます。4年後に到達させたい状態ではこの「お手伝い意識」が抜けないと20年後のありたい姿にはならないと思います。また、大きな会社であれば意識改革が見られるかもしれませんが、地方や小さなベンチャー起業などでは、女性は陰の仕事ばかりに回されて、男性は表の良いところと言いますか、全く女性が輝いてないと思います。輝けと言われてもどう輝いたらわからないので、言葉にして書いていただきたいと思います。
  • まずは地域活動に参加できる男性という意味で「男女ともに地域活動」という文言を加えてほしいと思います。
  • 町内会や自治会のような地域活動の役員は男性が多いと思う一方で、保育園の役員は女性が多いです。男女とも参入できる環境もあると思います。できるだけハードルの低い形で関われるような意識、中長期的には制度も必要だと思います。
  • 育休制度や時短制度がありますが、時短を取る、取りたいと申し出ようとしても、職場に迷惑がかかる、申し出たら怒られるとの話を聞きます。若者は制度があるから使って当たり前と考えますが、現場をつくってきた目上の者が職場に気をつかうよう言うのが理解できないそうです。積極的に制度を使ってほしいという思いもありながら、意識を擦り合わせるヒントがほしいと思います。
  • 思いが違うので、両方納得できるような仕組み、ルールをきちんとつくらないと、どちらも気を遣ったり争ったりする原因になります。
  • 色々な会社で、今までばりばり仕事をしてきた方が若者に多大な成果を求めるのですが、自分たちは長時間残業をしてその成果を出していた時代だったけれども、今の若者は、定時での帰宅を求められる中で、同じパフォーマンスを上げろと言うのは難しいという話を聞きます。女性だけではなく男性もかつてと働き方が変わってきているので、その議論が男女関係なく起こると良いと思います。
【国際交流・多文化共生・留学生の活躍支援関係】
  • 検討シートには留学生のことが多く、多文化共生が後方に書かれていますが、これで良いのかという印象を受けました。永住ビザを持っている人が増えているので、留学生事業だけを出して国際交流という内容ではなく、生活者としての外国人支援に取り組んでいただきたいと思います。4年後に到達させたい状態の箇所に「外国籍府民の日本語教育の充実を図り」と書いてありますが、ここに、外国籍府民の子どもたちというのも入ると思いますので、明記してほしいと思います。
  • 京都市の東九条にあるネットワークサロンで外国人支援をやっているNPOなどがありますが、ネットワークをつくって色々と話せる場の提供や、定住外国人に向けての生活支援というのがあまり書き込まれていないという印象を持ちました。
  • 大阪で国内ホームスティ事業を実施しています。ホームスティは、英語の勉強になるので取り組む人が多く、そのマッチングを大阪や京都でやっていますが、地域の人と外国籍の人が交流する場がないので考えていただきたいと思います。
  • 留学生が日本に残って働く際に、就職先が決まっていても在留者資格変更申請手続が煩雑で厳しく、困っているということがあります。前もって相談できる仕組みをつくると定着が進むと思います。留学生の就職フェアはありますが、ビザ変更フェアはないので、考えてほしいと思います。
  • 留学生のいる学校の場合、学校に関する情報は受信できますが、その人たちの暮らす地域の情報を与えてあげるきっかけがないので、NPOとのマッチングやNPOとのコミュニティをつくることも就労につながると思います。地域の力として考える視点が必要だと思います。
【くらしの安心・安全関係】
  • 再犯について、保護司の観点からは、薬物によるもの以外は働き先の問題が大きいと感じています。福祉に関しては農福連携や伝福連携という形がありますが、どのように社会復帰していくかという支援が少し弱いと思います。京都の技術や地の利を生かした就労支援があると、再犯率は少し抑えられると考えます。地域と企業の関係づくりが役立っていくと思います。
  • ひきこもりの親子関係において、本当に親が周りの助けがほしいと思っているのだろうかという事例もあります。私たちが相談に乗る前に「もうこの子は変わらない」という親子関係になってしまっているので、40歳以上のひきこもり者数も多いのだと思います。親子関係だけでは解決しないと思います。
  • 少年犯罪に至るのも家庭環境の問題もあります。教育では手が回らず福祉のほうに相談があるので、ソーシャルワークのような関わりをしていく必要があると思います。学校の担任の先生だけでは無理だと思います。ソーシャルワーク的なことを教育に入れ、親子関係をしっかりアセスメントする必要があります。
  • 求人が少なく仕事に就けなかった結果ひきこもりになっていても、時間を巻き戻せないので原因を取り除けないことになります。新しくリセットするような仕組みが必要になりますが、40歳となると、そのきっかけが難しいと思います。ひきこもりの人に限らず、生活が多様化していく中でセカンドキャリアのようなチャンスがある社会が必要なのかもしれないと思います。
  • チャレンジ体験に来ている不登校の子どもは、出席扱いになるので余計に興味が出て来たくなります。社会参加や地域参加することによって出席扱いになるような、最初のステージになるようなものがあれば、メリットがあるかと思います。

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