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平成22年度第1回京都府中山間地域等直接支払制度委員会の議事要旨

1 開催日時

平成22年6月16日 (水曜日) 10時00分から12時00分

2 場所

ホテルルビノ京都堀川 「嵯峨の間」

3 出席者

稲本会長、柏尾委員、小林委員、十倉委員、長慶寺委員、宮崎委員

【事務局】
(農林水産部農村振興課) 安本理事、塩貝参事、水口副課長、永井副主査、中村主任

4 議題

(1) 平成21年度の実績状況について
(2) 新対策における京都府の取組について
(3) 新対策に係る特認基準の設定について

5 議事概要

上記の議題について、事務局から説明。各委員から次のような意見等があった。

平成21年度の制度の実施状況、新対策の概要と京都府の新制度の進め方について及び新対策の特認基準について事務局から説明し、それぞれについて質疑応答・意見交換を行った。

<質疑応答・意見交換>

(委員)
取組を途中で断念した協定はありますか。

(事務局)
 基礎単価(8割単価)の活動、耕作放棄地の発生防止活動、農道・水路の管理、多面的機能の発揮及び集落マスタープランを途中で断念した協定はこの5年間ではなかった。農地については守ることができた。体制整備単価要件を選択した協定は、担い手の育成や機械・農作業の共同化等選択肢がたくさんあるため、地域の事情に応じた要件に途中で切り替える等の方法で、最終的には全ての協定が達成できた。加算単価協定のうち、土地利用調整加算、法人加算を達成できなかった協定があった。

(委員)
 取組のニーズはあったが予算枠がなかった、あるいは府側が積極的に取り組むよう働きかけたことで集落が制度に取り組むことに至ったという例はありますか。

(事務局)
 これまでに取り組みたいと手を挙げた集落があったのに、予算枠がないとの理由で断ったことはない。ただし、本制度の対象のうち、約20%の協定未締結地域に対する聞き取り調査や相談活動は出来ていない。市町村においては、全ての対象地域をカバーすることが予算的に難しいというところもあるようだ。京都府としてはこの制度を積極的に推進していきたいと考えている。

(委員)
 中山間地域の対象地域の8割で協定締結が実施されているとのことであるが、実施するかしないかは行政的な判断もあるでしょうが、残った2割の集落がいわゆる限界集落であるから取り組めていないという仮説は立てられませんか。他の施策と関連してくると思いますが。

(事務局)
 中間的な取りまとめですが、5年前の調査で限界集落が141集落。65歳以上の高齢者が半分以上を占める集落を限界集落としているが、高齢者が亡くなる、子供が産まれる等で年次的に変化が顕著である。そのうち82集落が直払いを実施している。取組が弱い地域は福知山、綾部、舞鶴など。中丹地域がかなりしんどい状況となっている。

(委員)
 制度を取り組むよう、集落への働きかけさえできていないのは、限界集落であることにそもそもの原因があるのではないか?

(事務局)
 5年間農地を荒らさず取組を継続できるかどうかの心配が非常に高い。自分が参加することで他に迷惑をかける可能性を考えて断念することを想定し、第3期対策ではそういう集落も取り組めるよう緩和措置を設けようと仕組みを変えている。それぞれ個々の事情があるだろうが、国や京都府が調査した中で、5年間という縛りが取組の最も困難な要素であるようだ。

(委員)
 5年間継続できるだろうかと心配するのは、担い手がいないのか、取組への意欲が欠けているのか。

(事務局)
 そもそも10a当たり、2万1千円の満額であっても、荒廃地を復活させ、農地を維持していくコストはそれを超えているところが沢山ある。一旦、遊休地が荒廃すると復活は難しい。今回の戸別所得補償は、それを復活・改善していく計画を出して行かないと解消にはならない。

(委員)
 一期、二期は取り組んでいたが、三期目は取り組まないという集落は出て来そうですか。

(事務局)
 三期対策については、これから集落に対して説明を行っていくので正確な状況は把握できていないが、二期対策の協定数が大幅に減少することはないと思う。管理が特に困難な農地を協定農地からはずすということは出てくるかもしれない。また、二期対策の段階では1ha以上の団地であることが要件であり、対象農地を設定できない集落がいくつかあったが、第三期対策では飛び地なども対象に含むことができることから、新たにこの制度に乗せられる可能性がある。そのことを各市町村から集落に対して、説明していってもらわないといけない。

(委員)
 21年度実施状況の資料の中の「京都府の協定数及び協定面積の推移」のグラフですが、協定面積が平成17年度から平成18年度には増加し、その後横ばいであるのはどんな理由からですか。

(事務局)
 17年度から二期対策がスタートし、一期対策から制度が大きく変わったことで、17年度中に協定締結が間に合わず、18年度から協定に取り組んだ協定があったからです。

(委員)
 制度に取り組めない地域の特徴、例えば面積の問題、人の問題、5年以上継続することの不安等あるかなと思うが、他にどのような特徴があるのか、わかる範囲で構わないので教えて欲しい。

(事務局)
 府南部では、市町村内に対象地域がわずかしかなく、市町村としても、集落側にも制度に取り組む体制がないという場合もある。府北部において取り組めていない地域も、取り組む面積が少なく、人も少ないという傾向はあるのかもしれないが、例えば委員が入ってられるような集落だとわずか5軒であっても、本制度に取り組んでいる。それは人数や年齢に関係なく、おそらくリーダーがいて、しっかりやっていこうとされているところである。みんなに頑張ってやっていこうと説得し、取りまとめられる存在がいるかどうかにかかっているような気がする。ただしっかり分析を行ったことがない。これが三期対策の課題であるともいえる。

(事務局)
 一度アンケートを取った方が良い。制度に取り組める可能性があるのであれば、追求していくことも必要かも知れない。

(委員)
 アンケートに際してであるが、助けて欲しいと考えている集落に手を差し伸べるのか、諦めている集落を促すのか、府や国の姿勢はどちらを向いているのか。

(事務局)
 制度の活用とその地域を何とかしなければということとは意味合いが違う。制度の利用をしたいというところを追求していく事も大事だし、この地域を何とかしなければという場合は集落自体に意志はなくても市町村と一緒になって働きかけをしていく必要があると思う。

(委員)
 集落間で協働し、制度に取り組むということも、この制度の狙いとしてはあるのですか。

(事務局)
 平成21年度の500協定は、集落数でいうと560集落であり、ほぼ一協定当たり一集落である。福知山市の三岳地区のように営農を8集落で行っていたことで、二期対策で協定を統合し、第三期対策に向けては、農地を個人では守れなくなった場合の受け皿になる組織を発足させて、地区全体で取り組むところもあるが、そういった連携の取れる集落は少なく、ある程度は市町村や府などが仕掛けることが必要ではないかと思う。

(委員)
 他の都道府県で、集落間の連携に取り組んでいる例はありますか。

(事務局)
 去る3月30日の第三者委員会で府農林水産技術センターの中西副主査の報告にもありましたが、四国や中国地方で集落間連携が比較的進んでいて、約20協定を一つに統合した事例とか小規模な集落を隣接する余力のある集落が支える取り組みが行われている。国としても、三期対策においては、集落間の連携とか多様な主体との協働により、交付金額が大きくなる要件を制度上設けており、それらを積極的に推進したいという姿勢だと思います。

(委員)
 広域振興局の方もいらっしゃってますので、それぞれの地域のお話もお聞きしたいのですが。

(中丹広域振興局)
 舞鶴市や綾部市はいわゆる限界集落が多い。協定対象になる用地が無いところも多く、またリーダーとして1、2年なら可能だが5年先は見越せないなどの理由で協定に取り組んでいない地域が多い。しかし現在取り組んでいる集落は、交付金を活用し、積極的に頑張っており、この交付金が無ければ耕作放棄地がもっと増えたと思う。
 舞鶴市、綾部市は、一集落で一協定がほとんどであるが、福知山市は三岳地区以外でも複数集落で一協定を結んでいるところがある。その場合、協定の交付金を受けるために新たに統合した訳ではなく、元々繋がりがある旧村単位で協定を結んでいる。実際の農地の保全はそれぞれ、集落ごとに維持されていて、地域の活性化という意味では旧村単位で取り組むなど、ケースバイケースで考えた方が良いところと、一集落ごとの方が良いところもあって同じ市町村の中でも地域によって違いがある。

(委員)
 小規模・高齢化集落支援加算であるが、パンフレットの「第三期対策のポイント」では、「近隣集落に取り込まれるまではこの集落を支援する」となっていますが、集落内で耕作が出来なくなって取り込まれたら支援が無くなるという意味合いなのか。また、加算金は支援する方に支払われると想定されますが正確なところをお聞かせいただきたい。

(事務局)
 国からの三期対策の説明の中に、小規模・高齢化集落が消滅するまで支援を行う、とはっきりと示されたことが今までは無かったので、国の見解を確認しておく。
 小規模・高齢化集落支援加算というのは、支援元集落が小規模・高齢化集落の活動を応援することに対しての加算措置ではあるが、交付金の使途は、集落の話し合いの中で決めるのが前提であり、一部は小規模・高齢化集落に納めることもありますし、全部を支援元集落が受け取って支援するという場合もあり自由である。

(委員)
 小規模・高齢化集落支援加算のイメージ図に近い実態、具体的な事例は京都府下のどこかにありますか。

(委員)
 噂で聞いた話ですか、美山の知井の限界集落を、知井の旧村単位で地域農場づくり的に作業を支援しようという話を2年前に聞いた事がある。

(委員)
 府では、地域農場づくり事業として、根気強く取り組んでいる中から、今回進めて行く中で参考にした方が良い事例があれば教えてほしい。

(事務局)
 元々条件が悪く担い手のいない地域が中山間には多くて、機械を更新してまではやっていけない農家の作業を受けていく取り組みを続けてきたが、既に受託組織、営農組織のあるところは受けていて、現在手を付けられていないところはもう受け入れられない農地であることがほとんどである。今回、加算措置が出来たが、この制度が浸透して、加算面積が飛躍的に増える程の要件ではないだろう。

(委員)
 協定のエリア設定について聞きたい。苦しい限界集落に協定外の農業者、農業法人や企業、NPO企業などが参画する場合、企業などからみてどの様なメリットがありますか。ボランティアではなく、参画を促すための手段としてどんな考えがありますか。

(事務局)
 既に京都府では、ふるさと保全という観点から企業・住民・団体などが農道・水路の整備、草刈り、場合によっては獣害対策など集落との交流を深めてきていますが、実際に地域の企業が集落に入っているので、このような取組を今後も進めていきたい。農村部には人が少ないので、都市部や近隣の企業や大学などと連携して積極的に人材を集めていかないといけない。最近では「虎屋」の工場が京都に進出する中で、協定は結んでいないが周辺の集落と一緒に農地を守ることに加わってもらっている。森林部分はモデルフォレスト活動として京都生協にも取り組んでもらっており、そういう部分を徐々に里にも広げて行かなければならない。

(委員)
 全国でも点の取組としてはあると思いますが、国として広げていくとした場合に企業などの自主性に任せるだけじゃなく、制度として連携を促していく時に何をすべきかを聞きたい。経済的誘因とか、仲介をするなどの仕掛けが無いといけないのではと思う。確かに環境教育だったり、企業戦略として社員の社会貢献であったりを考えているとは思いますが、それは企業側からの動機付けであって、こちらから提案を出し、お願いする仕掛けを制度として作っておかないと駄目だと思うのですが。

(事務局)
 充分に出来てない状態です。トラスト運動的にやっていかないと集まらないと思うし、企業のCSR活動などいろんな部分に乗っかって対応してるのが現状で、こちらから働きかける仕掛けを作っていかないといけない。

(委員)
 本制度上の経済的誘因の整理はないのですか。

(事務局)
 カーボンオフセットなど環境面でこれから取組が進んでいく中で、場合によっては企業にとってもメリットがあるケースを横に見ながら進めて行くことがより色んな推進をして行きやすい。そういう観点からやっていきたい。

(委員)
 この制度の中にはないのですね。

(事務局)
 企業等が参画すれば加算しますというようなものはありません。

(委員)
 私共は宮津市の世屋に入っていますが、中山間地域の直払いの対象地域であり、世屋の5集落のうち、4集落が19戸以下という小規模集落ですが、集落内農地で飯尾醸造が有機米を作っています。それは企業方針で地元を大事にすることと、自社商品のブランド化のために有機米を環境条件の良い上の方で作付けするという戦略の両方から行われています。

(事務局)
 会社の中でも社会貢献とか環境問題に業務外で取り組んでいないと、社員評価がはまらないところも増えてきているようなので、その点をくすぐる事もやって行かなければならない。

(委員)
 2005年センサスに基づく調査で、5年前の段階で府内の限界集落は141、そのうち中山間直接支払制度未実施集落が59件で約40%強ある。おそらくは小規模・高齢化集落が大半を占めている。府の発表では5年後の2010年段階では、限界集落は300を超え、ほぼ2倍以上に増える予測であった。加算制度を積極的にどう活用していくかが、三期対策を成功させる決め手になる。事前に統計的にしっかり集落の状況を把握し、現場に働きかけてください。

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