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京都府総合計画詳細版【基本計画】(音声読み上げ17)について

15.農林水産業の成長産業化

20年後に実現したい姿

京都の農林水産業が魅力ある職業として確立

  • 京都の農林水産業が、新規就業を志す者にとって“農林水産業をはじめるなら「京都府」で”とあこがれの地になるとともに、次代を担う若者にとって魅力ある職業となっています。

京都産農林水産物が世界ブランドとして確立

  • 京都産農林水産物が、府内や首都圏だけでなく、京都を訪れる多くの外国人をはじめ世界から愛されるブランドとなり、日本・京都が誇る「和食」とともに世界のフードシーンで確固たる地位を築いています。

中山間地域における営農環境が次世代に継承

  • 中山間地域における営農環境や集落活動が維持され、南北に細長く多様な気候と地形がもたらす多様性ある京都府の農業が、次世代に着実に引き継がれています。

森林が適正に管理され府内で利用される木材の大半が府内産に移行

  • 森林が適切に管理されるとともに、CLTなど多様な木材需要が創出され、府内で利用される木材の大半が府内産木材となっています。

食の安心・安全が確保され食文化が浸透した暮らしが実現

  • 府民や府内を訪れる国内外からの観光客が、常に安全な食品や食事を安心して選択できるとともに、府民が府内産の食材や長い歴史の中で培われた京都の食文化に愛着と誇りを持ち、食を大切にする気持ちが育まれています。

現状分析・課題

  • 京都府では、中山間地域が約65%を占め全国と比べても経営規模の拡大が困難であるため、これまで京野菜の生産とブランド化を継続的かつ重点的に振興し、野菜が農業産出額の第1位(約37%)を占め、米を大きく上回る品目として発展しており、近年増加傾向にある中食・外食等実需との連携や6次産業化等、新規需要の創出が必要となっています。
  • 人口減少による国内の食市場の縮小を見据え、人口の拡大が続く世界市場への展開が必要です。

(注)農林水産物・食品の輸出額:平成25年(2013年)5,505億円→平成30年(2018年)9,068億円

  • 抹茶ブームに伴い、てん茶へのシフトが加速する宇治茶については、他産地との競争激化や茶園面積の減少を踏まえ、将来を見据えた生産戦略の構築が必要です。

(注)〔荒茶生産額〕てん茶:平成20年(2008年)約34億円→平成30年(2018年)約51億円、煎茶:平成20年(2008年)約22億円→平成30年(2018年)約11億円

(注)〔荒茶生産量の割合〕てん茶:平成20年(2008年)約24%→平成30年(2018年)約59%、煎茶:平成20年(2008年)約30%→平成30年(2018年)約14%

  • 農林水産業の従事者は減少傾向にあり、収益力の向上、意欲ある担い手の確保・育成などにより持続可能な農林水産業を確立する必要があります。
  • 森林資源は、毎年の木材利用可能量が約50万立方メートル増加するものの施業による十分な収益が見込めないため、伐採・搬出され利用されるのは約15万立方メートル程度にとどまっており、森林資源を適切に循環させる必要があります。また、こうした循環は森林の持つ災害防止機能の維持向上にも寄与するものです。
  • 朝食を食べない子どもの増加など食生活の乱れへの対応や、増加する食品ロスの削減に向けた食育の強化が必要です。

(注)朝食を食べない子ども:平成26年(2014年)小学生13.4%、中学生18.8%→令和元年(2019年)小学生14.7%、中学生20.3%

  • 食品衛生法に基づき、令和3年(2021年)までに対応することが義務化されているHACCP(国際標準に整合した衛生管理の手法)について、全ての中小食品事業者が適切に対応できるよう技術的な支援が必要です。

4年間の対応方向・具体方策

ICT等先端技術の実装による生産性の向上、異業種連携等の推進、マーケットニーズに応じた経営多角化などを通じて、農林水産業の収益力を向上させます。

1.企業や大学等の研究機関と連携した「スマートアグリ・イノベーションセンター(仮称)」を設立し、地域の実情に応じてAIやIoTによるセンシングデータに基づく農業、漁業、養殖業及び家畜の生産管理や、森林の境界情報及び木材情報の見える化等の取組を本格化させるとともに、ロボットを活用した生産活動の自動化を進めます。(重点・新規方策)

2.農業・林業大学校や海の民学舎等において、AIやロボット技術等を活用した生産や、データに基づく経営管理を学ぶ講座の開設など、カリキュラム改革を進めるとともに、若手農林漁業者と若手企業人材等との交流により、キャリア意識を醸成します。

3.地元漁協と連携し、旺盛な需要のある丹後とり貝、岩がき等の養殖区画を拡大するとともに、観光需要等に対応したマダイやブリ類などについては、地元事業者の規模拡大や経営支援、新規参入の推進に加え、新しい研究を進めるなど、質・量の両面から養殖生産力を強化します。

4.農林水産技術センターの機能を強化し、農業改良普及センターとの一体的展開やそのための体制づくりのほか、農業現場や企業、大学及び国と連携し、研究開発から現場普及まで一気通貫で進めます。

5.卸売市場において、コールドチェーンへの対応をはじめとする品質管理水準の向上や、パッキング、カットなどの1次加工処理機能を強化し、産地での選別調製作業を集約化することにより、農家が京野菜等の生産に集中できる体制を構築し、府内外の旺盛な需要や輸出拡大に対応可能な生産力を確保します。

6.新「京都府農業会議」が、担い手と農地のマッチングを進める司令塔として、地域の課題解決や貸付希望農地の掘り起こしを促進するとともに、土地改良事業と連携して農地集積・農作業受委託を進めることにより、経営規模を拡大させます。

7.多様な機能を有する都市農業を次代に継承するため、都市型農地バンクの創設や体験農園等の開設支援など、生産緑地地区を中心として、農地を多面的に活用し、都市農業を振興します。

8.肉用牛農家の繁殖・肥育の一貫経営化を進めるとともに、稲WCSの生産・利用の拡大など「耕畜連携」を進め、子牛価格や配合飼料価格に左右されにくい強固な生産基盤を構築します。

9.豪雨災害等に対応するため、被害情報の収集と分析を行い、園芸ハウス等の効果的な被害防止に向けた技術指導を行うとともに、被害を受けた際の負担を軽減するため、農業共済制度や収入保険などセーフティネットへの加入を進めます。

10.近畿初のCLT加工施設の整備を推進し、京都府の公共建築物をはじめ中高層建築物等への活用などで将来的な需要を喚起します。また、非住宅向けの建材、木質バイオマスやボイラーの燃料などの木材需要を生み出す施設・産業の誘致を進めます。

11.地籍調査を進めるとともに、所有者不明農地については、関連法令に基づく「不明所有者のみなし同意」制度の活用により、適正な農地の相続・管理を促します。また、再生可能な農地については、農地中間管理機構への貸付に誘導し、農地を再生するとともに担い手へ集積します。

首都圏やアジア諸国等への販路拡大に向け、京都産農林水産物のブランド戦略を強化します。

12.「京のブランド産品」について、流通・消費事情等を踏まえて、需要にマッチしたブランドの分類、包装規格の多様化及び新たな産品の認証など、国や市町村とも連携して京都府産農林水産物全体のブランド戦略を強化します。

13.開発を進めている新たな「京都ブランド米」を早期に市場に投入し、京料理人等と連携しながら京都ならではのストーリーを意識したPR戦略や生産支援により、ブランド力向上につなげます。また、ピラフやおにぎりなどの業務用向けに多収米を安定的に生産・供給するなどにより、所得を向上させます。

14.丹後とり貝、岩がきについて、身入り状況を加味した出荷規格を設定するなど、京のブランド水産物を構築するとともに、旬の魚介類を活用した漁港めしや漁船による海上タクシー、「アユやアマゴ等の特色ある漁場」づくりなど、DMOとも連携した「漁観連携」による観光との一体的な展開を強化します。

15.京都府産和牛のインバウンド・国内向けブランドの基準の統一やPRを強化し、国内トップブランドとして確立させ、「京都ぽーく」、「京地どり」など、京都の畜産物全体のブランド力を引き上げるとともに、乳製品や牛肉の加工・販売、乳搾り体験など、畜産・酪農の6次産業化を進めます。

16.海外の日本食レストラン、海外シェフやグルメブロガーなどに対し、和食をコンセプトに米、日本酒、宇治茶、京野菜及び牛肉等をセットで海外に発信するとともに、「京もの提供店」を拡大し、京都ブランドの世界的な認知度向上や輸出拡大につなげます。

17.宇治茶については、「京都府宇治茶普及促進条例」を踏まえ、宇治茶の有料ドリンクメニュー化など、「宇治茶プレミアムブランド戦略」を推進し、観光客も含め、普及を促進します。また、海外においても愛飲されるよう、海外の残留農薬基準に適合する生産方法を産地ぐるみで普及・拡大させるとともに、高品質な茶生産を支えるため、茶業研究所を核として「宇治茶実践型学舎」を創設し、高い技術を持つ担い手を育成します。

18.GAPやオーガニック、ハラル等の世界的なニーズの高まりに応じた取組など、国際水準での生産や品質を管理する取組を進めます。

19.「100%メイドイン京都の地ビール」の商品化など、生産から加工、提供まで一貫した100%メイドイン京都ブランド商品の開発を支援するとともに、中食・外食等の実需と結びついた契約栽培や農商工連携、6次産業化を進め、京都府農業の魅力を国内外に発信します。

20.高齢社会や健康志向の高まりを見据え、京野菜や宇治茶等の健康機能性に着目して、大学、食品・医療産業及び病院との連携を進め、京野菜等を活用した商品やサービスの開発等を促し、新たな需要を創出します。

21.丹波くり、京たけのこ等を活用した商品開発や北山杉、竹、漆及びみつまたなどを歴史的ストーリーと組み合わせて内外に発信し観光と結び付けるなど、京都ならではのコンテンツを生かして新たなマーケットを開拓します。

22.若年層も気軽に食べやすい「ファストフィッシュ商材」の開発を進め、学校給食等における魚食普及を拡大し、水産物の消費拡大につなげます。

23.有害鳥獣による被害を更に軽減させるため、捕獲の担い手の確保、ICT技術を活用した効率的な捕獲や生息域把握、京都ジビエのブランド展開を本格化させる販売促進活動など、総合的な対策を講じます。

24.家畜伝染病防疫体制を確保し、対策を徹底するとともに、豚コレラ、鳥インフルエンザ及び口蹄疫等の正しい知識の普及・啓発を推進します。

魅力ある農林水産業の実現に向け、次代を担う人材の確保・育成を強化します。

25.「京の農産物等輸出サポート隊」の仕組みを強化し、農業者の海外ビジネスの立上げや、グループ化をサポートするとともに、京の農業応援隊と中小企業応援隊の連携により産地と実需の連携体制を強化することで輸出拡大の本格化をめざす農業経営者を支援し、「京都アグリビジネスグローバル人材」として養成するなど、輸出を担う人材の裾野を拡大します。

26.ベンチャーマインドを持ってICT技術等先進的な農業経営にチャレンジする若者を育成するため「農業ベンチャー・インキュベーション・ファーム」を開設します。

27.家畜保健衛生所と畜産センターを核として「京の畜産応援隊(仮称)」を新たに結成し、後継者のいない畜産農家の法人化の推進や外部人材登用による後継者確保を進めます。

28.「新たな森林管理システム」を円滑に運用するため、取組の中核となる市町村への技術的なアドバイスを行う相談窓口を設置するとともに、林業大学校において職員向けの研修を実施するなど、市町村の人材育成を支援します。

29.企業との連携を強化するなど「京の農林女子ネットワーク」の取組を拡大し、京都府農業を牽引する農業経営者として将来多くの女性が活躍できるよう「アグリウーマン・アワード(仮称)」を設けます。

30.農業等法人について、給与体系や勤務形態、経営状況等の「見える化」や「働き方改革」を進め、就業希望者とのミスマッチ解消や、キャリアパスの仕組みの導入など、人材の確保・育成を強化します。

31.定年者の就農や半農半Xの実践等を促すため、移住セミナー等と連携した情報発信を強化するとともに、技術習得や小型の機械整備などを支援するほか、ICT技術を活用した地域の除草作業など、シニア世代でも取り組めるビジネス展開を進め、農業・農村の担い手の裾野を拡大します。

32.「漁業塾」を開設し、AI・ICT技術等も活用した新技術や、活締めや神経締めなど高品質化のための処理など、漁業者のスキルアップを図り、新鮮で安全な「京の水産物」の流通を拡大します。

農山漁村を将来にわたって持続させるため、小規模農家等のなりわいの創出や農地を維持するとともに、森林を適正に管理する仕組みを作ります。

33.集落営農等の法人化・組織化を推進するとともに、小規模水稲栽培が中心で、経営が厳しく後継者不足も深刻な中北部等の集落営農組織が、農業法人と連携して行う京野菜生産の導入による経営基盤の強化や、将来の労働力確保に向けた地元企業等との協働などの取組を支援します。また、小規模産地でも需要に応えられる産地間リレー生産・出荷体制を強化するとともに、生産者と消費者の交流拠点である農林水産物直売所を核とした地産地消の取組を進めます。

34.「京都府森林経営管理サポートセンター(仮称)」を設置し、市町村が実施する森林整備の企画や実施を受託することなどにより森林管理の仕組みを確立させます。

35.森林施業にICT等の先端技術を活用するとともに、素材生産者等の林業経営体による施業の集約化を進め、収益性の高い林業経営の実現をめざすなど、林業振興に向けた総合的施策を講じることにより、適切に管理され、循環利用される森林を拡大します。

大学や企業等との連携により、子どもたちや若者など次世代が食の大切さや京都の食文化を大切にする気持ちをはぐくみます。

36.若者世代を対象に「食育体験講座」を開設するとともに、大学生を中心とする「食の安心・安全ヤングサポーター(仮称)」登録制度を創設し、将来を担う若者の食に対する意識を向上させます。

37.幼稚園・保育所等における調理体験などの体験型食育や、「きょうとこどもの城」等と連携した地域で行う食育を進めます。

38.中小食品事業者がHACCPに取り組めるよう個別相談会や研修会等を開催し、導入手法や技術を普及させるとともに、府内で製造された流通食品の規格基準の適合性を抽出検査し、府民の食の安心・安全を確保します。

39.「京都府食べ残しゼロ推進店舗」について、紹介マップの作成や飲食店検索サイトとの連携等により拡大させるほか、フードバンクとの協働、府民向けの研修会開催やインターネット講座の開設による情報発信などにより、事業者、消費者及び地域と一体となって食品ロスの削減に取り組むなど、食育活動を進めます。

40.宗教上の食の慣習等がある国内外の観光客や留学生等が、安心して京都の食を味わえるよう、使用している食材情報等を外国語等で発信する飲食店等を拡大します。

 

基本計画(音声読み上げ18)に続く

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