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第4期京都府障害者基本計画 第1章 計画の基本的な考え方(音声読み上げ用)

 

第1章 計画の基本的な考え方

1計画の概要

(1)計画策定の背景及び趣旨

京都府では、障害者基本法第11条第2項の規定により、平成27年度から令和元年度までの5年間を計画期間とする第3期京都府障害者基本計画を策定し、障害者施策の総合的な推進を図り、教育、福祉、保健・医療、生活環境、雇用・就労など、様々な分野にわたり、着実に取組を進めてきたところです。

 

この間、国では、平成28年に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が施行され、障害者に対する社会的障壁の除去や合理的配慮の提供の考え方が明記されたほか、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)が一部改正され、さらには、平成30年に障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が施行されるなど、平成26年1月に批准された障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)の実効性を確保するため、障害のある人に関わる制度に大きな動きが見られたところです。

 

京都府においても、平成26年3月に制定した「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」に加え、「言語としての手話の普及を進めるとともに聞こえに障害のある人とない人とが支え合う社会づくり条例」を平成30年3月に制定し、障害のあるなしにかかわらず、府民誰もが相互に人格と個性を尊重し合い支え合う共生社会の実現に向けた仕組みづくりを進めてきました。

 

こうした中、第3期京都府障害者基本計画における現状と課題、国の第4次障害者基本計画に加え、令和元年10月に策定した「京都府総合計画」なども踏まえ、新たな「第4期京都府障害者基本計画」を策定し、障害のある人の自立と社会参加の支援等のための施策の総合的・計画的な推進を図っていくこととしています。

 

【参考】

社会的障壁(障害者差別解消法第2条)

障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいいます。

 

合理的配慮(障害者差別解消法第5条)

障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

 

【障害者施策に関する主な法律等の整備状況】

平成26年1月

「障害者の権利に関する条約」の批准

障害者の人権・基本的自由の享有の確保、障害者の固有の尊厳の尊重の促進、障害者の権利の実現のための措置など

 

平成26年3月

「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」の制定

障害の有無にかかわらない共生社会の実現、障害者差別解消法に定める不利益取扱いの禁止及び合理的配慮の提供、障害者の雇用・就労の促進、社会活動の支援など

 

平成26年4月

「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律」の施行(一部平成28年4月施行)

精神障害者の医療の提供を確保するための指針の策定、保護者制度の廃止、医療保護入院の見直し、精神医療審査会に関する見直しなど

 

平成27年1月

「難病法」の施行

(難病の患者に対する医療等に関する法律)

基本方針の策定、公平・安定的な医療費助成の制度の確立、難病の医療に関する調査研究の推進、療養生活環境整備事業の実施など

 

平成28年4月

「障害者差別解消法」の施行

(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)

障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や障害者への合理的配慮など

 

「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」の施行

雇用の分野の障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や障害者への合理的配慮、法定雇用率算定基礎への精神障害者の追加など

 

平成28年5月

「成年後見制度の利用の促進に関する法律」の施行

成年後見制度の理念の尊重、利用の促進、利用に関する体制の整備など

 

平成28年8月

「発達障害者支援法の一部を改正する法律」の施行

切れ目のない発達障害者の支援を行うことが特に重要であること、障害者基本法の一部改正や障害者差別解消法の成立などを背景に、法律全般にわたり改正

 

平成29年4月

「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」の制定

賃貸住宅供給促進計画の作成、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設、居住支援法人の指定など

 

平成30年3月

「言語としての手話の普及を進めるとともに聞こえに障害のある人とない人とが支え合う社会づくり条例」の制定

言語としての手話の普及、聴覚障害の特性に応じたコミュニケーション手段を選択する機会の確保

 

平成30年4月

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」の施行(一部平成28年6月施行)

自立生活援助の創設、就労定着支援の創設、重度訪問介護の訪問先の拡大、高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用、居宅訪問により児童発達支援を提供するサービスの創設、保育所等訪問支援の支援対象の拡大、障害児のサービス提供体制の計画的な構築、補装具費の支給範囲の拡大など

 

平成30年6月

「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」の施行

文化芸術の鑑賞・創造の機会の拡大、文化芸術の作品等の発表の機会の確保、芸術上価値の高い作品等の評価等、権利保護の推進、芸術上価値の高い作品等の販売等に係る支援、文化芸術活動を通じた交流の促進、相談体制の整備等など

 

(2)基本理念

障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することができるよう、次の社会を目指します。

1障害のある人もない人も地域の担い手となり、地域で安心して暮らせる社会

2希望に添って働き続けることができる社会

3生涯を通じて学び続けられるとともに、文化芸術やスポーツなどの分野で一人ひとりの特性を活かして活躍できる社会

 

(3)施策を進めるにあたっての横断的視点

1社会におけるアクセシビリティの向上

障害者の社会への参加を実質的なものとし、障害の有無にかかわらず、安心して生活できるようにするため、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約する施設や設備、様々な制度や慣行、観念等の社会的障壁(バリア)の除去を進め、ハード・ソフト両面にわたる社会のバリアフリー化を推進し、社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上を図る。

 

2当事者本位の総合的な支援

障害者の自己選択・自己決定が尊重され、ライフステージに応じた適切な支援を受けられるよう、福祉、医療、雇用、教育、文化芸術・スポーツ等の各分野の有機的な連携のもと、施策を総合的に展開し、切れ目のない支援を行う。

 

3障害特性等に配慮したきめ細かい支援

障害者施策は、年齢、障害の状態、生活の実態等に応じた障害者の個別的な支援の必要性を踏まえて実施する。

また、発達障害、難病、高次脳機能障害、盲ろう、重症心身障害その他の重複障害等それぞれの障害の特性や求められる配慮について、府民のさらなる理解の促進に向けた広報・啓発活動を行うとともに、施策の充実を図る。

 

4障害のある女性等の複合的困難に配慮したきめ細かい支援

障害のある女性、障害のある子ども及び障害のある高齢者など複合的に困難な状況に置かれた障害者に対するきめ細かい配慮の必要性を踏まえて障害者施策を展開する。

 

5PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進

障害者施策の実施に当たっては、PDCAサイクルを構築し、着実に実行するとともに、施策の不断の見直しを行っていく。

また、障害者が必要なときに必要な場所で適切な支援を受けられるよう、市町村等との適切な連携及び役割分担の下で、障害者施策を実施する。

さらに、効果的かつ効率的に施策を推進する観点から、高齢者施策、医療関係施策、子ども・子育て関係施策、男女共同参画施策等、障害者施策に関係する他の施策・計画等との整合性を確保し、総合的・計画的な施策の展開を図る。

 

(4)計画の性格及び位置付け

この計画は、障害者基本法第11条第2項に基づき、国の「障害者基本計画」を基本として策定する「都道府県障害者計画」です。

障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定するものであり、京都府が講ずる障害者施策に関する基本的な計画として位置付けています。

また、この計画は、京都府政運営の指針である「京都府総合計画」など、関連計画との整合性を図りながら、今後4年間の障害者施策の基本的な方向を示します。

 

(5)計画の対象期間

障害福祉計画との整合を図る観点から、令和2年度(2020年度)から令和5年度(2023年度)までの4年間とします。

 

(6)計画の対象となる障害者の範囲

この計画の対象となる障害者は、障害者基本法第2条の定義に基づき、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある人であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人」とします。

 

(7)分野別の施策体系

この計画では、共通する5つの横断的視点を基に、9つの分野から施策を構築し、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を推進していきます。

 

Ⅰ 障害のある人もない人も地域の担い手となり、地域で安心して暮らせる社会
1安全・安心な生活環境の整備

1障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進

2住宅の確保

3移動しやすい環境の整備等

4アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進

 

2情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実

1わかりやすい情報の提供

2意思疎通支援の充実

3選挙等における配慮等

4行政機関等における配慮及び障害者理解の促進等

 

3防災、防犯等の推進

1防災対策の推進

2防犯対策の推進

3消費者トラブルの防止及び被害からの救済

 

4差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止

1権利擁護の推進、虐待の防止

2障害を理由とする差別の解消の推進

 

5自立した生活の支援・意思決定支援の推進

1意思決定支援の推進

2相談支援体制の整備

3地域移行支援、在宅サービス等の充実

4障害のある子どもに対する支援の充実

5障害福祉サービスの質の向上等

6福祉用具その他アクセシビリティの向上に資する機器の普及促進及び身体障害者補助犬の育成等

7障害福祉を支える人材の育成・確保

 

6保健・医療の推進

1保健・医療の充実等

2保健・医療を支える人材の育成・確保

3難病に関する保健・医療施策の推進

4精神保健・医療の適切な提供等

 

Ⅱ 希望に添って働き続けることができる社会
7雇用・就業、経済的自立の支援

1総合的な就労支援

2経済的自立の支援

3障害者雇用の促進

4障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保

5福祉的就労の充実

 

Ⅲ 生涯を通じて学び続けられるとともに、文化芸術やスポーツなどの分野で一人ひとりの特性を活かして活躍できる社会
8文化芸術やスポーツ等を通じた活動や機会の創出

1文化・芸術活動の振興

2スポーツ、レクリエーション活動の推進

 

9生涯を通じて学び続けられる環境の整備

1インクルーシブ教育システムの推進

2教育環境の整備

3生涯を通じた多様な学習活動の充実

4交流及び共同学習の推進

 

(8)成果目標の設定(詳細は「別表」参照)

計画期間に達成すべき目標として数値化が可能な施策について、成果目標を設定し、計画の実効性を確保します。

 

(9)計画の推進

計画の推進に当たっては、京都府が主体となり、国、市町村、障害者関係団体・施設・事業者等と連携を図り、一体となって対応します。

特に国に対しては、国の障害者基本計画、障害者総合支援法等に基づく必要な行財政上の措置と支援を要請します。

また、計画に掲げた方針や施策については、府として全庁的に総合的な取組を行います。

計画の実施に当たっては、「京都府障害者施策推進協議会(京都府障害者自立支援協議会)」の意見を聴きながら進捗状況の把握と点検を行い、計画的な推進を図ります。

 

2障害保健福祉圏域の設定

(1)設定の趣旨

障害のある人に対する保健福祉サービスについては、その施策内容や市町村の人口規模などから、市町村によっては、単独で実施困難な場合があることから、地域にサービスの偏在が生じないよう、市町村の地域特性や人口規模などを踏まえ、複数の市町村を含む広域的な見地から施策の展開を図ることにより、府域全体のバランスのとれたサービス供給体制、基盤の整備を推進する観点により、平成10年11月から障害保健福祉圏域を設定しています。

 

(2)設定の考え方

保健・医療施策及び高齢者施策との連携を図る必要があるため、京都府保健医療計画に基づく「2次医療圏」及び京都府高齢者健康福祉計画に基づく「高齢者健康福祉圏域」と同一区域の6つの圏域としています。

なお、京都・乙訓圏域については、大都市特例により京都市の権限が定められていることから、「京都市サブ圏域」及び「乙訓サブ圏域」を設定しています。

 

丹後:宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町

中丹:福知山市、舞鶴市、綾部市

南丹:亀岡市、南丹市、京丹波町

京都乙訓 京都市サブ圏域:京都市

京都乙訓 乙訓サブ圏域:向日市、長岡京市、大山崎町

山城北:宇治市、城陽市、八幡市、京田辺市、久御山町、井手町、宇治田原町

山城南:木津川市、笠置町、和束町、精華町、南山城村

 

3障害者手帳取得者数の推移

平成30年度末現在で、京都府における障害者手帳取得者数は、約19万6千人です。

障害者自立支援法が施行された平成18年度末(約16万2千人)との比較では、約3万4千人増えています。

 

身体障害

平成18年(障害者自立支援法施行):132,666人

平成28年:144,277人

平成29年:143,829人

平成30年:143,636人

平成18年から平成30年増加率:8.3%増

 

知的障害

平成18年(障害者自立支援法施行):17,909人

平成28年:26,100人

平成29年:26,977人

平成30年:27,782人

平成18年から平成30年増加率:55.1%増

 

精神障害

平成18年(障害者自立支援法施行):12,063人

平成28年:22,371人

平成29年:23,736人

平成30年:25,103人

平成18年から平成30年増加率:108.1%増

 

合計

平成18年(障害者自立支援法施行):162,638人

平成28年:192,748人

平成29年:194,542人

平成30年:196,521人

平成18年から平成30年増加率:20.8%増

 

(注)京都市含む。各年度末時点の数字。

 

お問い合わせ

健康福祉部障害者支援課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4597

shogaishien@pref.kyoto.lg.jp