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第4期京都府障害者基本計画 第2章 各分野別施策の基本方向 (音声読み上げ用)

第2章 各分野別施策の基本方向

Ⅰ 障害のある人もない人も地域の担い手となり、地域で安心して暮らせる社会

1安全・安心な生活環境の整備

【基本的考え方】

障害のある人がそれぞれの地域で安全に安心して暮らしていくことができる生活環境の実現を図るため、住環境の整備、移動しやすい環境の整備、アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進等、障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進を通じ、障害のある人の生活環境における社会的障壁の除去を進め、アクセシビリティの向上を推進します。

 

(1)障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進

子どもや高齢者、障害のある人をはじめ誰もが暮らしやすい人にやさしいまちづくりを推進するため、施設のバリアフリー情報の提供やおもいやり駐車場の利用証制度の推進に取り組みます。

 

○京都府福祉のまちづくり条例に定める特定まちづくり施設やおもいやり駐車場協力施設等を中心に、「人にやさしいまちづくりホームページ」において施設のバリアフリー情報を提供します。

 

○全ての府民にとって暮らしやすいまちづくりを推進し、障害のある人や高齢者など誰もが安心して外出できる社会の実現を目指して、京都おもいやり駐車場利用証制度を推進します。

 

○身体に障害がある人や高齢者が安心・安全に通行できる交通安全施設及び道路交通環境の整備を推進します。

また、バリアフリー法に基づく重点整備地区内の特定道路における京都府管理道路のバリアフリー化を図ります。

 

(2)住宅の確保

障害のある人の地域での自立した生活を推進するため、多様な世帯が居住し交流できる府営住宅等の整備やバリアフリー化、府営住宅への優先入居などの取組を推進します。

 

○障害のある人や高齢者、子育て世帯はもとより、多様な世帯が居住し交流できる府営住宅等を整備し、ユニバーサルデザインの考え方によるまちづくりを推進します。

 

○障害のある人の生活や活動の障害とならないよう、バリアフリー仕様の府営住宅の建設を行うとともに、既設の府営住宅においても、住戸内やエレベーターの設置をはじめとする共用部分のバリアフリーの改善を進めます。

 

○加齢による身体機能の低下や障害が生じた場合にも住み続けられる住宅ストックの形成を促進するため、既存住宅のバリアフリー工事等に対して低金利のリフォーム資金を融資します。

 

○安全で不自由なく暮らせる住宅にするためにバリアフリー改修などの設計内容や工事方法について専門家が相談に応じる住宅相談を実施します。

 

○民間賃貸住宅における住宅セーフティネットの取組を促進し、障害者世帯をはじめ住宅確保要配慮者が安心して暮らせる住宅を確保します。

 

○障害者世帯の府営住宅への入居を支援するため、一般募集とは別に、京丹波町以南の南部 地域では年3回、福知山市・綾部市以北の北部地域では年2回、優先枠を設けて募集を行い、入居機会の確保を図ります。

 

(3)移動しやすい環境の整備等

障害のある人や高齢者をはじめ誰もが安心して外出できるよう、鉄道駅舎や道路における段差解消や、交通安全施設、道路交通環境の整備促進などを推進します。

 

○鉄道駅舎及びその周辺地区におけるバリアフリー化を一体的に促進し、高齢者・障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化を図るため、その中心となる鉄道駅舎を対象に、国庫補助制度と協調し、関係市町とともに、鉄道事業者が行うバリアフリー化事業に対して助成します。

 

○身体に障害がある人や高齢者が安心・安全に通行できる交通安全施設及び道路交通環境の整備を推進します。

また、バリアフリー法に基づく重点整備地区内の特定道路における京都府管理道路のバリアフリー化を図ります。<再掲1(1)>

 

○身体に障害のある人などからの駐車禁止除外指定車標章の交付申請により、審査のうえ当該標章を交付し、安全な駐車環境の確保を図ります。

 

(4)アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進

バリアフリー法及び京都府福祉のまちづくり条例などに基づき、多くの人が利用する施設のバリアフリー化等を進め、誰もが安心して行き来できるまちづくりを推進します。

 

○京都府福祉のまちづくり条例に定める「特定まちづくり施設」やおもいやり駐車場協力施設等を中心に、「人にやさしいまちづくりホームページ」において施設のバリアフリー情報を提供します。<再掲1(1)>

 

○全ての府民にとって暮らしやすいまちづくりを推進し、障害のある人や高齢者など誰もが安心して外出できる社会の実現を目指して、おもいやり駐車場利用証制度を推進します。<再掲1(1)> 

 

○多数の人が利用する府立都市公園についてバリアフリー化を推進するとともに、市町村管理の公園施設について、バリアフリー化を推進します。

 

○バリアフリー法及び京都府福祉のまちづくり条例に基づく協議、指導、認定の各段階を通じて、建設時及び維持保全計画におけるバリアフリー化について建築主・事業者等への指導・助言を行います。

 

○警察署、交番、駐在所は、日々、多数の人が利用することから施設のバリアフリー化を推進することとし、建て替え等の機会に障害のある人が利用できるトイレの設置を推進するほか、ユニバーサルデザインの考え方による施設整備を推進します。

 

2情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実

【基本的考え方】

障害者が必要な情報に円滑にアクセスすることができるよう、障害者に配慮したサービスの提供等の取組を通じて情報アクセシビリティの向上を推進します。

あわせて、障害者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、意思疎通支援を担う人材の育成やサービスの利用の促進等の取組を通じて意思疎通支援の充実を図ります。

 

(1)わかりやすい情報の提供

障害のある人が円滑に情報を取得・利用し、意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、わかりやすい情報提供や、コミュニケーション支援の充実等を推進します。

 

○聴覚障害のある人が利用する録画物その他各種情報記録媒体の製作及び手話通訳者の派遣や養成等の便宜等を供与し、聴覚障害のある人への支援拠点となる京都府聴覚障害者情報提供施設の設置・運営を支援します。

 

○視覚や聴覚に障害のある人が日常生活上の必要な情報を容易に得て、また、発信できるように、点字図書館などの充実・利用促進に努めます。

 

○府民だよりのバリアフリー化を図るため、文字拡大版、点字版、音声版を発行します。

 

○京都府のホームページの内容をより工夫し、障害のある人に対して、有効な情報を発信します。また、障害のある人が利用しやすいホームページの構築に努めます。

 

○障害のある人の情報・コミュニケーション支援のため、初心者向けIT講座、視覚・聴覚等障害別IT講座やIT相談などを実施します。

 

(2)意思疎通支援の充実

障害のある人の情報保障を確保するため、手話通訳者等の派遣や養成を図るほか、広域振興局など府機関窓口における環境整備に努めます。

 

○聴覚障害のある人のコミュニケーションを確保するため、手話通訳者・要約筆記者派遣等を実施します。

 

○聴覚に障害のある人の情報保障のため、コミュニケーション支援アプリ(UDトーク)を広域振興局など府機関窓口に設置し、円滑な意思疎通や必要な情報提供ができるよう環境整備を行います。

 

○障害のある人の地域生活を支えるため、視覚に障害のある人のための点訳奉仕員、朗読奉仕員等の養成事業の充実を図るなど、人材の養成・確保に努めます。

 

(3)選挙等における配慮等

障害のある人が選挙権を円滑に行使できるよう、選挙等に関する情報提供の充実や、投票環境の向上に努めます。

 

○選挙公報の点字・音声版の配布など、点字・音声・インターネットを通じた選挙等に関する情報提供の充実に努めます。

 

○投票所の施設・設備のバリアフリー化や、代理投票制度の円滑な実施について、市町村選挙管理委員会と協力して推進します。

 

○投票所での投票が困難な人の投票機会を確保するため、指定病院等における不在者投票制度の周知に努めます。

 

(4)行政機関等における配慮及び障害者理解の促進等

府民だよりや京都府ホームページ等を障害のある人も利用しやすくするとともに、援助や配慮が必要なことが外見からは分かりにくい方が、周囲から援助等を受けやすくなるよう、ヘルプマークの普及を促進します。

 

○府民だよりのバリアフリー化を図るため、文字拡大版、点字版、音声版を発行します。

<再掲2(1)>

 

○京都府のホームページの内容をより工夫し、障害のある人に対して、有効な情報を発信します。また、障害のある人が利用しやすいホームページの構築に努めます。

<再掲2(1)>

 

○聴覚に障害のある人の情報保障のため、コミュニケーション支援アプリ(UDトーク)を広域振興局など府機関窓口に設置し、円滑な意思疎通や必要な情報提供ができるよう環境整備を行います。<再掲2(2)>

 

○義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からは分かりにくい方が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせるためのヘルプマークの普及を促進します。

 

3防災、防犯等の推進

【基本的考え方】

障害のある人が地域社会において、安心して安全に暮らすことができるよう、防災対策を推進するとともに、障害のある人を犯罪被害や消費者被害から守るため、防犯対策や消費者トラブルの防止に向けた取組を推進します。

 

(1)防災対策の推進

災害時のわかりやすい情報提供や、被害を受けやすい高齢者、障害のある人などの要配慮者を適切に避難支援するための市町村の取組の支援など、防災対策を推進します。

 

○京都府災害時要配慮者避難支援センターにおいて、市町村域や府県域を超える大規模・広域災害時における病院、社会福祉施設等の避難・受入を支援します。

 

○災害時に被害を受けやすい高齢者、障害のある人などの要配慮者を適切に避難支援する計画策定、福祉避難所や福祉避難コーナーの設置など市町村の取組を支援します。

 

○災害時に高齢者や障害のある人などの要配慮者を適切に支援できる京都府災害派遣福祉チームや福祉避難サポートリーダーを養成します。

 

○京都府広報テレビ番組、ラジオ番組、広報紙「きょうと府民だより」、SNSやホームページ等の各種広報媒体を活用し、障害のある人が地域社会において安全に、安心して暮らすことができるよう、防犯や災害情報、犯罪や事故に遭わない情報を発信します。

 

○気象警報や市町村の避難情報などの災害に関する情報や、要配慮者支援のための情報を、お手元の携帯端末に即座に配信し、障害のある人の安心・安全の確保に役立てます。

 

【参考】

SNS

個人間のコミュニケーションを促進し、社会的なネットワークの構築を支援する、インターネットを利用したサービスのことです。

 

(2)防犯対策の推進

ファックスやメール、アプリを活用した緊急通報の推進や、携帯端末等を活用した防災・防犯情報の提供、各種広報媒体を活用した犯罪や交通事故に遭わないための情報の発信など、防犯対策を推進します。

 

○聴覚及び言語機能に障害のある方が、犯罪被害や交通事故に遭ったり目撃したときに、自ら警察に通報することができる「メール110番システム」「FAX110番システム」及び「110番アプリシステム」の機能向上に努め、利便性の向上を図ります。

 

○防犯・犯罪発生情報等を希望する方に対して、タイムリーに携帯電話やスマートフォン等へメール配信し、防犯意識の高揚等に努めます。

 

○聴覚の障害のある人などが地域安全情報の提供を受ける機会を得られるよう、映像等の啓発資料及びタブレット端末の活用や手話のできる警察職員等による防犯教室を開催し、防犯指導を行います。

 

○京都府広報テレビ番組、ラジオ番組、広報紙「きょうと府民だより」、SNSやホームページ等の各種広報媒体を活用し、障害のある人が地域社会において安全に、安心して暮らすことができるよう、防犯や災害情報、犯罪や事故に遭わない情報を発信します。<再掲3(1)>

 

(3)消費者トラブルの防止及び被害からの救済

障害のある人の消費者被害を防止するため、関係機関と連携した地域の見守り活動や、成年後見制度の利用促進などにより、障害のある方々に係る消費者トラブルの防止及び被害からの救済を図ります。

 

○障害のある人の消費者被害を防止するため、京都府警察、市町村、福祉関係団体、事業者等地域の多様な主体とネットワークづくりを進めながら、地域の見守り活動の強化を図るとともに、地域におけるきめ細かな啓発活動を実施します。

 

○家庭裁判所、市町村、専門職団体等の関係団体と連携し、高齢者や障害のある人を消費者被害などから守る成年後見制度の正しい知識の周知を図り、制度の適切な利用を促進します。

 

4差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止

【基本的考え方】

誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向け、「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」等に基づき、障害及び求められる配慮等に関する理解の促進や、障害のある人とない人の相互理解を深めるための広報・啓発活動を実施するとともに、相互の交流を促進します。

また、条例及び障害者差別解消法等に基づき、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を除去するための取組を進めるとともに、障害者虐待防止法に基づく障害者虐待の防止等、障害のある人等の権利擁護のための取組を着実に推進します。

 

(1)権利擁護の推進、虐待の防止

障害者虐待防止法及び高齢者虐待防止法に基づき、市町村や専門職団体等と連携・協力して、障害のある人や高齢者への虐待の未然防止、早期発見・早期対応、再発防止等の取組を進めるとともに、障害や高齢により判断能力が十分でなくなった方々の生活を守る成年後見制度等の利用促進を図り、障害のある人等の権利擁護を推進します。

 

○市町村、専門職団体等の関係団体と連携し、障害者虐待防止法、高齢者虐待防止法について、広く府民に周知し、虐待の未然防止や早期発見・早期対応を図ります。

 

○「京都府障害者・高齢者権利擁護支援センター」において、専門職団体と連携・協力して、専門職チームの市町村への派遣、専門職による電話相談を行うなど、障害者虐待、高齢者虐待の対応窓口となる市町村の権利擁護の取組をきめ細かく支援します。

 

○虐待事例に基づき、市町村職員を対象とする事例検討会を行うとともに、市町村等が開催する権利擁護研修等に専門職の講師を派遣するなど、関係職員のスキルアップや資質向上を図ります。

 

○障害者施設・事業所・市町村職員を対象とする虐待防止研修を開催し、施設・事業所における障害者虐待の未然防止等の取組の促進を図ります。

 

○家庭裁判所、市町村、専門職団体等の関係団体と連携し、成年後見制度の正しい知識の周知を図り制度の適切な利用を促進するとともに、市町村が地域連携ネットワークを構築できるよう、中核機関の設置や運営等について助言・支援を行います。

 

○法人後見の取組や市民後見人の養成等を促進するため、市町村職員を対象とする先進事例等の勉強会を開催するとともに、市町村が行う成年後見制度利用支援事業や成年後見制度法人後見支援事業を支援します。

 

○障害等により判断能力が不十分な人に対して、福祉サービス利用援助(福祉サービスに関する情報提供・助言、利用手続、利用料支払いの援助、日常的金銭管理等)を行うことにより、安心して地域で自立した生活が送れるように支援します。

 

(2)障害を理由とする差別の解消の推進

障害の有無に関わらず、誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向け、府民誰もが、障害のある人や高齢者等の自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性について理解を深め、一人ひとりが互いを思いやり、支え合えるようにするため、幅広い府民への啓発活動を実施し、「心のバリアフリー」を推進します。

条例や障害者差別解消法等に基づく、障害を理由とした不利益取扱いや合理的配慮について、広く府民、事業者等の関心と理解を深める啓発活動を行うとともに、身近な地域で相談に応じる相談体制、調整体制を整備し、バリアの解消を支援します。

 

○障害のある人等の支援を必要とする方々が毎日の生活を送る上で支障となる様々な社会的障壁(バリア)をなくしていくため、府民一人ひとりが、それぞれの立場でできる支援をする応援者となっていただけるよう、心のバリアフリーを推進する啓発活動を実施します。

 

○条例の趣旨・内容を広く府民に周知し、障害のある人の社会参加と府民の理解を促進するため、府の各種広報媒体を通して啓発を実施するとともに、市町村やテレビ、新聞等のマスメディアの協力を得ながら啓発活動を実施します。

 

○条例のガイドライン等により、広く府民、事業者等に、障害を理由とした不利益取扱いの具体的事例や、障害のある人への配慮の望ましい事例などを周知し、障害のある人等の社会参加を制約するバリアの解消を促進します。

 

○障害を理由とした不利益取扱いや合理的配慮の個別の事案について、身近な地域で相談に応じる体制を整備するとともに、条例に基づく「京都府障害者相談等調整委員会」を設置し、より専門性の高い不利益取扱いの事案等の助言・あっせんによる解決を図ります。

 

○行政機関、民間事業者等の合理的配慮の取組を促進するため、行政機関等の窓口職員への研修や事業者を対象とするセミナーの実施等の取組を推進します。

 

○障害者週間を中心として、障害者団体と連携し、府内各地で啓発活動(チラシや「ほっとはあと製品」の配布)を実施し、理解促進を図ります。

 

○障害者福祉の啓発を内容としたポスター及び体験作文を募集し、啓発ポスターとして使用するとともに、入賞作品を「京都とっておきの芸術祭」等で展示します。

 

○府内の障害のある人や関係者が集い、広く障害に関する理解と認識を深め、障害のある人の自立と社会参加意欲を増進し、障害者福祉の増進を図ります。

 

○聞こえのサポーター養成講座を開催することにより、見えない障害である聴覚障害への理解促進を図ります。

 

○精神障害のある人及びその家族からの相談に応じ必要な助言等を行うとともに、精神保健福祉に関する正しい知識と理解の普及に努めるなど、精神障害のある人の自立と社会参加の促進を図る「こころの健康推進員」を設置します。

 

○認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」や「認知症サポーター養成講座」の講師役となる「キャラバン・メイト」の養成等、認知症を正しく理解し、地域で支え合える環境づくりを進めます。また、各市町村における認知症サポ-ター等の支援者と認知症の人やその家族のニーズとをつなぐ仕組みの構築を支援します。

 

○障害のある女性を含む性暴力の被害者や配偶者等からの暴力の被害者に対し、「京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター京都SARA」や、配偶者暴力相談支援センターにおいて相談支援を行います。

 

○旧優生保護法に基づく優生手術を受けた方に対する一時金の支給については、都道府県が請求の受付等を行っており、着実に支給が行われるよう、広く周知等に努めます。

 

【参考】

心のバリアフリー(バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱(内閣府))

誰もが、支援を必要とする方々の自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性について理解を深め、自然に支え合うことができるようにすることです。

 

5自立した生活の支援・意思決定支援の推進

【基本的考え方】

自ら意思を決定及び表明することが困難な障害のある人に対し、必要な意思決定支援を行うとともに、障害のある人が自らの決定に基づき、身近な地域で相談支援を受けることのできる体制を構築します。

また、障害のある人の自立と社会参加を促進するため、ライフステージに沿った様々な生活上の課題やニーズに対応した支援体制の整備を進めるとともに、障害のある人の自己選択や自己決定が尊重される利用者本位の支援を促進します。

 

(1)意思決定支援の推進

障害のある人が、必要な支援を受けながら、自らの決定に基づき社会の活動に参加することができ、自らの能力を最大限発揮できるよう支援を行います。

 

○障害等により判断能力が不十分な人に対して、福祉サービス利用援助(福祉サービスに関する情報提供・助言、利用手続、利用料支払いの援助、日常的金銭管理等)を行うことにより、安心して地域で自立した生活が送れるように支援します。<再掲4(1)>

 

○認知症の人の生活に関わる関係者(医療・福祉・介護、法曹、金融機関等)に対する研修の実施等により、認知症の人の意思決定を支援します。

 

(2)相談支援体制の整備

障害のある人が、自らの決定に基づき、身近な地域で相談支援を受けることができる体制を構築するため、様々な障害種別に対応した相談支援を提供する体制の整備を図ります。

 

○各障害保健福祉圏域に障害者自立支援協議会を設置し、就労支援や医療的ケア、精神障害、発達障害などの各専門部会を置いて、ゼネラルケアマネージャーを中心とする関係機関等とのネットワークを構築し、困難事例等への広域的な対応を図ります。

 

○相談支援の質の向上及びサービス等利用計画の適切な作成等を図るため、相談支援従事者の養成、スキルアップを進めるとともに、相談担当職員等の支援を行う人材の養成を図るなど、相談支援体制を充実します。

 

○気軽に話ができる居場所づくり等を進めるとともに、精神保健福祉総合センターや保健所等の心の健康相談の充実、地域で相談に応じる「こころの健康推進員」の養成、夜間・休日の電話相談の充実等により、身近な相談体制を整備します。

 

○発達障害者支援センターはばたき及び発達障害者圏域支援センター(府内6箇所)を設置するとともに、学齢期を中心とした発達障害児を対象とする発達障害児支援拠点(府内3箇所)において相談支援を行います。また、発達障害に関する府民への理解促進のための普及啓発を行います。

 

○高次脳機能障害支援拠点における相談支援を継続して実施するとともに、高次脳機能障害に関わる医療機関、福祉サービス提供事業者等への研修や支援機関相互の連携会議により、地域における高次脳機能障害者への支援体制の充実を図ります。

 

○府保健所や難病相談・支援センターにおいて、難病患者等の相談・支援、地域交流活動の促進などを行うとともに、医療機関、患者団体及び行政機関等との連携を強めることにより、患者等の療養上、日常生活上の悩みや不安等の解消を図ります。

 

○就労支援など患者等の持つ様々なニーズに対応する相談・支援を実施することにより、難病患者の社会参加のより一層の促進を図ります。

 

○「京都府認知症コールセンター」や「京都府若年性認知症コールセンター」など、身近に相談できる窓口の設置により、認知症の早期発見及び認知症の人やその家族の介護負担等の軽減を図ります。

 

○若年性認知症に関する相談にワンストップで対応できる若年性認知症支援コーディネーターの設置や、関係機関とのネットワークの構築等により、若年性認知症の方やその家族が、必要な制度やサービスにつながる支援体制を整備します。

 

○児童虐待やDV、非行、ひきこもりなど、複雑・多様化する家庭問題に迅速・的確に対応するため、「京都府家庭支援総合センター」を中心に関係機関の連携・協力のもと、家庭問題に関する総合的・専門的な相談支援を行います。

 

○障害のある女性を含む性暴力の被害者や配偶者等からの暴力の被害者に対し、「京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター京都SARA」や、配偶者暴力相談支援センターにおいて相談支援を行います。<再掲4(2)>

 

○悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、専門機関等必要な支援につなげ、見守るゲートキーパーの養成を進めます。

 

○京都府自殺ストップセンターを運営し、自死・自殺を考えるなど、深刻な悩みを抱える方々に対する電話・面接相談を実施します。また、多重債務や労働問題等、相談内容により専門家の対応が必要な場合は、「いのちのサポートチーム」が面接相談に加わり、継続した相談支援を行います。

 

○府内の相談・支援機関からなるネットワーク「京のいのち支え隊」による連携、情報共有を進め、より良い相談・支援体制の構築を図る等の活動を通じて、「オール京都」体制での寄り添い支援を進めます。

 

○SNSを活用した相談窓口の設置など、若者向けの対策を一層推進します。

 

(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実

障害のある人が個々のニーズや実態に応じて、自らの選択・決定により必要なサービスを受けられるよう、市町村等との連携のもと、在宅サービス等の量的・質的な充実を図ります。

 

○障害者総合支援法や児童福祉法に基づく障害福祉サービス等の実施計画である「京都府障害福祉計画」に定める障害福祉サービス等の必要量の確保に向け、市町村や関係機関等と連携してサービス提供基盤の整備を図ります。

 

○医療的ケアが必要な障害児者や重度障害児者に対し、医療型短期入所の受け入れを行う医療機関への支援や、適正なサービス等利用計画の作成に対する支援を行い、地域での生活が安心して継続できるよう環境の整備を図ります。

 

○通院等の外出に支援を要する高齢者や障害者の移動手段を確保するための福祉有償運送事業者の車両購入に対する助成及び運転協力者養成講習を実施します。

 

○障害者総合支援法及び児童福祉法に基づくサービス体系に対応した事業所を確保するため、サービス提供に必要な施設改修等への支援を行います。

 

○障害者自立支援協議会の意見等を踏まえ、グループホーム等の「住まいの場」の確保を図るとともに、生活介護、就労継続支援事業所等の「活動の場」を充実します。

 

○障害のある人が必要なサービスを適切に選択できるよう、ホームページや「障害者福祉のてびき」等を活用しつつ、市町村と連携して、制度の周知を図るとともに、障害福祉サービス等を行う事業者の情報の提供に努めます。

 

○創作的活動や生産活動の機会を提供し社会との交流促進などを行う地域活動支援センターの機能の充実強化を支援し、地域生活支援の促進を図ります。

 

○医療的ケア児等については、医療・福祉・保育・教育など、多分野・多職種による連携した支援が必要であるため、府域・圏域・市町村域で医療的ケア児等の関係機関が連携を図るための協議の場を設けるとともに、多分野に渡る支援を総合調整するコーディネーターを養成します。

 

○盲ろう者の自立と社会参加を図るため、コミュニケーション及び移動等の支援を行う通訳・介助員を派遣します。

 

○精神保健福祉総合センターや保健所等の心の健康相談を充実するとともに、地域保健の拠点である保健所において、精神保健福祉総合センターの技術支援を受けつつ、地域・職域連携推進会議や障害者自立支援協議会等を活用して、産業保健等との連携体制を構築します。

 

○退院後支援計画の作成、地域移行支援・地域定着支援を担う相談支援従事者の養成、退院後のデイケアや訪問支援(アウトリーチ)、精神科救急医療体制を充実するとともに、障害者自立支援協議会等を通じ、障害者福祉圏域毎の保健・福祉・医療の協議の場を設置し、入院患者の地域移行及び退院患者の地域定着を推進します。

 

○訪問が必要な家族に対し、保健所職員が中心となり、メリデン版訪問家族支援の手法を用いた家族支援を実施するとともにケアラーアセスメント票(家族のセルフチェック票)の活用・普及啓発により、保健・福祉・医療関係者の家族支援を推進します。

 

○高次脳機能障害のある人に対し、医療、福祉、行政の連携により、リハビリ医療から就労までを継続してサポートするしくみをつくります。京都府立心身障害者福祉センターで専門外来と生活訓練事業所が一体的に訓練を行う取組みを行います。

 

○認知症が疑われる人などを適切な医療・介護サービスつなげるため、各市町村に設置された「認知症初期集中支援チーム」の運営・人材育成の支援や認知症初期の人の精神的支援・日常生活支援を行う「認知症リンクワーカー」の養成を通じて、認知症の人やその家族に寄り添った支援の充実を図ります。

 

○認知症の人やその家族が集う「認知症カフェ」の設置の拡大や運営の支援などにより、認知症の人の居場所づくりや社会参加を支援します。

 

○認知症等による行方不明者を早期に発見するため、広域模擬訓練の実施など多様な捜索支援を行います。

 

○認知症疾患医療センターや認知症カフェ等における「本人・家族教室」の開催を促進し、認知症の人やその家族がお互いに支えあうピアサポートの場づくりを推進します。

 

(4)障害のある子どもに対する支援の充実

障害のある児童及びその家族に対して、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した支援を身近な地域で提供できる体制の整備を進めます。

 

○障害のある児童の支援拠点である「京都府立こども発達支援センター」について、診療・療育体制の充実を図るとともに、発達障害のある児童の診療を行う医師等を養成します。

 

○発達障害児に対し、医療・福祉・相談をトータルパッケージで提供できる「発達障害児支援拠点」を北・中・南部に整備し、南部の「こども発達支援センター」を中核として人材育成研修を行い、市町村や教育機関と連携した支援体制を構築します。

 

○乳幼児のスクリーニングから発達障害のある乳幼児を早期に発見し、個々の状態に応じた適切な支援が受けられるよう、保育所等への保育支援やペアレントトレーニングの実施を行う市町村への支援を行うとともに、実施できる人材養成などを幅広く展開します。

 

○就学前までの子どもの発育・発達の支援に関わる従事者を対象に、各保健所が地域の特性に応じ、子どもの発育・発達の支援に関わる研修会等を企画・実施します。

 

○学齢期前の聴覚障害児に聴覚・ことばの指導等を行い、手話等の言語能力・コミュニケーション能力の獲得に向けた支援を行うとともに、保護者に対する相談支援等を実施します。

 

○学齢期前までの視覚障害児に基本的生活習慣の取得、集団生活などの訓練を行い、社会生活に適応するための基礎習得を支援するとともに、保護者に対する相談支援等を実施します。

 

○重度の障害児(者)を中心に、在宅障害児(者)が身近な地域で療育指導、相談等が受けられるよう障害児(者)地域療育等支援事業を実施し、療育機能の充実を図ります。

 

○身体障害者手帳の対象とならない軽・中等度の難聴児に対し、補聴器給付事業を実施し、対象児の成長発達を促します。

 

【参考】

ペアレントトレーニング

ほめられることで子どもが達成感を味わい、自信を深め、将来の生きる力をはぐくめるよう、保護者等を対象に子どものほめ方のトレーニングをする教室を開催します。

 

(5)障害福祉サービスの質の向上等

障害福祉サービス等の質の向上を図るため、サービスを提供する職員への研修、事業者に対する適切な苦情解決の推進、第三者評価の適切な実施等に努めます。

 

○障害福祉サービス等が円滑に実施されるよう、サービスを提供する事業者の指導・監督を適切に行うとともに、介護職員による喀痰吸引等の医療的ケアに関する研修、ヘルパーの養成研修、相談支援従事者の養成・確保を推進する研修など、サービス提供人材の確保と質の向上を図ります。

 

○福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、事業者における適切な苦情解決の促進を図るとともに、事業者段階では解決の困難な苦情については、公正・中立な第三者機関である運営適正化委員会を設け、福祉サービスに関する苦情解決の体制整備とその適正な運用を図ります。

 

○京都介護・福祉サービス第三者評価等支援機構(平成17年10月14日発足)のもとでの第三者評価の推進を図り、利用者本位のより質の高い介護・福祉サービスを安心して選択できる環境づくりを一層推進します。

 

(6)福祉用具その他のアクセシビリティの向上に資する機器の普及促進及び身体障害者補助犬の育成等

補装具や日常生活用具の給付・貸付、介護・リハビリのための機器の普及促進、身体障害者補助犬法に基づく補助犬の育成等を推進します。

 

○障害のある人の日常生活や社会生活の向上を図り、社会参加を支援するため、補装具の給付や日常生活用具の給付・貸付を実施する市町村に対し財政支援等を行います。

 

○医療機器だけでなく介護・福祉人材の不足解消や身体的・精神的負担の軽減等のため介護・福祉ロボットも含めた様々な活動を育むロボットの普及促進や新たなリハビリテーション技術を広めるための研修等を実施します。

 

○身体障害者補助犬の育成及び訓練等を行う法人に対する助成を実施します。

 

(7)障害福祉を支える人材の育成・確保

障害福祉サービス等が円滑に実施されるよう、サービスを提供する人材の養成・確保と質の向上を図ります。

 

○京都府自立支援協議会の専門部会として人材育成部会を設置し、相談支援従事者養成研修、サービス管理責任者等研修等の指導者の人材育成を図るスキームを構築します。

 

○障害のある人が地域で安心して暮らせるために、精神に障害のある人、聴覚や視覚に障害のある人など障害特性に応じたヘルパーなどの人材の養成・確保を図ります。

また、知的障害又は精神障害で行動上の困難を有する障害のある人が危険を回避するために必要な援護を行う者を養成します。

 

○障害のある人の地域生活を支えるため、視覚に障害のある人のための同行援護従事者や点訳奉仕員、朗読奉仕員等の養成事業の充実を図るなど、人材の養成・確保に努めます。

 

○障害のある人にとって最も身近な相談者である身体障害者相談員、知的障害者相談員及びこころの健康推進員並びにいきいき条例による地域相談員の研修事業を充実し、相談員の資質の向上と活動の充実を図ります。

 

○認知症を正しく理解し、適切に対応できるよう、かかりつけ医や看護師、医療関係者等の認知症対応力向上研修を実施します。

 

○認知症の人の介護を実践する施設・居宅サービス事業所の実務者及び指導者を対象として、実践者研修、リーダー研修等を実施します。

 

6保健・医療の推進

【基本的考え方】

障害者が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、支援体制の充実を図るとともに、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、精神障害者への医療の提供・支援を可能な限り地域において行う。

 

(1)保健・医療の充実等

高齢化が進み、障害の重度化・重複化の傾向が高まる中で、障害のある人が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、地域医療体制等の充実を図ります。

 

○障害のある人が住み慣れた地域や家庭において自立した生活が送れるよう、地域における障害児・者に対する医療・リハビリテーション提供体制の充実や医療・保健・福祉分野の関係機関の連携体制を強化を図り、継続的かつ適切なリハビリテーションが受けられる総合的なリハビリテーション提供体制を推進します。

 

○リハビリテーション関係者への研修等の実施や各圏域毎の地域リハビリテーション支援センターによる地域リハビリテーションの推進、府リハビリテーション教育センターによるかかりつけ医等に対するリハビリテーション教育の実施、府立医科大学リハビリテーション医学教室によるリハビリテーション専門医等の養成等総合的に施策を推進します。

 

○障害のある人など社会的に弱い立場の人などへの医療費助成制度の拡充を図り、障害のある人の自立と社会参加を支援するとともに、市町村が実施する公費負担医療制度を支援することにより、障害のある人が安心して医療を受けられるよう努めます。

 

○障害者施設入所者等を対象に、むし歯や歯周病を予防するため、歯科医師・歯科衛生士による歯科健診・保健指導等を実施します。

 

○「京都府歯科サービスセンター中央診療所」及び「京都歯科サービスセンター北部診療所」により、市町村と連携し、府内で暮らす障害のある全ての人が安心して歯科診療を受けられるように努めます。

 

○認知症疾患医療センターを核とした認知症サポート医、一般病院、かかりつけ医等のネットワークを強化し、早期発見・早期対応できる体制を整備します。

また、認知症の初期から重度まで適時・適切なサービスを“ワンストップ”で提供する京都認知症総合センター・ケアセンターの整備を推進します。

 

○臓器提供に関する京都府民の意思を尊重できるよう、移植医療に関する正しい知識を普及・啓発するための、「意思(おも)いをつなぐグリーンリボン京都府民運動」を、関係機関・団体と共に推進します。また、臓器移植の専門職として、臓器移植コーディネーターを配置し、臓器提供発生時の対応や府民・医療従事者等の相談支援、移植医療に関する出前講座を行い、移植医療に関する理解の促進を図ります。

 

(2)保健・医療を支える人材の育成・確保

障害のある人等が身近な地域で必要な医療の提供等を受けられるよう、医師・看護師等の育成・確保の取組を充実・強化します。

 

○府内への就業を希望する理学療法士等養成施設の学生への修学資金の貸与、北部地域や介護系施設を含めたリハビリテーション就業フェア等の人材確保対策の実施やリハビリテーション従事者の資質向上のための研修会の開催、特別養護老人ホーム等への巡回相談指導等の人材育成に努めます。

 

(3)難病に関する保健・医療施策の推進

難病患者に対し、総合的な相談・支援や地域における受入病院の確保を図るとともに、在宅療養上の適切な支援を行うことにより、安定した療養生活の確保と難病患者及びその家族の生活の質の向上を図ります。

 

○在宅難病患者の生活の質の向上に向けて、保健所ごとに設置した「難病対策地域協議会」を中心にして、医療や生活に係る相談指導、難病に対する正しい知識の情報提供、患者同士の交流など、保健、医療、福祉サービスが効果的に提供できるようにネットワークを拡充するとともに、地域の総合的な支援体制の充実を図ります。

 

○難病患者の病状や療養実態に即した支援が地域で適切に提供できるよう、「難病診療連携拠点病院」及び、「難病医療協力病院」を核に、各地域の「指定難病医療機関」等と相互のネットワーク体制を強化します。

 

○いわゆる難病のうち、指定難病については、治療が極めて困難であり、医療費も高額であることから、これらの疾患に関する医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図るため、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、保険診療の患者負担分の一部について公費負担を行います。

 

(4)精神保健・医療の適切な提供等

精神障害のある人への医療の提供・支援を可能な限り地域において行うとともに、精神疾患で入院中の人の早期退院及び地域移行を推進し、いわゆる社会的入院を解消するため、精神障害のある人が地域で生活できる社会資源の整備を図ります。

 

○心の病気を持った方が、身体の病気を併発し救急対応が必要な場合に、一般救急病院と精神科病院が連携して、円滑に受入医療機関に搬送し、適切な治療が受けられる体制整備を進めます。

 

○緊急に医療を必要とする精神障害のある人等のために、病院輪番体制等による24時間の精神科救急体制を確保します。

 

○府立洛南病院の病棟再整備を進め、多様化する精神科医療ニーズに対応します。

 

○児童精神医療、アルコール・薬物依存症、てんかん等の専門的な精神科医療について、京都府全体で対応できる医療提供体制の整備を図ります。

 

○アルコールや薬物などの依存症患者が地域で適切な医療を受けられるよう、依存症専門医療機関の選定を促進するとともに、精神保健福祉総合センターを核に、地域におけるNPOや自助グループとネットワークを構築し、患者や家族の実態を把握するとともに、ニーズに対応した相談、社会的自立を支援します。

 

○医療機関における入院患者等に対して、精神医療審査会などにより、人権に配慮した適切な処遇を確保します。

 

○通院医療費の助成等を通じて、精神科医療を受診する機会を保障します。

また、医療及び保護のために入院させなければ自傷他害の恐れがあると認めた場合の医療保護を円滑に実施するため、その医療費負担の軽減を図ります。

 

○在宅の精神障害のある人の社会参加を促進するため、精神保健福祉総合センターにおいて精神科デイ・ケアを実施するとともに、同様の支援が府内各地の医療機関で実施されるよう取組を推進します。

 

Ⅱ 希望に添って働き続けることができる社会

7雇用・就業、経済的自立の支援

【基本的考え方】

働く意欲のある障害のある人が、その適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業の機会を確保するとともに、福祉的就労の工賃の水準が向上するような支援等を通じて、福祉的就労の充実を促進します。

 

(1)総合的な就労支援

京都ジョブパーク「はあとふるコーナー」を中心に、障害のある人の就労に関する相談から能力開発・向上、定着支援までの総合的な取組を、福祉、教育機関等とのネットワークを強化して推進します。

 

○京都ジョブパーク「はあとふるコーナー」を中心に、相談から就職準備支援、職場体験・実習、職場定着支援まで、福祉、教育、医療など様々な関係機関と連携し、障害の特性に応じたきめ細かな就労支援を行います。

 

○身近な地域に設置された障害者就業・生活支援センターにおいて、障害のある人の生活支援や職場定着支援などを行います。

 

(2)経済的自立の支援

特別障害者手当や特別給付金の支給等により、障害のある人及びその家族に対する経済的負担の軽減等を図ります。

 

○特別障害者手当、障害児福祉手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当等の各種手当を支給し、障害のある人及びその家族の経済的・精神的負担の軽減を図ります。

 

○国民年金制度の改正時に、制度の対象とならなかった在日外国人の無年金障害者に対して、国が措置するまでの間の経過的措置として特別給付金を支給します。

 

(3)障害者雇用の促進

障害のある人が、その適性と能力を十分に発揮することができるよう、企業との協働による雇用の場の創出と拡大を図るとともに、障害者雇用に積極的に取り組む企業を応援する取組などを推進し、障害者雇用を促進します。

 

○「京都障害者雇用企業サポートセンター」において、企業に障害者雇用に関する専門スタッフを派遣し、コンサルティングや企業内の障害者雇用支援人材を育成するなど、就労から雇用管理、定着支援まで総合的に支援します。

 

○特例子会社や障害のある人を多数雇用する事業所の創設に対する支援を行うとともに、セミナー、見学会等を開催し、特例子会社等の設立の促進や、中小企業の連携・共同による障害者雇用の拡大を促進します。

 

○障害のある人を雇用するために必要となる施設又は設備等の整備及び定着の取組をする事業主に対して、必要な整備に要する経費を補助することにより、障害のある人の安定的な雇用の確保と就労の機会の拡大を図ります。

 

○府庁の職場において、あらゆる障害のある人の雇用や職場実習を積極的に推進し、その実務経験をもとに一般企業への就労につなげます。

 

○障害のある人の雇用に積極的に取り組む企業を「京都はあとふる企業」として知事が認証し、認証企業が実践している働きやすい職場づくりの先進事例をホームページ等で紹介することにより、障害者雇用への機運を高め、府内企業への普及・啓発を図ります。

 

【参考】

特例子会社

雇った障害者を親会社の雇用とみなして雇用率に合算できる子会社です。障害者が5人以上で、従業員に占める割合が20%以上であることなどの条件を満たした場合に、厚生労働大臣が認定します。

 

(4)障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保

障害のある人の雇用・就労を促進するため、障害特性に応じた就労支援の充実・強化を図るとともに、就職を希望する人の能力向上など就業力強化の取組等を推進します。

 

○京都ジョブパーク「はあとふるコーナー」を中心に、相談から就職準備支援、職場体験・実習、職場定着支援まで、福祉、教育、医療など様々な関係機関と連携し、障害の特性に応じたきめ細かな就労支援を行います。<再掲7(1)>

 

○高等技術専門校において、企業ニーズの変化を踏まえつつ、身体・知的・発達障害等それぞれの障害特性に応じた職業訓練を行い、障害のある人の就業力の強化を図ります。

 

○「委託訓練制度」など国制度を積極的に活用し、精神障害のある人の特性に合わせた訓練や支援メニューの充実・多様化を図ります。

 

○ITを活用して就労可能な技術を身につけるための研修を開催するとともに、就労を希望する修了者等をITサポートセンターに登録し、仕事の受注、仕事の配分等を実施します。

 

○障害のある人が日ごろ培った職業技能を競い合い、職業能力の向上とともに、障害のある人に対する理解と認識を深め、雇用の促進を図ることを目的として、アビリンピック京都大会を毎年開催するとともに、競技種目の充実や参加事業所、一般来場者の増大に努めます。

また、全国障害者技能競技大会の代表選手派遣などを支援します。

 

(5)福祉的就労の充実

福祉の職場で働く障害のある人の自立と社会参加を支援するため、民間企業等とも連携して、工賃向上の取組を推進するとともに、障害者就労施設等の提供する物品・サービスの優先調達を積極的に推進するなど、福祉的就労の充実を図ります。

 

○府庁舎内等において常設販売コーナーを設置し、府内の就労継続支援事業所等のほっとはあと製品を販売します。

 

○福祉事業所における新商品開発やブランド化へのサポート、共同発注の拡大、ICTの活用等による高付加価値化や生産性向上を通じて福祉的就労における工賃向上を促進します。

 

○「京都式農福連携・6次産業化プロジェクト」を創設し、障害者の就農・就労人材を育成するチャレンジ・アグリ認証の上級課程を構築するとともに、農福連携製品の6次産業化やブランド化を支援し、京都式農福連携事業を生かした農業分野での就労を促進します。

 

○障害者優先調達推進法に基づき、京都府において、障害者就労施設等の提供する物品・サービスの優先調達を積極的に推進します。

また、府内市町村へも積極的な取組を働きかけます。

 

Ⅲ 生涯を通じて学び続けられるとともに、文化芸術やスポーツなどの分野で一人ひとりの特性を活かして活躍できる社会

8文化芸術やスポーツ等を通じた活動や機会の創出

【基本的考え方】

障害のある人の文化芸術活動及びスポーツへの参加を通じて、障害のある人の生活を豊かにするとともに、府民の障害への理解と認識を深め、障害のある人の自立と社会参加を促進します。

 

(1)文化・芸術活動の振興

障害のある人の文化・芸術活動が活発に行われるよう、芸術系大学などと連携して、その環境整備を行い、障害のある人の社会参加の促進や、障害のある人の芸術作品の素晴らしさの周知を図るとともに、文化・芸術を通じて障害のある人とない人の交流を促進し相互理解を深めます。

 

○芸術系大学、芸術家、福祉事業者、企業、美術館、行政その他の関係機関が連携し、障害のある人の文化芸術活動を強力に推進する組織「きょうと障害者文化芸術推進機構」を中核として、障害のある人の文化芸術活動を通じた社会参加を推進します。

 

○障害のある人の芸術文化活動の可能性を切りひらき、障害のある人の社会参加の促進を図るとともに障害に対する理解と認識を深めるため、障害者作品展・ものづくりワークショップ等を開催します。

 

(2)スポーツ、レクリエーション活動の推進

障害のある人の自立と社会参加の促進や、潤いのある生活を促進するため、スポーツ、レクリエーション活動の推進を図ります。また、その活動による障害のある人とない人の交流の機会を通して、相互理解の促進を図ります。

 

○障害のある人のスポーツ競技力の向上を目指し、「天皇盃全国車いす駅伝競走大会」や「全京都障害者総合スポーツ大会」への支援を行うとともに、全国障害者スポーツ大会に京都府選手団を派遣します。

 

○サン・アビリティーズ城陽における障害者スポーツの拠点機能の強化をおこなうとともに、パラ・パワーリフティング競技を始め障害者スポーツの振興を図ります。

 

○障害のある人がスポーツやレクリエーションを行い交流できる場として、障害者ふれあい広場を開催します。

 

○府内各地で障害者スポーツが拡がるよう、地域で活動する障害者スポーツ指導員を増員します。

 

○障害のある人のスポーツ活動を保障するため、府立の体育施設(府立体育館、丹波自然運動公園及び伏見港公園、サン・アビリティーズ城陽)において、障害のある人とその介護者を対象にスポーツのつどいを実施します。

 

9生涯を通じて学び続けられる環境の整備

【基本的考え方】

障害の有無によって分け隔てられることなく、可能な限り共に教育を受けることのできる仕組みの整備を進めるとともに、障害のある人が、学校卒業後も含めたその一生を通じて、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化等の様々な機会に親しむための施策を推進します。

また、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習などを通じて、障害のある人とない人との相互理解促進を図ります。

 

(1)インクルーシブ教育システムの推進

「京都府教育振興プラン」に基づき、障害のある児童生徒一人ひとりの自立や社会参加を目指し、就学前から卒業後までの一貫した特別支援教育を推進するほか、私立高等学校等に対する運営助成を通じて就学促進等を図ります。

 

○発達障害を含む障害のある子どもへの就学前から高校卒業後までの一貫した支援を行うため、京都府スーパーサポートセンターを核に、関係機関と連携を図り、子ども・保護者・教員・地域を支援します。

 

○各府立特別支援学校に設置された地域支援センターの専門的な知識や技術を活用し、地域の学校等に在籍する障害のある子どもへの教育相談等の支援を行います。

 

○障害のある幼児が就園している私立幼稚園に対する運営費を助成し、障害のある幼児の就園促進と幼児教育の振興を図ります。

 

○障害のある生徒が在籍している私立高等学校に対する運営費を助成し、障害のある生徒の就学促進を図ります。

 

【参考】

インクルーシブ教育システム(障害者の権利に関する条約第24条)

人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な限り最大限度まで発揮させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みのことです。

 

(2)教育環境の整備

障害のある児童生徒が、住み慣れた地域の中で必要な支援のもと、年齢や能力、障害の特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう、特別支援教育を必要とする児童生徒の多様な障害特性を踏まえた教育環境の整備を図ります。

 

○山城地域の特別支援学校における児童生徒の急増に対応するとともに、「地域と共に歩む学校」を目指して、井手町に特別支援学校を整備します。

 

○向日が丘支援学校改築基本構想に基づき、長岡京市の共生型福祉施設構想と連携した新たな学校づくりを行います。

 

○小・中学校の通常学級に在籍する発達障害等の児童生徒に対して、適切な教育的支援や支援体制の整備等を行うため、非常勤講師を配置し、特別支援教育の充実を図ります。

 

○聴覚障害のある生徒が必要な支援の元で十分な教育が受けられるよう府立高校において、教育環境の整備を行います。

 

○発達障害等がある生徒への支援体制を整備し、府立高校における特別支援教育の充実を図ります。

 

○障害の重度・重複化、多様化に伴い、医療的ケアを安全に実施する体制を確保するとともに、快適かつ、安全な学校生活の充実に向けて一人ひとりのニーズに合わせたきめ細やかな教育を推進します。

 

○視覚・聴覚障害のある人の豊かな生活に向けての学習活動や社会参加の促進を図るため、実践交流や指導者としての資質向上を図る指導者研修会を実施します。

 

○障害の重度・重複化、多様化に対応した低床型スクールバスを整備します。

 

(3)生涯を通じた多様な学習活動の充実

生涯を通じて学習や情報取得ができるよう、情報提供施設等の設置運営等を支援するとともに、文化・芸術、スポーツ・レクリエーション等を通じた社会参加を促進します。

 

○聴覚障害のある人が利用する録画物その他各種情報記録媒体の製作及び手話通訳者の養成・派遣等の便宜等を供与し、聴覚障害のある人への支援拠点となる京都府聴覚障害者情報提供施設の設置・運営を支援します。<再掲2(1)>

 

○視覚や聴覚に障害のある人が日常生活上の必要な情報を容易に得て、また、発信できるように、点字図書館などの充実に努めます。<再掲2(1)>

 

○芸術系大学、芸術家、福祉事業者、企業、美術館、行政その他の関係機関が連携し、障害のある人の文化芸術活動を強力に推進する組織「きょうと障害者文化芸術推進機構」を中核として、障害のある人の文化芸術活動を通じた社会参加を推進します。<再掲8(1)>

 

○障害のある人がスポーツやレクリエーションを行い交流できる場として、障害者ふれあい広場を開催します。<再掲8(2)>

 

○障害のある人のスポーツ活動を保障するため、府立の体育施設(府立体育館、丹波自然運動公園及び伏見港公園、サン・アビリティーズ城陽)において、障害のある人とその介護者を対象にスポーツのつどいを実施します。<再掲8(2)>

 

(4)交流及び共同学習の推進

障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習など、障害のある人とない人との交流を積極的に推進し、相互の理解促進を図るなど、交流機会の拡大を図ります。

 

○各府立特別支援学校の幼児・児童・生徒が、豊かな心をはぐくみ、社会性や協調性等社会自立の基礎を培うように優れた文化やスポーツを通した交流会を実施します。

 

○府立特別支援学校において、教職を目指す大学生等を教育ボランティアとして受け入れます。

 

○豊かな自然の中で、障害のある子どもが障害のない子どもとともに自然体験活動を通して、多様な立場を理解し、心のふれあいを深め、支援する心や主体性を培う「みどりキャンプ」を実施します。

 

○特別支援学校に通う子どもたちが地域共生社会で暮らしていくために、特別支援学校についての理解や関心を高める取組を行うとともに、地域住民とのネットワーク作りを進め、学校と地域住民が力を合わせた学校運営を目指します。

 

○府立特別支援学校高等部の生徒自らが製作品の販売実習・実演を実施します。

 

○外部機関等と連携し、府立支援学校生徒の清掃や接客など4分野の職種別専門的技能を客観的に評価する京しごと技能検定を実施します。

 

○好立地にある「ぶらり嵐山」を有効活用し、障害のある人の手づくり製品等の展示・販売等を行い、障害のある人の社会参画への理解を深めるとともに、交流機会の拡大を図ります。

 

お問い合わせ

健康福祉部障害者支援課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4597

shogaishien@pref.kyoto.lg.jp