賃貸住宅退去時の高額補修費請求トラブル
事例
契約書には「原状回復」とあると言われて
L君は京都で学生生活を送っていたが、就職が決まり、2年間住んでいた学生マンションを引き払うことになった。このマンションは、不動産会社で契約し、家賃のほかに敷金10万円を支払っていた。退去の時、チェックに立ち会った業者が、「柱と壁のここが汚れている。床のここにシミがある。クロスのここがはがれている。」などと何カ所も指摘し、「契約書には退去時に原状回復で引き渡しとあるので補修に必要な経費を敷金から差し引かせてもらいます。」と言った。金額は後で見積書を送るということだった。
敷金では足りずにさらに追加請求が
就職後は東京に配属になって、忙しくて敷金のことを忘れていたが、1カ月ほどたって実家から連絡があり、敷金の10万円では足らずさらに15万円の追加請求書がきたということだった。親が業者に電話を入れたところ、契約書に記載されているの一点ばりで、支払わない場合は保証人の親にも請求する、法的手段に訴えるなどと強気の姿勢だった。
通常の使用による汚れや傷みなら補修費を支払う必要はない。
通常、賃貸契約書には、「退居の際には物件を原状に回復した上で明け渡さなければならない」という趣旨の条項が入っています。この「原状回復」というのは、一見入居した時点と同じ状態という意味にとれますが、例えば小さな汚れや損傷など時間の経過や通常の使用方法で使っていて生じたようなものはそのままの状態で引き渡せばよいと考えられています。そもそも、賃貸借というものは、物件を相手に使用させてその代償(対価)として家賃を受け取っているわけですので、通常の使用によって生じる汚れや傷み(損耗・汚損)は本来家賃でカバーされるはずのものだからです。
契約に際しては、退居時の補修費の条項がどうなっているか十分チェックを
原状回復の問題は、退去時の問題と捉えられがちですが、トラブルを防止するために一番大切なのは、入居時に損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくことや、契約締結時に、原状回復などの契約条件を当事者双方がよく確認し、納得したうえで契約を締結することです。賃貸住宅の原状回復に関する考え方については、国土交通省からガイドラインが出されていますので参考にしましょう。「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の概要(国土交通省)
契約書に修繕義務について特約を設けている場合がありますが、ガイドラインには、借主に特別な負担を課す特約の要件として「特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること」など3つがあげられています。特約が設けられていても、内容によっては必ずしも有効とはいえませんので、疑問などがある場合は京都府消費生活安全センター又はお住まいの地域の消費生活相談窓口にご相談下さい。
ハウスクリーニングや補修をした費用として、敷金が返されなかったり、さらに不足分を別途請求してくるといったトラブルが多発しています。特に新入生や新社会人の場合は、契約時に時間の余裕がなかったり、気分が高揚していたりで安易な契約をしがちです。トラブルを避けるためにも、契約書の内容をよく読み、疑問があるときは業者に確認するなど慎重な気持ちで契約しましょう。
(参考)
賃貸住宅退去時のトラブル(京都府消費生活安全センター資料 PDFファイル ,203KB)
