[果樹]
京都府の丹後地域は果樹産地として歴史があり、国の事業で新たに農地が造成され、大規模な果樹経営も展開されています。
中でも特にナシが多く栽培されており、品種は「ゴールド二十世紀」が中心となっています。
収穫された「ゴールド二十世紀」は糖度センサーを備えた選果場で選別され、糖度の高いものは、京のブランド産品「京たんご梨」として出荷されています。
当所果樹担当では、「京たんご梨」をはじめ高品質果実の安定生産に向けた栽培技術確立などの試験を行っています。
これまでの成果
ナシせん定枝の堆肥および炭化物による土壌改良技術
ナシせん定枝堆肥を10アールあたり1~2トン施用すると土壌理化学性が改良され根量が増加します。また、炭化物も土壌物理性改良効果がありますが、10アールあたり750リットルまでの施用に留める必要があります(平成21年)。
「京たんご梨」のあざ果対策
「京たんご梨」に発生する汚果病によるあざ果は、ほ場の低温や高湿度条件により発生が助長されます。連年多発するほ場では間伐や縮伐による環境改善が必要です。また、黒斑病を対象とした有機銅剤等の殺菌剤散布直後に小袋掛けを行うことで、あざ果発生を軽減できます。(平成18年)
ナシ「ゴールド二十世紀」の糖度向上のための施肥方法
ナシ「ゴールド二十世紀」のブランド率向上には、果実糖度を高める必要があり、その施肥方法について検討しました。施肥量を慣行より減らし生育期に分施することで、生育初期の土壌や樹体の養分が低く推移することが明らかとなり、これにより新梢の伸長が抑えられ、果実糖度の向上が認められました。(平成18年)
ナシ「ゴールド二十世紀」におけるナギナタガヤ草生栽培技術
ナシ「ゴールド二十世紀」園でナギナタガヤ草生栽培を行うと、従来の管理法である雑草草生栽培や清耕栽培に比べて、雑草管理の省力化、土壌の改良、土壌水分の安定、VA菌根菌の共生促進などの効果が認められました。また、草生栽培2年目以降は、果実糖度が向上しました。(平成17年)
大粒系ブドウの有望品種選定と栽培技術の改善
観光客向けに直売所などで有利に販売できるブドウ栽培を目指して、栽培容易で大粒・食味の優れた品種を選定したところ、黒色系では「巨峰(東部系)」、赤色系では「ゴルビー」、白色系では「黄玉」が有望でした。また、これらの収穫時期を前進化する方法として、2回目のGA処理濃度を12.5ppmにすることが有効でした。(平成16年)
ナシ「ゴールド二十世紀」の糖度向上のための樹体管理法
ナシ「ゴールド二十世紀」の糖度向上を目指して、現地園の樹体・土壌調査と集荷データとの関係を分析したところ、糖度が低い樹相として側枝間隔が狭い、徒長枝の発生が多い、葉色が濃いこと等が明らかになりました。(平成15年)
主な発表、研究論文など
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タイトル等 |
発表 |
| 「ゴールド二十世紀」における糖度向上技術の組み合わせが生育・糖度に及ぼす影響 | 和田豊明・安川博之・片西秀文.2009.園芸学研究8(別1) |
| ナシせん定枝の炭化物施用が土壌及びナシの生育・品質に及ぼす影響 | 安川博之・和田豊明.2009.園芸学研究8(別1) |
| 根域制限によるブドウ「安芸クイーン」の着色向上技術 | 安川博之.2007.農業および園芸82(8) |
| ナシ園のナギナタガヤ利用による土壌管理 | 安川博之.2007.農耕と園芸63(3) |
| 根域制限によるブドウ「安芸クイーン」の着色向上技術 | 安川博之.2007.農業および園芸82(8) |
| ナシ園のナギナタガヤ利用による土壌管理 | 安川博之.2007.農耕と園芸63(3) |
| 施肥方法の違いがナシ園の土壌養分、樹体栄養及び生育・品質に及ぼす影響 | 安川博之、和田豊明.2007.土肥誌別53 |
| 根域制限栽培「安芸クイーン」における施肥量および土壌水分が着色に及ぼす影響(第2報)水分ストレス期間が品質に及ぼす影響 | 安川博之.2007.園芸学研究7(別1) |
| モモ果肉障害の発生要因の解明と耕種的軽減対策 | 安川博之、久木崎孝弘.2006.近畿中国四国農業研究8 |
| ナギナタガヤによる草生栽培 | 安川博之.2006.農業技術体系土壌施肥編第5-(2)巻.追録第17号 |
| ナシ園のナギナタガヤ草生栽培は雑草管理の省力化及び土壌改良に有効 | 山口俊春、安川博之.2006.近畿中国四国農業研究成果情報 |
| 根域制限栽培「安芸クイーン」における施肥量および土壌水分が着色に及ぼす影響 | 安川博之.2006.園芸学研究6(別1) |
| 8月に収穫可能な観光直売用ブドウ品種の選定と栽培技術の改善 | 安川博之.2005.近畿中国四国農業研究成果情報 |
| ナシ園におけるナギナタガヤ草生栽培が土壌に及ぼす影響 | 安川博之、山口俊春.2005.土肥誌別51 |
| モモ果肉障害の発生要因と防止対策 | 安川博之.2003.農耕と園芸58(10) |
| モモ果肉障害(みつ症)の発生要因と営農的防止対策 | 安川博之.2003.近畿中国四国農業研究成果情報 |
上記の発表要旨、論文別刷をご希望の方は、メール等で当所までお問い合わせください。
平成23年に取り組んでいる試験の概要
産地の競争力を向上させる高品質・省力・低コストなナシ生産技術の研究
高糖度で管理作業の軽減が見込める自家和合性の早生ナシ品種「早優利(さゆり)」、「秋栄(あきばえ)」の丹後地域へ導入を目指し、栽培技術を検討しています。
京たんご梨のブランド率向上のための栽培管理フローチャート式マニュアルの開発
丹後国営開発農地におけるナシ栽培の糖度向上対策を明らかにし、高糖度果実生産のための栽培管理マニュアルの作成に取り組んでいます。
盆前後の需要期を目指した直売所向け早生ブドウの品種特性の把握
近年出現した有望早生品種の品種・栽培特性を把握し、品種特性を活かした栽培方法について検討しています。
近年激発しているナシ主要害虫の発生消長の解明と対策の開発
近年、現地ナシ園で発生が目立っているハダニ類およびナシヒメシンクイについて、発生消長を明らかにし、効果的な対策を検討してます。
果樹の生育状況調査
果実の肥大程度や収穫時期、収穫した果実の大きさと品質を調査し、毎年の生育状況を把握しています。
温暖化に対応した果樹の新品目、新系統の検索
ナシ、モモ、ブドウの新しく育成された系統の、丹後地域における栽培適応性を調査しています。
