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腸管出血性大腸菌とは、大腸菌の中でも毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすもののことを言います。代表的なものとして「O157」があり、そのほかに「O26」や「O111」などが知られています。
毎年、初夏から秋にかけて、O157等の腸管出血性大腸菌による感染症や食中毒の報告数が増加します。
予防ポイントをよく理解し、感染しないよう日ごろから注意しましょう。
腸管出血性大腸菌(O157等)は、菌で汚染された飲食物を接種することや、患者の糞便に含まれる菌で汚染された手などを介して感染します。
特に、O157は感染力が強く、わずか100個程度の菌数で発症すると言われています。このため、ヒトからヒトへ二次感染を起こすことがあり、食中毒としてだけでなく、感染症としての対策も必要です。潜伏期間は2日から14日(平均3日から5日)と長いので、原因食品・感染源の特定が難しいのも特徴です。
症状は、下痢や腹痛、水様便、血便、また重症な場合は溶血症尿毒症症候群(HUS)などの合併症を引き起こし、死に至る場合がある一方、軽い腹痛や下痢で終わる場合や、全く症状がない場合もあります。
予防のポイントは食べ物の取り扱いと正しい手指衛生です。
汚染食品からの感染を防ぐには、食品を十分加熱(中心部の温度が75℃で1分間以上)することや、調理後の食品はなるべく食べきる等の注意が基本です。
特に乳幼児、高齢者などは重症、生肉又は加熱不十分な食肉を食べないように配慮する必要があります。また、まな板や包丁なの調理器具は清潔なものを使用しましょう。
ヒトからヒトへの二次感染を予防するために、食事や調理前、トイレ使用後、排泄介助作業の後などには石けんと流水による手洗いを励行しましょう。
手指衛生のためにアルコール性の擦式消毒剤を追加使用するのも有効です。トイレのドアノブなど菌に汚染した可能性のある場所は、アルコールなどの消毒薬等を用いて、適切に消毒することも重要です。
腸管出血性大腸菌Q&A (厚生労働省ホームページ)(外部リンク)
(参考元)厚生労働省ホームページ、国立感染症研究所ホームページ、検疫所ホームページ