更新日:2024年12月16日

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結核

結核の原因と最近の傾向

結核は古くて新しい病気と言われており、日本でも年間1万人程度、世界では年間800 万人程度が診断される重大な感染症です。結核は、結核菌を吸い込むことによっておこる感 染症です。病原体は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)です。

結核菌は、感染したヒトの体内で分裂・増殖し、発病したヒトの咳の飛沫核内の菌が空 気中を漂い、それを大量に吸い込んだ人に伝播します。空気感染とも言います。結核の病 変は多くは肺ですが、頸や腋のリンパ節、胸膜、脳、骨、腎臓、皮膚など肺以外の全身の どの部位にも病気をおこすこともあり、それらを肺外結核といいます。

結核感染症が増加している背景には、色々な要因があります。

  1. 集団感染の増加;若い世代で結核への抵抗力を持たない人が増えています。
  2. 重症化の増加;診断が遅れた場合、進行していて重症化する場合もあります。
  3. 高齢者での発病の増加;多くの人が戦前、戦後に感染を受けており、他の疾患の悪化 で、これまで抑えられていた結核菌が活動性となり発病する場合があります。
  4. 多剤耐性結核の出現;抗結核薬が効かない結核菌が現れています。結核菌が突然変異を して耐性菌となりました。

臨床症状

結核の代表的な症状は、 咳、痰、血痰、胸痛などの呼吸器症状と、発熱、冷汗、だるさな どの全身症状で、風邪と似ています。高齢者ははっきりとした症状が現れないこともありま す。 結核は、一般的な肺炎やインフルエンザなどの呼吸器感染症とは異なり、ゆっくり進 行し、初期の症状が軽いため、自分では気づきにくく、診断時にはかなり進行していること があります。2週間以上続く咳や体重減少があれば必ず受診してください

臨床経過と治療

結核菌に感染しても一生の間に発症する人は10%です。そのうちの5%は、2年以内に 発症します。したがって、接触者健診では2年間の健康観察が必要です。

感染しても発症していない場合は潜在性結核と呼び、他人に感染させることはありませ んが、将来の発症を防ぐために、潜在性結核の治療を実施します。結核の発症者との濃厚 接触の方の検査をして、陽性であれば、内服治療が必要です。

感染し、発症した人は、喀痰から結核菌を検出することが多く、排菌している場合は排 菌がなくなるまで結核病床への入院が必要となります。発症者は、薬剤耐性を防ぐため、 何種類かの薬を合わせて服用します。 現在使われている薬剤はイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、硫酸ストレプ トマイシンなどです。これらの薬剤を組み合わせて6か月~9か月程度薬を服用します。

副作用が出た場合や薬剤耐性結核の場合などは、治療の期間が延びることがあります。

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